刑事訴訟法 第197条
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- 捜査については、その目的を達するため必要な取調べをすることができる。ただし、強制の処分は、この法律に特別の定めのある場合でなければ、これをすることができない。
- 2.捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
- 3.検察官、検察事務官又は司法警察員は、差押えをし、又は電磁的記録提供命令により電磁的記録を提供させるため必要があるときは、電気通信を行うための設備を他人の通信の用に供する事業を営む者又は自己の業務のために不特定若しくは多数の者の通信を媒介することのできる電気通信を行うための設備を設置している者に対し、その業務上記録している電気通信の送信元、送信先、通信日時その他の通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し、三十日を超えない期間を定めて、これを消去しないよう、書面又は電磁的記録により求めることができる。この場合において、当該求めに係る電磁的記録について差押えをし、又は電磁的記録提供命令により当該電磁的記録を提供させる必要がないと認めるに至つたときは、当該求めを取り消さなければならない。
- 4.前項の規定により消去しないよう求める期間については、特に必要があるときは、三十日を超えない範囲内で延長することができる。ただし、消去しないよう求める期間は、通じて六十日を超えることができない。
- 5.第二項又は第三項の規定による求めを行う場合において、必要があるときは、みだりにこれらに関する事項を漏らさないよう求めることができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第197条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第197条の条文原文は「捜査については、その目的を達するため必要な取調べをすることができる。ただし、強制の処分は、この法律に特別の定めのある場合でなければ、これをすることができない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第197条は第一章 捜査に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第197条の前の条は刑事訴訟法第196条です。
- 刑事訴訟法第197条の次の条は刑事訴訟法第198条です。
- 刑事訴訟法第197条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第197条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第197条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/197
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法197条は、捜査に必要な取調べを認めつつ、強制処分は法律に特別の定めがある場合に限ると定める。令状のない捜査は任意捜査で、本人の同意が前提となる。
Q · 警察に「ちょっと署まで来てください」と言われたら、行く義務はあるの?
原則ない。任意捜査なので令状がなければ拒否できる
刑事訴訟法197条1項により、捜査に必要な取調べはできますが、強制処分は法律に特別の定めがある場合に限られます(強制処分法定主義)。令状のない任意同行・任意提出・任意の取調べはすべてあなたの同意が前提で、拒否しても法的制裁はありません。応じる場合も「これは任意ですか」と確認し、いつでも退去できる権利を確かめておくと、その後の主導権が変わります。
解説
「ちょっと署まで来てもらえますか」と警察に言われたとき、行く義務はあるのか。答えは、原則ない。刑事訴訟法197条1項は、捜査は「必要な取調をすることができる」としつつ、但書で「強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない」と釘を刺す。つまり令状のない捜査はすべて任意捜査であり、あなたの同意がなければ本来は成り立たない。ところが現実には、任意同行、任意提出、任意の取調べという名の事実上の強制が横行する。さらに2項では、警察が銀行や携帯会社や病院に「照会」をかけ、あなたの口座履歴や通信記録を、あなたの知らぬ間に取り寄せる。3項以降では、通信会社に通信履歴を最大60日間消すなと要請できる。197条は、国家の捜査権がどこまであなたに踏み込めるかの境界線そのものだ。
法的な位置づけ
刑事訴訟法197条は捜査の原則を定める規定であり、捜査機関は目的達成に必要な取調べができる一方、強制処分は法律に特別の定めがある場合に限られる(強制処分法定主義)。令状を要しない任意捜査と、法定の根拠を要する強制処分とを区別する基準条文として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.まず令状の有無と「任意か」を確認する 任意同行・任意提出・任意の取調べを求められたら、応じる前に「これは任意ですか、令状はありますか」と一言確認する。任意だと認めさせれば拒否権があり、応じる場合もいつでも退去・中止できる権利を確かめる
- 2.応じる場合は経過を記録する 署に同行する場合や取調べに応じる場合は、日時・担当者名・やりとりをメモし、可能なら録音する。後に任意の限界を超えた、実質的逮捕だったと争うための証拠を残す
- 3.黙秘権を行使し、署名押印は慎重に 取調べでは黙秘権(憲法38条、刑訴法198条2項)を行使できる。供述調書への署名押印を求められても拒否でき、内容に納得できなければサインしない
- 4.当番弁護士を呼び、強制処分の適法性を精査させる 違法・不当な捜査を受けたと感じたら、当番弁護士を呼び、令状の有無と範囲、強制処分の適法性を弁護人に精査させる。記録した日時・担当者名・経過を弁護士に共有する
よくある質問 AI による整理
Q1任意捜査とは何ですか?
令状を要しない、本人の同意を前提とする捜査です。刑事訴訟法197条1項が根拠で、任意同行・任意提出・任意の取調べが含まれ、拒否しても法的制裁はありません。
Q2任意同行は拒否できますか?
拒否できます。任意同行に強制力はなく、同行義務もありません。拒否を理由に不利益を課すことは本来許されず、令状がなければ連行されることもありません。
Q3捜査関係事項照会に企業は回答する義務がありますか?
法的には協力であって義務ではなく、拒否しても罰則はありません。ただし197条2項に基づく照会には、実務上ほとんどの企業が回答しています。
Q4強制処分法定主義とは?
強制処分は法律に特別の定めがある場合にしか行えないという原則です。197条1項但書が根拠で、令状による逮捕・捜索などが代表例です。
Q5通信履歴の保全要請は何日まで?
1回30日以内で、延長しても通じて60日が上限です(197条3項・4項)。捜査機関が通信事業者に履歴を消さないよう書面で求める制度です。
Q6任意の取調べはいつでも帰れますか?
任意である以上、原則いつでも退去できます。長時間・深夜・宿泊を伴う取調べは任意の限界を超え、実質的逮捕として違法と争われた例があります。
Q7違法収集証拠排除法則とは?
令状なき強制処分など、重大な違法のもとで集めた証拠の証拠能力を否定する法理です。任意の限界を超えた取調べがあれば、公判で証拠排除を争えます。
Q8任意捜査と強制捜査の違いは?
判断基準は名称ではなく、相手の意思を制圧し権利を制約するかという実質です(最決昭和51.3.16)。実質が強制なら、書面に「任意」とあっても違法な強制処分になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1警察に『任意で来て』と言われたら、断ったら逆に怪しまれませんか?
断っても法的制裁はなく、任意捜査である以上あなたに同行義務はありません(197条1項)。心証への影響を心配する人は多いですが、黙秘や任意拒否を不利益に扱うことは本来許されません。実務のポイント:捜査機関は「任意」という言葉で事実上の強制を作り出すのが常套手段です。応じる前に「任意ですね、いつでも帰れますね」と口頭で確認し、できれば録音する。この一手で、後から実質的逮捕だったと争う余地が残せる
Q2自分の銀行口座や通信記録が、警察に勝手に渡されることがあるんですか?
あります。197条2項の捜査関係事項照会で、捜査機関は銀行、通信会社、病院などに照会でき、相手は原則として回答します。令状不要、本人通知不要です。実務のポイント:照会への回答は法的には協力であって義務ではなく、企業が拒否しても罰則はありません。ただし実務上ほとんどの企業が応じます。プライバシーを争いたいなら、後の公判で照会の必要性、相当性を争う道があり、個人情報保護法の第三者提供制限との関係も論点になる
Q3GPSで車に発信機をつけて追跡するのは、任意捜査でできるんですか?
できません。最高裁は2017年、GPS捜査は個人のプライバシーを侵害する強制処分であり、令状なしの実施は違法と判断しました(最大判平成29.3.15)。197条1項の任意捜査の枠を超えます。実務のポイント:この判決後も立法は追いついておらず、GPS捜査の明文規定はまだない状態です。捜査機関はGPS単独の追跡を事実上控えていますが、スマホの位置情報を通信会社経由で照会する手法は別問題として残る。位置情報の保護は、まだ法の空白地帯にある
間違えやすい点 AI による整理
- 「警察に任意で求められたら従う義務がある」と思われているが、197条1項の任意捜査に強制力はない。任意同行、任意提出、任意の取調べは、いずれもあなたの同意が前提で、拒否しても法的制裁はない
- 任意捜査は「軽い捜査」だと思われがちだが、深刻なのはその範囲の広さである。2項の照会で、あなたの銀行口座、通院記録、通信履歴が、令状なし、本人通知なしで捜査機関に渡る。任意だからこそ歯止めが見えにくく、知らぬ間に丸裸にされる
- 「任意か強制か」を行為の呼び名で判断しようとするのが、そもそもの間違いだ。最高裁は名称ではなく「相手の意思を制圧し、権利を制約するか」という実質で判断する(最決昭和51.3.16)。書面に「任意同行」とあっても、実質が強制なら違法な強制処分になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 性質 | 197条:任意捜査(令状不要、同意が前提) | 199条:通常逮捕(強制処分、令状が必要) 218条:捜索・差押え・検証(強制処分、令状が必要) |
| 本人の同意 | 必要(同意がなければ本来成り立たない) | 不要(逮捕状で強制可能) 不要(捜索差押許可状で強制可能) |
| 拒否の可否 | 拒否できる(法的制裁なし) | 拒否できない(実力行使を伴う) 拒否できない(実力行使を伴う) |
| 限界・統制 | 比例原則、実質的強制なら違法(最決昭和51.3.16) | 逮捕の理由・必要性、令状審査 差し押さえるべき物の特定、令状審査 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も偵查において任意処分を原則とし、捜索・押収・羈押など強制処分は令状(法院の許可)を要するという強制処分法定主義を採る。
韓国199条は『捜査に関し必要な調査をすることができる。ただし強制処分はこの法律に特別の規定がある場合に限る』とし、日本197条とほぼ同一の構造を継受している。
ドイツも捜査機関の一般的調査権限を認めつつ、基本権への侵害を伴う強制処分には法律の留保(Gesetzesvorbehalt)と多くは裁判官の令状を要求する。
米国は不合理な捜索・押収を禁じ、原則として相当な理由に基づく令状を要求する。同意(consent)による捜索は例外として令状不要で、日本の任意捜査に近い位置づけ。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 深夜、自宅に警察が来て「任意で署まで」と言う。あなたは断れる。197条1項の任意捜査だから、令状がない限り同行義務はない。だが「拒否すると逮捕されるのでは」という心理を突かれ、多くの人が事実上強制された形で署に向かう。応じる前に任意だと確認できたかどうかで、後の主導権が変わる
- もし、あなたのスマホや車の位置情報が、あなたの同意なくGPSで追跡されていたら? 最高裁はGPS捜査を強制処分と判断し、令状なしの実施を違法とした(最大判平成29.3.15)。197条1項の任意捜査では、もはやできない領域だ
- ある朝、取引先から連絡が来る。「おたくの口座、警察から照会が来てましたよ」。あなたは何も知らされていない。2項の捜査照会は、対象者本人への通知を必要としない
- あなたが運営する小さな通信サービスに、警察から「通信履歴を消すな」という書面が届く。期限は30日、延長で最大60日。その間に差押え令状が来るか、要請が取り消されるか、あなたは対応を迫られる
- 任意の取調べのつもりが、朝から深夜まで続き、ホテルに「泊められて」翌日も続いた。これは任意の限界を超え、実質的逮捕として違法と争われた事例がある(高輪グリーンマンション事件、最決昭和59.2.29)
取るべき行動
被害を受けた側:1. 任意同行や任意提出を求められたら、まず令状の有無を確認。令状がなければ拒否できる2. 応じる場合も「任意である」ことを口頭で明確にし、いつでも退去や中止ができる権利を確認、可能なら録音3. 自分の口座や通信記録が照会された疑いがあれば、取引先や通信会社に照会の有無を尋ねる(相手に回答義務はない) 4. 違法や不当な捜査を受けたと感じたら、日時、担当者名、やりとりを記録し、弁護士に相談
訴えられた側:1. 取調べはいつでも「任意ですか」と確認し、任意なら退去できる2. 黙秘権(憲法38条、刑訴法198条2項)を行使し、調書への署名押印を求められても拒否できる3. 長時間、深夜、宿泊を伴う取調べは任意の限界を超える可能性、その経過を記憶し記録する4. 当番弁護士を呼び、強制処分の適法性(令状の有無と範囲)を弁護人に精査させる
時効(請求できる期限):通信履歴の保全要請は1回30日以内、延長しても通じて60日が上限(197条3項、4項)。任意捜査自体に特定の時効はないが、強制処分には令状の有効期間がある。違法収集証拠の主張は、原則として第一審公判の証拠調べ前に行う必要がある(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(実質説):強制処分か否かは行為の名称ではなく、相手方の意思を制圧し重要な権利・利益を制約するかという実質で判断する。任意捜査も比例原則による限界に服し、必要性・緊急性・相当性を欠けば違法となる。
改正沿革 AI による整理
- 平成23年(2011年) 情報処理の高度化に対処するための刑法等改正(サイバー犯罪条約対応)により、第3項から第5項の通信履歴の保全要請の規定を新設。捜査機関が通信事業者等に通信履歴を最大60日間消去しないよう書面で求める制度を創設した
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定により、捜査の原則として任意捜査原則と強制処分法定主義(1項)、捜査関係事項照会(2項)を定めた。
- 2.平成23年(2011年) 改正:情報処理の高度化に対処するための刑法等改正(サイバー犯罪条約対応)により、第3項から第5項を新設し、通信履歴の保全要請(最大60日)を創設した。
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