第二十三条の規定に違反した者は、一年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
要点労働組合法29条は、同法23条の守秘義務に違反して秘密を漏らした労働委員会の委員・職員を、一年以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金に処すると定める。
Q · 労働組合法の罰則って、会社か組合のどっちが刑務所に行くの?
罰せられるのは会社や組合でなく、秘密を漏らした委員です
労働組合法29条で刑事罰を受けるのは、労使どちらの当事者でもなく、労働委員会の委員・職員です。委員会は22条で会社に経営資料の提出を強制できますが、その秘密が漏れない保証を担保するため、23条が委員側に守秘義務を課し、29条が違反者を一年以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金で処罰します。退任後の「委員であつた者」も対象です。被害を受けるのは会社でも、刑事責任を負うのは漏らした委員個人という、被害主体と処罰主体がずれた珍しい構造の罰則です。
労働組合法の罰則と聞けば、組合つぶしをした会社や、不正をした組合幹部が罰せられる場面を思い浮かべるだろう。ところが29条が刃を向ける相手は、会社でも組合でもない。労働委員会の委員と職員だ。不当労働行為の審査で、委員会は会社に財務資料や取引情報の提出を命じる権限を持つ(22条)。出された秘密を委員が外へ漏らせば、23条の守秘義務違反として、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される。つまりあなたの会社が泣く泣く差し出した経営の中身は、努力目標ではなく刑罰によって守られている。逆に、あなたが弁護士や学者として公益委員を引き受けたなら、審査で知った一言を漏らした瞬間、刑事被告人になりうる立場でもある。
労働組合法29条は、同法23条が定める守秘義務に違反した者を、一年以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金に処する罰則規定である。名宛人は労使当事者ではなく、労働委員会の委員・職員およびその職にあった者であり、不当労働行為の審査等で知り得た秘密を正当な理由なく漏らした場合に刑事責任が生じる。故意犯であり、過失による漏洩は原則として本条の対象とならない。
労働委員会の委員・職員が23条の守秘義務に違反して秘密を漏らした場合に、一年以下の拘禁刑または三十万円以下の罰金を科す罰則規定です。会社や組合ではなく審判役の委員が対象です。
続きます。29条は「委員であつた者」も対象とし、任期が終わって肩書きが消えても、職務上知った秘密を漏らせば罪が成立し、時効が来るまで追われます。
一年以下の拘禁刑にあたる罪のため公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項)。起算点は秘密を漏らした行為の時で、退任後の漏洩も行為時から時効が進行します。
懲役と禁錮を一本化した新しい刑種です。刑法等改正により2025年6月施行され、本条も従来の「一年以下の懲役」が「一年以下の拘禁刑」に改められました。
弁護士や大学教授など中立的な専門家が多く就きます。審査で当事者情報を漏らすと、弁護士法上の懲戒と29条の刑事罰が同時に走るリスクがあります。
23条が守秘義務の本体を定め、29条はその違反に刑事罰を科す罰則です。23条で禁止された行為のうち、正当な理由なき秘密漏洩を29条が処罰する構造です。
守られます。委員会は22条で資料提出を強制できる代わりに、委員側に23条の守秘義務を課し、29条で刑事罰により担保しています。提出時に秘密扱いを書面で申し入れると効果的です。
親告罪ではありません。告訴がなくても捜査機関は独自に立件でき、被害を受けた会社は告発できます(刑事訴訟法239条)。
できます。29条の守秘義務違反は親告罪ではないので、被害を受けた会社は告発でき、捜査機関も独自に動けます(刑事訴訟法239条)。さらに委員は公務員なので、刑事とは別に国家賠償法1条で国や都道府県から賠償を取れます。業界裏話ヒント:刑事は立証が重く時間もかかるが、国家賠償は組織を相手にできるぶん回収可能性が高い。委員個人を刑事で追うより、任命した行政組織に賠償を求める方が実利が大きいことが多い
労働委員会は22条で会社に秘密の提出を強制できます。強制する以上、その秘密が漏れない保証が制度の前提です。29条は委員側に刑事罰を科すことで、出させた以上は守るという約束を担保しています。業界裏話ヒント:この構造を知る経営者は、資料提出時に秘密扱いの申し入れを書面で残す。後で漏洩が起きたとき、委員の故意や正当な理由の有無を争う証拠になる
29条は故意犯なので、純粋なうっかり(過失)の漏洩は原則として刑事罰の対象になりません。ただし委員には23条の守秘義務があり、過失でも懲戒処分や国家賠償(国家賠償法1条)の対象になりえます。業界裏話ヒント:故意か過失かの線引きは、資料の管理体制が杜撰だったかどうかで実際には揺れる。会社側は漏洩経路を早期に記録しておくと、相手のうっかりという弁解を崩しやすい
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 29条:守秘義務違反の罰則(一年以下の拘禁刑・30万円以下の罰金) | — |
| 名宛人 | 委員・職員、および「委員であつた者」 | — |
| 効果 | 故意の漏洩に刑事責任が発生 | — |
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