労働組合法 第29条
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第二十三条の規定に違反した者は、一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 労働組合法第29条は、日本の労働組合法に含まれる条文です。
- 労働組合法第29条の条文原文は「第二十三条の規定に違反した者は、一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。」で始まります。
- 労働組合法第29条は第五章 罰則に置かれています。
- 労働組合法の公布日は昭和24年6月1日です。
- 労働組合法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 労働組合法第29条の前の条は労働組合法第28条の2です。
- 労働組合法第29条の次の条は労働組合法第30条です。
- 労働組合法第29条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)第29条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000174 - 本サイト収録
労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)第29条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/324AC0000000174/29
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点労働組合法29条は、同法23条の守秘義務に違反して秘密を漏らした労働委員会の委員・職員を、一年以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金に処すると定める。
Q · 労働組合法の罰則って、会社か組合のどっちが刑務所に行くの?
罰せられるのは会社や組合でなく、秘密を漏らした委員です
労働組合法29条で刑事罰を受けるのは、労使どちらの当事者でもなく、労働委員会の委員・職員です。委員会は22条で会社に経営資料の提出を強制できますが、その秘密が漏れない保証を担保するため、23条が委員側に守秘義務を課し、29条が違反者を一年以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金で処罰します。退任後の「委員であつた者」も対象です。被害を受けるのは会社でも、刑事責任を負うのは漏らした委員個人という、被害主体と処罰主体がずれた珍しい構造の罰則です。
解説
労働組合法の罰則と聞けば、組合つぶしをした会社や、不正をした組合幹部が罰せられる場面を思い浮かべるだろう。ところが29条が刃を向ける相手は、会社でも組合でもない。労働委員会の委員と職員だ。不当労働行為の審査で、委員会は会社に財務資料や取引情報の提出を命じる権限を持つ(22条)。出された秘密を委員が外へ漏らせば、23条の守秘義務違反として、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される。つまりあなたの会社が泣く泣く差し出した経営の中身は、努力目標ではなく刑罰によって守られている。逆に、あなたが弁護士や学者として公益委員を引き受けたなら、審査で知った一言を漏らした瞬間、刑事被告人になりうる立場でもある。
法的な位置づけ
労働組合法29条は、同法23条が定める守秘義務に違反した者を、一年以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金に処する罰則規定である。名宛人は労使当事者ではなく、労働委員会の委員・職員およびその職にあった者であり、不当労働行為の審査等で知り得た秘密を正当な理由なく漏らした場合に刑事責任が生じる。故意犯であり、過失による漏洩は原則として本条の対象とならない。
よくある質問 AI による整理
Q1労働組合法29条とは何ですか?
労働委員会の委員・職員が23条の守秘義務に違反して秘密を漏らした場合に、一年以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金を科す罰則規定です。会社や組合ではなく審判役の委員が対象です。
Q2労働委員会の守秘義務は退任後も続きますか?
続きます。29条は「委員であつた者」も対象とし、任期が終わって肩書きが消えても、職務上知った秘密を漏らせば罪が成立し、時効が来るまで追われます。
Q3守秘義務違反の公訴時効は何年ですか?
一年以下の拘禁刑にあたる罪のため公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項)。起算点は秘密を漏らした行為の時で、退任後の漏洩も行為時から時効が進行します。
Q4拘禁刑とは何ですか?
懲役と禁錮を一本化した新しい刑種です。刑法等改正により2025年6月施行され、本条も従来の「一年以下の懲役」が「一年以下の拘禁刑」に改められました。
Q5労働委員会の公益委員にはどんな人が就きますか?
弁護士や大学教授など中立的な専門家が多く就きます。審査で当事者情報を漏らすと、弁護士法上の懲戒と29条の刑事罰が同時に走るリスクがあります。
Q6労働組合法23条と29条の関係は?
23条が守秘義務の本体を定め、29条はその違反に刑事罰を科す罰則です。23条で禁止された行為のうち、正当な理由なき秘密漏洩を29条が処罰する構造です。
Q7労働委員会に提出した会社の秘密は守られますか?
守られます。委員会は22条で資料提出を強制できる代わりに、委員側に23条の守秘義務を課し、29条で刑事罰により担保しています。提出時に秘密扱いを書面で申し入れると効果的です。
Q8守秘義務違反は親告罪ですか?
親告罪ではありません。告訴がなくても捜査機関は独自に立件でき、被害を受けた会社は告発できます(刑事訴訟法239条)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1委員が会社の秘密を漏らしたら、会社の側から刑事告訴できますか?
できます。29条の守秘義務違反は親告罪ではないので、被害を受けた会社は告発でき、捜査機関も独自に動けます(刑事訴訟法239条)。さらに委員は公務員なので、刑事とは別に国家賠償法1条で国や都道府県から賠償を取れます。実務のポイント:刑事は立証が重く時間もかかるが、国家賠償は組織を相手にできるぶん回収可能性が高い。委員個人を刑事で追うより、任命した行政組織に賠償を求める方が実利が大きいことが多い
Q2どうして会社や組合じゃなくて、委員ばかり罰するんですか?
労働委員会は22条で会社に秘密の提出を強制できます。強制する以上、その秘密が漏れない保証が制度の前提です。29条は委員側に刑事罰を科すことで、出させた以上は守るという約束を担保しています。実務のポイント:この構造を知る経営者は、資料提出時に秘密扱いの申し入れを書面で残す。後で漏洩が起きたとき、委員の故意や正当な理由の有無を争う証拠になる
Q3委員がうっかり資料を置き忘れて漏れた場合も罰せられますか?
29条は故意犯なので、純粋なうっかり(過失)の漏洩は原則として刑事罰の対象になりません。ただし委員には23条の守秘義務があり、過失でも懲戒処分や国家賠償(国家賠償法1条)の対象になりえます。実務のポイント:故意か過失かの線引きは、資料の管理体制が杜撰だったかどうかで実際には揺れる。会社側は漏洩経路を早期に記録しておくと、相手のうっかりという弁解を崩しやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 「労働組合法の罰則は会社か組合が対象」と思い込まれているが、29条が罰するのは行政側の委員・職員だ。労使どちらでもなく、間に立つ審判役が刑事責任を負う、珍しい構造の罰則である
- 委員に守秘義務があることは知っていても、その深刻度を見落としている人が多い。義務は退任後も一生続き、「正当な理由」なき漏洩は懲戒ではなく刑事罰の対象になる。うっかりでは済まされない重さがある
- 「会社の秘密が漏れたら会社が損するだけ」と問題を立てがちだが、法から見れば困るのは会社でも、刑事被告人になるのは漏らした委員個人だ。被害を受ける主体と罰せられる主体がずれている、この落差を知らないと打つ手を間違える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 29条:守秘義務違反の罰則(一年以下の拘禁刑・30万円以下の罰金) | 23条:守秘義務の本体(漏らしてはならない義務そのもの) 22条:調査権限(会社に秘密の提出を強制する根拠) |
| 名宛人 | 委員・職員、および「委員であつた者」 | 委員・職員(守秘義務を負う主体) 労働委員会(資料提出を命じる主体) |
| 効果 | 故意の漏洩に刑事責任が発生 | 義務違反が懲戒・国家賠償・29条の前提を構成 会社に資料・物件の提出義務を生じさせる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も不当労働行為の裁決手続で取得した秘密について裁決委員・職員の守秘を求める。委員に対する制裁という構造は日本と類似する
韓国も労働委員会の委員・職員に秘密厳守義務を課す。在職中・退職後を問わず職務上の秘密保持を求める点が日本と共通する
ドイツは事業所組織法で、職務上知った営業・事業秘密の漏洩を罰則付きで禁じる。罰則で守秘を担保する発想は本条と通底する
米国は労働委員会制度の母法。NLRB の委員・職員に守秘を課し、当事者情報の保護を図る。日本の労働委員会はこの制度を範に導入された
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 組合から不当労働行為を申し立てられ、労働委員会から経営状況や取引先の資料提出を命じられた。出せば手の内が割れる、拒めば心証が悪い。だが安心していい。その秘密を漏らした委員は29条で1年以下の拘禁刑か30万円の罰金を負う。あなたの秘密は努力目標ではなく刑罰で守られている
- あなたが弁護士として都道府県労働委員会の公益委員を引き受けたとする。審査で知った会社の取引先リストを、つい知人の経営者に「あそこは危ない」と漏らした。それだけで29条の刑事被告人になりうる。委員という肩書きは、知った秘密を一生背負う立場でもある
- もし審査資料のコピーが手元に残ったまま委員の任期が終わったら? 29条は「委員であつた者」も対象にする。退任して肩書きが消えても、漏らせば罪は成立し、時効が来るまで追われる
- 委員会の職員が資料を電車に置き忘れ、第三者の手に渡った。故意の漏洩なら29条、ただのうっかりなら原則不可罰。この一線をどちらに倒すかで、刑事被告人か懲戒処分かが分かれる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 漏洩の事実、時期、経路、漏れた相手を、メール・録音・第三者の証言で固める2. まず労働委員会と委員の任命権者(国・都道府県)へ正式に通報し、内部調査を促す3. 刑事は捜査機関へ告発(刑事訴訟法239条)、29条違反での立件を求める4. 並行して委員個人へ民法709条、国・都道府県へ国家賠償法1条で損害賠償を請求。取引喪失などの実害を早期に金額化する
訴えられた側:1. 漏らしたとされる情報が23条の保護対象(公表で事業者の利益を害するおそれ等)に当たるか、まず文言を精査。当たらなければ犯罪は成立しない2. 漏洩が故意か過失かを整理。29条は故意犯で、過失なら刑事責任は原則生じない3. 法令上の開示義務など「正当な理由」があったなら主張4. 早期に弁護人を選任し、刑事と並行する懲戒手続・国家賠償の防御も一体で組む
時効(請求できる期限):1年以下の拘禁刑にあたるため、公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項)。起算点は秘密を漏らした行為の時。退任後の漏洩も「委員であつた者」として対象になり、行為時から時効が進行する
学説
通説:29条は故意犯であり、23条が保護する秘密(公表により事業者等の利益を害するおそれのある情報等)を、正当な理由なく漏らした場合に成立する。過失による漏洩は本条の対象外だが、守秘義務違反として懲戒・国家賠償の対象になりうると解される。
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 「懲役」と「禁錮」を「拘禁刑」に統合する刑法等改正に伴い、本条の刑種が「一年以下の懲役」から「一年以下の拘禁刑」へ改められた。罰金額(30万円以下)の沿革は要確認
改正の年表
- 1.昭和24年(1949年) 新設:労働組合法(昭和24年法律第174号)の全部改正により制定。労働委員会制度の整備に伴い、委員・職員の守秘義務(23条)と、その違反に対する罰則として本条が置かれた
- 2.令和4年(2022年)公布・令和7年(2025年6月1日)施行 改正:懲役と禁錮を「拘禁刑」に一本化する刑法等改正に伴い、本条の刑種が「一年以下の懲役」から「一年以下の拘禁刑」へ改められた
- 労働組合法 第22条秘密情報が委員会に入る調査権限の根拠
- 労働組合法 第23条本条が処罰する守秘義務の本体
- 労働組合法 第27条守秘義務が生じる審査手続の場(現行効力を要確認)
- 国家公務員法 第100条中労委委員等に及ぶ一般守秘義務
- 地方公務員法 第34条都道府県労委委員に及ぶ守秘義務
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