国民健康保険法 第32条の8(清算人の職務及び権限)
クイックジャンプ
- 清算人の職務は、次のとおりとする。
- 一現務の結了
- 二債権の取立て及び債務の弁済
- 三残余財産の引渡し
- 2.清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。
この条文の基本情報
清算人の職務及び権限とは何ですか?
定義清算人の職務及び権限とは、国民健康保険法第32条の8に定められた規定で、「清算人の職務は、次のとおりとする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民健康保険法第32条の8(清算人の職務及び権限)は、日本の国民健康保険法に含まれる条文です。
- 国民健康保険法第32条の8の条文原文は「清算人の職務は、次のとおりとする。」で始まります。
- 国民健康保険法第32条の8は第三節 解散及び合併に置かれています。
- 国民健康保険法の公布日は昭和33年12月27日です。
- 国民健康保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 国民健康保険法第32条の8の前の条は国民健康保険法第32条の7です。
- 国民健康保険法第32条の8の次の条は国民健康保険法第32条の9です。
- 国民健康保険法第32条の8には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第32条の8 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192 - 本サイト収録
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第32条の8(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/333AC0000000192/32_8
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民健康保険法32条の8は、清算人の職務を現務の結了、債権の取立てと債務の弁済、残余財産の引渡しの三つに限定し、その遂行に必要な一切の行為をする権限を与える。
Q · 入っていた国保組合が解散したら、払った保険料は戻ってくるの?
戻りません。残余財産は規約が指定した者に引き渡されます
国民健康保険法32条の8第1項3号が清算人の職務として定めるのは残余財産の「分配」ではなく「引渡し」です。引渡し先は組合員ではなく規約が指定した者であり(32条の2第1項)、指定がなければ都道府県知事の許可を得て類似の目的のために処分され、なお残れば国庫に帰属します。組合員の持分として自動的に払い戻される仕組みは条文上存在しません。確認すべきは返還額ではなく、加入している組合の規約が誰を帰属先に指定しているかです。
解説
建設国保、医師国保、薬剤師国保。業種ごとに作られた国民健康保険組合は全国に百数十あり、その多くが組合員の減少を抱えている。解散したとき後始末をする人間がやることは、この条文で三つに固定される。現務の結了(動いている仕事を終わらせる、つまり出された療養費や高額療養費の請求を処理しきること)、債権の取立てと債務の弁済(滞納保険料の回収と、医療機関や組合員への支払い)、残余財産の引渡し。三番目が「分配」ではなく「引渡し」である点が効いてくる。株式会社の清算なら残余財産は株主に分配されるが(会社法481条)、国保組合の財産は規約が指定した者に帰属する(32条の2)。長年保険料を納めた組合員へ自動で返る仕組みは、条文のどこにもない。2項が清算人に与える「必要な一切の行為」という権限は、あなたの未払い給付を処理する力であり、同時にあなたの滞納分を取り立てにくる力でもある。
法的な位置づけ
国民健康保険法32条の8は、解散した国民健康保険組合の清算人の職務範囲を定める規定である。職務は現務の結了、債権の取立て及び債務の弁済、残余財産の引渡しの三種に限定され、第2項により、これらの職務を遂行するために必要な一切の行為をする権限が清算人に認められる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.解散通知と官報公告の日付を押さえる 組合からの解散通知を受け取ったら、まず官報で清算人の公告日と債権申出期間の末日を確認する。清算人は就職の日から2か月以内に公告を始め、申出期間は2か月以上と定められている(32条の9)
- 2.未請求の給付を洗い出す 療養費、高額療養費、出産育児一時金など未請求のものを領収書ベースで全件洗い出す。現務の結了(32条の8第1項1号)の対象として処理されるのは、清算人が把握している請求に限られる
- 3.申出期間内に書面で債権を申し出る 債権の内容と金額を書面にして清算人へ提出し、控えと配達記録を保管する。期間経過後の申出は、債務完済後にまだ引き渡されていない財産への請求に限られる(32条の10)
- 4.滞納保険料の扱いを清算人と詰める 滞納分があれば債権の取立て(32条の8第1項2号)の対象になる。徴収の告知や督促には時効更新の効力があるため(110条2項)、期限を明示した分割案を自分から提示する
- 5.新しい保険者への切替手続を済ませる 組合は清算の目的の範囲内でのみ存続するため(32条の3)、保険者機能は解散で終わる。市町村国保または被用者保険へ速やかに切り替え、空白期間の受診分は新保険者へ療養費請求する
- 6.清算人の動きが不透明なら裁判所へ 処理が止まっている、身内に有利な処分が疑われる場合は、主たる事務所を管轄する地方裁判所へ解任を申し立てる(32条の6、32条の13)。裁判所は職権でも動けるため、形式より事実の提示が効く
よくある質問 AI による整理
Q1清算人の職務とは?
国民健康保険法32条の8により、現務の結了、債権の取立て及び債務の弁済、残余財産の引渡しの三つです。この三つを行うために必要な一切の行為ができますが、それ以外の新規事業は権限外となります。
Q2国民健康保険組合が解散するのはどんなとき?
組合員の著しい減少や財政の行き詰まりなどを理由に、法定の解散事由に該当した場合です(32条)。解散後の後始末は清算人が32条の8の三職務として処理します。
Q3残余財産の「引渡し」と「分配」の違いは?
分配は持分に応じて構成員へ返す手続ですが、引渡しは規約が指定した帰属先へ渡す手続です。国保組合は32条の8第1項3号が引渡しと定めるため、組合員への自動的な返還は生じません。
Q4債権の申出はいつまで?
清算人は就職の日から2か月以内に官報公告を始め、申出期間は2か月を下れません(32条の9)。公告に書かれた期限が実際の締切なので、公告日を必ず確認してください。
Q5清算人は新しい契約を結べる?
できません。組合は清算の目的の範囲内でのみ存続し(32条の3)、32条の8の三職務の遂行に必要な行為に限られます。範囲外の行為は権限外として清算人個人の責任問題になり得ます。
Q6組合が債務超過だったらどうなる?
清算人は弁済を進めずに破産手続開始の申立てを検討することになります。法人は債務超過が破産手続開始原因とされているためです(破産法16条)。漫然と一部債権者に弁済すると責任を問われます。
Q7清算が終わったら届出は必要?
必要です。清算が結了したときは都道府県知事へ届け出ます(32条の12)。就任時にも氏名・住所の届出が求められ(32条の7)、清算全体が裁判所の監督に属します(32条の11)。
Q8申出期間を過ぎた債権は?
消滅はしませんが、債務完済後にまだ引き渡されていない財産に対してしか請求できません(32条の10)。残余財産が引渡し済みなら、事実上回収できなくなります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1組合が解散したら、今まで払ってきた保険料って戻ってくるんですか?
原則として戻りません。清算人の職務は残余財産の「分配」ではなく「引渡し」であり(32条の8第1項3号)、引渡し先は規約が指定した者です(32条の2第1項)。指定がなければ知事の許可を得て類似の目的に処分され、残りは国庫に帰属します。実務のポイント:残余財産の帰属条項は、解散を議決する組合会の前後で規約改正される例がある。解散の話が出た段階で該当条項と直近の改正履歴を確認しておくと、誰に流れる設計なのかが先に見える
Q2保険証はいつまで使えますか。解散したら病院にかかれなくなる?
組合は清算の目的の範囲内で存続するだけで(32条の3)、保険者としての機能は解散で終わります。以後は市町村の国民健康保険や勤務先の被用者保険へ移る手続きが必要です。未処理の給付は現務の結了として清算人が処理します(32条の8第1項1号)。実務のポイント:切替の谷間に受診すると窓口でいったん全額負担になる。後から療養費として請求できるが、請求先は資格を得た新しい保険者であって清算中の組合ではない。領収書は原本を必ず残す
Q3清算人って結局、組合の理事がそのままやるんですよね。身内で都合よく処理されませんか?
原則は理事が清算人になります(32条の4)。ただし解散と清算は裁判所の監督に属し(32条の11)、重要な事由があれば利害関係人や検察官の請求により、あるいは職権で裁判所が解任できます(32条の6)。検査役による調査もあります(32条の16)。実務のポイント:申立先は主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所(32条の13)。清算人選任の裁判には不服申立てができない(32条の14)ので、人選に言いたいことがあるなら選任される前に出す
Q4滞納している保険料は、組合がなくなればチャラになりますか?
消えません。債権の取立ては清算人の職務に明記されており(32条の8第1項2号)、滞納保険料はその対象です。さらに徴収の告知や督促には時効更新の効力があり(110条2項)、2年の時効が振り出しに戻ります。実務のポイント:清算局面では交渉相手が組合の窓口ではなく清算人に変わる。清算人は結了時期から逆算して回収計画を組むため、期限を明示した分割案を自分から提示したほうが話が通りやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 「解散したら積み立てた保険料は返ってくるのか」という問いの立て方が、そもそもずれている。国保組合の財産は組合員の持分ではなく、帰属先は規約が指定する(32条の2第1項)。指定がなければ理事が都道府県知事の許可を得て類似の目的のために処分し、それでも残れば国庫に入る(同条2項、3項)。問うべきは「いくら返るか」ではなく「うちの規約は誰を指定しているか」である
- 清算人が債権を取り立てる側にも回ることは知られていても、その射程が見落とされている。取立ての対象には組合員の滞納保険料も含まれる。組合が消えるから徴収も消える、という話にはならない。しかも徴収権は行使できる時から2年で時効消滅する(110条1項)ため、清算人は消滅前の分をまとめて請求してくる動機を持つ
- あなたから見れば清算人は「組合の人」だが、法律から見れば清算の目的の範囲内でしか動けない存在であり、その解散と清算は裁判所の監督に属する(32条の3、32条の11)。重要な事由があれば、利害関係人の請求または職権で裁判所が解任できる(32条の6)。身内の処理だと諦めるか、裁判所を動かせる相手だと知っているかで、清算中の交渉力が変わる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律している場面 | 32条の8:清算人が何をするか(職務と権限の範囲) | 32条の2:残った財産が誰のものになるか(帰属先) 32条の9:債権者にどう知らせるか(公告と催告の手続) |
| 組合員への効果 | 未処理の給付は現務の結了として処理されるが、請求しなければ拾われない | 規約の指定次第で帰属先が決まり、組合員へ自動的には返らない 申出期間を逃すと未引渡し財産にしか請求できない(32条の10) |
| 期限の有無 | 職務自体に法定期限はないが、結了後は知事へ届出(32条の12) | 期限の定めはなく、引渡しは弁済完了後 就職から2か月以内に公告開始、申出期間は2か月以上 |
| 株式会社との違い | 残余財産は「引渡し」(会社法481条は「分配」) | 指定がなければ知事の許可で類似目的へ処分、最終的に国庫 裁判所の監督下で手続が進行(32条の11) |
他国ではどう定めているか 4 か国
清算人の職務として「了結現務」「收取債權、清償債務」「移交賸餘財產於應得者」の三つを列挙し、本条とほぼ同一の構造。残余財産を持分に応じた分配ではなく「應得者」への移交とする点も共通する
現存事務の終結、債権の推尋および債務の弁済、残余財産の引渡しの三つを清算人の職務とし、第2項で職務遂行に必要な一切の行為ができると定める。条文構造が本条ときわめて近い
社団の清算人は、進行中の事務を終了させ、債権を取り立て、残余財産を金銭に換え、債権者を満足させ、剰余を Anfallberechtigte(帰属権利者)に引き渡す。帰属権利者概念は本条の「規約が指定した者」に対応する
解散後の winding up として、事務の収集、債務の弁済、残余資産の処分を規定する。残余資産は定款等の定めに従い同種の目的を有する団体へ移転され、構成員への分配は原則として認められない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 加入している組合から解散の通知が届いたら、何日以内に動けばいいのか? 清算人は就職の日から2か月以内に官報で公告を始め、そこから2か月以上の債権申出期間が走る(32条の9)。逆算すれば、通知を見てから動ける猶予は実質数か月しかない。未請求の高額療養費が数十万円眠っているなら、今週中に請求書を出す話になる
- 理事として解散決議に賛成したあなたは、翌日から清算人になっている(32条の4)。役員としての仕事ではなく清算人の職務が始まり、債務超過が見えれば弁済を止めて破産手続を検討する判断まで背負う。三つの職務の外に出た行為は、権限外として自分に跳ね返る
- 診療所の事務長が、支払われていない療養費の請求書を机に並べる。相手の組合は解散済み。官報の公告日を確認しないまま申出期間が過ぎれば、請求できる相手は引渡し前の残余財産だけになる
- 一人親方の友人から「組合がなくなるらしいけど、払った保険料は返るのか」と相談される。返らない可能性が高い理由と、規約のどの条項を見れば答えが出るかを、その場で示せるかどうかで会話の価値が変わる
- 保険料を半年滞納したまま組合の解散を知り、これで帳消しだと計算する。だが債権の取立ては清算人の職務そのものとして明記されており(32条の8第1項2号)、督促には時効更新の効力がある(110条2項)。逃げ切りの計算は成り立たない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 解散の通知や官報公告を見たら、未請求の給付(療養費、高額療養費、出産育児一時金など)を洗い出し、その場で請求書を出す2. 公告に記載された申出期間内に、債権の内容と金額を書面で清算人へ提出し、控えと送付記録を保管する3. 帳簿上わかっている債権者は除斥できないが(32条の9第3項)、未請求の給付は「知れている債権者」と扱われない危険がある4. 期間を過ぎると未引渡しの財産にしか請求できない(32条の10)。給付を受ける権利自体も2年で時効消滅する(110条)ので、二つの締切を並べて管理する
訴えられた側:1. 清算人に就任したら氏名と住所を都道府県知事に届け出る(32条の7)2. 就職の日から2か月以内に官報で3回以上公告し、2か月以上の申出期間を定め、知れている債権者には個別に催告する(32条の9)3. 職務は現務の結了、債権の取立てと債務の弁済、残余財産の引渡しの三つに限られ、新規の事業行為は権限外4. 債務超過が判明したら弁済を止めて破産手続を検討する(破産法16条)5. 結了後は知事へ届け出る(32条の12)。裁判所の監督と検査役の調査が入りうる前提で帳簿を整える(32条の11、32条の16)
時効(請求できる期限):清算人は就職の日から2か月以内に第1回の公告を行い、債権の申出期間は2か月を下ることができない(32条の9第1項)。期間経過後の申出は、債務完済後まだ引き渡されていない財産への請求に限られる(32条の10)。これとは別に、保険給付を受ける権利および保険料等の徴収・還付の権利は、行使することができる時から2年で時効消滅する(110条1項)
学説
通説:解散した組合は清算の目的の範囲内においてのみ存続する(32条の3)ことから、32条の8第1項が列挙する三職務の範囲を超える行為、とりわけ新規の事業行為は清算人の権限外と解される。第2項の「必要な一切の行為」は、三職務を実現する手段を包括的に認める趣旨であって、職務の範囲自体を拡張するものではない
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