高圧ガス保安法 第84条(両罰規定)
クイックジャンプ
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第八十条又は第八十一条から第八十三条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
この条文の基本情報
両罰規定とは何ですか?
定義両罰規定とは、高圧ガス保安法第84条に定められた規定で、「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第八十条又は第八十一条から第八十三条までの違反行為をしたときは、行為…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 高圧ガス保安法第84条(両罰規定)は、日本の高圧ガス保安法に含まれる条文です。
- 高圧ガス保安法第84条の条文原文は「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第八十条又は第八十一条から第八十三条までの違反行為をしたときは、行為…」で始まります。
- 高圧ガス保安法第84条は第六章に置かれています。
- 高圧ガス保安法の公布日は昭和26年6月7日です。
- 高圧ガス保安法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 高圧ガス保安法第84条の前の条は高圧ガス保安法第83条の3です。
- 高圧ガス保安法第84条の次の条は高圧ガス保安法第85条です。
- 高圧ガス保安法第84条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)第84条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000204 - 本サイト収録
高圧ガス保安法(昭和二十六年法律第二百四号)第84条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/326AC0000000204/84
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点高圧ガス保安法84条は、従業者が業務に関し80条・81〜83条に違反したとき、行為者を罰するほか、法人や事業主にも各本条の罰金刑を科す両罰規定である。
Q · 社員が高圧ガス保安法に違反したら、会社も処罰されるの?
会社も罰金の対象。ただし罰金のみで、監督を尽くせば免責の余地あり
高圧ガス保安法84条により、従業者が業務に関し80条又は81条から83条までの違反をした場合、行為者本人が罰せられるほか、法人や個人事業主にも各本条と同じ罰金刑が科されます。法人に拘禁刑はありません。判例は事業主の選任・監督上の過失を推定する立場をとるため、会社が注意を尽くしたことを自ら示せなければ処罰を免れにくく、平時の教育記録や点検記録が重要になります。
解説
現場の担当者が許可なしで高圧ガスを扱った場合、罰を受けるのはその担当者だけではない。高圧ガス保安法84条は、従業者が「業務に関し」第80条または第81条から第83条の違反をしたとき、行為者本人を罰したうえで、雇い主である法人や個人事業主にも同じ条文の罰金刑を科すと定めている。これが両罰規定である。読み違えやすい点は二つある。一つ目に、会社に科されるのは罰金だけで、拘禁刑(刑務所に収容する刑)はない。金額は各本条の罰金と同じで、会社だから重くなる「法人重課」の規定は本条にはない。二つ目に、会社は「知らなかった」だけでは逃れられない。判例(最大判昭和32.11.27、法人については最判昭和40.3.26)は、事業主が従業者の選任・監督に必要な注意を尽くしたことを自分で証明できない限り、過失があったものと推定する立場をとっている。つまり、免責の決め手になるのは事故が起きてから並べる言い訳ではない。事故の前に作っておいた教育記録、点検記録、社内規程である。
法的な位置づけ
高圧ガス保安法第84条は、同法の罰則に関する両罰規定であり、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し第80条又は第81条から第83条までの違反行為をした場合に、行為者のほか、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科す旨を定める。
よくある質問 AI による整理
Q1両罰規定とは何ですか?
従業者が業務に関して違反行為をしたとき、行為者本人に加えて、その雇い主である法人や個人事業主も処罰する規定です。高圧ガス保安法では84条がこれに当たります。
Q2高圧ガス保安法の両罰規定で会社に科される刑は?
各本条(80条から83条)に定める罰金刑です。法人に拘禁刑は科されず、会社だからといって罰金額が重くなる法人重課の規定も本条にはありません。
Q3高圧ガス保安法84条は個人事業主にも適用される?
適用されます。条文は「法人又は人」と定めており、個人経営の店主など、従業者を使って事業を営む自然人の事業主も罰金刑の対象になります。
Q4両罰規定で会社が免責されるのはどんな場合?
判例上、事業主が従業者の選任・監督について必要な注意を尽くしたことを証明できた場合です。教育記録、点検記録、社内規程など事前の証拠が決め手になります。
Q5アルバイトの違反でも両罰規定は適用される?
適用されえます。条文の「使用人その他の従業者」は雇用形態を問わず、アルバイトでも事業主の業務に関して違反すれば、事業主が罰金刑の対象になりえます。
Q6高圧ガス保安法違反の時効は何年?
公訴時効は刑事訴訟法250条により法定刑で決まり、罰金刑のみの罪は3年です。行為者の罪の法定刑によって期間が異なるため、各本条の確認が必要です。
Q7下請け作業員の違反で元請会社は罰せられる?
その作業員が元請の「業務に関し」行為した従業者と言えるかで決まります。契約の形式だけでなく、指揮命令の実態から個別に判断されます。
Q8両罰規定の罰金と行政処分は両方受ける?
受ける可能性があります。84条の罰金は刑事罰であり、許可取消し等の行政処分(38条等)とは別の手続です。両者を分けて対応する必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1社員が勝手にやった違反でも、会社が罰金を払わされるんですか?
原則として払わされる可能性がある。84条は「業務に関し」た違反であれば、会社の具体的な指示がなくても法人に罰金刑を科す。判例は事業主の過失を推定しており、会社が監督を尽くしたと証明できた場合だけ免れる。実務のポイント:「勝手にやった」という主張は、それを禁止していた社内規程と、教育した記録があって初めて意味を持つ。口頭の注意しかなければ、ほぼ通らない
Q2会社にも懲役みたいな重い罰があるんですか?
法人を刑務所に入れることはできないため、84条が法人に科すのは各本条(80条から83条)と同額の罰金だけである。会社なら重くなる法人重課の規定もない。実務のポイント:本当に重いのは罰金の額よりも、並行して進む許可取消しなどの行政処分(38条)と、前科のある会社として取引先の審査で受ける不利益である。損失はむしろそちらで大きくなる
間違えやすい点 AI による整理
- 「会社が罰金を払えば担当者は無罪放免」と考える人がいるが、順序が逆である。条文は「行為者を罰するほか」と書いており、まず行為者個人が罰せられる。会社の罰金は担当者の身代わりではなく追加である。担当者の前科は会社の罰金では消えない
- 監督不行き届きなら会社が罰せられるという点は知っていても、その立証責任が会社の側にあることまでは知られていない。判例は事業主の過失を推定するため、検察官が会社の落ち度を証明するのではなく、会社が「注意を尽くした」ことを示さなければならない。記録がなければ、実際には丁寧に指導していても、法律上は何もしなかった会社と区別できない
- 「重大事故で死者が出たら、会社が業務上過失致死罪で処罰されるはずだ」という問いの立て方自体がずれている。刑法211条は自然人にしか適用されず、日本には法人を処罰する業務上過失致死罪がない。会社を刑事罰に問う経路は、本条のような各法律の両罰規定に限られる。被害の大きさではなく、どの行政法規の違反があったかで会社の刑事責任が決まる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処罰される者 | 84条:違反した従業者等の雇い主である法人又は人(事業主) | 80条〜83条:違反行為をした行為者本人 刑法211条:業務上過失により人を死傷させた自然人のみ |
| 科される刑罰 | 各本条の罰金刑のみ(拘禁刑なし、法人重課なし) | 各本条に定める刑(条文ごとに異なる) 拘禁刑又は罰金(自然人に対してのみ) |
| 成立の前提 | 従業者等が「業務に関し」80条又は81〜83条の違反行為をしたこと | 各本条の構成要件に該当する行為 業務上必要な注意を怠り人を死傷させたこと |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾でも、職業災害に関する罪について負責人の処罰に加え、法人にも罰金を科す両罰の構造が採られている。高圧ガスの安全は高壓氣體勞工安全規則で規律される。
韓国の行政刑罰法規も両罰規定を広く置く。憲法裁判所が事業主の免責条項のない両罰規定を違憲としたことを受け、相当の注意・監督を怠らなかった場合の免責ただし書が整備された。
ドイツには法人の刑事責任がなく、法人には秩序違反法に基づく過料(Geldbuße)が科される。監督義務違反(§ 130)と組み合わせて運用される。
米国は使用者責任(respondeat superior)に基づき、従業員の職務上の行為について法人に広く刑事責任を認める。コンプライアンス体制は量刑で考慮される。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 工場長から「今月だけだから」と言われ、許可の範囲を超える量のガスを置いた。立入検査で発覚すれば、まずあなた個人が罰則の対象になる。上司の指示に従ったことは、量刑の事情にはなっても違反そのものを消さない
- 飲食店のビールサーバー用炭酸ガスボンベ、医療用酸素、溶接用アセチレン。もしそれらを扱う事業者の従業員が保安上の義務を怠り、事業主が監督記録を何も残していなかったら、どうなるか? 個人経営の店主にも罰金の可能性が及ぶ
- あなたは中堅メーカーの総務部長である。労働基準監督署ではなく、都道府県の高圧ガス担当部署から「事情を伺いたい」と電話が来た。担当者の違反が疑われ、会社に両罰規定が適用されるかどうかの調査が始まっている。今日から最初の聴取までの数日で、過去の教育記録と点検記録をどこまで出せるかで結論が変わる
- 協力会社の作業員がガス設備で違反した。元請のあなたの会社も罰金を受けるのか。焦点は、その作業員が「あなたの会社の業務に関し」行為した従業者と言えるかどうかである。契約形態と指揮命令の実態を確認するまで、結論は出ない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 違法な保管や取扱いを指示された従業員は、指示の日時、内容、指示者をメモやメールで残す2. 社内窓口で解決しなければ、都道府県の高圧ガス担当部署に相談する。内部通報として公益通報者保護法の保護が及ぶ可能性がある3. 近隣住民として危険を感じた場合は、写真を撮り、日時を記録して行政に通報する。事故による損害は民事で別途請求する(民法709条、715条)
訴えられた側:1. 行為者個人は、自分の行為が許可や届出の範囲内だったかを、書類で確認できるまで供述を急がない2. 会社は、教育記録、点検記録、保安規程、委託契約を時系列で揃え、選任・監督に注意を尽くしたことを立証する準備をする3. 違反行為が「業務に関し」たものか、従業者に当たるかを契約と指揮命令の実態から検討する4. 両罰規定とは別に許可取消し等の行政処分(38条)も見込み、行政対応と刑事対応を分けて弁護士と組み立てる
時効(請求できる期限):公訴時効は刑事訴訟法250条により法定刑に応じて決まり、罰金刑のみの場合は3年である。起算点は犯罪行為が終わった時。法人の時効期間を行為者の法定刑で算定するかについては、実務上、解釈が分かれている(最新の改正状況をご確認ください)
学説
無過失責任説:事業主は従業者の違反について過失の有無を問わず責任を負うとする古い見解。責任主義に反するとの批判が強く、現在の判例・通説はこれをとらない。
過失推定説(判例・通説):事業主処罰の根拠を従業者の選任・監督上の過失に求め、その過失を推定する見解。事業主が注意を尽くしたことを証明すれば免責される。最高裁昭和32年大法廷判決が採用。
純過失説:事業主の過失は推定されず、検察官が事業主の過失を積極的に立証すべきとする見解。責任主義を徹底する立場だが、判例はこの立場をとっていない。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和26年(1951年) 新設:高圧ガス取締法として制定。罰則とあわせて、従業者の違反について事業主にも罰金刑を科す両罰規定が置かれた。
- 2.平成8年(1996年) 改正:法律の題名が高圧ガス取締法から高圧ガス保安法に改められ、自主保安を重視する方向へ制度が見直された。
- 高圧ガス保安法 第80条両罰の対象となる罰則
- 高圧ガス保安法 第81条両罰の対象となる罰則
- 高圧ガス保安法 第83条両罰の対象範囲の終点
- 高圧ガス保安法 第5条製造許可、無許可違反の前提
- 高圧ガス保安法 第38条許可取消し等の行政処分(現行効力を要確認)
- 刑法 第8条刑法総則を本法罰則に適用
- 刑法 第211条自然人のみの業務上過失致死傷
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める