受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年9月5日読了 7 分7 分7 分

刑事訴訟法 第99条の2

クイックジャンプ

裁判所は、必要があるときは、記録命令付差押え(電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて必要な電磁的記録を記録媒体に記録させ、又は印刷させた上、当該記録媒体を差し押さえることをいう。以下同じ。)をすることができる。

この条文の基本情報

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 刑事訴訟法第99条の2は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
  2. 刑事訴訟法第99条の2の条文原文は「裁判所は、必要があるときは、記録命令付差押え(電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて必要な電磁的記録を記録媒体に記録させ、又は印…」で始まります。
  3. 刑事訴訟法第99条の2は第九章 押収及び捜索に置かれています。
  4. 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
  5. 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
  6. 刑事訴訟法第99条の2の前の条は刑事訴訟法第99条です。
  7. 刑事訴訟法第99条の2の次の条は刑事訴訟法第100条です。
  8. 刑事訴訟法第99条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第99条の2
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131
  • 本サイト収録刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第99条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/99_2

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点刑事訴訟法99条の2は、電磁的記録を保管する第三者に必要なデータを記録媒体へ書き出させ、その媒体を差し押さえる記録命令付差押えを定める。対象は必要な記録に限定される。

Q · クラウドやメールサーバーにあるデータも、家宅捜索なしで差し押さえられるの?

可能。保管会社への命令一本でデータが書き出される

刑事訴訟法99条の2の記録命令付差押えにより、裁判所は電磁的記録を保管・利用する第三者(メール会社、クラウド事業者、勤務先のサーバー管理者など)に命じて、必要なデータを記録媒体に書き出させ、その媒体を差し押さえることができます。命令の相手は本人ではなく保管者であるため、本人が気付かないうちにデータが取得されることがあります。対象は「必要な電磁的記録」に限定され、サーバー丸ごとではなくピンポイントで特定されます。

解説

警察があなたのメールを証拠にしたいとき、あなたの家に踏み込んでパソコンを押収する必要はない。もっと静かな方法がある。それが記録命令付差押えだ。刑訴法99条の2は、裁判所が、電磁的記録を保管する者(メールサービス会社、クラウド事業者、あなたの勤務先のサーバー管理者など、データを持っている、あるいは利用権限を持つ第三者)に命じて、必要なデータだけを記録媒体に書き出させ、または印刷させた上で、その媒体を差し押さえることを認める。ポイントは二つ。第一に、命令の相手はあなたではなく、あなたのデータを握る第三者だ。あなたが気付かないうちに、あなたの通信記録が取り出されることがある。第二に、対象は「必要な電磁的記録」に限られる。サーバー丸ごとではなく、ピンポイントで特定のデータだけ。2011年の改正で、サイバー犯罪条約に対応するために新設された、デジタル時代の証拠収集の中核装置である。

法的な位置づけ

記録命令付差押えとは、刑事訴訟法99条の2が定める押収の一類型であり、電磁的記録を保管する者またはこれを利用する権限を有する者に対し、必要な電磁的記録を記録媒体に記録させ、または印刷させた上で、当該記録媒体を差し押さえる強制処分をいう。2011年改正でサイバー犯罪条約への対応として新設された。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.令状記載の対象範囲を弁護士と精査 記録命令付差押状が届いたら、対象データの範囲(期間・アカウント・データ種別)を弁護士と一字一句確認する。令状の四隅が、保管者であるあなたの会社を守る境界線になる
  2. 2.指定範囲を超えないデータ抽出 令状が特定した「必要な電磁的記録」のみを抽出する。範囲外のデータまで書き出すと、無関係な第三者のプライバシーを侵害し、別途責任を問われるおそれがある。捜査機関が口頭で追加を求めても、令状に記載がなければ応じる義務はない
  3. 3.抽出作業のログを保全 いつ・誰が・何を抽出し・どの媒体に書き出したかを記録する。後日、令状の範囲を逸脱していないことを立証する証拠になる
  4. 4.保全要請が併存する場合の対応 刑訴法197条3項の保全要請が同時に来ている場合は、対象データの上書き・自動削除を停止する措置をとる。顧客への通知の可否は令状内容と守秘要請を踏まえ慎重に判断する

よくある質問 AI による整理

Q1記録命令付差押えとは何ですか?

電磁的記録の保管者に必要なデータを記録媒体へ書き出させ、その媒体を差し押さえる強制処分です。刑事訴訟法99条の2が根拠で、命令の相手はデータ本人ではなく保管者です。

Q2通常の差押えと記録命令付差押えの違いは?

通常の差押えは物そのものを押収しますが、記録命令付差押えは保管者に必要なデータだけを書き出させてからその媒体を押収します。サーバー丸ごとではなくピンポイントの取得が可能です。

Q3クラウドやメールのデータも対象になりますか?

対象になります。クラウド事業者やメールサービス会社が保管者として命令を受け、本人を通さずにデータが取り出されます。本人は起訴後の証拠開示まで気付かないことが多いです。

Q4削除したデータも取り出されますか?

取り出される場合があります。本人が削除しても、保管者のサーバーやバックアップに残っていれば記録命令付差押えの対象です。削除と消滅は別物です。

Q5記録命令付差押えはいつ新設されましたか?

2011年(平成23年)の刑法等一部改正で新設されました。サイバー犯罪条約への対応として、デジタル証拠収集の手段を整備したものです。

Q6リモートアクセスによる複写(99条2項)との違いは?

99条2項はネットワークで接続された別の記録媒体から複写する方法、99条の2は保管者に命じて書き出させる方法です。前者は捜査側が直接取得、後者は保管者の協力を介します。

Q7保全要請(197条3項)とは何ですか?

対象データを消さないよう保管者に求める前段の手続です。保全要請が届いた時点で、近く差押えが来るシグナルと考えられます。

Q8違法な差押えに対する不服申立ては?

処分を知った後すみやかに準抗告(刑訴法430条)を申し立てます。違法収集であれば、起訴後に証拠排除を争う余地もあります。

この条文についての質問 AI による整理

Q1自分のデータが勝手に取られるって、令状もなしにそんなことできるんですか?

令状は必要です。記録命令付差押えも裁判官の発する令状(捜査段階は刑訴法218条、公判段階はこの99条の2)に基づきます。ただし令状は『あなた』にではなく『データを保管する会社』に示されるため、あなた本人は知らないまま手続が進むことが多い。実務のポイント:自分のデータが取られたかどうかは、起訴後の証拠開示で初めて分かるのが通常です。だからこそ、捜査が及びそうな段階で弁護士を立て、どの会社に何が保管されているかを早めに棚卸ししておくかどうかで、防御の準備期間が数か月変わる

Q2会社に従業員のデータを出せって命令が来たら、全部出さないとダメなんですか?

出す義務はありますが、対象は令状が特定した『必要な電磁的記録』に限られます(刑訴法99条の2)。範囲外のデータまで提出すると、他の従業員や顧客のプライバシーを侵害し、会社が別途責任を問われるおそれがある。実務のポイント:実務では、令状の文言を弁護士と精査し、指定範囲を一バイトも超えない形で抽出するのが鉄則です。捜査機関が口頭で『ついでにこれも』と求めてきても、令状に書かれていなければ応じる義務はない。令状の四隅が、あなたの会社を守る境界線になる

間違えやすい点 AI による整理

  • 「自分のデータは自分の端末にあるから、押収されるとしても家宅捜索で済む」と思いがちだが、実際にはクラウドやサーバー上のデータは、保管している会社への命令一本で、あなたの家に誰も来ないまま取り出される
  • あなたから見れば「消したデータ」でも、サーバー運営者から見れば「バックアップに残っているデータ」であることが多い。あなたが削除ボタンを押した安心と、法的に到達可能な現実の間には、この落差がある。これが当事者を後で追い詰める
  • 「どうすれば自分のデータを差押えから守れるか」という問いそのものが、半分ずれている。記録命令付差押えの相手はあなたではなく第三者の保管者だ。守るべきは『自分の端末』ではなく『誰に、どの国で、何を預けているか』という置き場所の設計である
比較の観点この条文ほかの条文
取得方法99条の2:保管者に書き出させ媒体を差押え99条:物そのものを差し押さえる
197条3項:データを消さないよう要請(保全)
命令の相手電磁的記録の保管者・利用権限者(第三者)物の所持者
電気通信事業者等の保管者
強制力令状に基づく強制処分令状に基づく強制処分
任意の協力要請(強制力なし)
対象の範囲令状が特定した必要な電磁的記録に限定令状が特定した物に限定
保全すべきデータの範囲を指定

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
中華民国刑事訴訟法 第133条之1

台湾も電磁紀錄について提出命令・扣押の規定を整備。デジタル証拠の特定取得という機能は日本の記録命令付差押えと近い

韓国
대한민국 형사소송법 제106조 제3항

韓国は情報저장매체(情報保存媒体)の押収について、原則として記憶された情報の範囲を定めて出力・複製する方法によると規定。範囲限定の発想が日本と共通

ドイツ
StPO § 95・§ 110

ドイツは提出義務(Herausgabepflicht)と電子記録媒体の閲読(Durchsicht)で規律。保管者への提出命令という構造が記録命令付差押えに対応

アメリカ
Stored Communications Act, 18 U.S.C. § 2703

米国はプロバイダに保管された通信記録の開示を令状・命令で強制。第三者保管データへ本人を介さず到達する点が共通するが、CLOUD Act により域外データにも及ぶ

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • あなたが中小企業の情シス担当だとして、裁判所から「従業員Aの過去半年分のメール送受信記録を記録媒体に書き出して提出せよ」という記録命令付差押えの令状が届く。指定された期日は近い。何を、どこまで出すのか、出しすぎたら他の従業員の情報まで漏れる。今夜、顧問弁護士に電話する必要がある
  • もしあなたのメールアカウントの中身が、運営会社への命令一本で捜査機関の手に渡るとしたら、あなたはそれにいつ気付くのか。多くの場合、答えは「起訴されて証拠を見るまで気付かない」だ
  • クラウド会計ソフトに会社の全取引データを置いている。脱税の疑いがかかれば、命令の相手はあなたではなく、そのソフトを運営する会社だ
  • SNSの裏アカウントで誰かを脅した。アカウントを消しても無駄なことがある。運営会社のサーバーにデータが残っていれば、記録命令付差押えでその痕跡が書き出される。削除と消滅は違う

取るべき行動

被害を受けた側:1. 自分が捜査対象になっている兆候があれば、まずどの事業者に何のデータを預けているかを洗い出す(メール、クラウド、SNS、会計ソフト)。2. データの削除は証拠隠滅罪(刑法104条)に問われうるので安易に消さない、消してもサーバーには残ることが多い。3. すぐに弁護士を選任し、保全要請や差押えの有無を含め手続の進行を把握してもらう。4. 起訴後の証拠開示で、どの記録がどう取得されたか(令状の有効性、指定範囲の逸脱)を精査し、違法収集証拠なら証拠排除を争う

訴えられた側:1. 令状が届いたら、記載された対象データの範囲(期間、アカウント、データ種別)を弁護士と一字一句確認する。2. 指定範囲を超えるデータは出さない、過剰提出は他者のプライバシー侵害と自社の責任に直結する。3. 抽出作業のログを残し、いつ何を渡したかを記録する。4. 同時に保全要請(刑訴法197条3項)が来ている場合は、対象データを上書き・自動削除しない措置をとる。5. 顧客への通知の可否は令状内容と守秘要請を踏まえ慎重に判断する

時効(請求できる期限):記録命令付差押えは令状に基づく強制処分であり、令状記載の有効期間内に執行される。本措置自体に独立の時効はないが、前提となる犯罪の公訴時効(犯罪により異なる、刑訴法250条)が経過すれば捜査・差押えの基礎が失われる。違法な差押えに対する準抗告(刑訴法430条)は、処分を知った後すみやかに申し立てる必要がある(最新の改正状況をご確認ください)

学説

通説:記録命令付差押えの対象は令状が特定した「必要な電磁的記録」に限定され、保管者が指定範囲を超えてデータを書き出すことは許されない。範囲限定と令状主義により、通信の秘密(憲法21条2項)と保管者の事業継続への打撃を最小化すると解される。

改正沿革 AI による整理

  • 平成23年(2011年) 情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律により新設。サイバー犯罪条約への対応として、電磁的記録の保管者にデータの書き出し・印刷を命じて当該記録媒体を差し押さえる記録命令付差押えを導入した。同時にリモートアクセスによる複写(99条2項)、保全要請(197条)等のデジタル証拠収集手段が整備された

改正の年表

  1. 1.平成23年(2011年) 新設:情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律により新設。サイバー犯罪条約への対応として、電磁的記録の保管者にデータの書き出し・印刷を命じて当該記録媒体を差し押さえる記録命令付差押えを導入。同時にリモートアクセスによる複写(99条2項)、保全要請(197条)等のデジタル証拠収集手段が整備された。

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

刑事訴訟法の全文を見る所属する編章節を開く:第九章 押収及び捜索

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›