刑事訴訟法 第17条
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- 検察官は、左の場合には、直近上級の裁判所に管轄移転の請求をしなければならない。
- 一管轄裁判所が法律上の理由又は特別の事情により裁判権を行うことができないとき。
- 二地方の民心、訴訟の状況その他の事情により裁判の公平を維持することができない虞があるとき。
- 2.前項各号の場合には、被告人も管轄移転の請求をすることができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第17条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第17条の条文原文は「検察官は、左の場合には、直近上級の裁判所に管轄移転の請求をしなければならない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第17条は第一章 裁判所の管轄に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第17条の前の条は刑事訴訟法第16条です。
- 刑事訴訟法第17条の次の条は刑事訴訟法第18条です。
- 刑事訴訟法第17条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第17条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第17条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/17
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法17条は、裁判の公平を維持できない虞があるとき、検察官または被告人が直近上級の裁判所に管轄移転を請求できると定める。
Q · 地元の世論が敵だらけの刑事裁判、別の裁判所に移せますか?
移せる余地があります。被告人にも請求権があります
刑事訴訟法17条により、管轄裁判所が裁判権を行使できないとき、または地方の民心その他の事情で裁判の公平を維持できない虞があるときは、直近上級の裁判所に管轄移転を請求できます。1項は検察官の義務、2項は被告人の権利です。ただし「公平を維持できない虞」というハードルは高く、報道量が多いだけでは足りません。請求は第一審係属中、実体審理が本格化する前ほど認められやすい点が実務上の鍵です。
解説
事件を起こした土地で裁判を受けるのが当然だと思っていないか。刑事訴訟法17条は、その当然を覆す。管轄裁判所が法律上の理由や特別の事情で裁判権を行使できないとき、あるいは地方の民心、訴訟の状況その他の事情で公平な裁判を維持できない虞があるとき、事件を別の裁判所へ移せる。重要なのは、この請求権が検察官だけのものではない点だ。2項は被告人にも同じ権利を与えている。小さな町で、被害者は地元の名士、町中があなたを犯人と決めつけている。そんな法廷で、裁判官も裁判員候補も無意識の予断から自由でいられるか。あなたは直近上級の裁判所、つまり地裁の事件なら高裁へ、その土地を離れた公平な裁判所での審理を求められる。法廷で何を主張するかの前に、どの法廷に立つかを選ぶ一手が、ここにある。
法的な位置づけ
刑事訴訟法17条は管轄移転の請求を定める規定であり、管轄裁判所が裁判権を行使できない場合、または地方の民心その他の事情で裁判の公平を維持できない虞がある場合に、直近上級の裁判所が事件を他の裁判所へ移す手続を規律する。請求権は検察官(1項)と被告人(2項)の双方に認められる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.予断・報道過熱の兆候を早期に把握 起訴された土地での視線、地元紙・SNS の報道状況、被害者と地域の関係性を観察し、その裁判所で公平な審理が望めるかを弁護人と検討する
- 2.「公平を維持できない虞」を裏づける証拠を収集 報道記事のスクラップ、SNS の炎上ログ、地元世論の状況、被害者の地域的地位など、抽象要件を可視化する資料を体系的に集める
- 3.実体審理が本格化する前に請求書を作成・提出 公判前整理手続や第一審の実体審理が進む前に、直近上級の裁判所へ管轄移転請求書を提出する。審理が進んでからだと引き延ばしと見られ心証を損なう
- 4.認められなくても記録を後続手続に活かす 請求が却下されても、その記録は裁判官の忌避申立て(刑訴21条)や控訴審(刑訴372条以下)での主張材料として保全しておく
よくある質問 AI による整理
Q1管轄移転とは何ですか?
裁判権の行使不能や裁判の公平を維持できない虞があるとき、事件を直近上級の裁判所の判断で別の裁判所へ移す手続です。刑事訴訟法17条が根拠です。
Q2管轄移転と事件の移送の違いは?
移送(19条)は同レベルの裁判所間で適当と認めるときに移すもの、管轄移転(17条)は裁判権の行使不能や公平維持困難を要件に直近上級裁判所が判断するものです。
Q3管轄移転は被告人も請求できますか?
できます。刑事訴訟法17条2項が被告人にも明文で請求権を認めています。検察官だけの手続ではありません。
Q4管轄移転が認められる要件は?
①裁判権を行使できないとき、②地方の民心・訴訟の状況その他の事情で裁判の公平を維持できない虞があるときです。後者のハードルは高く、報道量だけでは足りません。
Q5管轄移転の請求はいつまでにできますか?
第一審が裁判所に係属している間に限られます。実務上は実体審理が本格化する前ほど認められやすく、判決後はこの手続では争えません。
Q6管轄移転の請求先はどこの裁判所ですか?
直近上級の裁判所です。地裁の事件なら高裁、簡裁の事件なら地裁が判断します。
Q7裁判員裁判でも管轄移転できますか?
できます。地域の住民感情が極度に高ぶり公平な評議が望めない場合、17条の管轄移転は裁判員制度の公正さを地理的に担保する安全弁として機能します。
Q8管轄移転が認められないとどうなりますか?
そのまま現在の裁判所で審理が続きます。ただし請求した記録は、後の忌避申立てや控訴審での主張材料として残ります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1地元の報道が過熱していて、裁判官に予断があるんじゃないかと不安です。裁判所って変えられるんですか?
変えられる余地があります。刑訴法17条2項により、被告人も『裁判の公平を維持できない虞』を理由に直近上級裁判所へ管轄移転を請求できます。ただしハードルは高く、報道量が多いだけでは足りません。実務のポイント:実務では管轄移転が認められる例は少なく、弁護人はむしろ裁判員選任手続(裁判員法)での質問を通じて予断のある候補を外す方が現実的と考えることが多い。移転請求は出すこと自体が記録に残り、後の主張材料になる点に本当の価値がある
Q2検察官が管轄移転を請求してきたら、被告人は不利になりますか?
必ずしも不利ではありません。17条1項は、裁判権を行使できない場合などに検察官が義務として請求するもので、被告人を狙い撃ちする制度ではありません。請求の当否は直近上級裁判所が判断します。実務のポイント:似た場面でも、管轄が不明なら管轄指定(刑訴法15条、16条)、同レベルの裁判所へ移すだけなら事件の移送(同19条)と、使う条文が分かれる。検察官がどの条文で動いているかを見れば、相手の狙いが読める
間違えやすい点 AI による整理
- 「管轄移転は検察官が国家の都合で使う手続だ」と思われがちだが、17条2項は被告人にも同じ請求権を明文で与えている。敵地での裁判を強いられる側こそ、この手を握っている
- 「報道が過熱していれば公平でないとして簡単に移せる」と考える人が多いが、これは前提が誤っている。問われるのは『公平な裁判を維持できない虞』という高いハードルで、単なる報道量だけでは認められにくい。何をもって虞を立証するかの設計が成否を分ける
- 「管轄移転と事件の移送は同じだろう」と一括りにされがちだが、両者は別物だ。移送(刑訴法19条)は同レベルの裁判所間で適当と認めるときに移すもの、管轄移転(17条)は裁判権の行使不能や公平維持困難という要件のもとで直近上級裁判所が判断するもの。どちらを使うべきかを取り違えると、出した請求が空振りに終わる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 発動要件 | 17条:裁判権の行使不能 / 公平を維持できない虞 | 19条:同種裁判所間で移送を適当と認めるとき 16条:管轄裁判所が裁判権を行使できないとき |
| 判断主体 | 直近上級の裁判所 | 当該裁判所(職権 / 申立て) 上級裁判所による管轄指定 |
| 請求権者 | 検察官(義務)+被告人(権利) | 検察官・被告人・裁判所の職権 検察官 |
| 移転先 | 別の土地の公平な裁判所 | 同級の他の裁判所 指定された管轄裁判所 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も執行職務に偏頗の虞があるとき等に上級裁判所が管轄を指定・移転できる。被告人・検察官の声請による点で日本17条と機能が近い
韓国も管轄裁判所が裁判権を行使できないとき、または公平を維持できない虞があるときに上級裁判所への管轄移転の申請を認める。要件構造が日本と酷似する
ドイツは管轄裁判所が法律上・事実上裁判権を行使できないときに上級裁判所が管轄を定める。公平確保の側面は別途 § 13a 等で補う
米国は過熱報道による予断が公正な陪審を害する場合に裁判地変更(change of venue)を認め、デュー・プロセスの問題として連邦最高裁が公判地移転の必要性を示した
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが人口数千人の町で起訴され、被害者がその町の元町長だったら? 地元紙は連日あなたの名を載せ、選ばれる裁判員候補の多くが顔見知り。公判前整理手続が本格化する前に管轄移転を打たなければ、敵地のまま本番に突入する
- あなたが大規模災害や地域を揺るがした事件の被告人になり、その地域の住民感情が極度に高ぶっている。地元の地裁では冷静な審理が望めないと感じたとき、17条2項で直近上級の裁判所に管轄移転を請求し、別の土地での審理を求める道がある
- 検察官が「この裁判所では裁判権を行使できない」と判断した。裁判官全員が事件の関係者で除斥・忌避にかかる。17条1項により、検察官は移転請求を権利ではなく義務として行う
取るべき行動
被害を受けた側:1. 加害者側が管轄移転を請求してきたら、それが正当な公平確保なのか単なる引き延ばし戦術なのかを見極める2. あなたの懸念は被害者参加制度(刑訴法316条の33以下)や検察官への意見を通じて手続に反映できる3. 移転先が遠隔地になると出廷・意見陳述の負担が増える点を検察官に伝え、移転の当否について意見を述べる4. 移転が認められても審理の中身が被害者に不利になるわけではない、冷静に手続を追う
訴えられた側:1. 地元での予断や報道過熱を感じたら、すぐ弁護人に管轄移転(17条2項)を相談2. 『裁判の公平を維持できない虞』を裏づける証拠を収集:報道記事、SNS の反応、被害者と地域の関係性3. 請求は第一審係属中、実体審理が本格化する前のできるだけ早い段階で直近上級裁判所へ4. 移転が認められなくても、その記録は後の忌避申立てや控訴審での主張材料として無駄にはならない
時効(請求できる期限):管轄移転の請求に特定の時効はないが、第一審が裁判所に係属している間に限られ、実務上は実体審理が本格化する前ほど認められやすい。判決後はこの手続では争えず、不公平を主張するなら控訴(刑訴法372条以下)に舞台が移る
学説
通説:刑訴17条の『裁判の公平を維持することができない虞』は、単なる報道量の多寡ではなく、その地域で審理する限り構成上の偏頗の虞を払拭できない客観的状況を要する高い要件と解される。憲法37条の公平な裁判所の保障を地理的に担保する例外的制度と位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 制定:現行刑事訴訟法の制定により、管轄移転の請求が規定された。戦後の当事者主義的構造のもと、検察官の義務(1項)と被告人の権利(2項)の双方を明文化している。
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