刑事訴訟法 第317条
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事実の認定は、証拠による。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第317条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第317条の条文原文は「事実の認定は、証拠による。」で始まります。
- 刑事訴訟法第317条は第四節 証拠に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第317条の前の条は刑事訴訟法第316条の39です。
- 刑事訴訟法第317条の次の条は刑事訴訟法第318条です。
- 刑事訴訟法第317条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第317条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第317条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/317
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法317条は「事実の認定は、証拠による」と定め、証拠裁判主義を宣言する。有罪認定には、証拠能力を備え適法な証拠調べを経た証拠による厳格な証明が必要となる。
Q · 裁判官が『この人が犯人だ』と確信すれば、それだけで有罪になるの?
なりません。適法な証拠がなければ有罪にできません
なりません。刑事訴訟法317条は「事実の認定は、証拠による」と定め、証拠裁判主義を宣言します。裁判官がどれほど内心で有罪を確信しても、証拠能力を備え、公判廷で適法な証拠調べを経た証拠(厳格な証明)が法廷に出ていなければ、有罪判決を書くことはできません。心証や噂は事実認定の足場にならず、有罪に達しない場合は「疑わしきは被告人の利益に」により無罪となります(刑訴336条)。
解説
取調室で刑事に「お前がやったんだろう」と何時間詰め寄られても、防犯カメラに似た人物が映っていても、それだけでは有罪判決は書けない。刑事訴訟法317条はたった一行、「事実の認定は、証拠による」と定める。だがこの一行が日本の刑事裁判の土台を支えている。ここでいう「証拠」は、ただの資料ではない。証拠能力(法廷で使う資格)が認められ、公開の法廷で正式な証拠調べを経たものだけを指す。これを厳格な証明という。裁判官がどれほど内心で「こいつが犯人だ」と確信しても、その確信を裏づける適法な証拠が法廷に出ていなければ、有罪にはできない。あなたが被告人席に立ったとき、戦う相手は裁判官の心証ではなく、検察官が積み上げた証拠の山そのものだ。証拠の一つ一つに「それは証拠として使えるのか」と切り込めるかどうかで、結論が変わる。
法的な位置づけ
刑事訴訟法317条が定める証拠裁判主義とは、刑事裁判における犯罪事実の認定を、証拠能力を備え公判廷で適法な証拠調べを経た証拠のみに基づいて行うべきとする原則をいう。裁判官の主観的心証や法廷外の情報による認定を排除し、有罪認定には厳格な証明を要求する刑事手続の基本原則であり、適正手続と恣意的処罰の防止を支える土台に位置づけられる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.取調べでは黙秘権を行使し、安易に自白しない 自白は最強の証拠になりうるが、しなければ検察は他の証拠で厳格な証明を組み立てる必要がある。供述を残す前に弁護人と方針を確認し、認める/認めないを軽率に決めない
- 2.検察請求証拠を精査し、証拠能力に争いのあるものを洗い出す 弁護人とともに、違法収集証拠・伝聞証拠・任意性のない自白など、証拠能力(法廷で使える資格)に疑義のある証拠を特定する。入口で潰せる証拠は317条の『証拠』から永久に外れる
- 3.公判前整理手続で争点と立証の穴を先に突く 争点・証拠を絞り込む段階で、検察立証の弱点(証拠が足りない事実)を先に指摘する。裁判官が厳格な証明の不足を意識した瞬間、攻守が入れ替わる
- 4.証拠調べでは採用前に異議を出し、採用後は信用性を崩す 証拠が法廷に採用される前に証拠能力を争う異議を申し立て、採用後はその証明力・信用性を反対尋問等で崩す。入口で止める方が、採用後に争うより威力が大きい
よくある質問 AI による整理
Q1証拠裁判主義とは何ですか?
犯罪事実の認定を、証拠能力を備え公判で適法に取り調べた証拠のみに基づいて行うべきとする刑事裁判の基本原則です。刑事訴訟法317条が根拠で、裁判官の主観や噂による認定を禁じます。
Q2厳格な証明と自由な証明の違いは?
厳格な証明は証拠能力があり適法な証拠調べを経た証拠を要する証明で、犯罪事実の認定に必要です。自由な証明はその制約がなく、量刑の情状など一部の事項に用いられます。
Q3証拠能力と証明力はどう違いますか?
証拠能力は法廷で証拠として使える資格(入口の問題)、証明力はその証拠が事実を裏づける力の強さ(中身の問題)です。317条の証拠は、まず証拠能力を備える必要があります。
Q4刑事裁判で有罪になる証明の基準は?
合理的な疑いを超える証明が必要です。検察官が立証責任を負い、これに達しなければ「疑わしきは被告人の利益に」により無罪となります(刑訴336条)。
Q5違法に集めた証拠は裁判で使えますか?
重大な違法があれば違法収集証拠排除法則により証拠能力が否定され、317条の「証拠」から外れます。現実に存在しても、法廷では判断材料にできません。
Q6伝聞証拠はなぜ証拠にできないのですか?
反対尋問を経ていない供述は信用性を確かめられないため、刑訴320条で原則排除されます。例外要件(321条以下)を満たさなければ、317条の証拠になりません。
Q7裁判員も証拠だけで判断するのですか?
はい。裁判員も職業裁判官と同じく、事実の認定は証拠によらなければなりません(裁判員法6条)。「なんとなく怪しい」という心証だけで有罪に手を挙げることはできません。
Q8心証だけで有罪にできますか?
できません。裁判官がどれほど有罪を確信しても、それを裏づける適法な証拠が法廷に出ていなければ有罪判決は書けません。これが証拠裁判主義の核心です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1直接証拠がなくて、状況証拠だけでも有罪になりますか?
なりえます。間接証拠(状況証拠)でも、それらが積み重なって合理的な疑いを超える証明に達すれば、317条・318条のもとで有罪認定は可能です。実務のポイント:最高裁は状況証拠による有罪に高いハードルを課しており、「被告人が犯人でないとしたら合理的に説明できない事実関係」が含まれることを要求しています(最判平成22.4.27)。弁護側はこの一点、つまり別の説明が成り立つ余地を示せるかどうかに全力を注ぎます
Q2防犯カメラに映っていたら、それでもう有罪じゃないんですか?
映像があっても自動的に有罪ではありません。その映像が証拠能力を備え、法廷で正式に証拠調べを経て初めて317条の「証拠」になります。さらに「映っているのが本当に被告人か」という同一性が別途争点になります。実務のポイント:画質の粗い映像での人物同定は、弁護側が最も崩しやすいポイントの一つ。服装や歩き方が似ているだけでは合理的な疑いが残り、裁判官は厳格な証明に足りないと判断することがあります
Q3一度自白してしまったら、もう取り返しがつきませんか?
そうとは限りません。自白だけでは有罪にできず(319条2項の補強法則)、独立した補強証拠が必要です。さらに強制・誘導による任意性のない自白は証拠能力自体が否定されます(319条1項)。実務のポイント:取調べでの自白を覆すには、取調べ状況の録音録画(可視化)の開示請求が決定的になることがあります。いつ、どう自白に至ったかの記録が、任意性を争う最大の武器になります(最新の運用状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「自白すればもう有罪は確定」と思い込む人が多いが、317条と319条2項のもとでは、自白だけでは有罪にできない。自白を裏づける独立の証拠(補強証拠)がなければ、たとえ本人が認めても裁判官は有罪を書けない
- 「証拠さえあれば有罪」というのは半分しか合っていない。本当の問題は、その証拠に証拠能力があり、正式な証拠調べを経たかどうかだ。違法に集めた証拠や伝聞証拠は、現実に存在しても法廷では「ないもの」として扱われる。証拠の有無よりも、証拠の資格こそが争点になる
- あなたから見れば「やっていないのだから無罪に決まっている」。だが法廷から見れば、無罪とは「検察官が合理的な疑いを超える証拠を出せなかった」結果にすぎない。あなたは自分の無実を証明する義務を負わないが、検察の証拠を崩せなければ有罪に振れる。この視点の落差が、被告人を内側から追い詰める
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する対象 | 317条:事実認定の足場(証拠能力を備えた証拠に限定) | 318条:証拠の証明力の評価(自由心証主義) 320条:伝聞証拠の証拠能力の原則排除 |
| 問題の局面 | そもそも何を事実認定の材料にできるか(入口) | 採用された証拠をどう評価するか(中身) 供述証拠を証拠にできるかの資格 |
| 自白との関係 | 自白も証拠だが、それだけでは事実認定の足場として不十分 | 319条2項:自白には独立の補強証拠が必要(補強法則) 319条1項:任意性のない自白は証拠能力を否定 |
| 達しないときの帰結 | 厳格な証明が合理的疑いを超えなければ有罪にできない | 336条:犯罪の証明がないときは無罪の判決 335条:有罪判決には証拠の標目を示す義務 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も無罪推定と証拠裁判主義を明文化し、犯罪事実は証拠により認定するとする点で日本と同旨。自由心証は経験則・論理則の制約を受ける
韓国も証拠裁判主義を明文で定め、犯罪事実の認定は証拠によるとする。証拠能力の要件と自由心証の構造は日本と類似する
ドイツは裁判官が公判の全趣旨から得た自由な心証で判断するが、その対象は適法に取り調べられた証拠に限られ、実質的に証拠裁判主義と同様の枠組みを持つ
米国は適正手続条項から『合理的疑いを超える証明』を憲法上の要求とし、連邦証拠規則が証拠能力を規律する。証拠裁判主義に相当する機能を担う
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが満員電車で痴漢に間違われ、被害者の供述だけで起訴されたら? 物的証拠も目撃者もない。それでも裁判官が供述を信用すれば有罪になりうる。317条は「証拠による」と言うが、その供述という証拠の信用性をどう崩すかが勝負になる
- 違法な所持品検査で見つかった覚醒剤。証拠そのものは現実に存在する。だが違法収集証拠排除法則で証拠能力が否定されれば、317条の「証拠」から外れ、無罪につながる
- あなたの息子が傷害事件で逮捕され、起訴まであと数日。検察の手元には被害者の供述と曖昧な防犯カメラ映像だけ。この証拠で「厳格な証明」に届くのか、弁護人と今夜のうちに見極めなければ間に合わない
- 友人が「自白したからもう終わりだ」と落ち込んでいる。だが自白だけでは有罪にできない(319条2項の補強法則)。317条と合わせれば、自白を裏づける独立した証拠がなければ裁判官は有罪を書けないと、あなたは説明できる
- 裁判員に選ばれたあなたが評議室で「なんとなく被告人が怪しい」と感じたとする。だが心証だけで有罪に手を挙げてはいけない。事実の認定は証拠による、この鉄則は職業裁判官だけでなく裁判員にも等しく課される
取るべき行動
被害を受けた側:1. 加害者の処罰を望むなら証拠の保全が最優先。診断書、写真、LINE やメールの記録、目撃者の連絡先を、記憶が新しいうちに確保する2. 供述だけでは厳格な証明に届きにくいことを理解し、客観証拠を一つでも多く警察・検察に提供する3. 起訴後は被害者参加制度(刑訴法316条の33以下)で手続に関与し、証拠調べの状況を把握する
訴えられた側:1. 取調べでは黙秘権を行使し、安易に自白しない。自白は最強の証拠になりうるが、しなければ検察は他の証拠で厳格な証明を組まねばならない2. 弁護人と検察請求証拠を精査し、証拠能力(違法収集・伝聞)に争いのあるものを洗い出す3. 公判前整理手続で争点を絞り、立証の穴を突く4. 証拠調べでは採用前に異議を出して入口で証拠能力を争い、採用後は信用性・証明力を崩す二段構えで戦う
時効(請求できる期限):317条そのものに期限はないが、証拠能力を争う異議は証拠調べの段階、つまり採用前に出さなければ手遅れになりやすい。また犯罪の公訴時効(刑訴法250条、罪により期間が異なる)が経過すれば、そもそも起訴できず事実認定の場に至らない
学説
通説:317条の証拠裁判主義のもと、犯罪事実(構成要件該当事実・違法性・有責性等)の認定には厳格な証明を要し、証拠能力を備え適法な証拠調べを経た証拠によらなければならない。情状など一部の事項は自由な証明で足りるとされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 制定:日本国憲法施行に伴う現行刑事訴訟法の制定。旧刑訴(大正刑訴)に代わり、当事者主義・適正手続を基調とする中で証拠裁判主義(317条)を明文化した。
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