受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 最終改正 収録時点 令和8年10月23日読了 7 分7 分7 分

刑事訴訟法 第350条の19

クイックジャンプ

検察官は、即決裁判手続の申立てをした事件について、被告人又は弁護人に対し、第二百九十九条第一項の規定により証拠書類を閲覧する機会その他の同項に規定する機会を与えるべき場合には、できる限り速やかに、その機会を与えなければならない。

この条文の基本情報

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 刑事訴訟法第350条の19は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
  2. 刑事訴訟法第350条の19の条文原文は「検察官は、即決裁判手続の申立てをした事件について、被告人又は弁護人に対し、第二百九十九条第一項の規定により証拠書類を閲覧する機会その他の同項に規定する機会を与え…」で始まります。
  3. 刑事訴訟法第350条の19は第二編 第一審に置かれています。
  4. 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
  5. 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月23日時点では廃止情報はありません。
  6. 刑事訴訟法第350条の19の前の条は刑事訴訟法第350条の18です。
  7. 刑事訴訟法第350条の19の次の条は刑事訴訟法第350条の20です。
  8. 刑事訴訟法第350条の19には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の19
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131
  • 本サイト収録刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第350条の19(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月23日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/350_19

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点刑事訴訟法350条の19は、即決裁判を申し立てた検察官に対し、被告人・弁護人へ証拠書類を閲覧する機会をできる限り速やかに与える義務を課す規定である。

Q · 即決裁判を勧められたとき、同意する前に証拠を見せてもらえるの?

はい、検察官は速やかに証拠閲覧の機会を与える義務があります

刑事訴訟法350条の19により、検察官が即決裁判手続を申し立てた事件では、被告人や弁護人に対し、299条1項所定の証拠書類を閲覧する機会を「できる限り速やかに」与えなければなりません。これは同意の意思を固める前に証拠を確認させる趣旨です。即決裁判の判決は事実誤認を理由に控訴できない(403条の2)ため、証拠を見ないままの同意は安全網を自ら外す行為になります。

解説

覚醒剤の自己使用、万引き、無免許運転。事実関係が明白で軽い事件で逮捕されると、検察官から「即決裁判手続」を勧められることがある。一日で審理が終わり、懲役(2025年6月からは拘禁刑)でも必ず執行猶予が付く、被告人にとって一見ありがたい制度だ。だが落とし穴がある。即決裁判で下された判決は、事実誤認を理由に控訴できない(403条の2)。「本当はやっていないのに認めてしまった」を後から覆せないということだ。だからこそ刑事訴訟法350条の19は、検察官に対し、即決裁判を申し立てた事件では、被告人や弁護人に証拠書類を閲覧する機会(299条1項の機会)を「できる限り速やかに」与えよと命じている。証拠を見ないまま同意するのは、目隠しのまま取引書にサインするのと同じ。あなたが手元のカードを確認してから賭けに乗るための時間を、この一行が保証している。

法的な位置づけ

刑事訴訟法350条の19は、即決裁判手続の申立て事件における検察官の証拠開示義務を定める規定である。検察官は、被告人又は弁護人に対し、299条1項所定の証拠書類を閲覧する機会その他の機会を与えるべき場合には、できる限り速やかにこれを与えなければならない。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.即決裁判を勧められたらまず弁護人を確認・選任 検察官や捜査官から即決裁判を打診されたら、その場で同意せず、弁護人がいるかを確認する。いなければ国選弁護人の選任を求める。証拠の証明力を読み解くには専門知識が必要で、即決裁判では原則として弁護人が必須とされる
  2. 2.同意の前に証拠書類の閲覧を請求 弁護人を通じ、299条1項・350条の19に基づく証拠書類の閲覧機会を、同意の意思表示をする前に与えるよう求める。開示が遅れる場合は検察官・裁判所に開示を急がせ、判断の時間を確保する
  3. 3.開示証拠を精査し争点の有無を判断 供述調書・客観証拠・鑑定書などを弁護人と検討し、自白の任意性や客観証拠との整合を点検する。防犯カメラ映像や鑑定に争う余地がないかを具体的に確認する
  4. 4.争う余地があれば同意を拒否し通常公判を選ぶ 少しでも事実に争いがあれば即決裁判への同意を留保・拒否し、通常の公判手続を選択して控訴の道を残す。客観証拠が薄ければ検察官に処分の再検討(起訴猶予・訴因見直し)を促す

よくある質問 AI による整理

Q1即決裁判手続とは何ですか?

事実関係が明白で軽微な事件を一日で審理し、判決を下す簡易な刑事手続です。検察官の申立てと被告人の同意が前提で、懲役・拘禁刑には必ず執行猶予が付きます。

Q2即決裁判に同意するとどうなりますか?

原則として一日で審理が終わり、実刑が回避されます。一方で事実誤認を理由とする控訴ができなくなるため(403条の2)、事実を争う権利を手放すことになります。

Q3即決裁判は控訴できますか?

量刑不当などは控訴できますが、事実誤認を理由とする控訴はできません(403条の2)。「本当はやっていない」を後から覆せない点が最大の注意点です。

Q4即決裁判の証拠開示はいつ受けられますか?

350条の19により「できる限り速やかに」与えられます。実務上は同意の打診と同時か直後になりがちなので、同意前の前倒し開示を求めるのが重要です。

Q5即決裁判のデメリットは何ですか?

事実誤認を理由とする控訴ができないこと、証拠を十分検討せず同意しやすいことです。冤罪や争点のある事件では不利益が大きくなります。

Q6即決裁判はどんな事件で使われますか?

覚醒剤・大麻の自己使用、万引き、無免許運転など、事実関係が明白で比較的軽い事件で多く用いられます。死刑・無期等の重大事件は対象外です。

Q7即決裁判で執行猶予は必ず付きますか?

懲役・禁錮(2025年6月からは拘禁刑)を言い渡す場合は必ず執行猶予を付さなければなりません。実刑回避が制度の大きな利点です。

Q8即決裁判の同意は撤回できますか?

判決前の一定段階までは同意の撤回や手続の取消しが認められる場面がありますが、一度判決が確定すると控訴制限が及びます。早めに弁護人と相談すべきです。

この条文についての質問 AI による整理

Q1即決裁判って、普通の裁判より刑が軽くなるんですか?

刑そのものが軽くなるわけではありません。即決裁判で懲役・禁錮(2025年6月から拘禁刑)を言い渡す場合は必ず執行猶予を付けなければならず、実刑を回避できるのが最大の利点です。ただし事実誤認を理由とする控訴ができなくなります(403条の2)。実務のポイント:弁護士は客観証拠が固い事件なら即決裁判を勧めますが、証拠が薄い事件ではあえて同意せず通常公判で争う方が無罪・不起訴の可能性が残る。350条の19の証拠開示は、その見極めのためにある

Q2弁護士をつけずに即決裁判の証拠を見ても、意味ありますか?

閲覧の機会自体は被告人本人にも与えられます(350条の19、299条1項)が、証拠の証明力や穴を読み解くには専門知識が要ります。だから即決裁判では原則として弁護人が必要とされ、いなければ国選弁護人が付きます。実務のポイント:開示は「できる限り速やかに」と書かれているのに、実務では同意の打診と同時か直後になりがち。弁護人を通じて、同意の意思を固める前に開示を前倒しさせるよう積極的に求めるのが、後悔しないコツ

間違えやすい点 AI による整理

  • 即決裁判で証拠開示を受けられること自体は知っていても、その開示が「できる限り速やかに」、つまり同意の意思を固める前でなければ意味がないことを見落としている。同意した後に証拠を見ても、控訴制限の壁はもう動かせない
  • 「即決裁判に同意すれば刑が軽くなるか」と問う人が多いが、問いの立て方そのものが誤っている。即決裁判は刑を軽くする制度ではなく、必ず執行猶予が付くという保証と引き換えに、事実を争う権利と控訴の機会を手放す取引だ。争う余地のある事件では、同意しない方が得なこともある
  • 「証拠開示は弁護人がいないと請求できない」と思われがちだが、350条の19は検察官側の義務であり、被告人本人にも閲覧の機会が与えられる。ただし証拠の証明力を読み解くには弁護人が要る、だから即決裁判では原則として弁護人が必須とされる(弁護人に関する規定の条番号は最新版をご確認ください)
比較の観点この条文ほかの条文
規律する内容350条の19:検察官の証拠開示義務(即決裁判事件)299条:証拠調べ請求前の証拠書類閲覧機会付与の原則
403条の2:即決裁判判決への事実誤認控訴の制限
タイミング・趣旨同意の前に「できる限り速やかに」開示し判断材料を保障通常手続で証拠調べ請求の前に閲覧機会を付与
判決確定後、事実誤認を理由とする控訴を封じる
被告人への効果同意前に手札を確認でき、争点があれば同意を拒否できる防御の準備として証拠内容を把握できる
争う権利と引き換えに迅速・必要的執行猶予を得る代償

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
中華民国刑事訴訟法 第273條之1(簡式審判程序)・第33條(閱卷權)

台湾も簡式審判程序で被告の認否を前提とし、証拠閲覧権(閱卷權)を別途保障する。手続の簡略化と防御権の確保を両立させる点で日本と問題意識が近い。

韓国
대한민국 형사소송법 제286조의2(간이공판절차)

韓国の簡易公判手続も被告人の自白を前提に証拠調べを簡略化する。証拠の事前確認をどこまで保障するかが争点となる点は日本と共通する。

ドイツ
StPO §§ 417 ff.(beschleunigtes Verfahren)

ドイツの簡易迅速手続も軽微・明白な事件を対象とするが、被告人の防御準備と証拠アクセスの保障が前提とされる。

アメリカ
Brady v. Maryland, 373 U.S. 83 (1962) / Fed. R. Crim. P. 11

米国では有罪答弁(plea)の前提として、検察官に有利証拠の開示義務(Brady 義務)が及ぶ。迅速処理と証拠開示の緊張関係は日本の即決裁判と構造が似る。

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 万引きで現行犯逮捕された。検察官が即決裁判を申し立て、同意すれば明日にも執行猶予で帰れると言う。でも防犯カメラに本当に自分が映っているのか、まだ誰も見せてくれない。署名する前に、それを確認できるのか?
  • 勾留期限まであと二日。弁護人から「即決裁判に同意するか今日中に返事を」と迫られている。証拠開示を求める時間は残されているのか、それとも見切り発車で同意するしかないのか、頭が真っ白になる
  • 条文は「速やかに」と言う。だが検察官が開示を渋ったら。そのときは弁護人を通じて、299条1項の閲覧機会の付与を正式に要求できる
  • あなたの友人が軽い事件で逮捕され、家族から「即決裁判に同意していいか」と相談を受けた。あなたが伝えるべき一言は、同意の前に必ず証拠を見せてもらえ、ということだ

取るべき行動

被害を受けた側:1. 同意の意思表示をする前に、弁護人を通じて299条1項・350条の19に基づく証拠書類の閲覧を請求する2. 開示された証拠(供述調書、客観証拠、鑑定書)を精査し、争う余地があるか弁護人と検討3. 少しでも事実に争いがあれば即決裁判への同意を拒否し、通常の公判手続を選ぶ。控訴の道を残すため4. 証拠開示が遅れて同意期限に間に合わないなら、検察官・裁判所に開示を急がせ、判断時間を確保するよう求める

訴えられた側:1. 事実を争わず早期解決を望む場合でも、同意の前に必ず証拠を一通り確認し、自白の任意性と客観証拠との整合を点検2. 即決裁判のメリット(必要的執行猶予、迅速)とデメリット(事実誤認での控訴不可、403条の2)を弁護人と天秤にかける3. 同意するなら内容を理解した上で書面で4. 同意後に新証拠が出ても覆せないことを前提に、開示証拠だけは徹底的に見ておく

時効(請求できる期限):即決裁判手続の証拠開示自体に固有の期限はないが、条文は「できる限り速やかに」と定める(350条の19)。実務上、被告人が同意するか否かを判断する前に開示を受けることが決定的。勾留中なら勾留期限(逮捕から最大23日)内に同意の可否が問われるため、その前に開示を求める必要がある

学説

通説:350条の19の証拠開示は、被告人が即決裁判に同意するか否かを判断するための前提条件であり、同意前の速やかな開示が手続の適正を担保すると解される。控訴制限(403条の2)と表裏の関係で理解される。

改正沿革 AI による整理

改正の年表

  1. 1.平成16年(2004年) 新設:裁判の迅速化の一環として即決裁判手続が導入され、その中で検察官の速やかな証拠開示義務(本条)が定められた。2006年から施行。

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

刑事訴訟法の全文を見る所属する編章節を開く:第二編 第一審

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›