受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年9月5日読了 8 分8 分8 分

刑事訴訟法 第319条

クイックジャンプ
  1. 強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。
  2. 2.被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。
  3. 3.前二項の自白には、起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合を含む。

この条文の基本情報

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 刑事訴訟法第319条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
  2. 刑事訴訟法第319条の条文原文は「強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。」で始まります。
  3. 刑事訴訟法第319条は第四節 証拠に置かれています。
  4. 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
  5. 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
  6. 刑事訴訟法第319条の前の条は刑事訴訟法第318条です。
  7. 刑事訴訟法第319条の次の条は刑事訴訟法第320条です。
  8. 刑事訴訟法第319条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第319条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131
  • 本サイト収録刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第319条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/319
裁判例 101件に引用されています

関連度の高い3件を表示しています

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点刑事訴訟法319条は、強制や拷問による自白など任意性に疑いのある自白の証拠能力を否定し、自白が唯一の不利益証拠である場合は有罪にできないと定める。

Q · 取調べで「私がやりました」とサインしたら、それだけで有罪になるの?

なりません。強制自白は証拠にできず、自白だけでは有罪にできません

刑事訴訟法319条は二重の防壁を設けています。1項は、強制・拷問・脅迫や不当に長い拘禁の後の自白、その他任意性に疑いのある自白の証拠能力を否定します(自白法則)。たとえ内容が真実でも、任意でなければ証拠から排除されます。2項は、自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合、被告人を有罪にできないと定めます(補強法則)。つまり「私がやりました」という言葉だけでは足りず、別の客観的な裏付け証拠がなければ有罪にはできません。

解説

取調室で十時間、トイレも食事も制限され、「認めれば帰れる」と言われ続けた末にサインした自白調書。これが法廷でそのまま有罪の決め手になると思っている人は多い。だが刑事訴訟法319条は、あなたのために二重の防壁を立てている。第一に、強制・拷問・脅迫、不当に長い拘禁の後の自白、その他「任意にされたものでない疑のある」自白は、たとえ内容が真実であっても証拠から排除される(自白法則)。第二に、自白が自分に不利益な唯一の証拠であるとき、被告人は有罪にされない(補強法則)。つまり「私がやりました」という言葉だけでは、日本の裁判所はあなたを有罪にできない。別に客観的な裏付け証拠が要る。冤罪の多くは、この二つの防壁が密室の取調べで機能しなかったところから生まれてきた。あなたが取調べの椅子に座らされたとき、最後にあなたを守るのがこの条文だ。

法的な位置づけ

刑事訴訟法319条は自白法則と補強法則を定める規定である。1項は強制・拷問・脅迫・不当に長い拘禁後の自白その他任意性に疑いのある自白の証拠能力を排除し、2項は自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合に有罪とすることを禁じる。いずれも憲法38条の要請を手続法上に具体化したものである。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.取調べ開始時に黙秘権を行使し弁護人を要求 取調べの冒頭で「弁護人が来るまで話しません」と明確に告げ、その時刻を記録に残させる。後で自白の任意性を争うとき、この一言の有無が調書の証拠能力評価を大きく左右する
  2. 2.取調べ状況を具体的に記録する 何時から何時まで、どんな言葉で迫られたか、休憩・食事・トイレの制限の有無を記憶し、接見に来た弁護人にすぐ伝える。記憶が新しいうちの具体性が「任意でない疑い」の材料になる
  3. 3.調書に誤りがあれば署名・指印を拒否 供述調書の内容に少しでも事実と違う点があれば、増減変更の申立てをし、それでも直らなければ署名・指印を拒否できる(刑訴法198条5項)
  4. 4.公判前整理手続で自白調書を争点化 証拠意見で「不同意・任意性なし」を明確に述べ、自白調書の任意性・信用性を争点として設定する。立証責任は検察側にあることを前提に立証の負担を相手に押し付ける
  5. 5.録音録画記録の開示を請求する 取調べの録音録画記録(刑訴法301条の2)の開示を請求し、密室の状況を法廷で可視化する。対象外事件では取調官の証人尋問を請求する

よくある質問 AI による整理

Q1自白法則とは何ですか?

強制・拷問・脅迫や不当に長い拘禁の後の自白など、任意にされたものでない疑いのある自白の証拠能力を否定する原則です。刑事訴訟法319条1項が根拠で、内容が真実でも排除されます。

Q2補強法則とは何ですか?

自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合に有罪とできないとする原則です(刑訴法319条2項)。自白を裏付ける別の客観的証拠がなければ有罪にできません。

Q3自白だけで有罪になりますか?

なりません。補強法則により、自白が唯一の不利益証拠なら有罪にできません。「私がやりました」を裏付ける物証や証言が別に必要です。

Q4自白の任意性はどうやって争いますか?

公判前整理手続や証拠意見で「不同意・任意性なし」と述べ、取調べの録音録画記録の開示請求や取調官の証人尋問で密室の状況を立証します。任意性の立証責任は検察側にあります。

Q5取調べの録音録画は義務ですか?

裁判員裁判対象事件や検察官独自捜査事件などでは原則義務化されています(刑訴法301条の2)。対象外の事件では義務がなく、任意性が争いになりやすい構造が残ります。

Q6自白調書に署名してしまったら撤回できますか?

撤回というより、その任意性と信用性を法廷で争えます。取調べの状況を記録し弁護人に渡せば、任意でない疑いを裏付ける材料になります。署名後でも有罪が確定するわけではありません。

Q7強制された自白でも内容が本当なら証拠になりますか?

なりません。319条1項は内容の真偽を問わず、任意性に疑いのある自白を排除します。真実であっても強制されたものなら証拠能力が否定されます。

Q8取調べで弁護士を呼べますか?

弁護人選任権があり、当番弁護士制度なら初回相談は無料です。「弁護人が来るまで話しません」と明言し、その時刻を記録に残させることが任意性を争う足場になります。

この条文についての質問 AI による整理

Q1取調べで一度うっかり認めてしまったら、もう取り返しがつかないんですか?

つきます。一度自白しても、その自白の任意性(強制・脅迫・長時間拘束がなかったか)と信用性は法廷で争えますし、自白を裏付ける補強証拠がなければ有罪にはできません(319条2項)。実務のポイント:自白調書ができた後でも、取調べ状況を細かくメモして弁護人に渡すことが効きます。何時から何時まで、どんな言葉で迫られたか、その具体性が「任意でない疑い」を裏付ける材料になる。記憶が新しいうちに書き出すかどうかで、後の任意性の争いの勝率が変わる

Q2一緒にやったとされる人が「あいつもやった」と認めたら、それで私は有罪になりますか?

なり得ます。判例は、共犯者・共同被告人の自白は319条2項にいう「本人の自白」には当たらないとし、それだけで有罪にできるという立場です(最高裁判例)。つまり補強法則の保護は及びません。実務のポイント:これは多くの人が知らない実務上の落とし穴です。「自分は何も認めていないから大丈夫」と思っていても、相手の供述一本で立件される構造がある。共犯事件では、相手が何を供述しているかを早く把握し、その信用性を崩す防御に切り替えるのが鉄則

Q3黙っていると、かえって不利になるんじゃないですか?

法律上は不利になりません。黙秘権(憲法38条1項、刑訴法311条)の行使から「やましいから黙っている」と有罪方向に推認することは許されないのが原則です。実務のポイント:とはいえ現実の取調べでは「黙っていると印象が悪い」と揺さぶられます。ここで大事なのは、感情的に反論せず「弁護人と相談してから話します」と一貫させること。中途半端に一部だけ話すと、その断片が切り取られて不利な調書になる。話すか黙るかは、弁護人と決めてからで遅くない

間違えやすい点 AI による整理

  • 「自白=有罪確定」と思われているが、日本の裁判所は自白だけでは有罪にできない(319条2項、補強法則)。「私がやりました」を裏付ける客観証拠が別になければ、その自白は決め手にならない
  • 自白の任意性は法廷で争えることは知られているが、その立証のハードルの高さは知られていない。録音録画のない取調べでは「任意だった」という検察側の主張を覆すのは至難で、可視化の対象外事件では今も同じ構造の冤罪リスクが残っている
  • 「本当のことを言えば早く解放される」と考えて自白する人は多いが、捜査の論理から見れば自白は『事件処理の完成』であって、あなたの解放とは別の話だ。同じ「自白」という行為が、あなたから見れば出口、捜査側から見れば入口。この落差が冤罪を生む
比較の観点この条文ほかの条文
規律内容319条:自白の証拠能力(自白法則)と有罪認定の制限(補強法則)198条:被疑者取調べの手続・自白獲得過程
322条:被告人の供述書面の証拠能力と任意性要件
適用場面自白を証拠として採用するか・有罪の決め手にできるかの判断取調べを行い供述調書を作成する捜査段階
被告人の自認を記載した供述書・調書を法廷に出すとき
違反・不備の効果任意性なし→証拠排除、補強証拠なし→有罪にできない署名拒否権・増減変更申立て(198条5項)
任意性が認められなければ証拠能力なし

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
中華民国刑事訴訟法第156条

台湾も自白の任意性を証拠能力の要件とし、自白を唯一の証拠としてはならず補強証拠を要求する点で日本とほぼ同構造。任意性の立証責任も検察側にある

韓国
대한민국 형사소송법 제309조·제310조

韓国は309条で強制・拷問等による自白を排除し、310条で被告人の自白が唯一の証拠の場合に有罪にできないと定める。日本の自白法則・補強法則と並行的

ドイツ
StPO § 136a

ドイツは禁止された取調べ方法(強制・欺罔・疲労等)による供述の使用を禁止。補強法則に相当する明文はなく、自由心証主義の枠内で証明力を判断する点が異なる

アメリカ
U.S. Const. amend. V; Miranda v. Arizona (1966)

米国は自己負罪拒否特権とミランダ告知を基礎に任意性のない自白を排除。corpus delicti ルールにより自白の補強を要求する点で補強法則と類似する

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 「やってないのに、調書には『私がやりました』と書かれている」。誤認逮捕されたあなたが否認を続けたのに、刑事の作文した自白調書に署名を迫られたら。署名してしまっても、その任意性は後で法廷で争える。319条1項があなたの盾になる
  • 黙秘していたが、連日の取調べで精神的に追い詰められ、十数日目に「認めます」と口走ってしまった。勾留延長の期限まであと数日。この自白が「不当に長く拘禁された後の自白」に当たるか、弁護人と任意性の主張を組み立てる時間はもう残り少ない
  • 取調べで一度「やりました」と言ってしまった。だがそれを裏付ける物証も目撃証言もない。自白だけでは、裁判所はあなたを有罪にできない(319条2項)
  • もし、取調べの録音録画がされていなかったら、どうなる? 2019年施行の改正で裁判員裁判対象事件などは原則録画が義務化されたが、対象外の事件では今も「言った言わない」の水掛け論になる。録画の有無が、自白の任意性立証を根本から左右する
  • あなたが任意同行に応じ、参考人のつもりで話していたら、いつの間にか被疑者扱いになり供述調書を取られていた。後でその調書が法廷に出てきたとき、作成過程の任意性を争えるかどうかで、有罪と無罪が分かれる

取るべき行動

被害を受けた側:1. 取調べで強制・脅迫・長時間の拘束を受けたら、その日時・所要時間・具体的なやり取りを記憶し、接見に来た弁護人にすぐ伝える2. 黙秘権を行使し「弁護人が来るまで話さない」と明言3. 調書の内容に少しでも事実と違う点があれば、署名・指印を拒否できる(刑訴法198条5項) 4. 当番弁護士制度なら初回相談は無料、勾留される前の段階から弁護人を確保しておく

訴えられた側:1. 公判前整理手続で自白調書の任意性・信用性を争点化、証拠意見で「不同意・任意性なし」を明確にする2. 任意性の立証は検察側の責任、取調べの録音録画記録(刑訴法301条の2)の開示を請求する3. 自白が唯一の不利益証拠なら、補強証拠の不存在を主張する(319条2項) 4. 取調官の証人尋問を請求し、密室で何が起きたかを法廷で可視化する

時効(請求できる期限):自白の証拠能力・任意性を争うことに特定の時効はないが、証拠調べ請求に対する意見(証拠意見)は公判前整理手続または当該証拠の取調べ前に述べる必要がある。任意性を争うなら、その調書が取り調べられる前に異議を述べること。このタイミングを逃すと、事実上争うのが難しくなる

学説

任意性説:自白法則の根拠を、強制された自白は虚偽である危険が類型的に高い点に求める立場。任意性に疑いがあれば、虚偽排除の観点から証拠能力を否定する。

違法排除説:自白法則の根拠を、違法・不当な取調べ手続そのものを抑制する点に求める立場。取調べの適正手続違反を理由に自白を排除し、捜査機関の暴走を抑止する。

改正沿革 AI による整理

改正の年表

  1. 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定により、憲法38条を受けて自白法則(1項)と補強法則(2項)を明文化。3項で有罪の自認を含む旨を規定した

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

刑事訴訟法の全文を見る所属する編章節を開く:第四節 証拠

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›