刑事訴訟法 第98条の11
クイックジャンプ
監督者が選任されている場合において、第九十六条第一項(第一号、第二号及び第五号(第九十五条の四第二項の規定による出頭をしなかつたことにより適用される場合に限る。)に係る部分に限る。)の規定により保釈又は勾留の執行停止を取り消すときは、裁判所は、決定で、監督保証金の全部又は一部を没取することができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第98条の11は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第98条の11の条文原文は「監督者が選任されている場合において、第九十六条第一項(第一号、第二号及び第五号(第九十五条の四第二項の規定による出頭をしなかつたことにより適用される場合に限る。」で始まります。
- 刑事訴訟法第98条の11は第八章 被告人の召喚、勾引及び勾留に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第98条の11の前の条は刑事訴訟法第98条の10です。
- 刑事訴訟法第98条の11の次の条は刑事訴訟法第99条です。
- 刑事訴訟法第98条の11には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第98条の11 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第98条の11(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/98_11
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法98条の11は、監督者が付いた事件で第96条1項1号・2号・5号により保釈が取り消されたとき、裁判所が監督保証金の全部または一部を没取できると定める。
Q · 保釈の監督者を引き受けると、被告人が逃げたとき自分のお金が没取されるの?
はい、監督保証金の全部または一部が没取されることがあります
刑事訴訟法98条の11により、監督者が選任された事件で、被告人の逃亡(96条1項1号)、逃亡・証拠隠滅のおそれ(同2号)、出頭命令違反(同5号、95条の4第2項関係)を理由に保釈や勾留執行停止が取り消されると、裁判所は決定で監督保証金の全部または一部を没取できます。被告人本人の保釈保証金とは別枠で、監督者自身のお金が消えます。ただし「全部又は一部」「できる」の裁量規定であり、監督義務を誠実に果たしていれば減免の余地があります。
解説
友人や親族が逮捕され、保釈の話になったとき、「監督者になってくれないか」と頼まれることがある。2023年(令和5年)の刑事訴訟法改正で生まれた新しい制度だ。昔の「身元引受人」は紙にサインするだけの形式的な役割だったが、監督者は違う。あなたは監督保証金(裁判所に預ける担保金)を納め、被告人の所在を裁判所に報告する義務を負う。本条が定めるのは、その先にある落とし穴だ。被告人が逃げた、逃げる恐れが生じた(96条1項1号)、証拠隠滅の疑いが出た(同2号)、出頭命令に従わなかった(同5号、95条の4第2項関係)。このいずれかで保釈や勾留執行停止が取り消されると、裁判所はあなたの監督保証金を全部または一部、没取(取り上げて国庫に納める)できる。被告人本人の保釈保証金とは別に、あなたのお金が消える。軽い気持ちで引き受けると、数百万円が飛ぶ。
法的な位置づけ
刑事訴訟法98条の11は、監督者が選任された事件において、第96条1項1号・2号・5号に基づき保釈または勾留の執行停止が取り消された場合に、裁判所が決定で監督保証金の全部または一部を没取できる旨を定める裁量規定である。2023年改正で新設された監督者制度に伴う担保金没取の根拠条文であり、保釈中の逃亡を経済的圧力で抑止する機能を持つ。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.返事の前に保証金額と没取条件を弁護人に確認 監督者を頼まれたら即答せず、裁判所が提示する監督保証金の額と、自分が負う没取リスク(96条1項のどの事由か)を弁護人に確認する。引き受けた後では条件交渉の余地はほぼない
- 2.負担が重ければ引き受けを断る判断 保証金額が自分の資力に対して過大、または被告人の所在管理に自信が持てない場合は、引き受けを断る。監督者は義務ではなく、安易な安請け合いが数百万円の没取につながる
- 3.就任後は所在報告義務を継続的に履行 監督者に就任したら、被告人の所在を継続的に把握し、裁判所への報告義務を怠らない。報告の記録(書面・連絡履歴)を必ず残す。これが後の没取手続で減免の証拠になる
- 4.被告人に異変があれば直ちに裁判所へ報告 連絡が取りにくい、所在が曖昧など逃亡の兆候を感じたら、逃亡が現実化する前に裁判所へ報告する。報告記録が残っていれば、監督義務を果たした証拠となり没取額の減免につながる
- 5.没取手続が始まったら取消事由と裁量を争う 没取手続が開始したら、取消理由が96条1項1号・2号・5号に該当するか確認し、該当しなければ対象外と主張。該当する場合も監督義務履行の記録を提出し、『全部又は一部』の裁量を踏まえ減免を求める。即時抗告の期間も即確認
よくある質問 AI による整理
Q1監督者制度とは何ですか?
2023年改正で新設された、保釈中の被告人の所在を把握し裁判所に報告させる制度です。従来の形式的な身元引受人と異なり、監督者は監督保証金を納め、所在報告義務を負います。
Q2監督保証金はいくらですか?
法定額はなく、裁判所が事件や監督者・被告人の資力を考慮して個別に定めます。監督者が資産家とみられると高額になりやすく、数十万円から数百万円規模になることもあります。
Q3監督者と身元引受人の違いは何ですか?
身元引受人は紙にサインする形式的役割でしたが、監督者は監督保証金の納付と所在報告義務を負い、義務違反や被告人の逃亡で保証金を没取されるという実質的な責任を負います。
Q4監督者を頼まれたら断れますか?
断れます。監督者は義務ではなく、引き受けるかは本人の自由です。没取リスクや保証金額を確認したうえで、負担が重ければ断る判断も合理的な選択です。
Q5監督保証金が没取される条件は何ですか?
保釈・勾留執行停止の取消し理由が、被告人の逃亡(96条1項1号)、逃亡・証拠隠滅のおそれ(2号)、出頭命令違反(5号)のいずれかである場合です。病気での不出頭等はこれに当たりません。
Q6監督者制度はいつできたのですか?
2023年(令和5年)の刑事訴訟法改正で新設されました。2018年のカルロス・ゴーン元会長の国外逃亡事件などを契機に、保釈中の逃亡防止策として導入されました。
Q7監督保証金は事件が終われば返ってきますか?
没取事由が生じなければ、監督が終了した時点で返還されます。被告人が条件を守り無事に手続が進めば、納めた監督保証金は監督者に戻ります。
Q8監督義務を果たしていれば没取を避けられますか?
本条は『全部又は一部』を『没取することができる』とする裁量規定です。所在報告など監督義務を誠実に果たした記録があれば、一部没取や没取なしを主張できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1友人に頼まれて監督者になるんですが、本当に自分のお金が取られることがあるんですか?
あります。被告人が逃亡したり(96条1項1号)、出頭命令に従わなかったり(同5号、95条の4第2項関係)して保釈が取り消されると、裁判所はあなたの監督保証金を本条により没取できます。被告人本人の保証金とは別枠です。実務のポイント:監督保証金の額は裁判所が監督者の資力も見て決めるので、あなたが資産家だと高額になりがち。引き受ける前に「いくら預けるのか」を必ず確認し、額が重すぎるなら断る判断も要る
Q2保釈が取り消されたら、監督者は必ず全額没取されるんですか?
いいえ。本条は「監督保証金の全部又は一部を没取することができる」と定める裁量規定です。所在報告などの監督義務を誠実に果たしていたと示せれば、一部没取や没取なしの余地があります。また取消しの理由が1号・2号・5号以外なら、そもそも本条の没取対象外です。実務のポイント:没取を争う鍵は『監督義務を果たした記録』。被告人の異変に気づいたら即座に裁判所へ報告し、その記録を残すこと。後でその記録が没取減免の決め手になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「身元引受人なんて形式的な役割」と思っているなら危険だ。2023年改正後の監督者は被告人の所在報告義務を負い、義務を怠れば監督保証金を失う。サインだけで終わる時代は終わった
- 監督保証金が没取されうることは知っていても、その金額の重さを理解していない人が多い。裁判所は被告人の資力だけでなく監督者であるあなたの資力も見て額を定める。あなたが裕福だと見られれば保証金も高くなり、失う額も大きくなる
- 「保釈が取り消されたら必ず全額没取される」という前提自体が誤っている。本条は「全部又は一部」「没取することができる」と定める裁量規定だ。あなたが監督義務を誠実に果たしていたと示せれば、一部没取や没取なしもありうる。問いは『没取されるか』ではなく『いくら、なぜ没取されるか』だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 没取される金銭 | 98条の11:監督者が納めた監督保証金 | 96条:被告人本人の保釈保証金 93条:保証金額の決定・納付(没取の前提となる原資) |
| 負担者 | 監督者(第三者) | 被告人本人 被告人または保証金を納めた者 |
| 発動の前提 | 監督者選任 + 96条1項1号・2号・5号による取消し | 96条所定の取消事由全般 保釈許可・保証金納付 |
| 没取の性質 | 全部又は一部を没取『できる』裁量規定 | 全部又は一部を没取『できる』裁量規定 —(没取規定ではなく納付規定) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は具保(保証金)を立てた被告人が逃亡等した場合に保証金を没入する。監督者という第三者の保証金没取に特化した規定ではない点で日本の新制度と異なる
韓国は保釈条件違反等の場合に保証金等を没取できる。第三者が納めた保証金の没取も含むが、日本のような独立した監督者制度は持たない
ドイツは被告人が逃亡等した場合に納められた担保(Sicherheit)が失効・没取される。第三者が担保を提供した場合も及ぶが、所在報告義務を伴う監督者制度ではない
米国は保釈条件違反時に保証金(bail bond)が没収され、保証人(surety)が責任を負う保釈保証ビジネスが発達している。日本の監督者制度は逃亡防止目的の公的監督に重心がある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 弟が起訴され、「監督者になってくれ」と泣きつかれた。あなたは監督保証金300万円を納めて引き受ける。半年後、弟が出頭日に現れず逃げた。裁判所はあなたの300万円を没取できる。弟のためのつもりが、あなたの老後資金が消える
- もし、あなたが監督者になっている被告人が、ある朝突然連絡を絶ったらどうなる? 取るべき行動は一つ、すぐ裁判所に報告することだ。報告を怠れば監督義務違反として、後の没取の判断であなたに不利に働く。猶予は数時間単位だと思った方がいい
- 保釈が取り消されても、取消しの理由が病気での出廷不能など1号・2号・5号以外なら、あなたの監督保証金は没取の対象外だ。取消し=即没取ではない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 監督保証金の没取手続が始まったら、保釈取消しの理由が96条1項1号・2号・5号(95条の4第2項関係)のいずれかに該当するか確認、該当しなければ本条による没取の対象外だ2. 該当する場合でも、所在報告など監督義務を誠実に果たしていた証拠(裁判所への報告記録、被告人との連絡履歴)を提出し、没取額の減免を求める3. 本条は「全部又は一部」の裁量没取なので、全額没取が当然ではないと主張する4. 没取決定が出たら不服申立て(即時抗告)の期間を弁護人と即確認する
訴えられた側:被告人の立場なら、あなたの逃亡や出頭拒否は、自分の保釈保証金だけでなく、あなたを信じて監督者になってくれた人の監督保証金まで奪う。1. 出頭日と保釈条件を厳守し、監督者に所在を正直に伝える2. やむを得ず出頭できない事情(病気等)が生じたら、事前に弁護人を通じて裁判所へ届け出る、無断欠席が最悪の選択だ3. 条件変更が必要なら正式に申立て、自己判断で動かない
時効(請求できる期限):監督保証金の没取は、保釈・勾留執行停止の取消しに伴い裁判所の決定で行われる。決定への不服申立て(即時抗告)には短い法定期間があるため(数日以内、最新の規定をご確認ください)、決定を受けたら直ちに弁護人に相談すること。特定の消滅時効はない
改正沿革 AI による整理
- 令和5年(2023年)新設 カルロス・ゴーン元会長の国外逃亡事件等を契機とする刑事訴訟法改正で新設。保釈中の逃亡を防ぐ監督者制度の一環として、監督者が選任された事件で一定の取消事由により保釈等が取り消された場合の監督保証金没取を定めた。施行は段階的であり、最新の施行状況をご確認ください
改正の年表
- 1.令和5年(2023年) 新設:カルロス・ゴーン元会長の国外逃亡事件等を契機とする刑事訴訟法改正で、保釈中の逃亡を防ぐ監督者制度の一環として新設。監督者が選任された事件で96条1項1号・2号・5号による取消しがあった場合の監督保証金没取を定めた。施行は段階的であり、最新の施行状況をご確認ください
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める