刑事訴訟法 第60条
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- 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
- 一被告人が定まつた住居を有しないとき。
- 二被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
- 三被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
- 2.勾留の期間は、公訴の提起があつた日から二箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、一箇月ごとにこれを更新することができる。但し、第八十九条第一号、第三号、第四号又は第六号にあたる場合を除いては、更新は、一回に限るものとする。
- 3.三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)及び経済関係罰則の整備に関する法律(昭和十九年法律第四号)の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる事件については、被告人が定まつた住居を有しない場合に限り、第一項の規定を適用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第60条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第60条の条文原文は「裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。」で始まります。
- 刑事訴訟法第60条は第八章 被告人の召喚、勾引及び勾留に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第60条の前の条は刑事訴訟法第59条です。
- 刑事訴訟法第60条の次の条は刑事訴訟法第61条です。
- 刑事訴訟法第60条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第60条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第60条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/60
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法60条は、罪を犯した相当な理由に加え、住居不定・罪証隠滅・逃亡のおそれの三要件のいずれかがある場合に限り勾留を認める。起訴後の勾留は二箇月で更新可能。
Q · 逮捕の72時間が過ぎたあと、最大何か月も拘束される根拠は何条ですか?
住居・罪証隠滅・逃亡の三要件のどれにも当たらなければ崩せる
刑事訴訟法60条により、勾留が認められるのは、罪を犯した相当な理由に加えて、定まった住居がない、罪証を隠滅するおそれがある、逃亡のおそれがある、という三つの要件のいずれかが揃ったときだけです。逆にこの三つのどれにも当たらないと示せれば勾留は崩せます。起訴後の勾留期間は二箇月で、一箇月ごとに更新可能。捜査段階の被疑者勾留にも207条を通じて準用されます。最も激しく争われるのが二号の罪証隠滅のおそれです。
解説
逮捕されてから72時間、ここまでは多くの人が知っている。だがその先、あなたの身柄を最大何か月も社会から切り離す本当の根拠が、この60条にある。裁判所が勾留できるのは、罪を犯したと疑う相当な理由に加えて、三つのうち一つが揃ったときだけだ。住居が定まっていない、証拠を隠すおそれがある、逃げるおそれがある。逆に言えば、この三つのどれにも当たらないと示せれば、勾留は崩せる。日本の刑事実務で最も激しく争われるのが二号の罪証隠滅のおそれで、検察はここを広く主張し、弁護人はここを潰しにいく。さらにこの条文は被告人だけでなく、起訴前の被疑者にも207条を通じて準用される。あなたが取調室で署名を迫られる圧力の正体は、この一条が握る身柄拘束の長さなのだ。
法的な位置づけ
刑事訴訟法60条は勾留の要件を定める規定であり、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由に加え、定まった住居を有しないこと、罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること、逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があることのいずれかに該当する場合に、裁判所が勾留を許す旨を規定する。起訴後の勾留期間および更新の限度も同条が定める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.逮捕されたらまず弁護人を呼び黙秘権を行使 当番弁護士または私選弁護人を呼ぶ。取調べでは黙秘権を行使し、署名・押印を迫られても応じない。勾留請求までの数時間が分水嶺になる
- 2.勾留請求前に住居・身元引受の資料を提出 弁護人を通じて、定まった住居・在職証明・家族の身元引受上申書を勾留請求の前に準備し、一号(住居不定)と三号(逃亡のおそれ)を先回りして潰す
- 3.勾留決定が出たら準抗告で争う 勾留決定に納得できなければ、刑訴429条の準抗告を申し立て、別の裁判体に勾留の当否を争わせる。罪証隠滅のおそれの否定(主要証拠は押収済み等)を具体的に主張する
- 4.勾留理由開示を請求し根拠を公開法廷で明らかにさせる 準抗告で崩せない場合、刑訴82条の勾留理由開示を請求し、裁判官に勾留の理由を公開法廷で述べさせる。露わになった弱い理由が後の保釈の突破口になる
- 5.起訴されたら即日保釈請求 被告人勾留に切り替わった瞬間に保釈の道が開く(89条)。検察の意見を待たず即日請求し、罪証隠滅のおそれを否定する誓約書と身元引受を添える
よくある質問 AI による整理
Q1勾留とは何ですか?
裁判官が決める長期の身柄拘束です。刑事訴訟法60条が要件を定め、罪を犯した相当な理由に加えて住居不定・罪証隠滅・逃亡のおそれの三要件のいずれかが必要です。
Q2勾留の期間はどれくらいですか?
起訴後の被告人勾留は公訴提起の日から二箇月、一箇月ごとに更新できます(60条2項)。捜査段階の被疑者勾留は原則10日、延長で最大10日です(208条)。
Q3罪証隠滅のおそれとは何ですか?
証拠を隠す、関係者と口裏を合わせる危険を指します。60条1項二号の要件で、否認事件で最も広く争われ、保釈却下の根拠にも連動します。
Q4住居不定だと必ず勾留されますか?
住居不定は一号の要件の一つですが、それだけで自動的に勾留されるわけではありません。引っ越し直後で住民票未移転でも、在職証明等で安定を示せます。
Q5勾留と保釈の違いは何ですか?
勾留は身柄を拘束する処分、保釈はその拘束を保証金で一時的に解く制度です。保釈(89条)が使えるのは起訴後の被告人勾留からで、被疑者段階では使えません。
Q6準抗告とは何ですか?
勾留決定そのものを別の裁判体に争い直す不服申立てです(刑訴429条)。判決を待たず、その場で勾留の当否を争う手段になります。
Q7勾留理由開示請求とは何ですか?
公開の法廷で裁判官に勾留の理由を述べさせる手続です(刑訴82条)。検察と裁判所がどの要件を根拠にしているかを明らかにさせ、後の準抗告や保釈の突破口になります。
Q8被疑者勾留は何日までですか?
原則10日、やむを得ない事由があれば最大10日延長され、合計20日が上限です(刑訴208条)。この期間内に検察官が起訴するか判断します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1逮捕と勾留って何が違うんですか?
逮捕は警察が最初に身柄を押さえる最大72時間の措置、勾留はその後に裁判官が決める長期の拘束です。被疑者段階の勾留は原則10日、延長でさらに10日(刑訴207条・208条)。起訴されると被告人勾留に切り替わり、60条2項で2か月単位になります。実務のポイント:逮捕段階では保釈はできません。保釈(89条)が使えるのは起訴後の被告人勾留からです。だから弁護人は起訴された当日に保釈請求を出す。一日早く動くかどうかで解放が数週間ずれる
Q2やってないのに、なんで否認したら勾留が長くなるんですか?
否認すると検察が「関係者と口裏を合わせる」「証拠を隠す」と主張しやすく、60条1項二号の罪証隠滅のおそれが認められやすくなるからです。これが保釈却下にも連動します。実務のポイント:この構造が人質司法と呼ばれる問題で、自白すれば早く出られるという圧力が無実の人の虚偽自白を生む。弁護人は二号を潰すため、主要証拠は既に押収済みで隠滅の余地がないこと、関係者に接触しない誓約書を早期に出す。動きの速さで結果が変わる
Q3勾留に納得できないとき、本人や家族は何ができますか?
二つあります。一つは準抗告(刑訴429条)で勾留決定そのものを別の裁判体に争う方法、もう一つは勾留理由開示請求(82条)で、公開の法廷で裁判官に勾留の理由を述べさせる方法です。実務のポイント:勾留理由開示は釈放に直結しないと軽視されがちですが、検察と裁判所がどの要件を根拠にしているかを公の場で明らかにさせる効果がある。そこで露わになった弱い理由が、後の準抗告や保釈請求の突破口になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「証拠もあるのに釈放されるわけがない」と思われがちだが、勾留は有罪認定ではない。罪を犯した疑いがどれだけ濃くても、住居があり、証拠隠滅も逃亡もしないと示せれば、勾留は認められない。有罪らしさと勾留の要件は、法律上まったく別の判断だ
- 「否認すると勾留が長引く」とは聞くが、その仕組みの深刻さを多くの人は知らない。否認は二号の罪証隠滅のおそれに直結し、保釈も却下されやすくなる。自白すれば早く出られるという構造が、無実の人にまで虚偽の自白を迫る圧力になる。これがいわゆる人質司法だ
- 「勾留に納得いかないなら本案の裁判で争えばいい」と考える人がいるが、問いの立て方がずれている。勾留の当否は判決を待たず、準抗告(刑訴429条)や勾留理由開示(82条)でその場で争うべきものだ。判決まで待っていたら、争う意味のある拘束期間はとうに過ぎている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 誰が・いつの拘束か | 60条:裁判所による勾留の要件(被告人。207条で被疑者にも準用) | 61条:勾留質問(勾留前に弁解の機会を与える手続) 207条:被疑者勾留への準用(捜査段階で60条を適用) |
| 拘束を争う・解く手段 | 60条:勾留の根拠要件そのもの | 82条:勾留理由開示(公開法廷で理由を述べさせる) 88条:保釈の請求(起訴後の被告人勾留から) |
| 解放・更新のルール | 60条2項:勾留二箇月、一箇月ごと更新(原則一回限り) | 89条:権利保釈の事由(除外事由が更新制限にも連動) 207条・208条:被疑者勾留は原則10日+延長10日 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も逃亡・証拠隠滅・重罪を羈押事由とし、要件を限定列挙する点で日本と構造が近い
韓国も住居不定・証拠隠滅・逃亡のおそれを구속事由とする。日本法の影響を受けつつ戦後修正された
ドイツは Haftgründe(勾留事由)として逃亡・逃亡のおそれ・証拠隠滅のおそれを規定し、加えて比例原則による必要性審査を明文で要求する
米国は保釈が原則で、逃亡や社会への危険性が認められる場合に限り未決勾留を許す。保釈優先の建付けが日本と対照的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが痴漢を疑われて逮捕された。否認すれば「関係者と口裏を合わせる」とされ、二号の罪証隠滅のおそれで勾留される確率が跳ね上がる。あと数時間で検察官が勾留請求するか決める。住居と身元引受の資料を弁護人に届けられるかが分水嶺だ
- もし家族が逮捕され、住所はちゃんとあるのに勾留されたら、根拠は何号だと思うか。多くは二号の罪証隠滅か三号の逃亡のおそれ。共犯や被害者に接触する危険があると見なされ、否認しているだけで該当しやすくなる
- 経済事件で会社の社長が逮捕され、長期勾留で意思決定が止まり資金繰りが回らなくなる。本人の自由だけでなく、従業員の給料も取引先の信用も、勾留がいつ解けるかにかかっている
- 引っ越したばかりで住民票をまだ移していないあなたが、軽微な容疑で逮捕された。それだけで一号の「住居不定」を主張され、本来なら在宅で済む事件でも勾留に持ち込まれることがある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 加害者から接触や報復のおそれがあるなら、その事実を具体的に捜査機関へ伝える、これが二号(罪証隠滅)三号(逃亡)の疎明材料になる2. 被害者支援の窓口や弁護士を通じて、勾留や保釈に対する意見を述べる機会を活用する3. 保釈が認められそうな場合でも、接触禁止などの条件の必要性を具体的に主張し、安全を確保する
訴えられた側:1. 逮捕されたらまず当番弁護士または私選弁護人を呼び、黙秘権を行使する2. 弁護人を通じて、定まった住居・在職証明・身元引受人の上申書を勾留請求の前に準備し、一号と三号を潰す3. 勾留決定が出たら準抗告(刑訴429条)、それでも納得できなければ勾留理由開示(82条)を請求4. 起訴されたら即日保釈請求(88・89条)、二号の罪証隠滅のおそれを否定する誓約書と身元引受を添える
時効(請求できる期限):被疑者勾留は原則10日、やむを得ない事由があれば最大10日延長(刑訴208条)。起訴後の被告人勾留は公訴提起の日から2か月、特に継続の必要があれば1か月ごとに更新(原則1回限り、89条1・3・4・6号該当時を除く、60条2項)。準抗告・勾留理由開示請求に期間の明文制限はないが、拘束が続く以上速やかに動くべき
学説
通説:60条の三要件は限定列挙であり、勾留には要件該当性に加えて「勾留の必要性」(拘束しなければ手続が確保できない程度の危険)が必要とされる。二号の罪証隠滅のおそれは抽象的可能性では足りず、具体的な隠滅行為の現実的危険を要するというのが有力な理解である。
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