刑事訴訟法 第89条
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- 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
- 一被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。
- 二被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える拘禁刑に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
- 三被告人が常習として長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したものであるとき。
- 四被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
- 五被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
- 六被告人の氏名又は住居が分からないとき。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第89条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第89条の条文原文は「保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第89条は第八章 被告人の召喚、勾引及び勾留に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第89条の前の条は刑事訴訟法第88条です。
- 刑事訴訟法第89条の次の条は刑事訴訟法第90条です。
- 刑事訴訟法第89条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第89条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第89条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/89
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法89条は権利保釈を定め、六つの除外事由に当たらない限り裁判所は保釈を許さなければならない。保釈は起訴後にのみ請求でき、勾留段階には存在しない。
Q · 保釈ってお金さえ用意すれば出られるんですか?
原則として許可されるが、六つの除外事由に当たると却下される
刑事訴訟法89条は権利保釈を定め、保釈請求があれば原則として「許さなければならない」とします。裁判所に拒む裁量はありません。ただし重い罪、重い前科、常習、罪証隠滅のおそれ、被害者・証人への威迫のおそれ、氏名住居不明という六つの除外事由のいずれかに当たると却下されます。実務で最も使われるのが四号の罪証隠滅のおそれです。また保釈は起訴後にしか請求できず、逮捕・勾留段階には保釈制度そのものが存在しません(207条但書)。
解説
保釈と聞くと、お金さえ積めば出られる制度だと思っていないか。違う。刑事訴訟法89条は「保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない」と定める。原則は「許さなければならない」であり、裁判官に拒む裁量はない。これが権利保釈だ。ただし扉を閉じる除外事由が六つある。重い罪、重い前科、常習、罪証隠滅のおそれ、被害者や証人への威迫のおそれ、氏名住居不明。このうち実務で却下理由に最も使われるのが四号「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」である。そして見落としてはならない決定的事実がある。保釈は起訴された後にしか請求できない。逮捕され勾留されている段階では、どれだけ保証金を積んでも保釈という制度そのものが存在しない。あなたの家族が逮捕された直後に「保釈金を用意すれば出られる」と思っているなら、その前提自体が崩れている。
法的な位置づけ
刑事訴訟法89条は権利保釈を定める規定であり、保釈請求に対し、法定の六つの除外事由に該当しない限り、裁判所はこれを許可しなければならない旨を規定する。重い罪、重い前科、常習性、罪証隠滅のおそれ、被害者・証人への威迫のおそれ、氏名住居不明が除外事由とされ、起訴後の被告人にのみ適用される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.起訴の事実を確認し、起訴後すぐ動く準備をする まず本人が起訴されたかを確認する。起訴前は保釈が存在しないため、起訴前のうちに弁護人と保証金・身元引受人・罪証隠滅のおそれを打ち消す計画を整え、起訴当日に保釈請求を出せる体制を作る
- 2.保釈請求書を提出する 弁護人を通じて第一審または控訴審の係属裁判所に保釈請求書を提出する(89条、88条)。六つの除外事由に当たらないことを具体的に主張する
- 3.四号の罪証隠滅のおそれを消す材料を積み上げる 関係証拠がすでに押収済みで物理的に手を出せない事実、被害者・証人と接触しない誓約、被害弁償の完了、パスポート提出などを具体的に書き込む。否認したまま保釈を勝ち取れるかはここで決まる
- 4.却下されたら裁量保釈・抗告に切り替える 89条で却下されても90条の裁量保釈という別の扉がある。却下決定には抗告・準抗告で上級審に争える(420条以下)。証人尋問終了後など事情が変わった段階で再請求するのも有効
よくある質問 AI による整理
Q1権利保釈とは何ですか?
刑事訴訟法89条が定める制度で、保釈請求があれば六つの除外事由に当たらない限り裁判所が必ず許可しなければならない保釈をいいます。裁判官に拒む裁量はありません。
Q2保釈はいつから請求できますか?
起訴された後です。逮捕・勾留の段階には保釈制度そのものが存在しません(207条但書)。起訴前にできるのは準抗告や勾留理由開示で、保釈ではありません。
Q3罪証隠滅のおそれとは何ですか?
89条4号の除外事由で、被告人が証拠を隠したり証人に働きかけたりすると疑うに足りる相当な理由を指します。否認事件で最も問題となる事由です。
Q4権利保釈と裁量保釈の違いは何ですか?
権利保釈(89条)は原則許可で裁判所に裁量がありません。裁量保釈(90条)は除外事由に当たる場合でも裁判所の判断で許可できる別の扉です。
Q5保釈の除外事由はいくつありますか?
六つです。重い罪、重い前科、常習、罪証隠滅のおそれ、被害者・証人への威迫のおそれ、氏名住居不明。いずれかに当たると権利保釈は認められません。
Q6起訴前に保釈はできますか?
できません。保釈は起訴後の制度であり、逮捕・勾留中はいくら保証金を用意しても保釈という枠組み自体が存在しません(207条但書)。
Q7保釈は誰が請求できますか?
被告人本人のほか、弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹が請求できます(刑事訴訟法88条)。
Q8拘禁刑と懲役は何が違いますか?
2025年6月施行の改正で懲役と禁錮が拘禁刑に一本化されました。89条の刑種表記もこれに合わせて拘禁刑に改められています。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保釈金っていくらかかるんですか?
金額を決めるのは89条ではなく93条で、犯罪の性質・証拠・被告人の資産などから裁判所が定めます。相場は150万円から、事件によっては数千万円になることもあります。実務のポイント:保釈金は逃亡や条件違反がなければ判決後に全額戻ってきます。手元になくても、日本保釈支援協会などが立て替える制度があり、これを使えば一時金が用意できなくても保釈を諦めずに済む。弁護人がこの制度を案内するかどうかは人による
Q2やってないのに、認めないと出してもらえないって本当ですか?
残念ながら現実にそういう運用があります。否認すると89条4号の罪証隠滅のおそれを認定されやすく、これが人質司法と批判される構造です。ただし90条の裁量保釈や抗告で争う道は残っています。実務のポイント:否認を貫いたまま保釈を勝ち取る鍵は、隠滅すべき証拠がすでに押収済みで物理的に手を出せない状態を、具体的に裏づけて主張すること。認めれば早く出られても、虚偽自白という別の地獄が待っている
Q3保釈が却下されたら、もう打つ手なしですか?
いいえ。却下決定には抗告・準抗告で上級審に不服を申し立てられます(刑事訴訟法420条、429条)。事情が変われば再請求も可能です。実務のポイント:第一審で却下されても、証人尋問が終わって罪証隠滅のおそれが実際に減った段階で再請求すると通ることがあります。一度の却下で終わりではなく、手続の進み具合に合わせてタイミングを変え、何度でも請求できる。粘った被告人が結局保釈されるケースは少なくない
間違えやすい点 AI による整理
- 「保釈はお金を積めば出られる」と思われているが、89条は金額の話を一切していない。まず六つの除外事由に当たらないことが前提で、保証金額を決めるのは別の条文(93条)だ。いくら積んでも、四号の罪証隠滅のおそれが消えなければ扉は開かない
- 「逮捕されたらすぐ保釈を請求できる」という問いそのものが間違っている。保釈は起訴後の制度であり、逮捕・勾留の段階には存在しない(207条但書)。起訴前にできるのは準抗告や勾留理由開示であって、保釈ではない。問いの立て方を直さないと、動くべきタイミングを丸ごと逃す
- あなたから見れば「無実だから黙秘し、否認する」のは当然の防御だ。だが検察官や裁判所から見れば、否認や黙秘は「罪証隠滅のおそれ」を推認させる徴表になりうる。この視点の落差が、闘おうとする被告人ほど長く勾留される人質司法の正体である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 裁判所の裁量 | 89条 権利保釈:原則許可で拒む裁量なし | 90条 裁量保釈:除外事由でも裁判所が判断で許可可能 60条 勾留:要件を満たせば勾留できる |
| 適用の前提 | 起訴後・六つの除外事由に当たらないこと | 起訴後・89条の除外事由に当たる場合の救済 罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由 + 住居不定等 |
| 否認事件での効き方 | 四号の罪証隠滅のおそれで却下されやすい | 拘束の不利益等を総合考慮して救済の余地 罪証隠滅・逃亡のおそれが勾留継続の根拠になる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は保証金で羈押の停止を求める構造。逃亡・証拠隠滅・重罪が羈押の継続事由となる点で日本の除外事由と発想が近い
韓国も必要的保釈(권리보석)を定め、一定の除外事由を列挙する点で日本89条と類似する
ドイツは勾留状の執行停止という構造をとり、逃亡・罪証隠滅のおそれが除去できる条件下で釈放を認める
米国は条件付き釈放を原則とし、逃亡や危険性が高い場合に予防拘禁を認める。保釈金制度の運用に州ごとの差が大きい
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 家族が起訴されて勾留中、弁護人が保釈請求を出したのに「罪証隠滅のおそれ」を理由に却下された。本人が無実を訴えて否認しているからだ。だが諦める必要はない。四号の壁を消す材料を積み上げ、それでも駄目なら90条の裁量保釈に切り替える二段構えが残っている
- もし、あなたが痴漢の冤罪で逮捕され、やっていないと言い張ったらどうなるか。認めれば保釈が下りやすく、否認すれば罪証隠滅のおそれありとして勾留が続く。この「認めるまで出さない」構造が、世に言う人質司法だ
- あなたが会社の経理を任されていて業務上横領で起訴された。前科はなく逃げる気もない。だが共犯や帳簿の証拠に手を触れられる立場にいると見られれば、四号で保釈は遠のく。立場そのものが壁になる
- 逮捕された知人の家族から、明日にでも保釈金を貸してほしいと電話が来た。まだ起訴されていない。この段階では保釈は存在しない。あなたが貸すべきは金ではなく、起訴後すぐ動ける弁護人の情報だ
- 起訴された当日、保証金200万円と身元引受人を即日そろえて保釈請求を出した被告人と、何の準備もないまま勾留を続けた被告人。同じ罪でも、娑婆に戻るまでの日数が数週間単位で変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 加害者が起訴され保釈を請求すると、検察官を通じてあなたの意見を聞かれることがある。報復や接触の不安があれば、過去の威迫や住所を知られている事実など具体的根拠を検察官と被害者支援窓口に伝える2. 89条5号は、あなたや親族への加害・畏怖行為のおそれを保釈の除外事由とする。不安の根拠を具体的に示せば、却下や条件付加につながる3. 保釈が許される場合でも、接近禁止などの条件(93条)を付すよう求められる
訴えられた側:1. 起訴されたら直ちに弁護人を通じて保釈を請求(89条、88条)。起訴前は保釈がないので、勾留段階では準抗告や勾留理由開示で争う2. 四号の罪証隠滅のおそれを消す材料を揃える。身元引受人、被害弁償、証人や被害者に接触しない誓約、パスポートの提出3. 89条の除外事由に当たっても諦めない、90条の裁量保釈という別の扉がある4. 却下されたら抗告(刑事訴訟法420条以下)で上級審に争える
時効(請求できる期限):保釈請求は起訴後、第一審・控訴審の公判係属中はいつでも可能(刑事訴訟法88条)。起訴前の逮捕・勾留段階には保釈制度そのものが存在しない(207条但書)。勾留期間は原則2か月、以後1か月ごとに更新される(刑事訴訟法60条2項)。却下決定への準抗告・抗告は速やかに行う(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:89条は無罪推定下の被告人の身体の自由を原則とする権利保釈規定であり、除外事由は限定列挙と解される。四号の罪証隠滅のおそれは現実的・具体的可能性を要し、否認の一事で認定すべきでないとするのが多数の理解である。
改正沿革 AI による整理
- 平成28年(2016年)改正 証人等への威迫行為のおそれを新たな除外事由として5号に追加し、従来の氏名・住居不明を6号に繰り下げた。証人保護を強化する改正
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 懲役・禁錮を拘禁刑に統合する刑法改正に伴い、本条の刑種表記が「拘禁刑」に改められた
改正の年表
- 1.平成28年(2016年) 改正:証人等への威迫行為のおそれを新たな除外事由として5号に追加し、従来の氏名・住居不明を6号に繰り下げた。証人保護を強化する改正
- 2.令和4年(2022年)公布・令和7年(2025年6月1日)施行 改正:懲役・禁錮を拘禁刑に統合する刑法改正に伴い、本条の刑種表記が拘禁刑に改められた
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