刑事訴訟法 第72条
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- 被告人の現在地が判らないときは、裁判長は、検事長にその捜査及び勾引状又は勾留状の執行を嘱託することができる。
- 2.嘱託を受けた検事長は、その管内の検察官に捜査及び勾引状又は勾留状の執行の手続をさせなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第72条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第72条の条文原文は「被告人の現在地が判らないときは、裁判長は、検事長にその捜査及び勾引状又は勾留状の執行を嘱託することができる。」で始まります。
- 刑事訴訟法第72条は第八章 被告人の召喚、勾引及び勾留に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第72条の前の条は刑事訴訟法第71条です。
- 刑事訴訟法第72条の次の条は刑事訴訟法第73条です。
- 刑事訴訟法第72条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第72条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第72条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/72
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法72条は、被告人の現在地が不明なとき、裁判長が検事長に捜査と勾引状・勾留状の執行を嘱託できると定める。嘱託先の検事長は管内の検察官に手続をさせる義務を負う。
Q · 裁判所の呼び出しを無視して引っ越せば、手続は止まりますか?
止まりません。所在不明だと検事長への捜査嘱託が動きます
止まりません。刑事訴訟法72条により、被告人の現在地が判らないと判断されると、裁判長は検事長に捜査と勾引状・勾留状の執行を嘱託できます。嘱託を受けた検事長は管内の検察官に手続をさせる義務を負うため、捜索の主体が個別の裁判所から全国規模の検察機構へ移ります。住民票を残したままの転居、無断の出国、連絡先の変更はいずれも「現在地不明」の引き金になりえます。所在不明と判断される前に、弁護人を通じて連絡先を裁判所へ届け出れば嘱託の発動を防げます。
解説
裁判所から呼び出しが来ても、引っ越して連絡先を変えれば手続は止まる。そう思っている人は、刑事訴訟法72条を読んだことがない。被告人の現在地が判らなくなった瞬間、裁判長は検事長(全国8つの高等検察庁それぞれのトップ)に、その人の捜索と勾引状・勾留状の執行を丸ごと委ねることができる。委ねられた検事長は、自分の管内の検察官に手続をさせる義務を負う。つまり、あなたが姿を消した途端、一人の裁判官の判断が、地方をまたいだ検察機構の捜索網を起動させる。逃げ得を防ぐための、見えない切り替えスイッチがこの一条だ。住民票を残したまま引っ越した、海外に出た、誰にも告げず連絡先を変えた、そのどれもが「現在地が判らない」の引き金になりうる。
法的な位置づけ
刑事訴訟法72条は、被告人の現在地が判明しない場合における令状執行の嘱託を定める規定である。裁判長は検事長に対し、被告人の捜査並びに勾引状又は勾留状の執行を嘱託でき、嘱託を受けた検事長は管内の検察官にその手続をさせなければならない。捜索と令状執行の主体を裁判所から検察機構へ移す手続的根拠として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.弁護人を選任し連絡先を裁判所へ届け出る 呼び出しを受けたら、所在不明と判断される前に弁護人を選任し、正確な現住所・連絡先を裁判所へ明示する。一通の上申書で72条の捜査嘱託の発動を未然に止められる
- 2.引っ越し・出国の予定は事前に連絡 転居や長期出国の予定があるなら、必ず事前に裁判所・弁護人へ連絡する。無断の移動は住居不定(刑訴58条)と評価され勾留理由を強めるため、事前連絡が身を守る
- 3.令状が出ているなら弁護人同行で出頭する すでに勾引状・勾留状が出ていると感じたら、執行を待つより弁護人同行で自ら出頭する段取りをする。執行されて捕まるより、その後の勾留の要否や保釈判断における裁判官の心証で有利になる
よくある質問 AI による整理
Q1勾引状とは何ですか?
被疑者・被告人を一定の場所へ強制的に引致するための令状です。出頭しない場合や住居不定の場合に発せられ、72条ではこの執行を検事長に嘱託できます。
Q2勾引状と勾留状の違いは何ですか?
勾引状は引致のための令状、勾留状は継続的な身柄拘束の令状です。72条で執行されるのが勾留状なら、見つかった瞬間から身柄拘束に直結します。
Q3被告人が所在不明だと裁判はどうなりますか?
公判は事実上進みません。そこで72条が、裁判長から検事長への捜査・令状執行の嘱託を認め、組織的な捜索によって手続の停滞を防ぎます。
Q4検事長への捜査嘱託とは何ですか?
裁判長が、被告人の捜査と令状執行を高等検察庁のトップである検事長に委ねる行為です。嘱託を受けた検事長は管内の検察官に手続をさせる義務を負います。
Q5引っ越しを裁判所に伝えないとどうなりますか?
現在地不明と判断されれば72条の嘱託が動きます。さらに無断転居は住居不定として勾引事由(刑訴58条)に評価され、勾留理由を強める恐れがあります。
Q6勾留状の執行はどこまでの地域に及びますか?
検事長を通じた嘱託により管轄をまたいで及びます。県境を越えて移動しても、検察機構の広域な執行網から外れるわけではありません。
Q7海外に出れば逮捕されないのですか?
海外渡航も「現在地不明」に該当しえます。さらに犯人が国外にいる間は公訴時効が停止する(刑訴255条)ため、出国は逃げ切りどころか自分に不利になります。
Q8被告人は住所変更を裁判所に届け出る必要がありますか?
義務として明文化はされていませんが、弁護人を通じて連絡先を明示しておけば現在地不明の認定を防げ、72条の嘱託発動を未然に止められます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1裁判所の呼び出しをずっと無視していたら、いつか時効で消えますか?
起訴前であれば公訴時効は原則進行しますが、起訴後に逃げると話が変わります。犯人が逃げ隠れて起訴状謄本の送達ができない場合、時効は停止します(刑訴法255条)。実務のポイント:「逃げ切れば時効」は起訴前の発想で、起訴後に逃げると時効ではなく72条による捜索と勾引・勾留の執行対象として残り続けます。起訴の前か後かで、逃走の意味が正反対になる
Q2検事長って警察とは違うんですか? 誰が実際に探しに来るんですか?
検事長は高等検察庁のトップで、全国に8人います。72条で嘱託を受けると、その管内の検察官に手続をさせ(2項)、実際の令状執行は検察官の指揮で検察事務官や司法警察職員が行います(刑訴法70条)。実務のポイント:捜索の指揮系統が裁判所から検察組織へ移ることで、一つの裁判所の管轄を超えた広域捜索が可能になる。県境を越えれば逃げられる、という発想が通用しない仕組みがここにある
間違えやすい点 AI による整理
- 「呼び出しを無視して引っ越せば、そのうちうやむやになる」と思われているが、72条で捜索の主体が裁判所から検事長率いる検察機構に移る。個別の裁判所が諦めるどころか、ここから組織的な捜索が始まる
- 「自分の住所地を管轄する裁判所さえ避ければいい」という発想そのものがずれている。72条の嘱託は管轄をまたぐ。検事長はその管内の検察官に手続をさせるので、別の地方へ移動しても執行の網から外れるわけではない
- 勾引状と勾留状の違いを軽く見ている人が多いが、72条で執行されるのが勾留状なら、見つかった瞬間から身柄拘束に直結する。単なる「出頭要請」ではなく、自由を失う段階の令状が、所在不明者にも飛ぶ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 72条:現在地不明時に裁判長が検事長へ捜査・令状執行を嘱託 | 58条:住居不定・不出頭による勾引の事由 70条:勾引状・勾留状の執行(検察官の指揮) |
| 発動の前提 | 被告人の現在地が判らないこと | 定まった住居がない、または正当な理由なく出頭しないこと 有効な勾引状・勾留状が存在すること |
| 主体 | 裁判長 → 検事長 → 管内検察官(広域の検察機構) | 裁判所(勾引の判断) 検察官の指揮、検察事務官・司法警察職員が執行 |
| 地理的範囲 | 管轄をまたぐ全国規模の捜索網 | 発付裁判所の判断に依拠 71条により管轄区域外でも執行可能 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は被告が逃亡・隠匿した場合に通緝(指名手配に相当)を発し、捜索・逮捕を可能とする。所在不明者の追跡を制度化する点で機能が近い
ドイツは逮捕のための公開手配(Ausschreibung zur Festnahme)と所在確認のための手配(Aufenthaltsermittlung)を区別して規律する
米国では出頭しない被告人に bench warrant が発せられ、訴追を逃れるための州外逃亡は連邦犯罪(逃亡犯罪人)として捕捉されうる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし裁判の途中で引っ越して、新しい住所を裁判所に伝えなかったらどうなる? 現在地不明と判断されれば、裁判長は検事長に捜索と勾引状の執行を嘱託する。あなたの転居先を、検察機構が組織的に突き止めにかかる
- 勾留状が出ているのに連絡が取れない。あと数日で嘱託が動く。出頭か逃走か、選べる時間はもう残っていない
- 家族が事件の被告人で、ある日から連絡が取れなくなった。あなたのもとに検察官が訪ねてくるかもしれない。それは72条の捜査嘱託が動いている合図だ。所在を知っていて積極的に隠せば、犯人蔵匿(刑法103条)に問われるリスクもある
取るべき行動
被害を受けた側:加害者である被告人が逃げて公判が止まっている被害者なら、1. 担当検察官に被告人の所在につながる情報(SNS、目撃情報、勤務先)を提供する、捜査嘱託の端緒になる2. 被害者参加制度(刑訴法316条の33以下)を使い、手続の進行状況を確認する権利を行使する3. 所在不明でも公訴時効は原則進むので、検察の動きが鈍ければ進捗を催促する
訴えられた側:1. まず弁護人を選任し、自分の正確な連絡先を裁判所へ届け出る、これだけで現在地不明の認定を防げる2. すでに勾引状・勾留状が出ているなら、執行を待つより弁護人同行で出頭する方が、その後の勾留・保釈の心証で有利3. 引っ越しや出国の予定があるなら必ず事前に裁判所・弁護人へ連絡、無断の移動は住居不定(刑訴法58条)と評価され勾留理由を強める
時効(請求できる期限):72条自体に固有の期限はないが、勾引状の効力や公訴時効が関わる。公訴時効は犯罪の法定刑により異なり(刑訴法250条)、所在不明でも原則進行する。ただし犯人が国外にいる場合や逃げ隠れて起訴状謄本の送達ができない場合は時効が停止する(同255条)。最新の改正状況をご確認ください
学説
通説:72条は被告人の所在不明による公判の停滞を防ぐための手続規定であり、嘱託を受けた検事長を通じて捜索・令状執行を組織的・広域的に確保する点に意義がある。執行されるのは裁判所の発した勾引状・勾留状に限られ、令状主義による統制が及ぶと解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)制定時に置かれた規定。被告人の現在地不明時における捜査・令状執行の嘱託の枠組みを定めた。
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