少年法 第9条(調査の方針)
クイックジャンプ
前条の調査は、なるべく、少年、保護者又は関係人の行状、経歴、素質、環境等について、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的智識特に少年鑑別所の鑑別の結果を活用して、これを行うように努めなければならない。
この条文の基本情報
調査の方針とは何ですか?
定義調査の方針とは、少年法第9条に定められた規定で、「前条の調査は、なるべく、少年、保護者又は関係人の行状、経歴、素質、環境等について、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的智識特に少年鑑別所の鑑別の結果を活用…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 少年法第9条(調査の方針)は、日本の少年法に含まれる条文です。
- 少年法第9条の条文原文は「前条の調査は、なるべく、少年、保護者又は関係人の行状、経歴、素質、環境等について、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的智識特に少年鑑別所の鑑別の結果を活用…」で始まります。
- 少年法第9条は第三節 調査及び審判に置かれています。
- 少年法の公布日は昭和23年7月15日です。
- 少年法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 少年法第9条の前の条は少年法第8条です。
- 少年法第9条の次の条は少年法第9条の2です。
- 少年法第9条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第9条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000168 - 本サイト収録
少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第9条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000168/9
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点少年法9条は、家庭裁判所の調査を少年・保護者・関係人の行状や環境にまで広げ、医学・心理学等の専門的知識と少年鑑別所の鑑別結果を活用して行うよう定める。
Q · 少年事件で家庭裁判所は、子ども以外に何を調べるの?
親や家庭環境、学校・交友関係まで調査対象になる
少年法9条は、家庭裁判所の調査を少年本人だけでなく保護者や関係人にも及ぼし、その行状・経歴・素質・環境等を、医学・心理学・教育学・社会学などの専門的知識、特に少年鑑別所の鑑別結果を活用して行うよう求めています。家裁調査官がまとめる社会記録と処遇意見は、審判不開始・不処分・保護観察・少年院送致といった判断の重要な材料になります。
解説
少年事件の結論を大きく動かすのは、審判廷での裁判官の一言ではない。その数週間前から積み上がる「社会記録」(家裁調査官がまとめる、少年の生い立ちと家庭環境の報告書)である。少年法9条は、家庭裁判所の調査を「非行の事実」だけにとどめず、少年の行状・経歴・素質・環境まで、医学・心理学・教育学・社会学の専門知識を使って行うよう求めている。特に重視されるのが少年鑑別所の鑑別結果(心理検査、面接、行動観察をもとにした専門的な見立て)だ。見落とされやすいのは、条文の調査対象に「保護者又は関係人」がはっきり書かれている点である。調べられるのは子ども一人ではない。親の監督の実情、家庭の雰囲気、学校や職場との関係まで含まれる。同じ万引きでも、家庭に立て直す力があると評価されれば審判不開始や不処分で終わる可能性があり、評価されなければ保護観察や少年院送致の検討へ進む。調査官との面接は取調べではないが、「相談の場」だとだけ思って臨むと足をすくわれる。その場で語った内容が、処遇意見(どんな処分が適当かという調査官の意見)の材料になるからだ。
法的な位置づけ
少年法第9条は、家庭裁判所が行う少年保護事件の調査の方針を定める規定である。調査対象を少年本人に限らず保護者・関係人にまで広げ、その行状・経歴・素質・環境等を、医学・心理学・教育学・社会学その他の専門的知識、特に少年鑑別所の鑑別結果を活用して明らかにするよう、努力義務の形で求めている。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.呼出状の内容と日程を確認する 家庭裁判所からの呼出状で、出頭日時・持ち物・保護者同行の要否を確認する。都合が悪ければ、無断欠席せず早めに担当調査官へ電話で日程変更を相談する
- 2.付添人(弁護士)に相談する 弁護士会の当番付添人制度や法律相談を利用し、付添人の選任を検討する。調査官との面談を通じて処遇意見が固まる前に家庭の改善材料を届けてもらえる
- 3.家庭の監督計画を書面にまとめる 帰宅時間、スマホの利用ルール、交友関係の整理、学校・職場との連携、相談先などを具体的に一枚の書面にまとめ、すでに実行に移している取組みを明記する
- 4.調査官面接に臨む 面接では愚痴や諦めではなく、事実関係と今後の具体策を中心に話す。発言は報告書の材料になりうることを意識し、用意した監督計画書を提出する
- 5.鑑別期間中の面会と環境調整を続ける 観護措置で鑑別所に入っている場合は面会と手紙を続け、子どもの内省を支える。並行して転居・転校・就労先確保などの環境調整を進め、進捗を付添人経由で共有する
よくある質問 AI による整理
Q1家裁調査官とは何をする人ですか?
家庭裁判所に所属し、心理学・社会学などの専門知識を使って少年や家庭の状況を調べる職員です。調査結果を報告書にまとめ、処遇意見を裁判官に提出します。
Q2少年事件の社会調査とは何ですか?
非行事実そのものではなく、少年の生い立ち・性格・家庭・学校・交友関係などを調べる調査です。少年法9条が方針を定め、結果は社会記録として綴られます。
Q3家庭裁判所の呼出しを無視したらどうなる?
正当な理由なく呼出しに応じないと、同行状により強制的に連れて来られる場合があります(少年法11条)。日程が合わなければ早めに調査官へ連絡を。
Q4少年鑑別所の鑑別では何をする?
鑑別技官による面接、知能・性格などの心理検査、日常の行動観察を行い、非行の背景や処遇の見立てをまとめます。結果は審判前に家庭裁判所へ送られます。
Q5家裁調査官の面接は何回ある?
事案によりますが、少年本人・保護者との面接が1回から数回行われるのが一般的です。家庭訪問や学校への照会が加わることもあります。
Q6審判不開始とはどういう意味?
調査の結果、審判を開く必要がないと家庭裁判所が判断して手続を終えることです(少年法19条)。軽微な事案で家庭の立て直しが見込まれる場合に多く見られます。
Q7少年事件の調査は在宅でも行われる?
行われます。鑑別所に入らない在宅事件でも、少年と保護者が家庭裁判所に呼ばれ、調査官の面接を受けます。必要に応じて在宅のまま鑑別を受けることもあります。
Q8家裁調査で親の仕事や離婚歴も聞かれる?
聞かれることがあります。少年法9条は保護者の行状や家庭環境も調査対象としており、勤務形態や家族構成は監護能力を評価する材料になりえます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1調査官の面接で、親はぶっちゃけ何を話せばいいんですか?
調査官が知りたいのは謝罪の深さより、家庭にこの子を立て直す力があるかどうかです。少年法9条と少年審判規則11条は、家庭と保護者の関係や境遇、非行に至った経過を調べるよう求めています。実務のポイント:口頭で「これから気を付けます」と言うより、帰宅時間、スマホの管理、相談先などの監督計画を一枚の書面にして渡す方が、報告書にそのまま反映されやすいです
Q2鑑別所に入れられた時点で、もう少年院行きが決まったようなものですか?
決まっていません。観護措置(少年法17条)は審判までの身柄の確保と鑑別のための手続で、処分ではありません。鑑別所を経た後に保護観察や試験観察(25条)で家に戻るケースは珍しくありません。実務のポイント:鑑別所での生活態度や面会時の様子も観察の対象になりえます。面会に足を運び続けることは、子どもを支えるのと同時に、家庭に受け皿があることを示す材料にもなります
Q3調査官が書いた報告書って、親や弁護士は読めるんですか?
付添人は、審判開始決定の後、社会記録を含む記録を閲覧できます(少年審判規則7条2項)。実務のポイント:実務では、社会記録のコピー(謄写)は認められないことが多く、閲覧してメモを取る形が一般的です。付添人が審判前に読み込み、事実誤認があれば意見書で正すことが重要で、何もしないまま審判当日を迎えるのは損です
間違えやすい点 AI による整理
- 「やったことが軽いのだから処分も軽いはず」と考えがちだが、少年審判では非行事実と並んで「要保護性」(放っておけば再び非行に走るおそれと、それを保護処分で改善できる見込み)が判断の中心になる。軽微な非行でも、環境が崩れていると評価されれば重い処遇が検討されうるし、逆のこともある
- 親の目には、家裁調査官は子どもの話を親身に聞いてくれる相談相手に見える。法の目から見れば、調査官は裁判官に報告書と処遇意見を出す立場の人である。親身に聞いてくれることと、聞いた内容が記録されることは両立する。この落差に気付かないまま面接で愚痴や諦めを並べると、それがそのまま「家庭の状況」として書類に残る
- 鑑別所の心理検査は形式的なアンケート程度だと軽く見られがちだが、本条は鑑別結果の活用をわざわざ名指ししている。鑑別結果通知書は審判の判断材料として重く扱われ、少年院送致になった場合はその後の処遇にも引き継がれていく
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 少年法9条:調査の方針(何をどう調べるか) | 少年法8条:調査の開始と調査官への調査命令 少年法17条:観護措置(鑑別所送致と期間) |
| 対象 | 少年・保護者・関係人の行状、経歴、素質、環境等 | 家庭裁判所に係属した少年事件そのもの 身柄の確保と鑑別が必要な少年 |
| 法的性格 | 努力義務(なるべく〜努めなければならない) | 家庭裁判所の調査義務 裁判所の決定による身体拘束を伴う措置 |
| 親への影響 | 家庭環境・監護能力が評価対象になる | 調査官からの呼出し・面接の起点となる 原則2週間、更新で4週間前後子どもと離れる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾でも少年調査官が少年の品格・経歴・身心状況・家庭情形・社会環境・教育程度等を調査する。日本と同様、行為だけでなく環境全体を見る構造
韓国少年法は日本とほぼ同趣旨の「調査方針」規定を置き、専門的知識を活用して少年と保護者の品行・経歴・環境を明らかにするよう努めると定める
ドイツ少年裁判所法は、少年の生活・家庭関係、成長歴、これまでの行状など人格評価に資する事情の調査を求め、少年審判補助(Jugendgerichtshilfe)が関与する
米国の少年裁判所では、プロベーション・オフィサーが処分決定前に家庭・学校・生育歴を調査した報告書を作成するのが一般的。州ごとに手続は異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 高校2年の息子が万引きで補導され、数か月後に家庭裁判所から調査の呼出状が届いた。封筒には「保護者も同行のこと」とある。親は何を準備して行けばいい? 反省文だけ持って行く家庭と、スマホの利用ルール・帰宅時間の管理方法・学校との連携計画をまとめた書面を持って行く家庭とでは、調査官の報告書に書かれる「保護者の監護能力」の欄がまるで違ってくる
- 娘が観護措置で少年鑑別所に入った。期間は原則2週間で、多くは更新されて4週間前後で審判を迎える。その間に鑑別技官(少年鑑別所の心理専門職)の面接と心理検査が進み、結果は審判前に裁判所へ届く。残された時間は長くない。面会に何回行き、何を話すか、今週中に決めておく必要がある
- 面接の場で父親が「正直もう手に負えない、施設で鍛え直してほしい」と口にした。本音をこぼしただけのつもりでも、その一言は「家庭に受け皿がない」という評価の材料になりうる
- あなたは被害者の親だ。加害少年の処分が「軽すぎる」と感じても、少年法の調査が見ているのは行為の重さだけではない。被害者として意見を述べる手続(少年法9条の2)を使えるかどうか、まず家庭裁判所に確認する
取るべき行動
被害を受けた側:1. 被害の内容と今の心情を時系列で書き出しておく2. 家庭裁判所に、被害者等の意見聴取(少年法9条の2)の申出ができるか確認する3. 記録の閲覧・謄写(5条の2)も申し出られる。ただし、少年の保護の必要性を判断するために集めた社会記録は対象外である点を理解しておく4. 損害の回復は民事(民法709条、714条の監督義務者責任)という別の手続で動かす
訴えられた側:1. 早い段階で付添人を選任する(少年法10条)。当番付添人制度を用意している弁護士会もある2. 調査官面接の前に、家庭の監督体制・交友関係・通学や就労の計画を書面にまとめる3. 鑑別所に入っているなら面会と手紙を続け、子ども本人の内省を支える4. 観護措置決定に不服があれば、付添人と相談のうえ異議申立て(17条の2)を検討する5. 面接での発言は記録されうることを念頭に置き、事実と今後の具体策を中心に話す
時効(請求できる期限):調査そのものに時効はない。身体拘束を伴う観護措置は原則2週間、更新は原則1回まで。一定の重大事件で特に必要な場合は特別更新により通算最長8週間(少年法17条)。調査中に本人が20歳になると少年審判の対象から外れ、検察官送致となる(19条2項、23条3項)。18・19歳の特定少年には令和4年(2022年)施行の特例がある(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(科学主義):本条は少年審判における科学主義を宣言した規定と解される。調査は非行事実の認定とは別に要保護性の解明を目的とし、家裁調査官の社会調査と少年鑑別所の鑑別がその中核を担う。努力義務の形をとるのは、調査の深さを事案ごとに調整する余地を残す趣旨と説明される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行少年法の制定により新設。家庭裁判所の調査における専門的知識と少年鑑別所の鑑別結果の活用を明文化した
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める