刑事訴訟法 第111条
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- 差押状又は捜索状の執行については、錠を外し、封を開き、その他必要な処分をすることができる。公判廷で差押え又は捜索をする場合も、同様とする。
- 2.前項の処分は、押収物についても、これをすることができる。
- 3.電磁的記録提供命令(第百二条の二第一項第一号ロに掲げる方法による提供を命ずるものに限る。)により電磁的記録を提供させたときは、当該電磁的記録の内容を確認するための措置をとることその他必要な処分をすることができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第111条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第111条の条文原文は「差押状又は捜索状の執行については、錠を外し、封を開き、その他必要な処分をすることができる。」で始まります。
- 刑事訴訟法第111条は第九章 押収及び捜索に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第111条の前の条は刑事訴訟法第110条の2です。
- 刑事訴訟法第111条の次の条は刑事訴訟法第111条の2です。
- 刑事訴訟法第111条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第111条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第111条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/111
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法111条は、差押状・捜索状の執行で錠をはずし封を開くなど必要な処分を認める規定。権限は執行に必要な範囲に限られ、222条で捜査機関にも準用される。
Q · 警察が捜索に来たら、鍵を壊してでも家の中を開けられるの?
はい、令状があれば必要な範囲で実力で開けられます
刑事訴訟法111条により、差押状・捜索状の執行では、錠をはずし封を開くなど執行に必要な処分ができます。鍵を渡さなくても、捜査員は施錠された扉や金庫を実力でこじ開けられます。ただしこの権限は令状に記載された差押え対象を確保するために必要な範囲に限られ、無関係な場所まで破壊する権限はありません。同条2項で押収物の開封・分解にも及び、222条を通じて捜査機関の捜索差押えにも準用されます。
解説
玄関のドアが叩かれ、捜索差押許可状を示された。あなたが鍵を渡すのを拒んでも、警察官はその場で鍵をこじ開け、金庫を破り、引き出しの封を切ることができる。その根拠が刑事訴訟法111条である。「錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができる」。短い一文だが、令状を一枚握った捜査官に、物理的な障害を実力で突破する権限を与えている。さらに2項で、押収した物そのものについても封を開けたり分解したりできる。あなたが知っておくべきは二つ。第一に、この権限は無制限ではなく「執行に必要な範囲」に縛られる。令状に書かれた差押え対象と無関係な場所まで破壊する権限はない。第二に、この条文は本来は裁判所の令状執行の規定だが、222条を通じて捜査機関の捜索差押えにそのまま準用される。つまり、あなたの家に来る警察の権限の出どころは、ここにある。鍵を壊された後で「やりすぎだ」と争えるかどうかは、この一文の射程を知っているかで決まる
法的な位置づけ
刑事訴訟法111条は、令状執行の必要処分を定める規定である。差押状・記録命令付差押状・捜索状の執行において、錠をはずし、封を開き、その他執行に必要な処分をすることができる旨を規定し、同様の権限を押収物についても認める。222条の準用により捜査機関の強制処分の根拠ともなる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.令状の記載範囲をその場で確認・撮影 捜索差押許可状を示されたら、まず「捜索すべき場所」と「差押えるべき物」の記載を確認し、可能なら撮影する。後で過剰執行を争うとき、最初に範囲を明示させた事実が決定的な足場になる
- 2.抵抗せず立会権を行使し損壊を記録 物理的妨害は公務執行妨害罪(刑法95条)になりうるため抵抗はしない。立会権(刑訴113・114条)を行使し、どこを開け何を壊したか、誰がいつ行ったかを逐一見て記録を求める
- 3.範囲逸脱には口頭異議を述べ氏名を控える 令状記載の範囲を明らかに超える場所の破壊・捜索には、その場で口頭異議を述べ、捜査員の氏名・所属を控える。異議を述べた事実を記録に残させる
- 4.押収後に準抗告・国家賠償を検討 範囲逸脱や過剰な損壊があったと考えるなら、弁護人に連絡のうえ、押収に関する準抗告(刑訴430条)や、損害について国家賠償法1条の請求を検討する
よくある質問 AI による整理
Q1捜索差押許可状とは何ですか?
裁判官が発付し、特定の場所を捜索し対象物を差し押さえる権限を認める令状です。「捜索すべき場所」と「差押えるべき物」が記載され、捜査員はその範囲内でのみ執行できます。
Q2家宅捜索はどこまで調べられますか?
令状の「捜索すべき場所」と「差押えるべき物」の記載範囲に限られます。覚醒剤の令状なら薬物が入りうる場所まで、書類の令状なら書類のある場所までで、無関係な区画は対象外です。
Q3深夜や早朝でも家宅捜索はできますか?
原則として日出前・日没後の執行は制限されますが、令状に夜間執行の記載があれば可能です(刑訴116条)。早朝に踏み込まれる場合は令状の記載を確認しましょう。
Q4記録命令付差押えとは何ですか?
電磁的記録の保管者に必要な記録を記録媒体へ記録・印刷させて差し押さえる処分です。平成23年改正でサイバー犯罪対策として新設され、111条の対象にも追加されました。
Q5捜索差押えに立ち会えますか?
立ち会えます。住居主や管理者、これらに代わる者の立会いが定められ(刑訴113・114条)、執行の公正を確保します。何をどこまで開けたかを見て記録を求められます。
Q6捜索処分に不服があるとき準抗告はできますか?
できます。押収に関する裁判所・捜査機関の処分には準抗告(刑訴430条)で不服を申し立てられます。範囲を逸脱した押収の取消しを求める手段になります。
Q7刑事訴訟法222条と111条の関係は?
111条は本来、裁判所が行う差押え・捜索の執行規定です。222条がこれを捜査機関の捜索差押えに準用するため、警察の権限の根拠は111条+222条の二段構えになります。
Q8違法な捜索で得られた証拠は使えますか?
重大な違法があり、これを証拠とすることが将来の違法捜査抑制の見地から相当でない場合、違法収集証拠排除法則により証拠能力が否定される余地があります。執行時の記録が鍵です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1警察が家に来たとき、鍵を開けるのを拒否したら罪になりますか?
鍵を渡さないこと自体は罪になりませんが、捜査員は111条により実力で錠をはずせるので、拒否しても結局開けられます。ただしドアの前に立ちはだかる、工具を奪うなど物理的に妨害すると公務執行妨害罪(刑法95条)になりえます。実務のポイント:弁護士は「抵抗するな、ただし全部見て記録しろ」と助言します。抵抗は新たな罪を生むだけで何も得しない。一方、立会いながら執行範囲を観察し記録した事実は、後で違法を争うときの唯一の証拠になる。黙って見るのではなく、見て覚えて記録させるのが正解です
Q2捜索で玄関や金庫を壊されたら、修理代は誰が払うんですか?
適法な令状執行に必要な範囲での損壊は受忍義務があり、原則として国に修理代を請求できません。これは令状主義の下で認められた強制処分の代償と理解されています。ただし令状の範囲を超えた過剰な破壊であれば、国家賠償法1条で損害賠償を請求できる余地があります。実務のポイント:争点は『壊されたか』ではなく『その破壊が令状執行に必要だったか』の一点。だからこそ、執行時に何をどの順で壊したかを立会人が記録しているかどうかが、賠償の可否を分ける。壊された後に怒っても遅い、壊される過程を見ておくことが勝負です
Q3スマホやパソコンのパスワードを言えと言われたら、従わないといけませんか?
111条で端末を物理的に開封・解析することはできますが、あなた自身にパスワードを供述させて解錠を強制できるかは、自己負罪拒否特権(憲法38条)との関係で実務上、解釈が分かれている論点です。明文の供述強制規定はないため、黙秘する余地があると考える見解が有力です。実務のポイント:捜査員は『協力した方が心証がいい』と促してきますが、デジタル機器のパスコードは供述証拠に近く、安易に教えると不利な情報まで芋づる式に出る危険がある。この場面こそ、答える前に弁護人を呼ぶべき分岐点です
間違えやすい点 AI による整理
- 「令状があれば警察は何でも壊して家中をひっくり返せる」と思われているが、111条の権限は令状記載の差押え対象を発見・確保するために必要な範囲に限られる。覚醒剤の令状で、薬物が入るはずのない封筒の束を片端から破る行為は、必要性を欠き違法と評価されうる。範囲という限界を知らないと、過剰執行を黙って受け入れることになる
- 111条は「警察が来たときの話」と思われがちだが、条文本体は裁判所が公判廷等で行う差押え・捜索の執行規定であり、警察の捜査に適用されるのは222条の準用を経由してのこと。この二段構えを知っていると、捜査段階の処分の適法性を、本来の規定とその準用範囲の両面から検証できる
- 「鍵をこじ開けられたら、その破壊は全部泣き寝入り」と諦めている人が多いが、適法な範囲の損壊は受忍義務がある一方、範囲を逸脱した破壊は別。問題は破壊の有無ではなく、それが令状執行に必要だったかという一点。立会い時に何をどう壊したかを記録させておくことが、後の唯一の武器になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 111条:執行に必要な処分(錠・封の突破)の権限付与 | 110条:執行前の令状提示義務 222条:捜査機関への準用規定 |
| 行使される場面 | 施錠・封印など物理的障害があるとき | 執行に着手する前段階 捜査機関が捜索差押えを行うとき |
| 限界・歯止め | 「執行に必要な範囲」に限定 | 提示なき執行は手続違反 準用先でも111条の範囲制約が及ぶ |
他国ではどう定めているか 4 か国
搜索・扣押の執行において鎖扃を開き封緘を開く等の必要な処分を認める点で日本111条とほぼ同型。範囲限定の考え方も共通する
圧収・搜索令状の執行に伴い錠の解錠等の必要な処分を認める。日本法と立法構造が近く、立会いと事後不服の枠組みも類似する
捜索は原則裁判官の命令を要し、執行に伴う物理的措置も比例原則の下で許容される。令状主義と比例性による統制が日本の「必要な範囲」に対応する
令状による捜索差押えで、執行に伴う合理的な実力行使(施錠の破壊等)が認められるが、第4修正の合理性審査と排除法則が統制する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 早朝、自宅に捜査員が来て覚醒剤所持の捜索差押許可状を示した。あなたが「鍵は渡さない」と言っても、捜査員は施錠されたクローゼットを工具でこじ開けられる。ただし令状の対象が「居室内の薬物」なら、隣家や車庫まで壊す権限はない。どこまでが適法かを知っているかどうかで、後の証拠排除の主張が変わる
- 会社に税関や捜査機関の差押えが入り、サーバールームの施錠されたラックを開けるよう求められた。封印されたキャビネットの封を切る行為も111条の「封を開き」に含まれる。立会人として、対象外の区画まで開けられそうになったら、その場で「令状の範囲外では」と異議を述べ、記録に残させる
- もし、あなたが差押えを受けたスマートフォンのロック解除を拒んだら、どうなるか。端末そのものを物理的に開封・解析する行為は111条2項の押収物への処分に含まれうるが、あなたにパスコードを言わせる強制までは別問題。自己負罪拒否特権との境界は実務で見解が分かれている領域だ
- あなたが賃貸物件の大家で、入居者の部屋に捜索が入った。捜査員が玄関の鍵をこじ開けて壊した。この破壊費用は誰が負担するのか。適法な令状執行による損壊は原則として国家賠償の対象にならない。だが範囲を逸脱した過剰な破壊なら、国家賠償法1条で争う余地が出てくる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 捜索差押許可状を示されたら、まず「差押えるべき物」「捜索すべき場所」の記載をその場で確認し、可能なら撮影2. 抵抗はせず、しかし立会い権(刑訴113、114)を行使し、どこを開け何を壊したかを逐一見て記録を求める3. 令状記載の範囲を明らかに超える場所の破壊・捜索には、その場で口頭異議を述べ、捜査員の氏名・所属を控える4. 範囲逸脱や過剰な損壊があったと考えるなら、押収後に準抗告(刑訴430)や、損害について国家賠償法1条の請求を検討する
訴えられた側:1. 執行を物理的に妨害すると公務執行妨害罪(刑法95条)に問われうるので、抵抗ではなく手続的な異議で対抗する2. 弁護人に直ちに連絡し、令状の記載範囲と実際の執行範囲のズレを早期に検証してもらう3. 押収された物のうち令状対象外のものがあれば、その押収の適法性を準抗告で争う4. 違法な範囲での捜索で得られた証拠は、後の公判で証拠排除(違法収集証拠排除法則)を主張する余地がある、執行時の記録がその生命線になる
時効(請求できる期限):捜索差押えの処分そのものに固有の出訴期間はないが、押収に関する不服は準抗告(刑訴430条)で争い、実務上は速やかな申立てが求められる。国家賠償請求は損害および加害者を知った時から3年、行為時から20年(国家賠償法4条、民法724条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:111条の「必要な処分」は、令状執行の目的達成に客観的に必要な範囲に限定され、必要性・相当性の枠を超える破壊や捜索は違法と評価される。222条による捜査への準用後も、この範囲制約はそのまま妥当するとされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成23年(2011年)情報処理高度化等対処刑事法改正 サイバー犯罪対策として『記録命令付差押え』制度が新設され、本条の対象に『記録命令付差押状』が追加された。電磁的記録の差押えに対応するための改正であり、本条自体の権限の性質は維持された
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定により、令状執行に伴う必要な処分の権限を規定。戦前の手続を憲法35条の令状主義の下で再編した。
- 2.平成23年(2011年) 改正:情報処理高度化等対処刑事法改正により記録命令付差押え制度が新設され、本条の対象に記録命令付差押状が追加された。電磁的記録の差押えに対応する改正で、権限の性質自体は維持された。
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