第一条
1
この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。
第一条
この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。
第二条
裁判所の土地管轄は、犯罪地又は被告人の住所、居所若しくは現在地による。 国外に在る日本船舶内で犯した罪については、前項に規定する地の外、その船舶の船籍の所在地又は犯罪後その船舶の寄泊した地による。 国外に在る日本航空機内で犯した罪については、第一項に規定する地の外、犯罪後その航空機の着陸(着水を含む。)した地による。
第三条
事物管轄を異にする数個の事件が関連するときは、上級の裁判所は、併せてこれを管轄することができる。 高等裁判所の特別権限に属する事件と他の事件とが関連するときは、高等裁判所は、併せてこれを管轄することができる。
第四条
事物管轄を異にする数個の関連事件が上級の裁判所に係属する場合において、併せて審判することを必要としないものがあるときは、上級の裁判所は、決定で管轄権を有する下級の裁判所にこれを移送することができる。
第五条
数個の関連事件が各別に上級の裁判所及び下級の裁判所に係属するときは、事物管轄にかかわらず、上級の裁判所は、決定で下級の裁判所の管轄に属する事件を併せて審判することができる。 高等裁判所の特別権限に属する事件が高等裁判所に係属し、これと関連する事件が下級の裁判所に係属するときは、高等裁判所は、決定で下級の裁判所の管轄に属する事件を併せて審判することができる。
第六条
土地管轄を異にする数個の事件が関連するときは、一個の事件につき管轄権を有する裁判所は、併せて他の事件を管轄することができる。
第七条
土地管轄を異にする数個の関連事件が同一裁判所に係属する場合において、併せて審判することを必要としないものがあるときは、その裁判所は、決定で管轄権を有する他の裁判所にこれを移送することができる。
第八条
数個の関連事件が各別に事物管轄を同じくする数個の裁判所に係属するときは、各裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定でこれを一の裁判所に併合することができる。 前項の場合において各裁判所の決定が一致しないときは、各裁判所に共通する直近上級の裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定で事件を一の裁判所に併合することができる。
第九条
数個の事件は、左の場合に関連するものとする。 1 一人が数罪を犯したとき。 2 数人が共に同一又は別個の罪を犯したとき。 3 数人が通謀して各別に罪を犯したとき。 犯人蔵匿の罪、証憑湮滅の罪、偽証の罪、虚偽の鑑定通訳の罪及び贓物に関する罪とその本犯の罪とは、共に犯したものとみなす。
第十条
同一事件が事物管轄を異にする数個の裁判所に係属するときは、上級の裁判所が、これを審判する。 上級の裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定で管轄権を有する下級の裁判所にその事件を審判させることができる。
第十一条
同一事件が事物管轄を同じくする数個の裁判所に係属するときは、最初に公訴を受けた裁判所が、これを審判する。 各裁判所に共通する直近上級の裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定で後に公訴を受けた裁判所にその事件を審判させることができる。
第十二条
裁判所は、事実発見のため必要があるときは、管轄区域外で職務を行うことができる。 前項の規定は、受命裁判官にこれを準用する。
第十三条
訴訟手続は、管轄違の理由によつては、その効力を失わない。
第十四条
裁判所は、管轄権を有しないときでも、急速を要する場合には、事実発見のため必要な処分をすることができる。 前項の規定は、受命裁判官にこれを準用する。
第十五条
検察官は、左の場合には、関係のある第一審裁判所に共通する直近上級の裁判所に管轄指定の請求をしなければならない。 1 裁判所の管轄区域が明らかでないため管轄裁判所が定まらないとき。 2 管轄違を言い渡した裁判が確定した事件について他に管轄裁判所がないとき。
第十六条
法律による管轄裁判所がないとき、又はこれを知ることができないときは、検事総長は、最高裁判所に管轄指定の請求をしなければならない。
第十七条
検察官は、左の場合には、直近上級の裁判所に管轄移転の請求をしなければならない。 1 管轄裁判所が法律上の理由又は特別の事情により裁判権を行うことができないとき。 2 地方の民心、訴訟の状況その他の事情により裁判の公平を維持することができない虞があるとき。 前項各号の場合には、被告人も管轄移転の請求をすることができる。
第十八条
犯罪の性質、地方の民心その他の事情により管轄裁判所が審判をするときは公安を害する虞があると認める場合には、検事総長は、最高裁判所に管轄移転の請求をしなければならない。
第十九条
裁判所は、適当と認めるときは、検察官若しくは被告人の請求により又は職権で、決定を以て、その管轄に属する事件を事物管轄を同じくする他の管轄裁判所に移送することができる。 移送の決定は、被告事件につき証拠調を開始した後は、これをすることができない。 移送の決定又は移送の請求を却下する決定に対しては、その決定により著しく利益を害される場合に限り、その事由を疎明して、即時抗告をすることができる。
第二十条
裁判官は、次に掲げる場合には、職務の執行から除斥される。 1 裁判官が被害者であるとき。 2 裁判官が被告人又は被害者の親族であるとき、又はあつたとき。 3 裁判官が被告人又は被害者の法定代理人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人であるとき。 4 裁判官が事件について証人又は鑑定人となつたとき。 5 裁判官が事件について被告人の代理人、弁護人又は補佐人となつたとき。 6 裁判官が事件について検察官又は司法警察員の職務を行つたとき。 7 裁判官が事件について第二百六十六条第二号の決定、略式命令、前審の裁判、第三百九十八条乃至第四百条、第四百十二条若しくは第四百十三条の規定により差し戻し、若しくは移送された場合における原判決又はこれらの裁判の基礎となつた取調べに関与したとき。ただし、受託裁判官として関与した場合は、この限りでない。
第二十一条
裁判官が職務の執行から除斥されるべきとき、又は不公平な裁判をする虞があるときは、検察官又は被告人は、これを忌避することができる。 弁護人は、被告人のため忌避の申立をすることができる。
第二十二条
事件について請求又は陳述をした後には、不公平な裁判をする虞があることを理由として裁判官を忌避することはできない。
第二十三条
合議体の構成員である裁判官が忌避されたときは、その裁判官所属の裁判所が、決定をしなければならない。この場合において、その裁判所が地方裁判所であるときは、合議体で決定をしなければならない。 地方裁判所の一人の裁判官又は家庭裁判所の裁判官が忌避されたときはその裁判官所属の裁判所が、簡易裁判所の裁判官が忌避されたときは管轄地方裁判所が、合議体で決定をしなければならない。 忌避された裁判官は、前二項の決定に関与することができない。 裁判所が忌避された裁判官の退去により決定をすることができないときは、直近上級の裁判所が、決定をしなければならない。
第二十四条
訴訟を遅延させる目的のみでされたことの明らかな忌避の申立は、決定でこれを却下しなければならない。この場合には、前条第三項の規定を適用しない。第二十二条の規定に違反し、又は裁判所の規則で定める手続に違反してされた忌避の申立を却下する場合も、同様である。 前項の場合には、忌避された受命裁判官、地方裁判所の一人の裁判官又は家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官は、忌避の申立てを却下する裁判をすることができる。
第二十五条
忌避の申立を却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
第二十六条
この章の規定は、第二十条第七号の規定を除いて、裁判所書記にこれを準用する。 決定は、裁判所書記所属の裁判所がこれをしなければならない。
第二十七条
被告人又は被疑者が法人であるときは、その代表者が、訴訟行為についてこれを代表する。 数人が共同して法人を代表する場合にも、訴訟行為については、各自が、これを代表する。
第二十八条
刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十九条又は第四十一条の規定を適用しない罪に当たる事件について、被告人又は被疑者が意思能力を有しないときは、その法定代理人(二人以上あるときは、各自。以下同じ。)が、訴訟行為についてこれを代理する。
第二十九条
前二条の規定により被告人を代表し、又は代理する者がないときは、検察官の請求により又は職権で、特別代理人を選任しなければならない。 前二条の規定により被疑者を代表し、又は代理する者がない場合において、検察官、司法警察員又は利害関係人の請求があつたときも、前項と同様である。 特別代理人は、被告人又は被疑者を代表し又は代理して訴訟行為をする者ができるまで、その任務を行う。
第三十条
被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。 被告人又は被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任することができる。
第三十一条
弁護人は、弁護士の中からこれを選任しなければならない。 簡易裁判所又は地方裁判所においては、裁判所の許可を得たときは、弁護士でない者を弁護人に選任することができる。
第三十一条の二
弁護人を選任しようとする被告人又は被疑者は、弁護士会に対し、弁護人の選任の申出をすることができる。 弁護士会は、前項の申出を受けた場合は、速やかに、所属する弁護士の中から弁護人となろうとする者を紹介しなければならない。 弁護士会は、前項の弁護人となろうとする者がないときは、当該申出をした者に対し、速やかに、その旨を通知しなければならない。同項の規定により紹介した弁護士が被告人又は被疑者がした弁護人の選任の申込みを拒んだときも、同様とする。
第三十二条
公訴の提起前にした弁護人の選任は、第一審においてもその効力を有する。 公訴の提起後における弁護人の選任は、審級ごとにこれをしなければならない。
第三十三条
被告人に数人の弁護人があるときは、裁判所の規則で、主任弁護人を定めなければならない。
第三十四条
前条の規定による主任弁護人の権限については、裁判所の規則の定めるところによる。
第三十五条
裁判所は、裁判所の規則の定めるところにより、被告人又は被疑者の弁護人の数を制限することができる。
第三十六条
被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所は、その請求により、被告人のため弁護人を附しなければならない。
第三十六条の二
この法律により弁護人を要する場合を除いて、被告人が前条の請求をするには、資力申告書(その者に属する現金、預金その他政令で定めるこれらに準ずる資産の合計額(以下「資力」という。)及びその内訳を申告する書面をいう。以下同じ。)を提出しなければならない。
第三十六条の三
この法律により弁護人を要する場合を除いて、その資力が基準額(標準的な必要生計費を勘案して一般に弁護人の報酬及び費用を賄うに足りる額として政令で定める額をいう。以下同じ。)以上である被告人が第三十六条の請求をするには、あらかじめ、その請求をする裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に第三十一条の二第一項の申出をしていなければならない。 前項の規定により第三十一条の二第一項の申出を受けた弁護士会は、同条第三項の規定による通知をしたときは、前項の地方裁判所又は当該被告事件が係属する裁判所に対し、その旨を通知しなければならない。
第三十七条
左の場合に被告人に弁護人がないときは、裁判所は、職権で弁護人を附することができる。 1 被告人が未成年者であるとき。 2 被告人が年齢七十年以上の者であるとき。 3 被告人が耳の聞えない者又は口のきけない者であるとき。 4 被告人が心神喪失者又は心神耗弱者である疑があるとき。 5 その他必要と認めるとき。
第三十七条の二
被疑者に対して勾留状が発せられている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は、その請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。 前項の請求は、勾留を請求された被疑者も、これをすることができる。
第三十七条の三
前条第一項の請求をするには、資力申告書を提出しなければならない。 その資力が基準額以上である被疑者が前条第一項の請求をするには、あらかじめ、その勾留の請求を受けた裁判官の所属する裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に第三十一条の二第一項の申出をしていなければならない。 前項の規定により第三十一条の二第一項の申出を受けた弁護士会は、同条第三項の規定による通知をしたときは、前項の地方裁判所に対し、その旨を通知しなければならない。
第三十七条の四
裁判官は、被疑者に対して勾留状が発せられ、かつ、これに弁護人がない場合において、精神上の障害その他の事由により弁護人を必要とするかどうかを判断することが困難である疑いがある被疑者について必要があると認めるときは、職権で弁護人を付することができる。
第三十七条の五
裁判官は、死刑又は無期拘禁刑に当たる事件について第三十七条の二第一項又は前条の規定により弁護人を付する場合又は付した場合において、特に必要があると認めるときは、職権で更に弁護人一人を付することができる。
第三十八条
この法律の規定に基づいて裁判所若しくは裁判長又は裁判官が付すべき弁護人は、弁護士の中からこれを選任しなければならない。 前項の規定により選任された弁護人は、旅費、日当、宿泊料及び報酬を請求することができる。
第三十八条の二
裁判官による弁護人の選任は、被疑者がその選任に係る事件について釈放されたときは、その効力を失う。
第三十八条の三
裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、裁判所若しくは裁判長又は裁判官が付した弁護人を解任することができる。 1 第三十条の規定により弁護人が選任されたことその他の事由により弁護人を付する必要がなくなつたとき。 2 被告人と弁護人との利益が相反する状況にあり弁護人にその職務を継続させることが相当でないとき。 3 心身の故障その他の事由により、弁護人が職務を行うことができず、又は職務を行うことが困難となつたとき。 4 弁護人がその任務に著しく反したことによりその職務を継続させることが相当でないとき。 5 弁護人に対する暴行、脅迫その他の被告人の責めに帰すべき事由により弁護人にその職務を継続させることが相当でないとき。 弁護人を解任するには、あらかじめ、その意見を聴かなければならない。 弁護人を解任するに当たつては、被告人の権利を不当に制限することがないようにしなければならない。 公訴の提起前は、裁判官が付した弁護人の解任は、裁判官がこれを行う。この場合においては、前三項の規定を準用する。
第三十八条の四
裁判所又は裁判官の判断を誤らせる目的で、その資力について虚偽の記載のある資力申告書を提出した者は、十万円以下の過料に処する。
第三十九条
身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第三十一条第二項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。 前項の接見又は授受については、法令(裁判所の規則を含む。以下同じ。)で、被告人又は被疑者の逃亡、罪証の隠滅又は戒護に支障のある物の授受を防ぐため必要な措置を規定することができる。 検察官、検察事務官又は司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第一項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。
第四十条
弁護人は、公訴の提起後は、裁判所において、訴訟に関する書類(刑事確定訴訟記録法(昭和六十二年法律第六十四号)第二条第一項に規定する訴訟の記録(訴訟終結後のものに限る。)を含む。第四十七条を除き、以下同じ。)及び証拠物を閲覧し、及び謄写することができる。 前項の規定にかかわらず、第百五十七条の六第五項に規定する記録媒体は、謄写することができない。
第四十一条
弁護人は、この法律に特別の定のある場合に限り、独立して訴訟行為をすることができる。
第四十二条
被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、何時でも補佐人となることができる。 補佐人となるには、審級ごとにその旨を届け出なければならない。 補佐人は、被告人の明示した意思に反しない限り、被告人がすることのできる訴訟行為をすることができる。
第四十三条
判決は、この法律に特別の定のある場合を除いては、口頭弁論に基いてこれをしなければならない。 決定又は命令は、口頭弁論に基いてこれをすることを要しない。 決定又は命令をするについて必要がある場合には、事実の取調をすることができる。 前項の取調は、合議体の構成員にこれをさせ、又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託することができる。
第四十四条
裁判には、理由を附しなければならない。 上訴を許さない決定又は命令には、理由を附することを要しない。
第四十五条
判決以外の裁判は、判事補が一人でこれをすることができる。
第四十六条
被告人その他訴訟関係人は、自己の費用で、裁判書又は裁判を記載した調書の謄本又は抄本の交付を請求することができる。
第四十七条
訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。
第四十八条
公判期日における訴訟手続については、公判調書を作成しなければならない。 公判調書には、裁判所の規則の定めるところにより、公判期日における審判に関する重要な事項を記載しなければならない。 公判調書は、各公判期日後速かに、遅くとも判決を宣告するまでにこれを整理しなければならない。
第四十九条
被告人に弁護人がないときは、公判調書は、裁判所の規則の定めるところにより、被告人も、これを閲覧することができる。被告人は、読むことができないとき、又は目の見えないときは、公判調書の朗読を求めることができる。
第五十条
公判調書が次回の公判期日までに整理されなかつたときは、裁判所書記は、検察官、被告人又は弁護人の請求により、次回の公判期日において又はその期日までに、前回の公判期日における証人の供述の要旨を告げなければならない。この場合において、請求をした検察官、被告人又は弁護人が証人の供述の要旨の正確性につき異議を申し立てたときは、その旨を調書に記載しなければならない。 被告人及び弁護人の出頭なくして開廷した公判期日の公判調書が、次回の公判期日までに整理されなかつたときは、裁判所書記は、次回の公判期日において又はその期日までに、出頭した被告人又は弁護人に前回の公判期日における審理に関する重要な事項を告げなければならない。
第五十一条
検察官、被告人又は弁護人は、公判調書の記載の正確性につき異議を申し立てることができる。異議の申立があつたときは、その旨を調書に記載しなければならない。 前項の異議の申立ては、遅くとも当該審級における最終の公判期日後十四日以内にこれをしなければならない。
第五十二条
公判期日における訴訟手続で公判調書に記載されたものは、公判調書のみによつてこれを証明することができる。
第五十三条
何人も、被告事件の終結後、訴訟記録を閲覧することができる。 弁論の公開を禁止した事件の訴訟記録又は一般の閲覧に適しないものとしてその閲覧が禁止された訴訟記録は、前項の規定にかかわらず、訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があつて特に訴訟記録の保管者の許可を受けた者でなければ、これを閲覧することができない。 日本国憲法第八十二条第二項但書に掲げる事件については、閲覧を禁止することはできない。 訴訟記録の保管及びその閲覧の手数料については、別に法律でこれを定める。
第五十三条の二
訴訟に関する書類及び押収物については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)及び独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号)の規定は、適用しない。 訴訟に関する書類及び押収物に記録されている個人情報については、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第五章第四節の規定は、適用しない。 訴訟に関する書類については、公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)第二章の規定は、適用しない。この場合において、訴訟に関する書類についての同法第四章の規定の適用については、同法第十四条第一項中「国の機関(行政機関を除く。以下この条において同じ。)」とあり、及び同法第十六条第一項第三号中「国の機関(行政機関を除く。)」とあるのは、「国の機関」とする。 押収物については、公文書等の管理に関する法律の規定は、適用しない。
第五十四条
書類の送達については、裁判所の規則に特別の定めのある場合を除いては、民事訴訟に関する法令の規定(民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第百条第二項並びに第一編第五章第四節第三款及び第四款の規定を除く。)を準用する。
第五十五条
期間の計算については、時で計算するものは、即時からこれを起算し、日、月又は年で計算するものは、初日を算入しない。 月及び年は、暦に従つてこれを計算する。 期間の末日が日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日、一月二日、一月三日又は十二月二十九日から十二月三十一日までの日に当たるときは、これを期間に算入しない。
第五十六条
法定の期間は、裁判所の規則の定めるところにより、訴訟行為をすべき者の住居又は事務所の所在地と裁判所又は検察庁の所在地との距離及び交通通信の便否に従い、これを延長することができる。 前項の規定は、宣告した裁判に対する上訴の提起期間には、これを適用しない。
第五十七条
裁判所は、裁判所の規則で定める相当の猶予期間を置いて、被告人を召喚することができる。
第五十八条
裁判所は、次の場合には、被告人を勾引することができる。 1 被告人が定まつた住居を有しないとき。 2 被告人が、正当な理由がなく、召喚に応じないとき、又は応じないおそれがあるとき。
第五十九条
勾引した被告人は、裁判所に引致した時から二十四時間以内にこれを釈放しなければならない。
第六十条
裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。 1 被告人が定まつた住居を有しないとき。 2 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。 3 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。 勾留の期間は、公訴の提起があつた日から二箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、一箇月ごとにこれを更新することができる。 三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)及び経済関係罰則の整備に関する法律(昭和十九年法律第四号)の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる事件については、被告人が定まつた住居を有しない場合に限り、第一項の規定を適用する。
第六十一条
被告人の勾留は、被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴いた後でなければ、これをすることができない。
第六十二条
被告人の召喚、勾引又は勾留は、召喚状、勾引状又は勾留状を発してこれをしなければならない。
第六十三条
召喚状には、被告人の氏名及び住居、罪名、出頭すべき年月日時及び場所並びに正当な理由がなく出頭しないときは勾引状を発することがある旨その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長又は受命裁判官が、これに記名押印しなければならない。
第六十四条
勾引状又は勾留状には、被告人の氏名及び住居、罪名、公訴事実の要旨、引致すべき場所又は勾留すべき刑事施設、有効期間及びその期間経過後は執行に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長又は受命裁判官が、これに記名押印しなければならない。 被告人の氏名が明らかでないときは、人相、体格その他被告人を特定するに足りる事項で被告人を指示することができる。 被告人の住居が明らかでないときは、これを記載することを要しない。
第六十五条
召喚状は、これを送達する。 被告人から期日に出頭する旨を記載した書面を差し出し、又は出頭した被告人に対し口頭で次回の出頭を命じたときは、召喚状を送達した場合と同一の効力を有する。口頭で出頭を命じた場合には、その旨を調書に記載しなければならない。 裁判所に近接する刑事施設にいる被告人に対しては、刑事施設職員(刑事施設の長又はその指名する刑事施設の職員をいう。以下同じ。)に通知してこれを召喚することができる。この場合には、被告人が刑事施設職員から通知を受けた時に召喚状の送達があつたものとみなす。
第六十六条
裁判所は、被告人の現在地の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に被告人の勾引を嘱託することができる。 受託裁判官は、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に転嘱することができる。 受託裁判官は、受託事項について権限を有しないときは、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に嘱託を移送することができる。 嘱託又は移送を受けた裁判官は、勾引状を発しなければならない。 第六十四条の規定は、前項の勾引状についてこれを準用する。この場合においては、勾引状に嘱託によつてこれを発する旨を記載しなければならない。
第六十七条
前条の場合には、嘱託によつて勾引状を発した裁判官は、被告人を引致した時から二十四時間以内にその人違でないかどうかを取り調べなければならない。 被告人が人違でないときは、速やかに且つ直接これを指定された裁判所に送致しなければならない。この場合には、嘱託によつて勾引状を発した裁判官は、被告人が指定された裁判所に到着すべき期間を定めなければならない。 前項の場合には、第五十九条の期間は、被告人が指定された裁判所に到着した時からこれを起算する。
第六十八条
裁判所は、必要があるときは、指定の場所に被告人の出頭又は同行を命ずることができる。被告人が正当な理由がなくこれに応じないときは、その場所に勾引することができる。この場合には、第五十九条の期間は、被告人をその場所に引致した時からこれを起算する。
第六十九条
裁判長は、急速を要する場合には、第五十七条乃至第六十二条、第六十五条、第六十六条及び前条に規定する処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせることができる。
第七十条
勾引状又は勾留状は、検察官の指揮によつて、検察事務官又は司法警察職員がこれを執行する。 刑事施設にいる被告人に対して発せられた勾留状は、検察官の指揮によつて、刑事施設職員がこれを執行する。
第七十一条
検察事務官又は司法警察職員は、必要があるときは、管轄区域外で、勾引状若しくは勾留状を執行し、又はその地の検察事務官若しくは司法警察職員にその執行を求めることができる。
第七十二条
被告人の現在地が判らないときは、裁判長は、検事長にその捜査及び勾引状又は勾留状の執行を嘱託することができる。 嘱託を受けた検事長は、その管内の検察官に捜査及び勾引状又は勾留状の執行の手続をさせなければならない。
第七十三条
勾引状を執行するには、これを被告人に示した上、できる限り速やかに且つ直接、指定された裁判所その他の場所に引致しなければならない。第六十六条第四項の勾引状については、これを発した裁判官に引致しなければならない。 勾留状を執行するには、これを被告人に示した上、できる限り速やかに、かつ、直接、指定された刑事施設に引致しなければならない。 勾引状又は勾留状を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、前二項の規定にかかわらず、被告人に対し公訴事実の要旨及び令状が発せられている旨を告げて、その執行をすることができる。
第七十四条
勾引状又は勾留状の執行を受けた被告人を護送する場合において必要があるときは、仮に最寄りの刑事施設にこれを留置することができる。
第七十五条
勾引状の執行を受けた被告人を引致した場合において必要があるときは、これを刑事施設に留置することができる。
第七十六条
被告人を勾引したときは、直ちに被告人に対し、公訴事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨並びに貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。 前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、弁護士、弁護士法人(弁護士・外国法事務弁護士共同法人を含む。以下同じ。)又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。 第一項の告知及び前項の教示は、合議体の構成員又は裁判所書記官にこれをさせることができる。 第六十六条第四項の規定により勾引状を発した場合には、第一項の告知及び第二項の教示は、その勾引状を発した裁判官がこれをしなければならない。
第七十七条
被告人を勾留するには、被告人に対し、弁護人を選任することができる旨及び貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。 前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、勾留された被告人は弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。 第六十一条ただし書の場合には、被告人を勾留した後直ちに、第一項に規定する事項及び公訴事実の要旨を告げるとともに、前項に規定する事項を教示しなければならない。 前条第三項の規定は、第一項の告知、第二項の教示並びに前項の告知及び教示についてこれを準用する。
第七十八条
勾引又は勾留された被告人は、裁判所又は刑事施設の長若しくはその代理者に弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる。 前項の申出を受けた裁判所又は刑事施設の長若しくはその代理者は、直ちに被告人の指定した弁護士、弁護士法人又は弁護士会にその旨を通知しなければならない。被告人が二人以上の弁護士又は二以上の弁護士法人若しくは弁護士会を指定して前項の申出をしたときは、そのうちの一人の弁護士又は一の弁護士法人若しくは弁護士会にこれを通知すれば足りる。
第七十九条
被告人を勾留したときは、直ちに弁護人にその旨を通知しなければならない。被告人に弁護人がないときは、被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹のうち被告人の指定する者一人にその旨を通知しなければならない。
第八十条
勾留されている被告人は、第三十九条第一項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。勾引状により刑事施設に留置されている被告人も、同様である。
第八十一条
裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第三十九条第一項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。
第八十二条
勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる。 勾留されている被告人の弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人も、前項の請求をすることができる。 前二項の請求は、保釈、勾留の執行停止若しくは勾留の取消があつたとき、又は勾留状の効力が消滅したときは、その効力を失う。
第八十三条
勾留の理由の開示は、公開の法廷でこれをしなければならない。 法廷は、裁判官及び裁判所書記が列席してこれを開く。 被告人及びその弁護人が出頭しないときは、開廷することはできない。
第八十四条
法廷においては、裁判長は、勾留の理由を告げなければならない。 検察官又は被告人及び弁護人並びにこれらの者以外の請求者は、意見を述べることができる。
第八十五条
勾留の理由の開示は、合議体の構成員にこれをさせることができる。
第八十六条
同一の勾留について第八十二条の請求が二以上ある場合には、勾留の理由の開示は、最初の請求についてこれを行う。その他の請求は、勾留の理由の開示が終つた後、決定でこれを却下しなければならない。
第八十七条
勾留の理由又は勾留の必要がなくなつたときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない。 第八十二条第三項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。
第八十八条
勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をすることができる。 第八十二条第三項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。
第八十九条
保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。 1 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。 2 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える拘禁刑に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。 3 被告人が常習として長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。 4 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。 5 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。 6 被告人の氏名又は住居が分からないとき。
第九十条
裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。
第九十一条
勾留による拘禁が不当に長くなつたときは、裁判所は、第八十八条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。 第八十二条第三項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。
第九十二条
裁判所は、保釈を許す決定又は保釈の請求を却下する決定をするには、検察官の意見を聴かなければならない。 検察官の請求による場合を除いて、勾留を取り消す決定をするときも、前項と同様である。
第九十三条
保釈を許す場合には、保証金額を定めなければならない。 保証金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない。 保釈を許す場合には、被告人の住居を制限し、その他適当と認める条件を付することができる。 裁判所は、前項の規定により被告人の住居を制限する場合において、必要と認めるときは、裁判所の許可を受けないでその指定する期間を超えて当該住居を離れてはならない旨の条件を付することができる。 前項の期間は、被告人の生活の状況その他の事情を考慮して指定する。 第四項の許可をする場合には、同項の住居を離れることを必要とする理由その他の事情を考慮して、当該住居を離れることができる期間を指定しなければならない。 裁判所は、必要と認めるときは、前項の期間を延長することができる。 裁判所は、第四項の許可を受けた被告人について、同項の住居を離れることができる期間として指定された期間の終期まで当該住居を離れる必要がなくなつたと認めるときは、当該期間を短縮することができる。
第九十四条
保釈を許す決定は、保証金の納付があつた後でなければ、これを執行することができない。 裁判所は、保釈請求者でない者に保証金を納めることを許すことができる。 裁判所は、有価証券又は裁判所の適当と認める被告人以外の者の差し出した保証書を以て保証金に代えることを許すことができる。
第九十五条
裁判所は、適当と認めるときは、決定で、勾留されている被告人を親族、保護団体その他の者に委託し、又は被告人の住居を制限して、勾留の執行を停止することができる。この場合においては、適当と認める条件を付することができる。 前項前段の決定をする場合には、勾留の執行停止をする期間を指定することができる。 前項の期間を指定するに当たつては、その終期を日時をもつて指定するとともに、当該日時に出頭すべき場所を指定しなければならない。 裁判所は、必要と認めるときは、第二項の期間を延長することができる。この場合においては、前項の規定を準用する。 裁判所は、期間を指定されて勾留の執行停止をされた被告人について、当該期間の終期として指定された日時まで勾留の執行停止を継続する必要がなくなつたと認めるときは、当該期間を短縮することができる。この場合においては、第三項の規定を準用する。 第九十三条第四項から第八項までの規定は、第一項前段の規定により被告人の住居を制限する場合について準用する。
第九十五条の二
期間を指定されて勾留の執行停止をされた被告人が、正当な理由がなく、当該期間の終期として指定された日時に、出頭すべき場所として指定された場所に出頭しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。
第九十五条の三
裁判所の許可を受けないで指定された期間を超えて制限された住居を離れてはならない旨の条件を付されて保釈又は勾留の執行停止をされた被告人が、当該条件に係る住居を離れ、当該許可を受けないで、正当な理由がなく、当該期間を超えて当該住居に帰着しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。 前項の被告人が、裁判所の許可を受けて同項の住居を離れ、正当な理由がなく、当該住居を離れることができる期間として指定された期間を超えて当該住居に帰着しないときも、同項と同様とする。
第九十五条の四
裁判所は、被告人の逃亡を防止し、又は公判期日への出頭を確保するため必要があると認めるときは、保釈を許す決定又は第九十五条第一項前段の決定を受けた被告人に対し、その住居、労働又は通学の状況、身分関係その他のその変更が被告人が逃亡すると疑うに足りる相当な理由の有無の判断に影響を及ぼす生活上又は身分上の事項として裁判所の定めるものについて、次に掲げるところに従つて報告をすることを命ずることができる。 1 裁判所の指定する時期に、当該時期における当該事項について報告をすること。 2 当該事項に変更が生じたときは、速やかに、その変更の内容について報告をすること。 裁判所は、前項の場合において、必要と認めるときは、同項の被告人に対し、同項の規定による報告を裁判所の指定する日時及び場所に出頭してすることを命ずることができる。 裁判所は、第一項の規定による報告があつたときはその旨及びその報告の内容を、同項(第一号に係る部分に限る。)の規定による報告がなかつたとき又は同項(第二号に係る部分に限る。)の規定による報告がなかつたことを知つたときはその旨及びその状況を、それぞれ速やかに検察官に通知しなければならない。
第九十六条
裁判所は、次の各号のいずれかに該当する場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定で、保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。 1 被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。 2 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。 3 被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。 4 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。 5 被告人が、正当な理由がなく前条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。 6 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。 前項の規定により保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で、保証金の全部又は一部を没取することができる。 保釈を取り消された者が、第九十八条の二の規定による命令を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときも、前項と同様とする。 拘禁刑以上の刑に処する判決(拘禁刑の全部の執行猶予の言渡しをしないものに限る。以下同じ。)の宣告を受けた後、保釈又は勾留の執行停止をされている被告人が逃亡したときは、裁判所は、検察官の請求により、又は職権で、決定で、保釈又は勾留の執行停止を取り消さなければならない。 前項の規定により保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で、保証金の全部又は一部を没取しなければならない。 保釈を取り消された者が、第九十八条の二の規定による命令を受け正当な理由がなく出頭しない場合又は逃亡した場合において、その者が拘禁刑以上の刑に処する判決の宣告を受けた者であるときは、裁判所は、決定で、保証金の全部又は一部を没取しなければならない。 保釈された者が、拘禁刑以上の刑に処する判決又は拘留に処する判決の宣告を受けた後、第三百四十三条の二(第四百四条(第四百十四条において準用する場合を含む。第九十八条の十七第一項第二号及び第四号において同じ。)において準用する場合を含む。)の規定による命令を受け正当な理由がなく出頭しないとき又は逃亡したとき(保釈されている場合及び保釈を取り消された後、逃亡した場合を除く。)は検察官の請求により又は職権で、刑の執行のため呼出しを受け正当な理由がなく出頭しないときは検察官の請求により、決定で、保証金の全部又は一部を没取しなければならない。
第九十七条
上訴の提起期間内の事件でまだ上訴の提起がないものについて、勾留の期間を更新し、勾留を取り消し、又は保釈若しくは勾留の執行停止をし、若しくはこれを取り消すべき場合には、原裁判所が、その決定をしなければならない。 上訴中の事件で訴訟記録が上訴裁判所に到達していないものについて前項の決定をすべき裁判所は、裁判所の規則の定めるところによる。 前二項の規定は、勾留の理由の開示をすべき場合にこれを準用する。
第九十八条
保釈若しくは勾留の執行停止を取り消す決定があつたとき、又は勾留の執行停止の期間が満了したときは、検察事務官、司法警察職員又は刑事施設職員は、検察官の指揮により、勾留状の謄本及び保釈若しくは勾留の執行停止を取り消す決定の謄本又は期間を指定した勾留の執行停止の決定の謄本を被告人に示してこれを刑事施設に収容しなければならない。 前項の書面を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、同項の規定にかかわらず、検察官の指揮により、被告人に対し保釈若しくは勾留の執行停止が取り消された旨又は勾留の執行停止の期間が満了した旨を告げて、これを刑事施設に収容することができる。 第七十一条の規定は、前二項の規定による収容についてこれを準用する。
第九十八条の二
検察官は、保釈又は勾留の執行停止を取り消す決定があつた場合において、被告人が刑事施設に収容されていないときは、被告人に対し、指定する日時及び場所に出頭することを命ずることができる。
第九十八条の三
保釈又は勾留の執行停止を取り消され、検察官から出頭を命ぜられた被告人が、正当な理由がなく、指定された日時及び場所に出頭しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。
第九十八条の四
裁判所は、保釈を許し、又は勾留の執行停止をする場合において、必要と認めるときは、適当と認める者を、その同意を得て監督者として選任することができる。 裁判所は、前項の同意を得るに当たつては、あらかじめ、監督者として選任する者に対し、次項及び第四項に規定する監督者の責務並びに第九十八条の八第二項、第九十八条の十一及び第九十八条の十八第三項の規定による監督保証金の没取の制度を理解させるために必要な事項を説明しなければならない。 監督者は、被告人の逃亡を防止し、及び公判期日への出頭を確保するために必要な監督をするものとする。 裁判所は、監督者に対し、次の各号に掲げる事項のいずれか又は全てを命ずるものとする。 1 被告人が召喚を受けたときその他この法律又は他の法律の規定により被告人が出頭しなければならないときは、その出頭すべき日時及び場所に、被告人と共に出頭すること。 2 被告人の住居、労働又は通学の状況、身分関係その他のその変更が被告人が逃亡すると疑うに足りる相当な理由の有無の判断に影響を及ぼす生活上又は身分上の事項として裁判所の定めるものについて、次に掲げるところに従つて報告をすること。
第九十八条の五
監督者を選任する場合には、監督保証金額を定めなければならない。 監督保証金額は、監督者として選任する者の資産及び被告人との関係その他の事情を考慮して、前条第四項の規定により命ずる事項及び被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない。
第九十八条の六
監督者を選任した場合には、保釈を許す決定は、第九十四条第一項の規定にかかわらず、保証金及び監督保証金の納付があつた後でなければ、執行することができない。 監督者を選任した場合には、第九十五条第一項前段の決定は、監督保証金の納付があつた後でなければ、執行することができない。 第九十四条第二項及び第三項の規定は、監督保証金の納付について準用する。この場合において、同条第二項中「保釈請求者でない者」とあるのは「監督者でない者(被告人を除く。)」と、同条第三項中「被告人」とあるのは「被告人及び監督者」と読み替えるものとする。
第九十八条の七
裁判所は、監督者を選任した場合において、被告人の召喚がされたときその他この法律又は他の法律の規定により被告人が指定の日時及び場所に出頭しなければならないこととされたときは、速やかに、監督者に対し、その旨並びに当該日時及び場所を通知しなければならない。 裁判所は、第九十八条の四第四項(第一号に係る部分に限る。)の規定による出頭があつたときはその旨を、同項(第二号に係る部分に限る。)の規定による報告があつたときはその旨及びその報告の内容を、同項(第一号に係る部分に限る。)の規定による出頭若しくは同項(第二号イに係る部分に限る。)の規定による報告がなかつたとき又は同項(第二号ロに係る部分に限る。)の規定による報告がなかつたことを知つたときはその旨及びその状況を、それぞれ速やかに検察官に通知しなければならない。
第九十八条の八
裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、検察官の請求により、又は職権で、監督者を解任することができる。 1 監督者が、正当な理由がなく、第九十八条の四第四項の規定による命令に違反したとき。 2 心身の故障その他の事由により、監督者が第九十八条の四第四項の規定により命ぜられた事項をすることができない状態になつたとき。 3 監督者から解任の申出があつたとき。 前項(第一号に係る部分に限る。)の規定により監督者を解任する場合には、裁判所は、決定で、監督保証金の全部又は一部を没取することができる。
第九十八条の九
裁判所は、監督者を解任した場合又は監督者が死亡した場合には、決定で、保釈又は勾留の執行停止を取り消さなければならない。 裁判所は、前項に規定する場合において、相当と認めるときは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める措置をとることができる。この場合においては、同項の規定は、適用しない。 1 被告人が保釈されている場合新たに適当と認める者を監督者として選任し、又は保証金額を増額すること。 2 被告人が勾留の執行停止をされている場合新たに適当と認める者を監督者として選任すること。 裁判所は、前項前段の規定により監督者を選任する場合には、監督保証金を納付すべき期限を指定しなければならない。 裁判所は、やむを得ない事由があると認めるときは、前項の期限を延長することができる。 裁判所は、第三項の期限までに監督保証金の納付がなかつたときは、監督者を解任しなければならない。 裁判所は、第二項前段(第一号に係る部分に限る。次項において同じ。)の規定により監督者を選任する場合において、相当と認めるときは、保証金額を減額することができる。 裁判所は、第二項前段の規定により保証金額を増額する場合には、増額分の保証金を納付すべき期限を指定しなければならない。この場合においては、第四項の規定を準用する。 第九十四条第二項及び第三項の規定は、前項に規定する場合における増額分の保証金の納付について準用する。この場合において、同条第二項中「保釈請求者」とあるのは、「被告人」と読み替えるものとする。 裁判所は、第七項の期限までに増額分の保証金の納付がなかつたときは、決定で、保釈を取り消さなければならない。
第九十八条の十
被告人は、第九十八条の八第一項第二号に該当すること又は監督者が死亡したことを知つたときは、速やかに、その旨を裁判所に届け出なければならない。 裁判所は、前項の規定による届出がなかつたときは、検察官の請求により、又は職権で、決定で、保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。 前項の規定により保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で、保証金の全部又は一部を没取することができる。
第九十八条の十一
監督者が選任されている場合において、第九十六条第一項(第一号、第二号及び第五号(第九十五条の四第二項の規定による出頭をしなかつたことにより適用される場合に限る。)に係る部分に限る。)の規定により保釈又は勾留の執行停止を取り消すときは、裁判所は、決定で、監督保証金の全部又は一部を没取することができる。
第九十九条
裁判所は、必要があるときは、証拠物又は没収すべき物と思料するものを差し押えることができる。 差し押さえるべき物が電子計算機であるときは、当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であつて、当該電子計算機で作成若しくは変更をした電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)又は当該電子計算機で変更若しくは消去をすることができることとされている電磁的記録を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、その電磁的記録を当該電子計算機又は他の記録媒体に複写した上、当該電子計算機又は当該他の記録媒体を差し押さえることができる。 裁判所は、差し押えるべき物を指定し、所有者、所持者又は保管者にその物の提出を命ずることができる。
第九十九条の二
裁判所は、必要があるときは、記録命令付差押え(電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて必要な電磁的記録を記録媒体に記録させ、又は印刷させた上、当該記録媒体を差し押さえることをいう。以下同じ。)をすることができる。
第百条
裁判所は、被告人から発し、又は被告人に対して発した郵便物、信書便物又は電信に関する書類で法令の規定に基づき通信事務を取り扱う者が保管し、又は所持するものを差し押え、又は提出させることができる。 前項の規定に該当しない郵便物、信書便物又は電信に関する書類で法令の規定に基づき通信事務を取り扱う者が保管し、又は所持するものは、被告事件に関係があると認めるに足りる状況のあるものに限り、これを差し押え、又は提出させることができる。 前二項の規定による処分をしたときは、その旨を発信人又は受信人に通知しなければならない。
第百一条
被告人その他の者が遺留した物又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる。
第百二条
裁判所は、必要があるときは、被告人の身体、物又は住居その他の場所に就き、捜索をすることができる。 被告人以外の者の身体、物又は住居その他の場所については、押収すべき物の存在を認めるに足りる状況のある場合に限り、捜索をすることができる。
本頁條文逐字來自該國官方公開資料,出處見署名列。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)