労働組合法 第27条の21(証拠の申出の制限)
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労働委員会が物件提出命令をしたにもかかわらず物件を提出しなかつた者(審査の手続において当事者でなかつた者を除く。)は、裁判所に対し、当該物件提出命令に係る物件により認定すべき事実を証明するためには、当該物件に係る証拠の申出をすることができない。ただし、物件を提出しなかつたことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。
この条文の基本情報
証拠の申出の制限とは何ですか?
定義証拠の申出の制限とは、労働組合法第27条の21に定められた規定で、「労働委員会が物件提出命令をしたにもかかわらず物件を提出しなかつた者(審査の手続において当事者でなかつた者を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 労働組合法第27条の21(証拠の申出の制限)は、日本の労働組合法に含まれる条文です。
- 労働組合法第27条の21の条文原文は「労働委員会が物件提出命令をしたにもかかわらず物件を提出しなかつた者(審査の手続において当事者でなかつた者を除く。」で始まります。
- 労働組合法第27条の21は第三節 訴訟に置かれています。
- 労働組合法の公布日は昭和24年6月1日です。
- 労働組合法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 労働組合法第27条の21の前の条は労働組合法第27条の20です。
- 労働組合法第27条の21の次の条は労働組合法第27条の22です。
- 労働組合法第27条の21には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)第27条の21 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000174 - 本サイト収録
労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)第27条の21(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/324AC0000000174/27_21
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点労働組合法27条の21は、労働委員会の物件提出命令に正当な理由なく従わなかった当事者は、その物件で証明すべき事実について取消訴訟で証拠を申し出られないと定める。
Q · 労働委員会の資料提出命令を無視したら、後の裁判にどう響くの?
資料を出さないと、その資料を裁判の証拠に使えなくなる
労働組合法27条の21により、労働委員会の物件提出命令に従わず物件を提出しなかった当事者は、後の取消訴訟で、その物件によって証明すべき事実について証拠の申出をすることができません。命令自体に物理的強制力はありませんが、無視すればその資料を法廷で自分の武器として使う道が閉ざされます。ただし営業秘密や第三者のプライバシー等の正当な理由が認められれば制限は及びません。なお審査手続の当事者でなかった第三者には、この制限は適用されません。
解説
労働委員会の出す「物件提出命令」に、それ自体を物理的に強制する力はない。だから多くの会社が「不利な資料は出さなければいい、必要になったら裁判で出せばいい」と高をくくる。労働組合法 第27条の21は、その油断に静かな罠を仕掛けている。審査手続で当事者でありながら命令に従わず資料を出さなかった者は、後の取消訴訟で、その資料によって証明すべき事実について証拠の申出をすることができない。つまり、いま隠した資料は、法廷であなたの武器になる道も同時に閉ざされる。封印を招いたのは自分自身だ。ただし「正当な理由」があれば別扱いとなるが、その理由は命令を受けた時点で立てておかねばならず、後出しはまず通らない。出すか出さないかの判断は、裁判の勝敗を先取りしている。
法的な位置づけ
労働組合法27条の21は、不当労働行為の審査手続における証拠の申出の制限を定める規定である。労働委員会の物件提出命令に従わず物件を提出しなかった当事者は、正当な理由がある場合を除き、その物件により認定すべき事実を証明するための証拠を、後の取消訴訟で申し出ることができない。審査手続の当事者でなかった者には適用されない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自分が審査手続の当事者か確認する 27条の21の制限は審査手続の当事者にのみ及ぶ。まず自分が申立人(組合・労働者)か被申立人(使用者)として手続の当事者になっているかを確認する。当事者でない第三者には制限は及ばない
- 2.申立人は核心資料の物件提出命令を早期に申し立てる 組合・労働者側なら、審査の早い段階で相手方が握る人事評価記録・社内メール・稟議書等の物件提出命令を労働委員会に申し立てる。相手が正当な理由なく握りつぶせば、その資料に基づく証拠を取消訴訟で使えなくなる
- 3.被申立人は不提出のリスクを命令受領時に試算する 使用者側で命令が届いたら、伏せる前に「出さなければこの資料を法廷で使えなくなる」リスクを必ず試算する。出さないことで得る隠蔽の利益と、証拠を封印される不利益を天秤にかける
- 4.正当な理由は命令受領時に書面で主張する 営業秘密・第三者のプライバシー・命令自体の違法性など真に出せない正当な理由があるなら、命令を受けたその場で書面に明記して記録に残す。裁判になってから初めて持ち出す理由は後付けと見られ通りにくい
よくある質問 AI による整理
Q1物件提出命令とは何ですか?
労働委員会が不当労働行為の審査手続で、事件に関係する文書や物件の提出を当事者に命じる処分です。労働組合法27条の7が根拠で、審査に必要な証拠を集める手段です。
Q2労働委員会の物件提出命令に従わないとどうなりますか?
重い直接の刑事罰はありませんが、27条の21により、その物件で証明すべき事実について後の取消訴訟で証拠を申し出られなくなります。隠した資料は法廷で使えません。
Q3証拠の申出の制限は第三者にも及びますか?
及びません。制限を受けるのは審査手続の当事者だけです。当事者でなかった第三者が物件を持っていた場合、その第三者に27条の21の制限は適用されません。
Q4不当労働行為の審査手続とは何ですか?
労働組合法7条が禁じる解雇・団交拒否・支配介入等について、労働委員会が救済を審査する行政手続です。救済命令が出ると使用者はこれに従う義務を負います。
Q5物件提出命令に不服がある場合はどうすればいいですか?
命令を受けた審査手続の中で、正当な理由を書面で主張し記録に残すことが重要です。裁判になってから初めて理由を持ち出しても後付けと見られ通りにくくなります。
Q6労働委員会の救済命令の取消訴訟はいつまでに提起できますか?
使用者の場合、救済命令等の交付の日から30日以内に提起する必要があります(労働組合法27条の19)。最新の改正状況は必ず確認してください。
Q7民事訴訟の文書提出命令と何が違いますか?
民訴224条は命令違反時に相手の主張を真実とみなせるだけですが、27条の21は証拠の申出そのものを封じます。同じ不提出でも跳ね返り方が異なります。
Q8会社が資料を隠したら組合側は有利になりますか?
申立人が物件提出命令を得て会社が握りつぶせば、会社はその資料に基づく反論を取消訴訟で封じられます。早期に核心資料の命令を得るほど相手の選択肢を狭められます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1労働委員会の命令って、無視しても罰則ないんですよね?
命令そのものに従わないことへの直接の重い刑事罰はなく、形式的な制裁は限定的だ。だが本当の代償は本条にある。正当な理由なく資料を出さなかった当事者は、その資料で証明すべき事実について、後の取消訴訟で証拠を申し出ることができなくなる。実務のポイント:弁護士が真っ先に依頼者に説明するのは『罰金がいくらか』ではなく『その一通を出さないと、後で同じ書類を自分の証拠に使えなくなる』という点だ。制裁の軽さに気を取られると、勝負どころで弾を失う
Q2後で『正当な理由があった』と言えば、やっぱり証拠を出せるんですか?
ただし書の正当な理由(営業秘密、第三者のプライバシー保護、命令自体の違法性など)が認められれば制限は及ばない。ただし裁判所はこれを厳格に判断する。実務のポイント:正当な理由は、命令を受けたその場で書面に残して主張するのが鉄則だ。審査では黙って出さず、裁判になってから初めて『あれは営業秘密だった』と持ち出しても、後付けの弁解と見られて通りにくい。タイミングこそが例外を使えるかどうかの分かれ目になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「労働委員会の命令は無視しても痛くない」と思われているが、無視した瞬間にその資料に基づく証拠が裁判で封印される。痛みは命令の段階ではなく、勝負どころの法廷で襲ってくる
- 物件提出命令を無視すると証拠が使えなくなる、と知っている人でも、その効果が『その物件で証明すべき事実』全体に及ぶ深刻さを見落としている。封じられるのは一枚の書類ではなく、その書類が支えるはずだった主張そのものだ
- 「出すか出さないかは自分の自由だ」という前提自体がずれている。法律から見れば、出さない自由と引き換えに、あなたは法廷での証拠提出権を差し出している。問うべきは『出すか』ではなく『どちらの権利を取るか』だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 不提出の効果 | 27条の21:その物件で証明すべき事実について証拠の申出ができなくなる | 民訴224条:相手方の主張(文書の記載・要証事実)を真実とみなせる 労組法27条の7:物件提出命令の根拠規定(不提出の効果は27条の21が担う) |
| 命令を出す主体 | 労働委員会(不当労働行為の審査手続) | 裁判所(民事訴訟) 労働委員会 |
| 制限の対象 | 審査手続の当事者に限る(第三者は除外) | 文書提出義務を負う当事者・第三者 命令の名宛人 |
| 例外 | 正当な理由があれば制限は及ばない | 文書提出義務の除外事由(民訴220条ただし書等) 審査に必要な範囲での命令 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は勞資爭議處理法の裁決委員会が不当労働行為を審査し証拠を調査するが、不提出に対する取消訴訟での証拠申出制限のような明文の間接強制は日本ほど整備されていない。
韓国も労働委員会(노동위원회)が不当労働行為の救済を審査し調査権を持つが、証拠申出制限の明文規定の有無・射程は日本と異なる。
米国は NLRB が召喚状(subpoena)等の証拠調査権限を持ち、日本の不当労働行為制度の母法にあたる。不遵守への対応は裁判所の履行命令等によるが、証拠申出制限という日本独自の間接強制とは構造が異なる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 労働委員会から「組合員の人事評価記録を提出せよ」という物件提出命令が届いた。社内では「不利な資料だから伏せておこう」という声が上がる。だが出さなければ、後の取消訴訟で、その評価記録に基づく『正当な人事だった』という反論ができなくなる。提出期限まであと数日、判断は今この瞬間に迫られている
- もし組合側のあなたが、会社の反組合的な内部メールの存在を疑っているとしたら、どう動くか。労働委員会に物件提出命令を申し立てればよい。会社がそれを握りつぶせば、会社はそのメールに基づく弁解を法廷で封じられる。沈黙が会社自身に跳ね返る構造だ
- 審査手続で当事者でなかった第三者が資料を持っていた場合、この制限は及ばない。封印されるのは『当事者でありながら命令を無視した者』に限られる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 申立人(組合・労働者側)なら、審査手続の早い段階で、相手方が握る核心資料(人事記録、社内メール、稟議書等)について労働委員会へ物件提出命令を申し立てる2. 命令が出たら相手が提出するか注視する。正当な理由なく出さなければ、本条により相手はその資料に基づく証拠を取消訴訟で使えなくなる3. その事実を自らの主張立証に組み込む4. 自分が手続上の当事者であることを確認する。当事者でない第三者には本条の制限は及ばない
訴えられた側:1. 被申立人(使用者側)として命令が届いたら、伏せる前に「出さなければ法廷でこの資料を使えなくなる」リスクを必ず試算する2. 真に出せない正当な理由(営業秘密、第三者のプライバシー、命令自体の違法性)があるなら、命令受領の時点で書面で明確に主張し記録に残す3. 後出しの言い訳はまず通らないので、判断は命令受領時に確定させる4. 提出が不利でも、隠して証拠を封印するより、出したうえで別の防御を組む方が総合的に有利なケースは多い
時効(請求できる期限):本条に固有の時効はない。決定的なのは物件提出命令で指定された提出期限であり、これを正当な理由なく徒過した時点で証拠制限が確定する。命令への不服や正当な理由の主張は、命令を受けた時点から審査手続中に行うこと。なお、救済命令等に対する取消訴訟の出訴期間は、使用者の場合、命令交付の日から30日(労働組合法 第27条の19、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条は物件提出命令に物理的強制力を与えず、命令に従わなかった当事者に対し取消訴訟での証拠の申出を制限する『間接強制』として位置づけられる。証拠の偏在への対処と審査手続の実効性確保を目的とし、正当な理由の例外と当事者限定により裁判を受ける権利との均衡を図る、と解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)労働組合法改正(平成17年(2005年)1月1日施行) 不当労働行為審査手続の迅速化と実効性確保のための改正で新設。物件提出命令制度(第27条の7)とセットで導入され、命令に従わなかった当事者に対し、後続する取消訴訟での証拠の申出を制限する間接強制の仕組みを定めた
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:不当労働行為審査手続の迅速化・実効性確保のための労働組合法改正(平成17年〔2005年〕1月1日施行)で新設。物件提出命令制度とセットで導入され、命令に従わなかった当事者に取消訴訟での証拠の申出を制限する間接強制の仕組みを定めた。
- 労働組合法 第7条審査の対象となる不当労働行為の実体規定
- 労働組合法 第27条の7本条が前提とする物件提出命令の根拠規定(現行条番号を要確認)
- 労働組合法 第27条の12審査の結論たる救済命令等
- 労働組合法 第27条の19本条の証拠制限が作用する取消訴訟の根拠と出訴期間
- 行政事件訴訟法 第3条労働委員会命令の取消訴訟(抗告訴訟)の一般的枠組み
- 民事訴訟法 第220条類似制度たる裁判所の文書提出命令との対比
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