宗教法人法 第83条(礼拝用建物等の差押禁止)
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宗教法人の所有に係るその礼拝の用に供する建物及びその敷地で、第七章第二節の定めるところにより礼拝の用に供する建物及びその敷地である旨の登記をしたものは、不動産の先取特権、抵当権又は質権の実行のためにする場合及び破産手続開始の決定があつた場合を除くほか、その登記後に原因を生じた私法上の金銭債権のために差し押さえることができない。
この条文の基本情報
礼拝用建物等の差押禁止とは何ですか?
定義礼拝用建物等の差押禁止とは、宗教法人法第83条に定められた規定で、「宗教法人の所有に係るその礼拝の用に供する建物及びその敷地で、第七章第二節の定めるところにより礼拝の用に供する建物及びその敷地である旨の登記をしたものは、不動産の…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 宗教法人法第83条(礼拝用建物等の差押禁止)は、日本の宗教法人法に含まれる条文です。
- 宗教法人法第83条の条文原文は「宗教法人の所有に係るその礼拝の用に供する建物及びその敷地で、第七章第二節の定めるところにより礼拝の用に供する建物及びその敷地である旨の登記をしたものは、不動産の…」で始まります。
- 宗教法人法第83条は第九章に置かれています。
- 宗教法人法の公布日は昭和26年4月3日です。
- 宗教法人法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 宗教法人法第83条の前の条は宗教法人法第82条です。
- 宗教法人法第83条の次の条は宗教法人法第84条です。
- 宗教法人法第83条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号)第83条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000126 - 本サイト収録
宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号)第83条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/326AC0000000126/83
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点宗教法人法83条は、登記した礼拝用建物と敷地について、登記後に原因を生じた私法上の金銭債権による差押えを禁止する。抵当権等の実行と破産は例外となる。
Q · お寺の本堂は借金で差し押さえられることがあるの?
登記済みなら登記後の無担保債権では差し押さえられない
宗教法人法83条により、宗教法人が所有する礼拝用建物とその敷地は、66条の登記をしていれば、登記後に原因が生じた私法上の金銭債権による差押えを受けません。ただし抵当権・質権・不動産の先取特権の実行、破産手続開始の決定の場合は例外です。登記前に原因が生じた債権や、税金の滞納処分も本条の保護の対象外です。
解説
お寺の本堂や神社の拝殿は、借金のカタに取られない。ただし、そう言い切れるのは条件がそろったときだけである。宗教法人が自分で所有し、礼拝に使っている建物とその敷地について、66条の手続で「礼拝用建物である」と登記している必要がある。そのうえで守られるのは、登記の後に原因が生じた私法上の金銭債権(売買代金、工事代金、貸金のような民間どうしのお金の請求)による差押えに限られる。例外は三つある。抵当権・質権・不動産の先取特権(法律が特定の債権者に認めた優先弁済権)の実行、そして破産手続開始の決定だ。さらに「私法上の」と書かれているので、税金の滞納処分はこの盾の対象外である。宗教法人の側にいる人は、自分のところが登記済みかどうかと、その登記日を確かめておく必要がある。取引相手の側にいる人は、担保を取らずに着工した時点で、本堂という最大の資産に手が届かなくなることを覚えておきたい。
法的な位置づけ
宗教法人法83条は礼拝用建物等の差押禁止を定める規定であり、宗教法人の所有する礼拝用建物及びその敷地で礼拝用である旨の登記をしたものについて、登記後に原因を生じた私法上の金銭債権に基づく差押えを禁止する。不動産の先取特権・抵当権・質権の実行及び破産手続開始の決定は例外とされる。
よくある質問 AI による整理
Q1宗教法人法83条とは何ですか?
宗教法人が所有し登記した礼拝用建物と敷地を、登記後に生じた民間の金銭債権による差押えから保護する規定です。
Q2礼拝用建物の登記とは何ですか?
宗教法人法66条に基づき、建物と敷地が礼拝の用に供されている旨を不動産登記簿に記載する手続です。登記するかは法人の任意です。
Q3抵当権が付いた本堂は競売できますか?
できます。83条は抵当権・質権・不動産の先取特権の実行を例外としているため、担保権者は本堂と敷地を競売にかけられます。
Q4宗教法人が破産したら本堂はどうなりますか?
破産手続開始の決定があると83条の保護は外れ、本堂も破産財団として換価の対象になります。破産は法人の解散事由でもあります(43条)。
Q5登記前の借金でも本堂は守られますか?
守られません。83条が差押えを禁じるのは登記後に原因が生じた債権のみで、登記前の契約に基づく債権は差押えが可能です。
Q6宗教法人の境内地は差押えできる?
礼拝用建物の敷地として登記されていれば、登記後の無担保の私法上の債権では差押えできません。登記外の土地は通常どおり対象です。
Q7宗教法人の預金は差し押さえられますか?
差し押さえられます。83条の保護は登記した礼拝用建物と敷地に限られ、預金や収益事業用の財産は対象外です。
Q8宗教法人に貸したお金を回収する方法は?
登記の有無と日付を確認し、守られない財産(預金・登記外不動産等)への執行や、抵当権設定・破産申立ての検討が中心になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1お寺に工事代金を踏み倒されそう。本堂を差し押さえるのは無理なんですか?
礼拝用建物の登記の後に結んだ契約の代金で、担保もないなら、83条により本堂と敷地への差押えはできない。ただし登記前の契約なら対象外で、不動産工事の先取特権(民法327条・338条)を着工前に登記していれば実行できる。業界裏話:預金や駐車場など、登記されていない資産は保護の外である。まず財産調査から始めるのが実務の定石だ
Q2うちの神社、登記してるかどうか分からないんですが、どうやって確認するんですか?
法務局で建物と土地の登記事項証明書を取れば確認できる。66条の礼拝用建物の登記があれば、その旨が記載されている。業界裏話:代表役員が何代も替わるうちに未登記のまま放置されている法人もある。83条の保護が始まるのは登記の後なので、気付いた時点ですぐに申請するのが最善手である
Q3税金を滞納したら、本堂も税務署に差し押さえられますか?
83条の差押禁止は「私法上の金銭債権」だけが対象なので、条文上、国税・地方税の滞納処分は止められない。差押えの可否は国税徴収法などの規律で判断される(最新の実務運用をご確認ください)。業界裏話:宗教法人でも収益事業や給与の源泉徴収では納税義務がある。「宗教法人は税金と無縁」という思い込みが、本堂を最も危うくする
間違えやすい点 AI による整理
- 「お寺や神社の建物はそもそも差し押さえられない」と思われがちだが、何もしなくても自動的に守られるわけではない。66条の登記が必要で、登記するかどうかは宗教法人の任意である。登記していなければ、本堂も普通の不動産と同じように強制執行の対象になる
- 「登記さえすれば、どんな借金からも守られる」という理解は浅い。登記の前に原因が生じた債権には効かない。抵当権者・質権者・不動産先取特権者も例外である。そして破産手続開始の決定が出れば保護は外れ、本堂は破産財団(破産者の財産で、配当のために換価される部分)として処分の対象になる
- 問うべきなのは「本堂は差し押さえられるか」ではなく「誰の、いつ生じた、どんな債権か」である。民間の債権か税金か、登記の前か後か、担保付きか無担保か。この三つの軸で結論が反転するので、一律の答えを求めること自体が見立て違いになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 宗教法人法83条:登記済み礼拝用建物・敷地への差押え | 宗教法人法23条:不動産の処分・担保提供の公告手続 宗教法人法66条:礼拝用建物・敷地である旨の登記 |
| 誰を拘束するか | 外部の債権者(無担保の私法上の金銭債権者) | 宗教法人自身(信者等への公告義務) 宗教法人(登記申請は任意) |
| 違反・不備の効果 | 登記後の無担保債権による差押えは許されない | 公告を欠く処分は24条により無効となりうる(善意の相手方等は保護) 登記がなければ83条の保護は発生しない |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾は祭祀・礼拝用の物を差押禁止とするが、主に動産が対象で、日本のような登記を条件とする礼拝用不動産の保護制度はない
韓国は伝統寺院として指定された寺院の財産について差押えを制限する特別法を持つ。日本は登記をした法人が対象で、韓国は指定を受けた寺院が対象となる点が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 本堂の屋根を全面葺き替えたのに、工事代金1,800万円のうち半分が未払い。判決を取って本堂を差し押さえようとしたら、礼拝用建物の登記を理由に執行を止められた。登記が工事契約より前なら、無担保の工事業者は本堂に手を出せない。残る道は、預金や駐車場など、登記されていない資産を探すことである
- 宗教法人の責任役員として、檀家から「この寺は借金で本堂を取られるのか」と聞かれたらどう答えるか。登記簿を確認し、礼拝用建物の登記があれば「無担保の債権者からは原則として守られる」と答えられる。ただし、抵当権が付いていれば話はまったく変わる
- あなたは宗教法人に3,000万円を無担保で貸した金融担当者だ。返済が止まり、強制執行を検討し始めた。融資より前に礼拝用建物の登記があれば、本堂と境内地への差押えは通らない。それでも抵当権を付けていなかった場合、実際に残る手段は債権者として破産を申し立てることくらいになる
- 固定資産税は非課税でも、法人税や源泉所得税を滞納している宗教法人は少なくない。そうした法人にとって、83条は役に立たない。対象が「私法上の金銭債権」に限られているからで、税務署による滞納処分は条文上この盾の外にある
- 代表役員の交代を機に、登記簿を初めて確認した。礼拝用建物の登記がされていない。来月には大口の修繕契約を結ぶ予定である。契約より前に登記を済ませるかどうかで、その工事代金が将来本堂を差し押さえる根拠になりうるかが決まる
取るべき行動
被害を受けた側:債権者側の場合は次の順で動く。1. 登記事項証明書を取り、礼拝用建物の登記の有無と登記日を確認する。2. 自分の債権の原因(契約日など)が登記日より前かどうかを照合する。前であれば83条は及ばない。3. 登記後の無担保債権であれば、本堂は諦め、預金・登記していない土地・収益事業の財産へ差押えの対象を切り替える。4. 法人が債務超過なら、債権者として破産を申し立てる選択肢を弁護士と検討する
訴えられた側:宗教法人側の場合は次の順で動く。1. 礼拝用建物と敷地が66条の登記済みかを確認し、未登記なら大口の契約の前に登記を済ませる。2. 差押えを受けたら、登記と債権の原因の前後関係を証拠にして、執行異議・第三者異議ではなく債務名義の内容と照らした執行手続上の不服申立てを弁護士と検討する。3. 担保の提供は23条の公告手続を必ず経る。怠ると24条で無効になりうる。4. 税の滞納は83条では防げないので、優先して解消する
時効(請求できる期限):本条固有の期限はない。勝負を分けるのは「登記日」と「債権の原因が生じた日」の前後関係である。債権自体には一般消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)が適用され、確定判決による債権は10年(民法169条)となる
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)破産法改正に伴う整備(要検証) 旧「破産の宣告」の文言が「破産手続開始の決定」へ改められたとみられるが、改正法令と施行日は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和26年(1951年) 新設:宗教法人法(昭和26年法律第126号)の制定により、礼拝用建物及びその敷地の登記を前提とする差押禁止規定として設けられた
- 宗教法人法 第66条礼拝用建物・敷地の登記の根拠
- 宗教法人法 第23条不動産の担保提供に要する公告手続
- 宗教法人法 第24条23条違反行為の無効と善意者保護
- 宗教法人法 第43条破産手続開始決定による解散事由
- 民法 第338条不動産工事先取特権の着工前登記要件
- 破産法 第30条破産手続開始決定、差押禁止の例外の起点
- 国税徴収法 第47条滞納処分による差押え、本条の射程外
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