自衛隊法 第92条の5(治安出動下令前に行う情報収集の際の武器の使用)
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第七十九条の二の規定による情報収集の職務に従事する自衛官は、当該職務を行うに際し、自己又は自己と共に当該職務に従事する隊員の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六条又は第三十七条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。
この条文の基本情報
治安出動下令前に行う情報収集の際の武器の使用とは何ですか?
定義治安出動下令前に行う情報収集の際の武器の使用とは、自衛隊法第92条の5に定められた規定で、「第七十九条の二の規定による情報収集の職務に従事する自衛官は、当該職務を行うに際し、自己又は自己と共に当該職務に従事する隊員の生命又は身体の防護のためやむを得ない…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 自衛隊法第92条の5(治安出動下令前に行う情報収集の際の武器の使用)は、日本の自衛隊法に含まれる条文です。
- 自衛隊法第92条の5の条文原文は「第七十九条の二の規定による情報収集の職務に従事する自衛官は、当該職務を行うに際し、自己又は自己と共に当該職務に従事する隊員の生命又は身体の防護のためやむを得ない…」で始まります。
- 自衛隊法第92条の5は第七章 自衛隊の権限に置かれています。
- 自衛隊法の公布日は昭和29年6月9日です。
- 自衛隊法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 自衛隊法第92条の5の前の条は自衛隊法第92条の4です。
- 自衛隊法第92条の5の次の条は自衛隊法第93条です。
- 自衛隊法第92条の5には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第92条の5 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000165 - 本サイト収録
自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第92条の5(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000165/92_5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点自衛隊法92条の5は、79条の2の情報収集に従事する自衛官が、自己と共に従事する隊員の生命・身体を守るため、合理的に必要な限度で武器を使用できると定める。危害は正当防衛・緊急避難に限られる。
Q · 治安出動の命令が出る前に偵察へ向かった自衛官は、どんなときに武器を使えるの?
自分と仲間の生命・身体を守るためやむを得ない時だけ
自衛隊法92条の5により、79条の2の情報収集命令を受けて職務に就く自衛官は、自己又は共に職務に従事する隊員の生命・身体を守るためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合に限り、事態に応じ合理的に必要な限度で武器を使用できます。人に危害を与えてよいのは、刑法36条(正当防衛)又は37条(緊急避難)に該当する場合だけです。治安出動時の武器使用(89条・90条)とは要件が異なります。
解説
自衛官が武器を持って現場にいても、撃ってよいとは限らない。本条が想定するのは、治安出動命令(警察では対処できない事態で内閣総理大臣が自衛隊に出す出動命令)がまだ出ていない段階である。小銃や機関銃などで武装した集団が潜んでいると見込まれる場所へ、79条の2に基づく命令で情報収集に向かう部隊が対象になる。この段階で武器を使えるのは、自分自身か、一緒に任務に就いている隊員の生命・身体を守るためにやむを得ない場合だけである。しかも、事態に応じて合理的に必要な限度に限られる。人に危害を与えることが許されるのは、刑法36条(正当防衛)か37条(緊急避難)に当たる場合だけだ。つまり本条は攻撃の権限を与えていない。武装した相手の近くで、身を守るための細い道を一本だけ開いている。報道で「自衛隊が武器を携行して出動」と聞いたら、まず確認すべき点がある。どの条文に基づく出動かで、引き金を引ける条件がまったく違うということだ。
法的な位置づけ
自衛隊法92条の5は、治安出動命令が発せられる前に同法79条の2に基づき情報収集の職務に従事する自衛官の武器使用権限を定める規定である。防護対象を自己及び共に職務に従事する隊員の生命又は身体に限り、使用の程度を事態に応じ合理的に必要な限度に制限し、人への危害を刑法36条・37条該当の場合に限定する。
よくある質問 AI による整理
Q1自衛隊法92条の5とは何ですか?
治安出動命令の前に79条の2の情報収集を行う自衛官が、自分と同僚の生命・身体を守るために武器を使える範囲を定めた規定です。
Q2自衛隊法79条の2の情報収集とは?
治安出動命令が出る前の段階で、小銃・機関銃などで武装した者がいると見込まれる場所へ自衛官を派遣し、情報を集めさせる命令のことです。
Q3自衛官の武器使用は違法になる?
本条の要件を満たせば法令による行為として違法性が否定されます。要件を外れた使用や、正当防衛・緊急避難に当たらない危害は刑事責任を問われうる。
Q4自衛隊 情報収集中 撃たれたら反撃できる?
自分や同僚の生命・身体を守るためやむを得ない場合、合理的に必要な限度で武器を使用できます。相手に危害を与えるのは正当防衛・緊急避難の範囲内です。
Q5自衛隊法92条の5の「相当の理由」とは?
防護の必要があると判断したことに、その時点の状況から見て客観的な裏付けがあることを指します。後から判明した事実ではなく、行為時の認識で判断されます。
Q6自衛隊の武器使用で被害を受けたら賠償請求できる?
公務員の職務上の行為による損害として、国家賠償法1条に基づき国に賠償を求めるのが基本です。隊員個人への直接請求は原則認められません。
Q7自衛隊の武器使用規定はいくつある?
防衛出動、治安出動(89条・90条)、情報収集(92条の5)、武器等防護(95条)など、任務の局面ごとに別々の条文があり要件も異なります。
Q8自衛隊法92条の5警察官も守れる?
条文の防護対象は自己と共に職務に従事する隊員のみで、警察官や住民は文言に含まれていません。職務上の武器使用としてどこまで及ぶかは解釈が分かれます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1治安出動の命令が出る前でも、自衛隊って銃を撃っていいんですか?
自衛隊法79条の2の情報収集命令を受けた自衛官に限り、本条の範囲で武器を使えます。範囲は、自分や一緒に任務に就く隊員の生命・身体を守るためにやむを得ない場合で、合理的な限度までです。人に危害を与えてよいのは正当防衛・緊急避難に当たる場合だけです。実務のポイント:89条・90条の治安出動時の規定とは、危害を許す条件がまったく違います。報道ではこの二つがよく混同されます
Q2近くの住民が襲われていたら、自衛官は助けてくれないんですか?
本条の文言が武器使用の根拠として挙げる防護対象は、自衛官自身と共に任務に就く隊員です。刑法36条の正当防衛は他人を守る場合も含みますが、それを職務上の武器使用として本条の枠内でどこまで認めるかは、実務上、解釈が分かれています。実務のポイント:この「守れる対象の狭さ」こそ、武器使用規定をめぐる国会論争の核心です。条文の穴として長年指摘されてきました
間違えやすい点 AI による整理
- 「武器を携行して出動したのだから、危険な相手には発砲できる」と思われがちである。だが本条で人に危害を与えてよいのは、正当防衛か緊急避難に当たる場合だけだ。武器の携行と危害射撃の許可は、法律上まったく別の段階にある
- 守られるのは現場の人間全員だと考えている人が多い。条文が防護の対象として書いているのは「自己又は自己と共に当該職務に従事する隊員」だけで、近くにいる住民や警察官は文言に入っていない。この線引きは、治安出動前という段階だからこそ細く引かれている
- 本条を「自衛隊の権限を広げる条文」とだけ見るのは一面的だ。現場の自衛官から見れば、撃てる範囲を定めた権限規定である。同時に、その範囲の外で撃てば個人として刑事責任を問われうるという境界線でもある。隊員にとっては、自分を守る盾と、自分を縛る枠が同じ一文に同居している
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用される局面 | 92条の5:治安出動命令前、79条の2に基づく情報収集中 | 90条:78条等による治安出動命令後 95条:自衛隊の武器等を職務上警護するとき |
| 防護の対象 | 自己及び共に職務に従事する隊員の生命・身体 | 治安維持の任務遂行に関わる人・施設等(本条より広い) 自衛隊の武器・弾薬・船舶・航空機等 |
| 人への危害の許容 | 刑法36条・37条該当の場合に限る | 89条による警察官職務執行法の準用を含み、本条より広い要件 刑法36条・37条該当の場合に限る |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は軍人の武器使用要件を単行の条例で定める。日本のように任務局面ごとに条文を分ける構造とは異なるため、対応関係は比較参考にとどまる
ドイツは連邦軍兵士の直接強制・武器使用を専用法で規律し、比例原則を明文で要求する点で本条の限度要件と共通する
米国は国内法執行への軍の関与自体を制限する構造をとり、武器使用の要件は主に交戦規則等の内部規則で定められる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 沿岸の集落で、武装した工作員が上陸したらしいという情報が入った。治安出動命令はまだ出ていない。偵察に向かった隊員が、茂みから銃口を向けられた。ここで撃てるかどうかは、本条の「自己又は共に従事する隊員の防護」に当たるかで決まる
- もし、情報収集中の隊員の目の前で、武装集団が住民に銃を向けたら、どうなる? 本条の文言が守る対象は、自分と一緒に任務に就いている隊員だけである。住民を守るための武器使用を本条で根拠づけられるかは、実務上、解釈が分かれている。刑法36条の正当防衛は「他人の権利」も含むが、自衛官の職務上の権限としてどこまで使えるかは別の問題として議論されてきた
- あなたは現場の自衛官だ。相手はまだ撃っていない。銃を構えただけである。あと数秒で判断しなければならない。後で問われるのは、あなたが「相当の理由」をもって必要と認めたかどうかである
- 防衛担当の記者として、あなたは「治安出動前の自衛隊が武装勢力と交戦」という速報を書こうとしている。「交戦」という言葉は正確だろうか。本条が認めているのは自己防護のための武器使用であって、敵を制圧するための戦闘ではない。見出しの一語で、読者が受け取る法的な意味が変わる
- 武器を使った後、隊員本人が刑事責任を問われるかどうかは、本条の要件を満たしたかで決まる。満たしていれば法令による行為(刑法35条)として違法性が否定される。はみ出した部分は、一人の人間の行為として審査される
取るべき行動
被害を受けた側:1. 情報収集中の武器使用で本人や家族が負傷し、または財産に損害を受けた場合、日時・場所・状況を記録し、医療記録と写真を確保する2. 公務員の職務上の行為による損害は、国家賠償法1条により国に賠償を求めるのが基本となる。隊員個人を直接訴えても、判例上、公務員個人は原則として責任を負わない3. 争点は、武器使用が本条の要件(防護の必要性、相当の理由、合理的な限度)を満たしていたかになる。国への情報公開請求や、弁護士会への相談を早期に検討する
訴えられた側:1. 武器を使用した隊員は、使用直後に、自分が認識した脅威の内容、距離、相手の動作、仲間の位置を詳細に報告し記録に残す2. 本条の要件を満たせば、法令による行為(刑法35条)として違法性が否定される。人に危害が生じた場合は、刑法36条・37条の要件の検討が中心になる3. 刑事手続の対象になりそうな場合は、身内の聴取だけで済ませず、早い段階で弁護人を依頼する。供述の一貫性が後で決定的な意味を持つ
時効(請求できる期限):国家賠償請求は国家賠償法4条により民法が適用され、損害および加害者を知った時から3年(生命・身体の侵害は5年、民法724条・724条の2)、不法行為時から20年で請求できなくなる。隊員の刑事責任の公訴時効は、成立しうる罪名ごとに刑事訴訟法250条で異なる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条は武器使用の権限規定であると同時に限界規定でもあり、要件を満たす使用は刑法35条の法令行為として違法性が阻却される。危害許容は刑法36条・37条に限定され、攻撃的な実力行使の根拠にはならないと解される。
- 自衛隊法 第79条の2本条の前提となる情報収集命令
- 自衛隊法 第78条命令による治安出動、情報収集の先にある段階
- 自衛隊法 第89条治安出動時の権限、警察官職務執行法の準用
- 自衛隊法 第90条治安出動時の武器使用、本条より広い要件
- 自衛隊法 第95条武器等防護のための武器使用との対比
- 刑法 第36条正当防衛、危害許容の限界を画する
- 刑法 第37条緊急避難、危害許容の限界を画する
- 国家賠償法 第1条武器使用による損害に対する国の賠償責任
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