刑事訴訟法 第98条の3
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保釈又は勾留の執行停止を取り消され、検察官から出頭を命ぜられた被告人が、正当な理由がなく、指定された日時及び場所に出頭しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第98条の3は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第98条の3の条文原文は「保釈又は勾留の執行停止を取り消され、検察官から出頭を命ぜられた被告人が、正当な理由がなく、指定された日時及び場所に出頭しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。」で始まります。
- 刑事訴訟法第98条の3は第八章 被告人の召喚、勾引及び勾留に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第98条の3の前の条は刑事訴訟法第98条の2です。
- 刑事訴訟法第98条の3の次の条は刑事訴訟法第98条の4です。
- 刑事訴訟法第98条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第98条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第98条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/98_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法98条の3は、保釈や勾留の執行停止を取り消され検察官から出頭を命じられた被告人が、正当な理由なく指定の日時・場所に出頭しない場合、2年以下の拘禁刑に処すと定める。
Q · 保釈を取り消されて出頭命令が来たのに行かなかったら、どうなるの?
それ自体が犯罪となり、2年以下の拘禁刑が科される
刑事訴訟法98条の3により、保釈または勾留の執行停止を取り消され、検察官から出頭を命じられた被告人が、正当な理由なく指定された日時・場所に出頭しないと、二年以下の拘禁刑に処されます。令和5年(2023年)改正で新設された規定で、元の事件とは別個の犯罪です。さらに不出頭は原事件の量刑でも「逃亡のおそれ・反省なし」と評価され、本来の刑まで重くなる二重の打撃となります。入院・災害など正当な理由がある場合は、期日前に弁護人を通じて届け出ることが重要です。
解説
保釈が取り消された。多くの人はここで「もう一度、留置場に戻されるだけだ」と考える。だが令和5年(2023年)の改正で、その考えは命取りになった。保釈または勾留の執行停止を取り消された被告人に対し、検察官は「いつ、どこに出頭せよ」と命じることができる(刑訴法98条の2)。その命令に正当な理由なく従わなければ、それ自体が新しい犯罪となり、二年以下の拘禁刑が科される。元の事件とは別に、もう一つの前科が積み上がる。なぜこんな条文ができたのか。従来、保釈取消し後で収監前の被告人が逃げても、逃走罪(刑法97条)では捕まえられなかった。まだ物理的に拘禁されていないからだ。その「すき間」をふさぐために生まれたのが、この条文である。あなたが保釈中なら、取消しの通知が届いた瞬間から、出頭命令に従う以外の選択肢は、すべて刑を重くする方向にしか働かない。
法的な位置づけ
刑事訴訟法98条の3は出頭命令違反の罪を定める規定であり、保釈または勾留の執行停止を取り消された被告人が、検察官の出頭命令(同法98条の2)に正当な理由なく従わず、指定の日時・場所に出頭しない行為を、二年以下の拘禁刑をもって処罰する。令和5年改正で逃走罪(刑法97条)の処罰間隙を補完するために新設された。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.出頭命令書の日時・場所を最優先で確認 保釈取消しの通知や出頭命令書が届いたら、まず指定された日時・場所を正確に確認する。この期日が罪の成否を分ける分水嶺になるため、カレンダーに即座に刻む
- 2.ただちに弁護人へ連絡 取消し通知を受け取った時点で、原事件の弁護人に電話する。今後の段取りと、出頭が罪を軽くする方向にしか働かないことを共有し、感情的な逃亡判断を避ける
- 3.正当な理由があれば期日前に書面で届出 入院・災害・家族の急病などで出頭できない正当な理由がある場合、期日より前に弁護人を通じて検察官へ書面で連絡し、診断書・入院記録などの証拠を添付する。事後の弁解ではなく事前の届出が罪の成立を防ぐ
- 4.正当な理由がなければ必ず期日に出頭 出頭できない理由がなければ、指定の日時・場所に確実に出頭する。自ら出頭した事実は原事件の量刑で有利に働く。雲隠れは出頭命令違反罪に加え逃走の悪情状を二重に積み上げる最悪手である
よくある質問 AI による整理
Q1出頭命令違反罪とは何ですか?
保釈や勾留執行停止を取り消された被告人が、検察官の出頭命令に正当な理由なく従わない罪です。刑事訴訟法98条の3が根拠で、2年以下の拘禁刑が科されます。
Q2保釈取消後に出頭しないとどうなりますか?
それ自体が独立した犯罪となり、2年以下の拘禁刑が科されます。加えて原事件の量刑でも不利に評価され、本来の刑まで重くなる二重の不利益が生じます。
Q3出頭命令違反の正当な理由とは何ですか?
入院、災害、家族の急病など、出頭が客観的に不可能または著しく困難だった事情です。「気が進まない」「仕事がある」では認められません。
Q4出頭命令違反罪の刑罰はどのくらいですか?
二年以下の拘禁刑です。罰金刑の選択肢はなく、自由刑のみが定められています。原事件の刑とは別個に科される可能性があります。
Q5出頭命令違反罪の時効は何年ですか?
公訴時効は3年です(刑訴250条2項6号)。起算点は指定された日時に出頭しなかった時で、出頭期日は検察官が指定します。
Q6逃走罪と出頭命令違反罪はどう違いますか?
逃走罪(刑法97条)は既に拘禁された人が対象で、保釈中の被告人には及びません。その間隙を埋めるのが本条98条の3です。
Q7出頭命令はいつ新設されましたか?
令和5年(2023年)の刑事訴訟法改正で新設されました。保釈中等の被告人の逃亡防止のための法整備の一環です。
Q8家族の出頭を手伝ったら罪になりますか?
逃亡を手助けすると、手伝った側が犯人蔵匿・隠避罪(刑法103条)に問われる可能性があります。逆に出頭を促すのは問題ありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1出頭命令を無視したら、どのみち捕まるのに、なんでわざわざ別の罪になるんですか?
従来の逃走罪(刑法97条)は、すでに身柄を拘禁された人しか処罰できず、保釈取消し後で収監前という「すき間」の逃亡を裁けませんでした。その穴を埋めるために、不出頭そのものを二年以下の拘禁刑とする本条(98条の3)が新設されたのです。実務のポイント:この条文ができたことで、保釈中の被告人の逃亡対策は「逮捕」だけでなく「新たな起訴」という別ルートが加わった。逃げる側の計算が根本から変わったことを、まだ知らない人が多い
Q2正当な理由って、どこまで認められるんですか?
入院、災害、家族の急病など、出頭が客観的に不可能または著しく困難だったと立証できる事情です。単に「気が進まない」「仕事がある」では認められません。重要なのは、期日後に弁解するのではなく、期日前に弁護人を通じて検察官に伝え、記録を残しておくことです。実務のポイント:事後の診断書より、事前の連絡記録の方が圧倒的に効く。連絡した事実そのものが「逃げる意思はなかった」証拠になり、罪の成立を左右する
Q3逃げて時効まで逃げ切れば、結局は得じゃないですか?
誤った計算です。逃亡は原事件の量刑で「反省なし、再犯・逃亡のおそれ」と評価され、本来の刑を重くします。さらにこの出頭命令違反罪(最長2年)が別途加わります。時効まで逃げ切るのは現実的に極めて困難で、その間ずっと指名手配の身です。実務のポイント:弁護人が一番恐れるのは依頼人の逃亡。逃げた瞬間、それまで積み上げた示談や情状の努力が、すべて水の泡になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「保釈を取り消されても、出頭しなければ向こうが逮捕しに来るだけ」と思っている人が多い。だが出頭しないこと自体が独立した犯罪である。逮捕の手間とは別に、二年以下の拘禁刑という刑罰が、もう一つ上乗せされる
- 「出頭命令を無視するのは、軽い手続違反だろう」と考える人は、その深刻度を見誤っている。不出頭は原事件の量刑判断で「反省なし、逃亡のおそれあり」の決定的証拠となり、本来の事件の刑そのものを重くする。罪が増えるだけでなく、元の罪まで重くなる二重の打撃だ
- 「どうせ捕まるなら、最後に少しでも逃げておこう」という問いの立て方そのものが誤っている。逃げた時間は原事件の罪を一秒も軽くせず、この新たな罪と、原事件の悪情状を二重に積み上げるだけである
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象者 | 刑訴98条の3:保釈・勾留執行停止を取り消され出頭を命じられた被告人 | 刑法97条(逃走罪):すでに拘禁された者 刑訴98条の2:取消し後に検察官が出頭を命じる根拠規定 |
| 処罰対象行為 | 正当な理由なく指定の日時・場所に出頭しないこと | 拘禁された者が逃走すること (処罰規定ではなく命令の権限規定) |
| 法定刑 | 二年以下の拘禁刑 | 三年以下の拘禁刑 (命令規定のため刑なし) |
| 新設時期 | 令和5年(2023年)改正で新設 | 従来から存在 令和5年(2023年)改正で新設 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は具保(保釈)停止羈押の取消し後に再び羈押を執行できるが、不出頭そのものを独立した犯罪とはしていない点で日本と異なる
ドイツは被告人の不出頭に対し勾引状の発付等で対応するが、不出頭それ自体を独立した犯罪とはしていない
米国連邦法は釈放後の不出頭それ自体を独立した犯罪とし、原事件の法定刑に応じた加重刑を定める。日本の本条と立法政策が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 保釈条件違反で保釈が取り消され、検察官から「明後日午前10時、○○地検に出頭せよ」という命令書が届いた。実質的に動ける時間はあと1日。出頭しなければ、原事件の判決が出る前に、新たな犯罪が一つ加わる。逃げる算段を立てている時間そのものが、刑を積み上げている
- もし出頭命令の当日に、本当に高熱で入院していたとしたら?「正当な理由」があれば罪に問われない。だが診断書や入院記録で立証できなければ、後から「仮病で逃げたのではないか」と疑われ、立証責任が自分に跳ね返ってくる
- 通知を無視してスマホの電源を切った。それは「正当な理由なき不出頭」そのものだ。逃げ切るどころか、罪が一つ増えただけで終わる
- 家族が保釈中で、取消しの通知が届いた。本人がパニックになり「もう逃げる」と言い出したとき、止められるのはあなただけかもしれない。下手に手を貸せば、あなた自身が犯人蔵匿・隠避罪(刑法103条)に問われる
取るべき行動
被害を受けた側:家族や監督者として、保釈中の被告人に取消し通知が来た場合:1. まず本人を落ち着かせ、逃亡を思いとどまらせる。逃亡を手助けすると、あなた自身が犯人蔵匿・隠避罪(刑法103条)に問われうる2. 出頭命令書の日時・場所を本人と一緒に確認3. すぐに弁護人へ連絡し、正当な理由があれば期日前に書面で届け出る4. 当日は本人が確実に出頭できるよう、同行を検討する
訴えられた側:1. 出頭命令書が届いたら、指定された日時・場所の確認を最優先にする2. 従えない正当な理由(入院、災害など)があるなら、期日より前に弁護人経由で検察官へ書面連絡し、証拠を添付する3. 理由がなければ必ず出頭する。逃げても逃走罪以外にこの罪が加わり、原事件の量刑も悪化する4. 黙って雲隠れすることは、考えうるすべての選択肢の中で最も刑が重くなる最悪手である
時効(請求できる期限):出頭命令違反罪の公訴時効は3年(長期5年未満の拘禁刑にあたる罪、刑訴法250条2項6号)。起算点は、指定された日時に出頭しなかった時。出発点となる出頭期日は検察官が指定するため、命令書の日時厳守が何よりの分水嶺となる(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 令和5年(2023年)改正 保釈中等の被告人の逃亡を防止するための法整備の一環として新設。保釈または勾留の執行停止を取り消された被告人が、検察官の出頭命令に正当な理由なく従わない行為を新たに犯罪化し、二年以下の拘禁刑を定めた。従来の逃走罪が及ばない取消し後・収監前の間隙を埋める趣旨(施行時期は最新の状況をご確認ください)
改正の年表
- 1.令和5年(2023年) 新設:保釈中等の被告人の逃亡を防止するための法整備の一環として新設。保釈または勾留の執行停止を取り消された被告人が、検察官の出頭命令(98条の2)に正当な理由なく従わない行為を新たに犯罪化し、二年以下の拘禁刑を定めた。従来の逃走罪(刑法97条)が及ばない取消し後・収監前の間隙を埋める趣旨
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