刑事訴訟法 第322条
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- 被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第三百十九条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。
- 2.被告人の公判準備又は公判期日における供述を録取した書面は、その供述が任意にされたものであると認めるときに限り、これを証拠とすることができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第322条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第322条の条文原文は「被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は…」で始まります。
- 刑事訴訟法第322条は第四節 証拠に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第322条の前の条は刑事訴訟法第321条の3です。
- 刑事訴訟法第322条の次の条は刑事訴訟法第323条です。
- 刑事訴訟法第322条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第322条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第322条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/322
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法322条は、被告人の供述書面に署名・押印があり、不利益事実の承認か特信情況があるとき証拠にできると定める。ただし任意性に疑いがあれば319条準用で排除される。
Q · 警察で供述調書にサインしたら、それはもう動かせない証拠になるんですか?
署名済みでも、任意性に疑いがあれば証拠から排除されうる
刑事訴訟法322条1項により、被告人の供述書面は署名・押印があり、不利益事実の承認または特信情況があるときに限り証拠になります。ただし不利益事実の承認については319条を準用し、長時間・深夜の取調べや誘導など任意性に疑いがあれば、署名済みでも証拠から排除されます。2項は公判準備・公判期日での供述を録取した書面についても、任意になされたと認められて初めて証拠になると定めています。形式(署名)より実質(任意性)が勝負です。
解説
取調室で数時間、刑事が書き上げた供述調書を差し出し「ここに署名と指印を」と言う。あなたが軽い気持ちで押したその指印が、のちの法廷であなたを縛る最強の証拠に化ける。刑事訴訟法322条は、被告人が自分で書いた書面や、被告人の供述を刑事が録取した調書に署名か押印があるとき、それを証拠にできる条件を定める。鍵は二つだ。第一に「自分に不利益な事実を認める内容」なら、完全な自白でなくても証拠になりうる。たとえば「その日は現場の近くにいた」という一言でも、不利益事実の承認に当たる。第二に、その承認に「任意でない疑い」があれば、319条の自白排除ルールに準じて証拠から外される。つまりあなたの本当の武器は、署名を押したという事実ではなく、どんな状況で署名させられたかという『任意性』のほうにある。
法的な位置づけ
刑事訴訟法322条は、被告人が作成した供述書および被告人の供述を録取した書面の証拠能力を定める規定である。署名または押印があり、不利益事実の承認または特信情況があることを要件とし、不利益事実の承認については319条を準用して任意性を要求する。2項は公判準備・公判期日における供述の録取書面について任意性を要件とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.取調べで調書を黙読し内容を確認 署名を求められたら、その場で調書を一語ずつ黙読する。自分の話したニュアンスと違う表現、事実と異なる記載がないかを必ず確認する
- 2.違う箇所の訂正を申し立てる 事実と異なる箇所や強すぎる表現があれば、取調官に訂正を求める。訂正に応じない場合、その内容に同意していない旨を明確に伝える
- 3.納得できなければ署名・押印を拒否 内容に納得できないなら署名・押印を拒否する。署名・押印は322条の証拠能力の要件であり、拒否すれば調書の証拠能力は否定されやすくなる
- 4.署名済みなら取調べ状況を記録 すでに署名した場合は、取調べの日時・時間・回数・休憩の有無・誘導や利益誘導の有無・体調をできる限り記録し、弁護人に伝える
- 5.公判で証拠意見を慎重に述べる 検察官請求の供述調書に安易に同意せず、弁護人と相談のうえ不同意として319条準用による任意性の争いに持ち込むか検討する。録音録画の開示請求も検討する
よくある質問 AI による整理
Q1供述調書とは何ですか?
取調べで述べた内容を捜査官が文章にまとめ、本人が署名・押印した書面です。刑事訴訟法322条は被告人の供述書面が証拠になる条件を定めています。
Q2供述調書の署名は拒否できますか?
拒否できます。署名・押印は322条の証拠能力の要件なので、署名を拒めば形式要件を欠き、調書の証拠能力は否定されやすくなります。
Q3不利益事実の承認とは何ですか?
完全な自白でなくても、現場近くにいた、相手と揉めていた等、自分に不利な事実を認めることです。322条はこれを証拠にできる条件を定めます。
Q4供述調書の任意性とは何ですか?
供述が拷問・脅迫・不当に長い取調べでなく、自由な意思でなされたことです。任意性に疑いがあれば319条準用で調書は排除されます。
Q5供述調書が証拠になる要件は何ですか?
署名または押印があること、かつ不利益事実の承認または特信情況があることです。不利益事実の承認の場合はさらに任意性が必要です。
Q6特に信用すべき情況とは何ですか?
供述が虚偽の入り込む余地が少ない状況でなされたことです。不利益事実の承認がなくても、特信情況があれば322条で証拠になりえます。
Q7取調べの録音録画はいつ義務になりますか?
裁判員裁判対象事件と検察官独自捜査事件では、刑訴法301条の2により取調べの全過程の録音録画が義務づけられています。
Q8署名した供述調書は撤回できますか?
署名そのものの撤回はできませんが、公判で証拠意見を不同意とし、任意性を争うことで調書を証拠から排除する道は残されています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1警察で調書にサインしちゃったんですけど、もう取り返しがつかないですか?
署名済みでも諦める必要はありません。322条1項但書は、不利益事実の承認に任意でない疑いがあれば、319条に準じて証拠から排除すると定めています。長時間・深夜の取調べ、休憩なし、誘導や利益誘導があれば任意性を争えます。実務のポイント:弁護士は調書の中身より『取調べメモ』や録音録画データを真っ先に狙います。署名した内容そのものではなく、署名させた過程の不自然さこそが、調書を法廷から消す鍵だからです
Q2「自白」した覚えはないのに、なんで私の調書が証拠になるんですか?
322条は完全な自白でなくても『不利益な事実の承認』があれば足りるからです。犯行を認めていなくても、現場近くにいた、相手と揉めていた、といった自分に不利な断片を認めただけで該当します。実務のポイント:取調官はあえて全面自白を取らず、外堀を埋める『不利益事実』だけを調書に固める手法を使うことがあります。だから『認めていないから大丈夫』という感覚は危険で、一文ごとに不利益性を吟味する必要があります
Q3法廷で自分が話したことも、証拠として争えるんですか?
争えます。322条2項は、公判準備や公判期日の供述を録取した書面ですら、任意になされたと認められて初めて証拠になると定めています。公開の法廷での発言にも任意性のフィルターがかかるのです。実務のポイント:弁護人がついていれば、被告人質問の前に『どこまで話すか』の戦略を必ず立てます。法廷だからと油断して喋りすぎると、その録取書面が後で不利に働く。発言の取捨選択そのものが弁護戦術の一部です
Q4黙秘していれば、調書なんて作られないですよね?
黙秘権(憲法38条1項)を行使しても、取調官が供述を録取しようとすること自体は起こりえます。ただ署名・押印を拒めば322条の形式要件を欠き、証拠能力は否定されやすくなります。実務のポイント:黙秘を貫いても、世間話のつもりで漏らした一言を調書化されるケースがあります。だから弁護士は『黙秘するなら徹底的に』と助言する。中途半端な黙秘が、最も危ういのです(最新の取調べ録音録画の運用状況もあわせてご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「サインしなければ調書は証拠にならない」と思われているが、それは半分しか正しくない。署名・押印は確かに要件だが、本当の戦場はその先の『任意性』にある。署名済みの調書でも、取調べの状況に問題があれば319条準用で排除される。逆に言えば、署名を拒んだだけで安心していると、別ルート(録音録画や他の証拠)で詰められることもある
- 「不利益な事実の承認」を、多くの人は『犯行を認める自白』と同じだと考えている。だが両者は別物だ。完全な自白でなくても、アリバイを崩す一言、動機をうかがわせる一言、それ自体は犯罪を認めていない断片でも『不利益事実の承認』になる。自白した覚えはないのに調書が証拠採用される、その落差が被告人を追い詰める
- あなたは「自分が法廷で話したことは全部そのまま証拠になる」と思っているかもしれないが、322条2項を見れば問いの立て方が違う。公判での供述を録取した書面ですら、任意になされたと認められて初めて証拠になる。法廷という公開の場の発言にすら、任意性のフィルターがかかっている。それほど任意性は刑事証拠法の根幹にある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる供述者 | 322条:被告人本人の供述書面 | 321条:被告人以外の者の供述書面 319条:被告人の自白(公判廷の自白も含む) |
| 主な証拠能力要件 | 署名・押印 + 不利益事実の承認 または 特信情況 | 供述不能・相反供述・特信情況など類型ごとの要件 任意性(強制・拷問・不当長期拘禁による自白は排除) |
| 任意性の扱い | 不利益事実の承認は319条を準用し任意性を要求 | 原則として任意性は明文要件でない 任意性そのものが中核要件 |
| 排除されるルート | 1項但書(任意性の疑い)/署名押印の欠缺 | 類型該当性・特信情況の不存在 任意性の欠如(自白排除法則) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も自白の任意性を証拠能力要件とし、強制・脅迫・不当な長時間訊問等による自白を排除する点で日本と共通する
韓国は検察官・司法警察官作成の被疑者尋問調書の証拠能力を厳格に制限し、近年は内容認定要件を強化。自白排除(309条)も併存する
ドイツは公判での直接主義を重視し、調書の朗読利用を限定。§ 136a は禁止尋問方法による供述を絶対的に証拠排除する
米国は告知義務違反や非任意の自白を排除。任意性に加え Miranda 警告の有無が証拠能力を左右する点が日本と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが参考人として呼ばれただけのつもりで取調室に入り、気づけば被疑者扱いされて供述調書に署名を求められたら、どうなるか。その調書に「自分に不利な一文」が含まれていれば、署名した瞬間に322条の証拠の入口を通る。署名を拒める権利があることを、その場で思い出せるかどうかで運命が変わる
- あなたが交通事故で相手を負傷させ、警察で「私の不注意でした」と認める調書に署名した。後日、相手にも過失があったと判明しても、あの調書は不利益事実の承認として法廷に出てくる。署名前に一語一語確認し、納得できない表現を直させていれば違った
- 黙秘していたのに、長時間の取調べで根負けして「もういいです、書いてください」とサインした被告人。弁護人はここで反撃に出る。深夜に及ぶ取調べ、休憩なし、誘導的な質問、これらが揃えば319条準用で任意性を争い、調書ごと証拠から叩き落とす
- あなたに残された時間は次の公判期日まで。検察官が請求してきた供述調書に対し、弁護人と「同意するか不同意か」を決めなければならない。安易に同意すれば、その内容は争えないまま証拠になる。この一回の意見表明が、後の全戦略を縛る
- 友人が「警察で調書にサインしちゃったんだけど、もう終わりかな」と相談してきた。あなたは答えられる。署名しても任意性に疑いがあれば排除されうること、署名の有無より状況が勝負であることを
取るべき行動
被害を受けた側:1. 加害者の供述調書を有罪立証に使いたい立場(被害者参加や告訴人)なら、まず検察官に対し、加害者が不利益事実を承認した調書の存在と任意性の担保(録音録画の有無)を確認する2. 取調べが適正に行われていれば、322条1項により不利益事実の承認として証拠請求できる3. 弁護側が任意性を争う構えを見せたら、検察官に取調べ状況の立証準備(取調官の証人尋問、録画再生)を促す4. 損害賠償は別途民事(民法709条)で進め、刑事の有罪認定を待たずに証拠保全を
訴えられた側:1. 取調べ段階では、署名前に調書を黙読し、事実と違う箇所・ニュアンスが強すぎる箇所を必ず訂正させる。納得できなければ署名しない権利がある2. すでに署名済みなら、取調べの時間・回数・休憩・誘導の有無・体調をできる限り記録し、弁護人に伝える3. 公判では、検察官請求の供述調書に安易に同意せず、不同意として319条準用による任意性の争いに持ち込むか弁護人と詰める4. 任意性を争うなら、取調べの録音録画(刑訴法301条の2対象事件)の開示請求が決定打になりうる
時効(請求できる期限):証拠能力に関する特定の時効はない。ただし攻防の時間的山場は公判の証拠調べ手続にある。検察官の証拠調べ請求に対し、被告側が証拠意見(同意・不同意・任意性の争い)を述べる時点が事実上のリミットで、ここで同意してしまうと内容の真実性を争えなくなる(刑訴法326条)。逮捕後の身柄拘束中(逮捕72時間+勾留最大20日)に作られる調書が後の攻防を左右するため、初動の弁護人接見が最重要
学説
通説:322条の供述書面は、署名・押印という形式要件に加え、不利益事実の承認については319条準用により任意性を実質要件として要求する。虚偽自白による冤罪防止の観点から、任意性審査は形式要件と独立に厳格に行うべきとされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の制定により、伝聞法則の例外として被告人の供述書面の証拠能力を規定。米英法の当事者主義と憲法38条の趣旨を反映し、不利益事実の承認に319条の自白排除法則を準用する構造とした。
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