刑事訴訟法 第16条
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法律による管轄裁判所がないとき、又はこれを知ることができないときは、検事総長は、最高裁判所に管轄指定の請求をしなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第16条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第16条の条文原文は「法律による管轄裁判所がないとき、又はこれを知ることができないときは、検事総長は、最高裁判所に管轄指定の請求をしなければならない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第16条は第一章 裁判所の管轄に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第16条の前の条は刑事訴訟法第15条です。
- 刑事訴訟法第16条の次の条は刑事訴訟法第17条です。
- 刑事訴訟法第16条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第16条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第16条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/16
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法16条は、管轄裁判所がない又は不明のとき、検事総長が最高裁判所に管轄指定を請求しなければならないと定める。公海上の犯罪など管轄の空白を埋める規定である。
Q · 管轄する裁判所が決まらない事件って、結局誰が裁判所を決めるんですか?
検事総長が最高裁に請求し、最高裁が裁判所を指定します
刑事訴訟法16条により、法律上の管轄裁判所がない、又はそれを知ることができないときは、検事総長が最高裁判所に管轄指定を請求しなければなりません。公海上の日本籍船内の犯罪や、犯罪地が国内のどこか特定できない事件で起こりえます。請求できるのは検事総長ただ一人で、現場の検察官が請求できる15条の管轄指定とは別格の手続です。これにより「裁く裁判所がないから不処罰」という司法の空白を防ぎます。
解説
公海を航行する日本籍の貨物船で、乗組員同士の傷害事件が起きた。あるいは、犯行場所が日本国内のどこなのか、捜査を尽くしても特定できない事件がある。このとき、普通の管轄ルール(刑事訴訟法2条、犯罪地や被告人の住所で裁判所を決める)を当てはめても、裁くべき裁判所が一つも出てこない、あるいはどこか分からない事態が生じる。日本の司法には、この空白を埋める非常装置が組み込まれている。それが16条だ。管轄裁判所がない、または分からないとき、検事総長(全国の検察のトップ)が最高裁判所に「この事件はどこで裁くか指定してください」と請求する。請求するのは検察庁のトップただ一人、応えるのは最高裁。一般の管轄争い(15条)が下級裁判所レベルで処理されるのに対し、16条は国家の最高司法機関が直接、地図にない裁判所を指名する。事件が宙に浮いて誰も裁けない、という法治国家としてあってはならない事態を防ぐ最後の受け皿である。
法的な位置づけ
刑事訴訟法16条は管轄指定の請求を定める規定であり、法律上の管轄裁判所が存在しない場合、又はそれを知ることができない場合に、検事総長が最高裁判所に対して管轄裁判所の指定を請求する義務を負う旨を規律する。土地管轄の原則(同法2条)を補完し、管轄の空白による不処罰を防ぐ手続的な最終受け皿として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.事件の発生地と船舶・当事者の国籍を確認 国外や公海上で事件に関わったら、まず発生場所、船舶や航空機の国籍、当事者の国籍と住所を整理する。日本に裁判権が及ぶ事件か(刑法1条から3条の場所的適用範囲)を確認する起点になる
- 2.在外公館と日本の警察の双方に届け出る 被害に遭った場合は現地当局と日本の在外公館(大使館・領事館)の双方に届け出て記録を残す。帰国後は日本の警察に相談し、立件される事件かを確認する
- 3.弁護人に管轄裁判所が確定しているか確認させる 国外犯や公海上の事件で立件されたら、弁護人にまず「管轄裁判所が確定しているか」を確認させる。未確定のまま手続が進むなら、その瑕疵を記録する。必要に応じ検事総長の管轄指定請求(16条)の要否を見極める
- 4.管轄を争うなら本案弁論前に申し立てる 第一審で管轄を争う場合、本案について弁論をする前のタイミングを逃さず管轄違いの申立てを行う。判決段階で判明すると管轄違いの言渡し(329条)となり手続が振り出しに戻るため、早期確認が無駄な審理を避ける
よくある質問 AI による整理
Q1管轄指定の請求とは何ですか?
管轄裁判所がない又は不明のとき、検事総長が最高裁判所に対し、その事件を裁く裁判所を指定するよう求める手続です。刑事訴訟法16条が根拠で、司法の空白を防ぎます。
Q2刑事訴訟法15条と16条の違いは何ですか?
15条は検察官又は被告人が共通の直近上級裁判所に管轄指定を請求します。16条は管轄裁判所がそもそも無い・不明の場合に、検事総長のみが最高裁判所に請求する別格の手続です。
Q3検事総長以外でも管轄指定を請求できますか?
16条の請求ができるのは検事総長ただ一人です。一般の検察官や被告人は請求できません。これが現場レベルで動く15条の管轄指定との決定的な違いです。
Q4公海上の事件はどこの裁判所が裁くのですか?
日本籍船なら旗国主義で日本に裁判権がありますが、国内のどの裁判所かは2条で定まらないことがあります。その場合16条で検事総長が最高裁に管轄指定を請求します。
Q5国外で起きた事件の管轄はどう決まりますか?
まず刑法1条から3条で日本に裁判権があるかを確認し、次に刑訴2条で土地管轄を判断します。それでも裁判所が定まらないとき16条が発動します。
Q6管轄裁判所が決まらないと犯人は不処罰になりますか?
なりません。16条はまさにその空白を埋める規定で、裁判権がある以上、検事総長の請求と最高裁の指定により必ず裁く裁判所が定まります。
Q7管轄指定の請求に期限はありますか?
16条の請求自体に法定の期限はありませんが、管轄は公判の前提のため、検事総長は起訴に先立ち早期に請求するのが通常です。
Q8管轄違いの判決とは何ですか?
裁判所が自らに管轄がないと判断したときに言い渡す判決です(刑訴329条)。判決段階で判明すると手続が振り出しに戻るため、管轄は早期に確定させる必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1公海の上で起きた事件って、結局どこの国が裁くんですか?
日本籍の船なら旗国主義により日本が裁判権を持ちます。どの裁判所かは刑事訴訟法2条が船舶の所属地や被告人の住所などで定めますが、それでも決まらない、または知ることができないときに16条が登場し、検事総長が最高裁に管轄指定を請求します。実務のポイント:「日本の船イコール必ず日本で裁判」までは多くの人が知っていても、「では日本のどの裁判所か」が自動では決まらない点は見落とされがち。外国籍船なら旗国の管轄になり、日本の警察が直接動けないこともある。乗る船の国籍は、いざというときの裁判地を左右する
Q2管轄が決まらないと、犯人は裁かれずに済むんですか?
済みません。16条はまさに「裁く裁判所がないから不処罰」という事態を防ぐための条文です。日本に裁判権がある(刑法1条から3条)のに管轄裁判所だけが定まらないとき、検事総長が最高裁に請求し、最高裁が裁く裁判所を指定します。実務のポイント:「裁判権があるか」と「管轄裁判所があるか」は別の問題。前者は日本が裁けるかどうか、後者は国内のどの裁判所かの話。報道で「国外の事件は日本で裁けない」と語られるとき、実は裁判権の問題と管轄の問題が混同されていることが多い
間違えやすい点 AI による整理
- 「どこの裁判所が裁くか」という問いには必ず答えがあると思っているかもしれない。だが日本の刑事手続には、答えが「どこにもない」場面が制度上ちゃんと想定されている。問いの立て方そのものが、ときに現実に追いつかない
- 管轄が決まらなければ手続が止まる、という当たり前の事実の重さを見落としやすい。被告人が国外犯で立件されても、裁く裁判所が定まるまで本格的な公判は進まない。空白は被告人の地位を宙吊りにし、勾留や捜査だけが先行する
- 16条の請求は検察官なら誰でもできると思われがちだが、引けるのは検事総長ただ一人。15条の管轄指定が現場の検察官レベルで動くのと違い、16条は検察組織の頂点しか触れないレバーだ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 発動主体 | 16条:検事総長(検察の頂点)のみ | 15条:検察官又は被告人が請求可 2条:請求不要、法律上当然に定まる |
| 指定する機関 | 16条:最高裁判所 | 15条:関係裁判所に共通する直近上級裁判所 2条:指定不要(土地管轄の原則) |
| 適用場面 | 16条:管轄裁判所がない/知ることができない | 15条:管轄裁判所が明らかでない等 2条:犯罪地・住所等で通常どおり定まる場面 |
| 性質 | 16条:司法の空白を埋める最終手段 | 15条:下級審レベルの管轄調整 2条:土地管轄の基本原則 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も管轄が定まらない場合に上級裁判所が裁定で管轄裁判所を指定する制度を持つ点で機能的に近い。
韓国も管轄裁判所が不明等の場合に管轄指定の申請による解決を予定しており、上級裁判機関が指定する構造が類似する。
ドイツは管轄裁判所が欠ける又は不明のとき連邦通常裁判所(BGH)が管轄裁判所を定めると規定し、最高裁判機関が空白を埋める点で日本の16条に最も近い。
米国はいずれの地区でも行われていない犯罪について被告人の逮捕・最初の連行地等を基準に裁判地を定め、土地のない犯罪の空白を裁判地規定で処理する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが乗っていた日本籍のクルーズ船が公海上にあるとき、船内で暴行を受けたら、帰国後どこの警察が動き、どの裁判所が裁くのか。犯罪地が国内のどの地点とも結びつかず、普通の管轄ルールでは答えが出ないことがある。最終的に検事総長が最高裁に管轄指定を請求する場面になりうる
- 国外で日本人同士のトラブルがあり、帰国後に立件された。日本に裁判権はある(刑法3条、国民の国外犯)が、国内のどの裁判所が担当するかが法律上はっきりしない。被告人にとっては、自分を裁く場所が決まるまで本格的な公判が動かず、地位が宙吊りになる
- サイバー犯罪で、犯行がどの土地で行われたか技術的に特定できない。場所が決まらなければ管轄も決まらない。捜査機関が頭を抱える、現代型の「管轄の空白」だ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 国外や公海上で被害に遭った場合、まず現地当局と日本の在外公館(大使館・領事館)の双方に届け出て記録を残す2. 帰国後は犯罪地、被疑者の国籍や住所などの情報を整理し、日本の警察に相談、日本の裁判権が及ぶ事件か(刑法1条から3条の場所的適用範囲)を確認する3. 管轄裁判所が定まらない見込みなら、検察官に管轄指定請求(15条、16条)の要否を促す。被害者自身は直接請求できないが、情報提供で手続を後押しできる
訴えられた側:1. 国外犯や公海上の事件で立件されたら、弁護人にまず「管轄裁判所が確定しているか」を確認させる2. 管轄が未確定のまま手続が進むなら、その瑕疵を記録しておく3. 第一審で管轄違いを争うなら、本案について弁論する前のタイミングを逃さない4. 16条による最高裁の管轄指定は検事総長の権限で進むため、被告人側は指定の妥当性と手続の適正を見張る立場に回る
時効(請求できる期限):16条の管轄指定請求自体に法定の期限はないが、管轄は公判の前提となるため、検事総長は起訴に先立ち早期に請求する。被告側が管轄を争うなら、第一審で本案について弁論をする前に申し立てる必要がある
学説
通説:16条は、裁判権はあるのに管轄裁判所が存在しない又は不明という事態における司法の空白を防ぐための補充的規定であり、請求権者を検事総長に、指定機関を最高裁判所に限定することで、管轄の空白の解消と恣意的な裁判所選定の防止を両立させると理解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の制定により、管轄裁判所がない又は不明の場合に検事総長が最高裁判所へ管轄指定を請求する手続として規定された。
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