刑事訴訟法 第198条
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- 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。
- 2.前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。
- 3.被疑者の供述は、これを調書に録取することができる。
- 4.前項の調書は、これを被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤がないかどうかを問い、被疑者が増減変更の申立をしたときは、その供述を調書に記載しなければならない。
- 5.被疑者が、調書に誤のないことを申し立てたときは、これに署名押印することを求めることができる。但し、これを拒絶した場合は、この限りでない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第198条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第198条の条文原文は「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留さ…」で始まります。
- 刑事訴訟法第198条は第一章 捜査に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第198条の前の条は刑事訴訟法第197条です。
- 刑事訴訟法第198条の次の条は刑事訴訟法第199条です。
- 刑事訴訟法第198条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第198条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第198条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/198
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法198条は被疑者の取調べを定める。逮捕・勾留されていなければ出頭を拒否でき、途中で退去もできる。取調べ前には黙秘権の告知義務があり、供述調書には訂正・署名拒否の権利がある。
Q · 警察に「署まで来て」と呼ばれたら、行かなきゃいけないの?
逮捕されていなければ任意で、出頭も途中退去も拒否できる
刑事訴訟法198条1項但書により、逮捕・勾留されていない被疑者は出頭を拒否でき、いったん出頭しても何時でも退去できます。これが「任意」取調べの正体です。さらに2項で、取調べ前に「言いたくないことは言わなくてよい」と告げる黙秘権の告知義務が捜査側に課されます。供述は調書に録取されますが、それは刑事が要約した書面であり、4項で訂正を申し立てる権利、5項但書で署名押印を拒否する権利があります。一度署名すれば裁判であなたを縛る強力な証拠になります。
解説
警察から「ちょっと署まで来てもらえますか」と電話が来た。多くの人はここで「行かなければならない」と思い込む。だが刑事訴訟法198条1項の但書は、逮捕も勾留もされていない限り、あなたは出頭を拒否でき、いったん入った取調室からも何時でも退去できると定めている。これが「任意」取調べの正体だ。さらに2項、刑事はあなたを取り調べる前に「言いたくないことは言わなくていい」と告げる義務がある。黙秘権だ。そして最大の落とし穴が3項から5項にある。あなたが話した内容は供述調書という書面に「録取」される。だがそれはあなたの言葉そのままではなく、刑事が要約し、刑事の文体で書いた作文だ。あなたには読み聞かせを受け、一行ずつ訂正を申し立てる権利があり、署名押印を拒否する権利もある。一度署名すれば、その紙は裁判であなたを縛る最強の証拠に化ける。
法的な位置づけ
刑事訴訟法198条は被疑者の取調べに関する規定であり、捜査機関に被疑者の出頭を求めて取り調べる権限を与える一方、逮捕・勾留されていない被疑者の出頭拒否権および退去の自由、取調べ前の黙秘権告知義務、供述調書の閲覧・訂正権、署名押印の拒否権を定める。任意取調べの根拠と限界を同一条文に併存させた規定である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.出頭要請を受けたらまず「任意か逮捕か」を確認 警察から呼ばれたら、動き出す前に「これは任意ですか、逮捕状はありますか」と確認する。逮捕・勾留されていなければ出頭義務はなく、拒否も途中退去も自由(198条1項但書)
- 2.出頭しても入退室は自由、退去は明確に申し出る 出頭すると決めても、長時間拘束されそうなら「もう帰ります」と明確に口に出し、その時刻をメモするか同行者に伝える。後で任意性を争うとき、退去を申し出た事実が決定的材料になる
- 3.黙秘権を行使し、弁護人接見を最初に求める 黙秘権の告知(198条2項、憲法38条)を受けたら「弁護士に相談してから話します」と告げる。当番弁護士を呼び、接見(刑訴39条)で取調べ状況を共有してから供述の要否を判断する
- 4.供述調書は全文を確認し、違えば訂正・署名拒否 調書を作られたら必ず全文を読み聞かせさせ、「〜と思います」「〜してしまいました」など刑事の文体の箇所を要注意で確認。違う部分は訂正を申し立て(4項)、納得できなければ署名押印を拒否する(5項但書)
よくある質問 AI による整理
Q1被疑者取調べとは何ですか?
捜査機関が犯罪捜査のため被疑者の出頭を求めて事情を聴く手続です。刑事訴訟法198条が根拠で、逮捕・勾留されていなければ任意であり、出頭拒否も退去も自由です。
Q2任意同行と任意取調べの違いは何ですか?
任意同行は警察署等へ来てもらう行為、任意取調べは署内で事情を聴く行為です。いずれも強制ではなく、被疑者は拒否でき、途中で帰れます(198条1項但書)。
Q3取調べに弁護士は立ち会えますか?
現行法上、取調べへの弁護人立会権は明文化されていません。ただし接見交通権(刑訴39条)で取調べの前後に弁護人と相談でき、当番弁護士は初回無料です。
Q4供述調書はどのように作られますか?
刑事が被疑者の供述を要約し、刑事の文体で書面に録取します(198条3項)。本人の言葉そのままではないため、4項で一行ずつ訂正を申し立てられます。
Q5取調べは何時間まで許されますか?
任意取調べに法定の時間制限はありませんが、長時間・深夜の取調べは供述の任意性を失わせ、自白の証拠能力を否定する事由になりえます(刑訴319条)。
Q6黙秘権はいつ告知されますか?
取調べに際し、あらかじめ「自己の意思に反して供述する必要がない旨」を告げる義務があります(198条2項)。被疑者に切り替わった時点が分岐点です。
Q7参考人取調べと被疑者取調べはどう違いますか?
参考人(証人)取調べは223条、被疑者取調べは198条が根拠です。質問が「あなたがやったのでは」に変われば被疑者となり、黙秘権が発動します。
Q8外国人の取調べに通訳はつきますか?
内容を理解できない言語での取調べは適正手続に反します。母語での確認、内容が違えば訂正させる権利、署名を拒む権利があり、通訳を求めることができます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1任意の取調べって、本当に途中で帰っていいんですか?
法律上は帰れます。逮捕・勾留されていない限り、出頭拒否も途中退去も自由です(198条1項但書)。ただし現場で刑事が素直に帰してくれるとは限りません。実務のポイント:「帰ります」と明確に口に出し、その時刻をメモするか同行者に伝えておくこと。後で「実は任意ではなかった」と争うとき、退去を申し出た事実が任意性を否定する決定的材料になります。黙って耐えて残ると、後で「自分の意思で残った」と扱われてしまう。
Q2黙秘したら『やましいから黙る』と思われて不利になりませんか?
裁判で黙秘したこと自体を理由に不利に推認することは許されません(憲法38条の趣旨)。むしろ供述調書という強力な証拠を作らせない方が安全な場面が多い。実務のポイント:完全黙秘か一部供述かは戦略で、弁護士でも判断が分かれます。決定的に重要なのは「弁護士に相談してから話します」と告げて時間を稼ぐこと。取調べは捜査側のペースで進むほど不利になり、最初の数時間で全部話すのが一番危ない。
Q3調書に署名しちゃったんですけど、後から『あれは違う』って取り消せますか?
署名押印した供述調書は裁判で証拠として使われ(刑訴322条1項)、後から「本当は違った」と覆すのは極めて困難です。実務のポイント:だからこそ署名前の確認が命。読み聞かせのとき、刑事の文体で「〜と思います」「〜してしまいました」と書かれた箇所は要注意です。一字一句あなたのニュアンスと合うまで訂正を求められる(198条4項)。面倒がられても、納得いかなければ署名を拒否(5項但書)するのが正解。
Q4取調べって、ちゃんと録音・録画されてるんですか?
全事件ではありません。裁判員裁判の対象事件と検察官独自捜査事件では、原則として取調べ全過程の録音・録画が義務づけられています(刑訴301条の2、2019年施行)。実務のポイント:対象外の事件では今も密室の取調べが多い。対象外でも「録音してほしい」と求めること自体は可能で、断られた事実が後で取調べの違法性を主張する材料になります。机にボイスメモを置くだけでも、刑事の態度は変わることがある。
間違えやすい点 AI による整理
- 「警察に呼ばれたら行く義務がある」と思い込んでいる人が多いが、逮捕・勾留されていなければ出頭そのものが任意であり、拒否も途中退去もできる(198条1項但書)。義務だと信じている時点で、すでに足場を一つ失っている
- 黙秘権があることは知っていても、その深刻度を理解していない人が多い。黙秘は単に「言わない自由」ではなく、供述調書という最も強力な不利証拠を捜査側に作らせないための盾だ。話せば話すほど、あなたの言葉は刑事の作文に変換され、後で裁判のテーブルに並ぶ
- 「本当のことを話せば分かってもらえる」という前提そのものが危うい。取調べは真実発見のための対話の場ではなく、捜査側が起訴に向けた証拠を積む場だ。あなたから見れば誠実な弁明、捜査側から見れば自白の積み上げ。この視点の落差が、善意の供述を有罪証拠に変える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用場面 | 198条:逮捕・勾留前の任意取調べ | 203条:逮捕後の弁解録取・送致手続 223条:参考人(被疑者以外)の取調べ |
| 出頭・在室の強制力 | 出頭拒否・途中退去が自由(1項但書) | 身柄拘束下、最大72時間(203・205条) 参考人も任意、出頭・供述を強制できない |
| 黙秘権の告知 | 取調べ前に告知義務あり(2項) | 逮捕時に被疑事実・弁護人選任権を告知 証人尋問では証言拒否権の告知(146・147条系) |
| 供述の証拠化 | 署名押印した供述調書(322条で証拠能力) | 弁解録取書 参考人供述調書(321条系で証拠能力) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も訊問前の緘默権・弁護人選任権の告知を義務づける。司法警察の詢問にも準用され、日本の198条2項と機能的に対応する
韓国は陳述拒否権・弁護人助力権の告知を明文化。戦後の日本刑訴を継受しつつ、取調べの可視化・弁護人立会で日本より踏み込んだ規定を持つ
ドイツは最初の取調べで黙秘権・弁護人選任権の告知を義務づける。告知を欠く供述は証拠使用禁止(Beweisverwertungsverbot)の対象となりうる
米国は身柄拘束下の取調べ前に黙秘権・弁護人立会権の告知(Miranda warning)を要求し、欠くと供述は原則証拠排除される。日本より証拠排除が厳格
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし深夜に「事情を聞きたいだけ」と警察署へ呼ばれたら、あなたは断れるのか。答えは、逮捕されていなければ断れるし、行っても途中で帰れる。だが「任意なら帰っていい」と刑事の側から積極的に言うことは、まずない
- 車で人身事故を起こし、警察で「調書を取るから」と言われ、刑事が読み上げた文章にうなずいてサインした。後日その調書には、あなたが口にしていない「前をよく見ていなかった」という一文が入っていた。署名した瞬間、それはあなた自身の自白として裁判に持ち込まれる
- 任意同行のはずが、取調べはもう何時間も続いている。あなたは「もう帰りたい」と言えるはずなのに、刑事は「もう少しで終わる」と繰り返す。退去の自由は法律上あるが、現場でそれを行使するには、はっきり口に出す一言が要る
- 参考人として呼ばれたはずが、話すうちに刑事の質問が「あなたがやったのでは」に変わっていく。その瞬間、あなたは被疑者になり黙秘権が発動するが、告知のタイミングは曖昧で、気づかぬうちに不利な供述を重ねている
- 日本語が完璧でない外国人が、通訳なしで取調べを受け、内容を十分に理解しないまま調書に署名した。母語での確認を求める権利、内容が違えば訂正させる権利、署名を拒む権利があったことを、起訴された後で知る
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず「任意ですか、逮捕状はありますか」と確認。任意なら出頭義務はない(198条1項但書) 2. 行くと決めても入退室は自由、長時間拘束されそうなら退去を明確に申し出る3. 不利になりそうな話題に入ったら、その場で弁護士相談を求める(当番弁護士は初回無料) 4. 調書を作られたら必ず全文を確認し、違う部分は訂正を申し立て、納得できなければ署名しない
訴えられた側:1. 黙秘権(198条2項、憲法38条)を行使し、弁護人が来るまで実質的な供述を控える2. 当番弁護士を呼び、接見(刑訴39条)で取調べの状況を共有する3. 取調べの録音・録画(刑訴301条の2)の対象事件か確認し、対象なら記録を求める4. 調書には安易に署名せず、弁護人と相談してから判断。署名を拒んでも、それ自体で不利益な扱いはできない(5項但書)
時効(請求できる期限):出頭や取調べ自体に時効はない。ただし逮捕されれば身柄拘束は最大72時間(刑訴203条、205条)、勾留延長を含め起訴前は最大23日。任意取調べに法定の時間制限はないが、長時間・深夜にわたる取調べは供述の任意性を失わせ、自白の証拠能力を否定する事由になりうる(刑訴319条)。
学説
取調べ受忍義務否定説:逮捕・勾留中であっても被疑者に取調室にとどまる義務はなく、黙秘権の実質的保障の観点から取調べを拒否して退室できるとする見解。学説上有力。
取調べ受忍義務肯定説(実務的傾向):身柄拘束に伴う捜査の必要性を根拠に、勾留中の被疑者は取調べのため出房し取調室にとどまる義務を負うとする見解。捜査実務はこれに近い運用をしてきたが批判も強い。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定(昭和23年法律第131号)。戦後の米国型当事者主義の導入に伴い、被疑者取調べの権限とともに黙秘権の告知義務・供述調書の訂正権・署名押印拒否権を明文化した。
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