刑事訴訟法 第110条の2
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- 差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒体であるときは、差押状の執行をする者は、その差押えに代えて次に掲げる処分をすることができる。公判廷で差押えをする場合も、同様である。
- 一差し押さえるべき記録媒体に記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写し、印刷し、又は移転した上、当該他の記録媒体を差し押さえること。
- 二差押えを受ける者に差し押さえるべき記録媒体に記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写させ、印刷させ、又は移転させた上、当該他の記録媒体を差し押さえること。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第110条の2は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第110条の2の条文原文は「差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒体であるときは、差押状の執行をする者は、その差押えに代えて次に掲げる処分をすることができる。」で始まります。
- 刑事訴訟法第110条の2は第九章 押収及び捜索に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第110条の2の前の条は刑事訴訟法第110条です。
- 刑事訴訟法第110条の2の次の条は刑事訴訟法第111条です。
- 刑事訴訟法第110条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第110条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第110条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/110_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法110条の2は、差押え対象が電磁的記録の記録媒体であるとき、媒体自体の押収に代えてデータを別媒体に複写して差し押さえる方式を認める規定である。
Q · 会社のサーバーやパソコンにガサ入れの令状が来たら、本体ごと持っていかれるんですか?
原則は媒体ごと押収だが、データ複写での差押えも認められている
刑事訴訟法110条の2により、差押え対象が電磁的記録の記録媒体(パソコン・サーバー・USB・スマホ等)であるとき、捜査官は媒体自体の押収に代えて、必要なデータを別の媒体に複写・印刷・移転し、その複製を差し押さえることができます。被処分者自身に複写させる方式もあります。これにより原本の端末を手元に残せますが、複写するか媒体ごと押収するかは捜査官の裁量であり、被処分者の権利として強制はできません。現場で複写による差押えを明確に求められるかどうかが分岐点になります。
解説
捜査官が令状を手に会社のサーバーへ歩み寄る、その瞬間あなたの頭をよぎるのは「明日から業務が止まる」だ。多くの人はここで端末を丸ごと持っていかれると諦める。だが刑事訴訟法110条の2を知っていれば、別の道をその場で示せる。差し押さえるべき物が電磁的記録の入った記録媒体(パソコン、サーバー、USB、スマホ)であるとき、捜査官はその媒体自体を押収する代わりに、必要なデータを別の媒体に複写、印刷、または移転し、その複製のほうを差し押さえることができる。あなた自身にコピーさせる方式もある。つまり原本の端末を手元に残したまま、捜査は中身だけを持っていける。表向きは捜査を円滑にする規定だが、裏を返せばあなたの事業継続を守る盾になる。ただし条文上はあくまで捜査官の裁量。現場で「データの複製で足りるはずだ」と言えるかどうかが、明日あなたの会社が回るかどうかを分ける。
法的な位置づけ
刑事訴訟法110条の2は、電磁的記録に係る記録媒体の差押えについて、媒体そのものを押収する代わりに、記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写・印刷・移転し、その複製を差し押さえる代替的処分を定める規定である。執行者自身が行う方式(1号)と、被処分者に行わせる方式(2号)の二類型がある。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.令状の差押え目的物欄を真っ先に確認 捜索差押えの令状を呈示されたら、まず差押え目的物の欄を確認する。対象が「記録媒体」であれば、110条の2による複写での差押えを求める余地があると判断できる
- 2.複写による差押えを明確に申し出る 捜査官が原本の媒体に手をかける前に、「事業継続に不可欠なサーバー・端末なので、データの複写による差押えを希望する」と冷静かつ明確に申し出る。執行が始まり原本が押収目録に載ると取戻しは重い手続になる
- 3.対象範囲の限定とハッシュ値記録を求める 複写に応じる場合、被疑事実に関連する記録に範囲を限定し、複製の同一性をハッシュ値で記録するよう求める。無関係な私的データの探索を防ぐ土台になる
- 4.押収目録の交付を受けて記録を残す 複写を断られた場合は理由を確認し、押収目録の交付(刑訴法120条)を受けて、何がどの範囲で押収されたかを記録する。後の不服申立ての証拠になる
- 5.弁護人を選任し還付請求・準抗告を検討 速やかに弁護人を選任し、押収範囲と必要性を点検する。原本が捜査上不要であれば還付・仮還付(123条)を請求し、違法・過剰な押収には準抗告(430条)を申し立てる
よくある質問 AI による整理
Q1電磁的記録に係る記録媒体とは何ですか?
パソコン、サーバー、USBメモリ、スマートフォン、外付けハードディスクなど、電子データを記録する物理的媒体を指します。刑訴法110条の2はこれらに対する差押えの代替方式を定めています。
Q2刑事訴訟法110条の2をわかりやすく説明すると?
ガサ入れで端末を丸ごと持ち去る代わりに、中のデータだけを別の媒体にコピーして差し押さえられる、という制度です。原本を手元に残せる点が事業者・個人の負担を軽くします。
Q3データの複写による差押えは拒否できますか?
複写方式を選ぶかは捜査官の裁量で、被処分者から請求する確立した権利ではありません。逆に複写を希望する旨を申し出ることはでき、断られたら理由を聞いて記録に残すのが現実的な対応です。
Q4会社にガサ入れが来たらサーバーは持っていかれますか?
持ち去られる可能性はありますが、110条の2の複写による差押えを現場で求めれば原本を残せる場合があります。SaaSやプロバイダ等では複写が事実上の原則になっています。
Q5スマホを押収されたら中身は全部コピーされますか?
差押えは令状に記載された事件と関連する範囲に限られます。ただし実務では媒体ごと複写されることも多く、無関係な私的データまで巻き込まれないよう範囲限定を求めることが重要です。
Q6リモートアクセスによる差押えとは何ですか?
刑訴法99条2項により、押収対象の端末からネットワークでつながったクラウド等のデータも複写して差し押さえられる制度です。110条の2の複写方式と組み合わせて運用されます。
Q7押収されたパソコンはいつ返してもらえますか?
捜査上不要になれば還付・仮還付を請求できます(刑訴法123条)。業務に不可欠な端末であれば早期の仮還付を求め、処分に不服なら準抗告(430条)を検討します。
Q8記録命令付差押えと110条の2はどう違いますか?
記録命令付差押え(99条の2)は保管者にデータの作成・提供を命じる方式、110条の2は執行現場で媒体の押収に代えてデータを複写する方式です。対象や場面が異なります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1ガサ入れでパソコンを全部持っていかれたら仕事になりません。データだけコピーしてもらえないんですか?
複写による差押えを求めること自体はできます。刑訴法110条の2は記録媒体そのものの押収に代えて、必要なデータだけを別媒体に複写して差し押さえる方式を認めています。ただし条文上は捜査官の裁量で、あなたの権利として強制はできません。実務のポイント:複製を希望する旨をその場ではっきり述べ、断られたら理由を聞いて記録に残す。後の還付請求(123条)や準抗告(430条)で、原本押収の必要性を争う材料になる。
Q2コピーされたデータ、事件と関係ない私的なものまで全部見られるんですか?
差押えは令状に記載された事件との関連性のある範囲に限られます(刑訴法218条以下)。本来は被疑事実に関係する記録だけが対象で、無関係なデータの探索は許されません。ただし実務では媒体ごと複写されることも多く、線引きが曖昧になりがちです。実務のポイント:複写時にハッシュ値で同一性を記録させ、対象範囲を限定するよう求める。関連性のない押収には準抗告(430条)で争える。早い段階で弁護人を入れ、押収範囲を書面で確認するのが分かれ目。
間違えやすい点 AI による整理
- 「ガサ入れに入られたら機器を丸ごと持っていかれる」と思い込んでいるが、110条の2は媒体そのものの押収に代えて、データを別媒体に複写・印刷・移転して、その複製を差し押さえる方式を認めている。原本を残せる制度が、最初から法律に書き込まれている
- 複写で済むことは何となく知っていても、その深刻な意味までは知らない人が多い。これは捜査官の裁量であって、あなたが請求できる確立した権利ではない。だから現場で言葉にして求められなければ、結局は原本ごと持っていかれる。知っていることと、その場で動けることの間に深い溝がある
- あなたは「データを渡したくない、どう抵抗するか」と考えがちだが、110条の2の2号はあなた自身にコピーさせて複製を差し押さえる方式。協力して複写に応じれば原本が手元に残る。抵抗するという発想そのものが、かえってあなたの事業を止める方向に働く
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処分の方法 | 110条の2:媒体押収に代えてデータを複写・印刷・移転し複製を差押え | 99条2項:差押え対象の電子計算機から接続先の記録をも複写して差押え(リモートアクセス) 99条の2:保管者等に記録の作成・提供を命じる記録命令付差押え |
| 原本の扱い | 原本媒体を手元に残せる(複製を押収) | 対象端末は押収しつつ接続先データを複写 命令により提供されたデータを取得(媒体押収を要しない場面) |
| 実行主体 | 執行者自身(1号)または被処分者に複写させる(2号) | 執行者がリモートアクセスして複写 命令を受けた保管者・管理者が作成・提供 |
| 取戻し・不服 | 還付・仮還付(123条)、準抗告(430条) | 還付(123条)、準抗告(430条) 準抗告(430条) |
他国ではどう定めているか 4 か国
電磁紀錄を含む物の押収方法を定めるが、媒体押収に代える複写を一条で明文化する日本110条の2ほど類型が整理されていない。実務運用で複製対応が行われる
情報保存媒体を押収する際は、原則として記憶された情報の範囲を定めて出力・複製する方式によると定め、日本110条の2と近い思想だが、複製方式を原則とする点でより明確に被処分者保護に傾く
データの保全(Sicherstellung)・押収を認め、§110 Abs.3で電子記録媒体の閲読(Durchsicht)を規律。比例原則の下、必要範囲のデータ複製で足りるとの運用がなされる
電子記憶媒体は現場で押収し、その後に複製・レビューする二段階方式を明文で許容。日本110条の2が現場での複製を想定するのと対照的に、後日のオフサイト解析を前提とする
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし明日の朝、取引先の不正会計の捜査で、あなたの会社が保管する共有サーバーに差押えの令状が来たら? 本体を物理的に持っていかれれば全部署が止まる。だが現場で110条の2の複写を求めれば、原本を残せる可能性がある。判断の猶予は、執行が始まり押収目録に載るまでの数分しかない
- あなたが横領の被疑者として自宅を捜索される。私物のノートPCには仕事のメールも家族の写真も全部入っている。捜査官は端末ごと持ち去ろうとするが、本当に必要なのは特定期間の取引メールだけ。範囲を限定した複写を求められるかどうかで、捜査機関の手に渡る情報量がまるで違ってくる
- プロバイダや SaaS 事業者に、ユーザーの通信記録の差押えが来る。サーバー本体を持っていかれたら全顧客のサービスが止まる。だから実務では110条の2の複写が事実上の原則になっている
取るべき行動
被害を受けた側:1. 令状の差押え目的物欄を確認し、対象が「記録媒体」なら、その場で110条の2に基づくデータ複写での差押えを希望すると明確に申し出る2. 業務に不可欠なサーバー・端末であることを具体的に伝え、複製で足りる理由を述べる3. 断られた場合は理由を確認し、押収目録の交付(刑訴法120条)を受けて記録を残す4. 原本が不要になり次第、還付・仮還付(123条)を請求し、処分に不服なら準抗告(430条)を検討する
訴えられた側:1. 黙秘権を行使しつつ、捜索差押え自体には冷静に対応する。物理的妨害は別罪になりうる2. 私物端末に無関係な個人情報が大量にある場合、被疑事実に関連する記録に限定した複写を求める3. すぐに弁護人を選任し、押収範囲と必要性を点検する4. 違法・過剰な押収があれば準抗告(刑訴法430条)や、公判での違法収集証拠の排除を争う準備をする
時効(請求できる期限):差押処分への不服は準抗告(刑訴法430条)で申し立てる。明確な法定期間はないが、押収状態が続く間は速やかに動くべき。押収物が捜査上不要になれば還付請求(123条)を、業務上必要なら仮還付を求める。証拠能力を争うなら公判前整理手続までに主張を組む
学説
通説:110条の2の複写・印刷・移転方式は捜査官の裁量に委ねられ、被処分者に複写を請求する確立した権利を与えるものではないと解される。もっとも、事業継続等の不利益に照らし、必要性・相当性の判断において複写方式が優先されるべき場面があると説かれる。
改正沿革 AI による整理
- 平成23年(2011年) 情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部改正(サイバー犯罪条約関連の法整備)により新設。電磁的記録に係る記録媒体について、媒体ごとの押収に代えて、データの複写・印刷・移転による差押えを可能にした
改正の年表
- 1.平成23年(2011年) 新設:情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律(サイバー犯罪条約関連の法整備)により新設。電磁的記録に係る記録媒体について、媒体ごとの押収に代えて、データの複写・印刷・移転による差押えを可能にした
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