刑事訴訟法 第1条
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この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第1条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第1条の条文原文は「この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする…」で始まります。
- 刑事訴訟法第1条は第一編 総則に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第1条の次の条は刑事訴訟法第2条です。
- 刑事訴訟法第1条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第1条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第1条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/1
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法1条は、事案の真相究明と個人の基本的人権の保障を同時に全うし、刑罰法令を適正かつ迅速に適用することを刑事手続の目的と定める規定である。
Q · 刑事裁判の目的って、犯人を捕まえることじゃないんですか?
真相究明と人権保障の両立が目的です
刑事訴訟法1条は、刑事手続の目的を「事案の真相を明らかにする」ことと「個人の基本的人権を保障する」ことの両立に置きます。真犯人を逃さないことと、無実の人を罰しないことを対等の重さで求める規定です。さらに「適正且つ迅速に」適用すべきと定め、違法に集めた証拠の排除や、不当に長い審理の打ち切り(免訴)といった具体的ルールの解釈上の原点になります。犯人検挙だけが目的という理解は、半分しか捉えていません。
解説
刑事ドラマで刑事が容疑者を怒鳴りつけて自白を引き出す場面に、すっきりした気分になったことはないだろうか。その爽快感こそ、この条文が最も警戒しているものだ。刑事訴訟法1条は、たった一文で日本の刑事司法の魂を定める。「事案の真相を明らかにする」ことと「個人の基本的人権を保障する」ことを、同時に全うせよと命じている。真相究明だけを追えば、自白の強要も令状なき捜索も「真犯人を捕まえるため」に正当化されかねない。人権保障だけを追えば、真犯人を取り逃がす。本条はこの二律背反のど真ん中に立ち、真相は人権を踏みにじってよい理由にならない、と宣言する。さらに「適正且つ迅速に」の五文字が効いてくる。違法に集めた証拠は法廷から排除されうるし、不当に長すぎる裁判は、それ自体が許されないものとして打ち切られた前例がある。この一文を知っているあなたは、取調室でも法廷でも、何が許され何が許されないかの物差しを手にしている。
法的な位置づけ
刑事訴訟法1条は、刑事手続全体の目的を定める総則規定である。公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障を全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正かつ迅速に適用実現することを目的とする。真相究明と人権保障を対等の目標として並置し、両者の均衡を「適正且つ迅速」という枠で画する点に特徴がある。
よくある質問 AI による整理
Q1刑事訴訟法1条とは何ですか?
刑事手続の目的を定める総則規定です。真相究明と人権保障の両立、刑罰法令の適正・迅速な適用を求め、個別条文の解釈の原点になります。
Q2真相究明と人権保障はどちらが優先しますか?
どちらも優先しません。1条は両者を対等の目標として並置します。真相は人権侵害を正当化せず、人権保障も真相究明を放棄する口実にはなりません。
Q3適正手続に違反するとどうなりますか?
違法に集めた証拠が法廷から排除されたり、自白の証拠能力が否定されたりします。手続の違法は起訴前に指摘すると不起訴を狙える場合もあります。
Q4違法収集証拠排除とは何ですか?
違法な手続で集めた証拠を裁判で使わせない法理です。最高裁は重大な違法と排除の相当性がある場合に証拠能力を否定するとしています。
Q5別件逮捕は違法ですか?
軽微な別件で逮捕し本命を取り調べる手法は、1条の適正の理念に反し違法とされる余地があります。実体は本件の取調べかどうかで判断されます。
Q6迅速な裁判は何年止まると違反になりますか?
固定の日数基準はなく事案ごとの個別判断です。約15年中断した高田事件では最高裁が審理を打ち切りました(免訴)。遅延の責任の所在が鍵です。
Q7免訴とは何ですか?
有罪・無罪を判断せず手続を打ち切る判決です。極端な審理遅延で迅速な裁判の保障が侵された場合などに、例外的に発動されます。
Q8刑事訴訟法1条に関する判例はありますか?
迅速な裁判では高田事件(最大判昭和47.12.20)、適正手続では違法収集証拠排除法則(最判昭和53.9.7)が代表的です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1目的規定なんて、実際の裁判で何の役に立つんですか?
解釈の最終的な拠り所として効きます。条文の文言だけでは答えが出ない場面で、裁判官は「真相究明と人権保障のバランス」という1条の理念に立ち返って判断します。違法に集めた証拠を排除するかどうかも、突き詰めればこの理念が根拠です。実務のポイント:弁護人が証拠排除を主張するとき、個別条文だけでなく「1条の適正手続の精神に反する」という大原則を併せて持ち出すのは定石です。原点に遡る主張は、細かい条文論で詰まったときの突破口になる。
Q2裁判が何年も終わらないのって、訴えたら早くなりますか?
迅速な裁判は刑事訴訟法1条と憲法37条1項が保障する権利です。著しく不当な遅延があれば裁判所に審理の促進を求められ、極端な場合は裁判の打ち切り(免訴)もありえます。実務のポイント:過去に約15年間審理が中断した高田事件で、最高裁は有罪無罪を判断せず免訴にしました(最大判昭和47.12.20)。ただしこれは例外中の例外で、通常は「遅延の責任が誰にあるか」を記録で示せるかが分かれ目です。漫然と待つのではなく、遅延の経緯を残しておくことが武器になる。
間違えやすい点 AI による整理
- 「悪いことをした奴を捕まえるのが刑事裁判の目的だろう」という問いの立て方そのものが、半分しか見ていない。1条は真相究明と人権保障を対等の二大目標として並べる。「真犯人を逃さないこと」と同じ重さで「無実の人を罰しないこと」を求めている。前者だけを目的だと思い込むと、冤罪を生む発想に無自覚に加担することになる
- 「迅速な裁判が大事」とは誰もが言う。だがその深刻さを知る人は少ない。迅速な裁判の侵害は、損害賠償の問題で済むとは限らない。あまりに長く放置された事件では、有罪か無罪かを判断すらせず裁判そのものを打ち切る免訴という劇薬が、現実に発動された。遅延は権利侵害であると同時に、訴追側が手にしていた処罰の機会そのものを消し去る
- 「目的規定なんて条文の飾りで、実際の裁判では使われない」と思われがちだが、逆だ。違法に集めた証拠を排除するかどうかも、自白の任意性をどう扱うかも、その根っこは1条の適正手続の理念にある。条文番号は地味でも、実務の判断を背後で動かしている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律対象 | 刑事訴訟法1条:刑事事件の手続一般 | 少年法1条:少年の保護事件・刑事事件 裁判員法1条:国民参加の刑事裁判 |
| 究極目的 | 真相究明と基本的人権の保障の両立 | 少年の健全な育成(保護・教育優先) 司法に対する国民の理解と信頼の向上 |
| 重点 | 刑罰法令の適正かつ迅速な適用実現 | 性格の矯正と環境の調整 国民の参加による適正・迅速な裁判 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は刑訴法1条で罪刑の追訴処罰が法定手続によることを定め、適正手続の保障は憲法8条が担う。目的の包括宣言という形式は日本と異なる
韓国は形式的な刑訴法の目的条文ではなく、憲法12条の適正手続条項が真相究明と人権保障の均衡の根拠を担う
ドイツ刑事訴訟法には単一の目的規定はなく、法治国家原理(GG 20条3項)と基本権規定から適正手続が導かれる
米国は成文の目的規定ではなく、修正5条・14条の適正手続条項を通じて手続の公正と被告人の権利保障を実現する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 深夜の取調室で刑事に「認めれば今日中に帰してやる」と言われ続けたら、その自白は法廷で使えるのか? 1条の適正手続の理念が、強制や不当に長い抑留の末に得た自白の証拠能力を否定する土台になる。あなたの「やってない」を守る最初の防壁がここにある
- 別件の軽微な容疑で逮捕され、本命の取調べを延々と受ける。別件逮捕と呼ばれる手法だ。1条の適正の理念が、この捜査のやり方に限界線を引く
- 起訴されてから判決まで、なぜか審理が止まり何年も塩漬けにされたとしたら。あと数年この状態が続けば「迅速な裁判」の保障を侵すレベルに達する。過去には約15年間審理が中断した事件で、有罪か無罪かを判断せず裁判そのものを打ち切った最高裁判決(高田事件)がある
- ニュースで「違法な捜査だったから証拠が認められず無罪」と聞いて、犯人が逃げたと憤る人は多い。だがその無罪は、あなた自身が次に容疑をかけられたとき、違法な捜査から守られる盾でもある。1条の人権保障とは、そういう仕組みだ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 取調べや捜索で違法・不当だと感じた点は、日時・担当者名・具体的なやりとりを直後にメモする。記憶は薄れる、この記録が後の任意性争いの証拠になる2. 黙秘権を行使し、納得できない調書には署名押印しない(刑事訴訟法198条5項により署名押印は拒否できる) 3. すぐに弁護人を呼ぶ、当番弁護士の初回は無料4. 審理が不当に長期化したら、遅延の経緯を記録し、迅速な裁判の侵害を弁護人と検討する
訴えられた側:1. 自分の供述が任意だったか、取調べに違法がなかったかを弁護人と早期に検証し、違法収集証拠排除や自白法則(刑事訴訟法319条)で証拠能力を争えないか詰める2. 起訴前なら、手続の違法を突いて不起訴・起訴猶予を狙うのが最も効率的3. 公判では適正手続の趣旨を踏まえ、争点を絞り込む4. 審理が塩漬けにされているなら、迅速な裁判の保障を正面から主張する、極端な遅延には免訴の前例(高田事件)がある
時効(請求できる期限):目的規定そのものに時効はない。ただし関連する身柄拘束には厳格な時間制限がある。逮捕後、勾留請求まで警察段階で48時間以内、検察官送致後24時間以内、勾留は原則10日(最大20日)。この間に検察官が起訴・不起訴を決める。迅速な裁判の侵害は事案ごとの個別判断であり、固定日数の基準はない
学説
通説:本条は刑事手続の二大価値(真相究明と人権保障)を並置する基本理念規定であり、個別条文の解釈に迷う場面で立ち返るべき原点として機能する。両価値の調和は「適正且つ迅速」の枠で図られる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:日本国憲法の施行を受けて旧刑事訴訟法を全面改正し現行刑事訴訟法を制定。当事者主義・適正手続の思想を取り込み、その目的を冒頭の1条に明示した。
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