国民健康保険法 第24条の2(理事の代表権の制限)
クイックジャンプ
理事の代表権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
この条文の基本情報
理事の代表権の制限とは何ですか?
定義理事の代表権の制限とは、国民健康保険法第24条の2に定められた規定で、「理事の代表権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民健康保険法第24条の2(理事の代表権の制限)は、日本の国民健康保険法に含まれる条文です。
- 国民健康保険法第24条の2の条文原文は「理事の代表権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。」で始まります。
- 国民健康保険法第24条の2は第二節 管理に置かれています。
- 国民健康保険法の公布日は昭和33年12月27日です。
- 国民健康保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 国民健康保険法第24条の2の前の条は国民健康保険法第24条です。
- 国民健康保険法第24条の2の次の条は国民健康保険法第24条の3です。
- 国民健康保険法第24条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第24条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192 - 本サイト収録
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第24条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/333AC0000000192/24_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民健康保険法24条の2は、組合の理事の代表権に加えた制限は善意の第三者に対抗できないと定める。相手方が制限を知っていた場合に限り、組合は契約の無効を主張できる。
Q · 国保組合の理事が規約を無視して結んだ契約、あとから無効にできますか?
相手が制限を知らなければ契約は有効、知っていれば無効を主張できます
国民健康保険法24条の2により、組合の規約や組合会の議決要件で理事の代表権に制限を加えても、その制限を知らなかった第三者には対抗できません。したがって理事が内部手続を経ずに締結した契約でも、相手方が善意であれば契約は組合を拘束し、組合は履行を拒めません。逆に相手方が制限を現に知っていた(悪意)場合には対抗でき、組合は無効を主張できます。なお対外的に有効であっても、理事が組合に対して負う善管注意義務違反の責任は別に残ります。
解説
国民健康保険組合の規約に「一件一千万円を超える契約は組合会の議決を要する」と書いてあったとする。理事がその手続を飛ばして、あなたの会社と一千五百万円のシステム導入契約に署名した。納品も検収も終わったころ、組合が「内部規約に違反した契約だから無効だ」と言い出す。本条はその主張を正面から封じる。理事の代表権に加えた制限は、その制限を知らなかった第三者には対抗できない。ここで言う「善意」は親切という意味ではなく、「その事実を知らなかった」という法律用語である。あなたが規約上の制限を知らずに契約したなら、契約は組合を拘束し、組合は支払うほかない。逆にあなたが制限を知っていた(悪意)なら、組合はあなたに無効を主張できる。契約前に相手の内部規程をどこまで覗いたか、その記録が後であなたを救うこともあれば、首を絞めることもある。
法的な位置づけ
国民健康保険法24条の2は、国民健康保険組合の理事の代表権に加えられた制限の対抗要件を定める規定である。規約その他の内部規範により理事の代表権が制限されている場合でも、その制限は当該事実を知らない第三者に対抗することができず、組合は当該取引の無効を主張できない。内部関係における制限そのものの効力は否定されない。
手順
- 1.交渉記録を時系列で固める メール、議事録、名刺、送付を受けた書類を締結前後で時系列に並べ、規約や内部制限の開示を一度も受けていない事実を確定させる。自分のメールボックスに規約の条文が送られていないかを先に確認する
- 2.善意か悪意かで戦略を分岐させる 制限を知らされた形跡がなければ本条による有効主張で進む。逆に規約の条文を受領していた場合は悪意と評価される危険があるため、無効を前提とした不当利得返還や再契約の交渉へ切り替える
- 3.書面で履行を請求する 国民健康保険法24条の2により制限は対抗できない旨を明示し、履行期限を区切って書面で請求する。電話や口頭での「規約は見ていません」という発言は残らないため、必ず書面または記録の残る方法で行う
- 4.二本立ての法的手段を検討する なお拒否される場合、組合を相手とする契約上の履行請求と、理事個人への不法行為責任(民法709条)の二本立てを検討する。組合側に立つ場合は、無効主張への固執をやめ理事への善管注意義務違反の追及へ切り替える
よくある質問 AI による整理
Q1国民健康保険組合とは何ですか?
同種の事業や業務に従事する人で組織される国民健康保険の保険者です。医師国保、建設国保、薬剤師国保などがあり、法人として理事・監事を置き、規約に基づいて運営されます。
Q2理事の代表権の制限とは具体的に何ですか?
規約や内部規程で「一定額を超える契約は組合会の議決を要する」「不動産の処分は理事会決議が必要」などと理事の権限に枠をはめることです。組合内部では有効な縛りになります。
Q3「対抗することができない」とはどういう意味ですか?
その事実を相手に主張できない、という意味です。制限自体が消えるわけではなく、善意の第三者との関係でだけ主張が封じられ、契約は有効なものとして扱われます。
Q4契約が無効とされた場合、納品済みの商品や代金はどうなりますか?
不当利得の返還(民法703条・704条)の問題になります。現物の返還が難しければ価額返還となり、原状回復の範囲や費用負担をめぐって別の争いが生じやすい場面です。
Q5会社法349条5項とどこが違いますか?
文言と構造はほぼ同じで、対象法人が株式会社か国民健康保険組合かが違うだけです。そのため会社法の解釈や裁判例が、本条の解釈の参照元として実務で用いられます。
Q6民法110条の表見代理とどう違いますか?
民法110条は代理権の範囲外の行為について正当な理由がある相手方を保護する一般法理です。本条は代表権に加えた制限の対抗力を直接否定する規定で、相手方の保護がより厚くなります。
Q7組合が契約の無効を主張するには何を立証する必要がありますか?
相手方が制限を現に知っていた(悪意である)ことです。規約を送付したメール、議事録の共有履歴、過去に決議を求めたやり取りなどの客観証拠が必要になります。
Q8理事以外の職員が結んだ契約にも本条は適用されますか?
本条は理事の代表権の制限に関する規定です。職員の場合は代理権の有無の問題となり、民法の表見代理(109条・110条・112条)で処理されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1規約はホームページに載せてあるんですが、それでも「知らなかった」と言われるんですか?
言われます。本条の善意は「現に知らなかったこと」を指し、公示しただけでは相手が知った証明になりません。会社法三四九条五項でも同じ構造です。実務のポイント:実効性を持たせる唯一確実な方法は、契約書本文に「本契約の締結には組合会の議決を要する」と書き込み、相手に署名させることです。ウェブ掲載ではなく契約書への埋め込み、ここが勝敗の分かれ目になる
Q2「善意」って、良い人って意味じゃないんですか?
違います。法律用語の善意は「その事実を知らないこと」、悪意は「知っていること」で、道徳的な良し悪しを一切含みません。同じ文言が一般社団法人及び一般財団法人に関する法律七七条五項にも置かれています。実務のポイント:この誤読は法律相談の現場で非常に多く、弁護士はいちいち訂正しません。契約書で「善意の第三者」を見たら「事情を知らない人」と読み替える癖をつけると、条文の読み違いが激減する
Q3ちょっと怪しいなとは思ったけど確認しなかった場合、それでも守られますか?
実務上、解釈が分かれている論点です。条文は善意とのみ定めるため知らなければ足りるとする見解がある一方、会社法三四九条五項の解釈では、知らないことに重大な過失がある第三者は悪意と同視すべきとの有力説があります。実務のポイント:訴訟では相手方が必ず「疑うべき事情があったのに調べなかった」と主張してきます。疑問を感じた時点でメールで質問し、「問題ありません」という回答を残しておくほうが強い
Q4契約が有効になったら、勝手に契約した理事はお咎めなしですか?
そうはなりません。対外的に有効であることと、内部の責任は別問題です。組合は理事に対して善管注意義務違反を理由とする損害賠償や解任を検討でき、監事の監査対象にもなります(国民健康保険法二四条の役員規定)。実務のポイント:無効にできない案件で組合側の弁護士が真っ先に調べるのは、理事個人の資産と役員賠償責任保険の有無です。保険の有無で回収可能性がまるで違う
間違えやすい点 AI による整理
- 「規約に書いてあるのだから相手も従うべきだ」という問いの立て方そのものが誤っている。規約は組合の内部規範であり、外部の第三者を当然には拘束しない。問うべきは「規約に何を書いたか」ではなく「相手にどう知らせたか」である。この問いの置き換えができた瞬間、契約実務の優先順位が丸ごと入れ替わる
- 「善意」を「善意ある人、親切な人」と読んでしまう人は非常に多い。法律上の善意は「その事実を知らないこと」を意味し、道徳的評価を一切含まない。どれほど強欲で攻撃的な交渉相手であっても、制限を知らなければ善意の第三者として保護される
- 「知られなければ組合は縛られる」ところまでは知っている人でも、その先の深刻度を見落としている。契約が有効である以上、組合は支払わざるを得ず、その損失は最終的に組合員の保険料に跳ね返る。そして組合が次に向かう先は、暴走した理事個人への損害賠償請求である。外部との関係が確定した瞬間、矛先は内側に折り返す
- あなたから見れば「知らなかったのだから守られる」で完結する話が、裁判所から見ると「疑わしい事情があったのに調べなかった」という評価問題に変わる。この落差が争点になる。実務上、解釈が分かれている論点であり、単に知らなければ足りるとする見解と、知らないことに重大な過失があれば悪意と同視すべきとする有力説が対立している
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象法人と根拠 | 国民健康保険法24条の2:国民健康保険組合の理事 | 会社法349条5項:株式会社の代表取締役 民法110条:代理一般(権限外の行為の表見代理) |
| 保護の要件 | 第三者が制限を知らないこと(善意) | 第三者が制限を知らないこと(善意) 権限があると信ずべき正当な理由があること |
| 相手方の調査義務 | 原則として不要。知らなければ保護される | 原則として不要。重過失の扱いは解釈上争いあり 正当な理由の判断の中で調査の有無が評価される |
| 内部責任との関係 | 対外的に有効でも理事の善管注意義務違反は残る | 対外的に有効でも取締役の任務懈怠責任は残る 本人と無権代理人の内部関係は別途処理される |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾は法人一般について民法で、会社については公司法で、代表権の制限は善意の第三者に対抗できないと定める。対抗不能という構成は日本と同一で、条文の射程も近い
韓国は定款への記載を制限の効力要件とし、さらに登記しなければ第三者に対抗できないとする登記主義を採る。善意・悪意を問わず登記の有無で切り分ける点が日本と構造的に異なる
法人の定款または権力機構による法定代表者の代表権の制限は、善意の相対人に対抗できないと定める。2020年制定の民法典で明文化され、日本・台湾と同じ善意保護型を採用
ドイツは社団については登記による公示を対抗の基準とし、有限会社では代表権の制限は第三者に対して法的効力を持たないと定める。法人類型ごとに公示主義と絶対的無効力を使い分ける
フランスは定款による代表者権限の制限を第三者に対抗できない(inopposable aux tiers)と定め、善意の有無を問わない絶対的な対抗不能に近い構成を採る
米国は制定法ではなく代理法理で処理し、本人が作出した外観への相手方の合理的信頼があれば apparent authority により拘束される。ultra vires を理由とする無効主張は現代では大幅に制限されている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、建設国保組合に事務システムを納品し、検収まで終えたあとで「理事が独断で決めた契約だから支払えない」と言われたら? 規約の議決要件を一度も知らされていなかったなら、本条によりあなたの請求は通る。ただし交渉中に相手が規約の条文をメールで送ってきていた場合、その一通で形勢は逆転する。証拠の所在を先に確認するのは、相手ではなくあなた自身のメールボックスである
- 組合の事務局側に立つとあなたの立場は反転する。理事が理事会決議を経ずに事務所の賃貸借契約に署名していた。組合として無効を主張したいが、貸主が制限を知らなければ組合は縛られる。ここで取るべき手は無効主張への固執ではなく、契約は履行したうえで理事個人に善管注意義務違反(プロとして当然払うべき注意を怠ったこと)の責任を問う方向への切り替えである
- 医師国保組合の理事が、規約上の上限を超える賃料で保養所を借りた。貸主は組合の規約を見たことすらない。この契約は組合を拘束する。
- 支払期日まであと七日、組合から「本件契約は無効」とする文書が届いた。ここで慌てて電話で「規約なんて見ていません」と口頭で言い切るのは危うい。交渉の全経緯と規約の開示を受けていない事実を時系列で書面に固めてから返答する。七日という短さ自体が、相手が時間切れを狙っている可能性を示している
取るべき行動
被害を受けた側:1. 契約交渉の全記録(メール、議事録、名刺、送付を受けた書類)を時系列で整理し、規約や内部制限の開示を受けていない事実を固める2. 相手から規約の条文が送られていないか、自分のメールを先に確認する。あれば悪意と評価されうるので戦略を変える3. 書面で、本条により制限は対抗できない旨を明示して履行を請求する4. なお拒否されるなら、組合を相手とする契約上の請求と、理事個人への不法行為責任(民法七〇九条)の二本立てを検討する
訴えられた側:1. 相手が制限を現に知っていた証拠(規約を送付したメール、議事録の共有履歴、過去に決議を求めた経緯)を探す。なければ無効主張は通らない2. 無効主張に固執せず、契約は履行したうえで理事個人への損害賠償に切り替える道を並行検討する3. 監事による監査と組合会への報告を行い、再発防止として契約書ひな形に内部手続完了の確認欄を設ける4. 規約自体の見直しが必要なら、都道府県知事への認可手続と併せて進める
時効(請求できる期限):本条自体に期間の定めはない。契約の効力をめぐる争いに特定の時効はないが、組合が理事個人に負担分を請求する損害賠償請求権には、民法一六六条(権利を行使できることを知った時から五年、行使できる時から十年)または不法行為構成なら民法七二四条(三年・二十年)が適用される。起算点は、組合が理事の越権と損害を認識した時点である(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:本条の善意は「制限の存在を現に知らないこと」を指し、公示や規約のウェブ掲載だけでは相手方が知ったことの証明にならない。制限を外部に及ぼすには、契約書本文への明記など、相手方が現に認識したと評価できる措置が必要である。
有力説(悪意者同視説):会社法349条5項の解釈を参照し、制限を知らないことにつき重大な過失がある第三者は悪意と同視すべきとする。単に知らなければ足りるとする文言解釈と対立し、実務上はこの争点が訴訟の主戦場となる。
改正沿革 AI による整理
- 一般社団法人法制定に伴う関係法律整備(年次要検証) 民法旧五四条(理事の代理権に加えた制限は善意の第三者に対抗できない)の削除に伴い、各特別法へ同旨の規定が個別に置かれた立法の流れに位置づけられる条文である。ただし新設の年次、公布法律番号、施行日は原典での確認が必要であり、確定情報として扱ってはならない
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める