国民健康保険法 第67条(受給権の保護)
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保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
この条文の基本情報
受給権の保護とは何ですか?
定義受給権の保護とは、国民健康保険法第67条に定められた規定で、「保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民健康保険法第67条(受給権の保護)は、日本の国民健康保険法に含まれる条文です。
- 国民健康保険法第67条の条文原文は「保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。」で始まります。
- 国民健康保険法第67条は第四節に置かれています。
- 国民健康保険法の公布日は昭和33年12月27日です。
- 国民健康保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 国民健康保険法第67条の前の条は国民健康保険法第66条の2です。
- 国民健康保険法第67条の次の条は国民健康保険法第68条です。
- 国民健康保険法第67条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第67条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192 - 本サイト収録
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第67条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/333AC0000000192/67
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民健康保険法67条は、保険給付を受ける権利の譲渡・担保提供・差押えを禁止する。ただし保護は支給前の請求権に限られ、振り込まれた後の預金は差押えの対象になりうる。
Q · 借金があると、高額療養費や出産育児一時金は取られてしまうんですか?
支給前の権利は差し押さえられないが、口座入金後の預金は差押え対象になりうる
国民健康保険法67条により、保険給付を受ける権利は譲り渡し・担保供与・差押えのいずれも禁止されています。債権者が高額療養費や出産育児一時金の請求権そのものを差し押さえることはできず、本人が同意して譲渡や担保設定をしても無効です。ただし保護が及ぶのは支給前の請求権までで、給付金が口座に振り込まれると一般の預金債権に転化し、原則として差押えの対象になります。給付金専用の口座を使い入金後すみやかに引き出すこと、すでに差し押さえられた場合は民事執行法153条の差押禁止債権の範囲変更の申立てを検討することが、実務上の防衛策となります。
解説
国民健康保険から支払われる高額療養費や出産育児一時金、傷病手当金。これらを受け取る権利は、あなたが借金を抱えていても、サラ金に取り立てられていても、税金を滞納していても、原則として誰にも奪えない。国民健康保険法67条は「譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない」と三重の鍵をかけている。ここで重要なのは、守られているのは「保険給付を受ける権利」であって、あなたの銀行口座に振り込まれた後の現金ではないという点だ。給付金が口座に入った瞬間、それは一般の預金債権に姿を変え、差押えの対象になりうる。実務では、振込直後で他の入金と混ざっておらず給付金であると特定できる場合に差押えを違法とした裁判例がある一方、識別できなくなれば差押えは通るという整理が有力である。あなたの生存を支える金が守られるかどうかは、入金のタイミングと口座の使い方で決まってしまう。
法的な位置づけ
国民健康保険法67条は、保険給付を受ける権利の保護を定める規定である。被保険者が有する療養費・高額療養費・出産育児一時金等の給付請求権について、譲渡、担保供与および差押えを一律に禁止し、受給権者本人に給付が到達することを制度的に担保する。保護の対象は支給前の請求権であり、受領後の金銭には及ばないと解されている。
手順
- 1.給付金の振込先を専用口座に指定する 高額療養費や出産育児一時金の支給申請時に、給与や他の入金が混ざらない専用口座を振込先として指定する。給付金であることを後から特定できる状態を保てるかが、差押えを争えるかどうかの分岐点になる
- 2.入金後すみやかに引き出して別管理にする 支給決定通知を受けたら振込日を把握し、入金後は速やかに引き出して現金または別管理にする。口座に滞留させるほど他の入金と混在し、預金債権としての差押えリスクが高まる
- 3.債権者からの譲渡・担保要求は書面で拒絶する 債権者や仲介者から「入る予定の給付金を回せ」「給付金を担保に貸す」と求められたら、国民健康保険法67条により譲渡・担保提供は無効である旨を書面で通知し、やり取りの記録を保存する
- 4.すでに預金を差し押さえられたら範囲変更を申し立てる 差押命令を受けた場合、支給決定通知・振込明細で給付金由来であることを特定できる資料を揃え、執行裁判所へ民事執行法153条の差押禁止債権の範囲変更の申立てを行う
- 5.保険料滞納がある場合は窓口で分割納付を相談する 保険料の滞納を放置すると短期被保険者証や資格証明書に切り替わり、窓口で全額自己負担になる。受給権自体は67条で守られても利便は失われるため、差押予告の段階で市町村窓口に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1受給権の保護とは何ですか?
社会保障給付を受ける権利を、譲渡・担保提供・差押えから守る仕組みです。国民健康保険法67条がこれを定め、給付が受給者本人の手元に確実に届くことを制度的に担保しています。
Q2国民健康保険法67条が禁止しているのは何ですか?
保険給付を受ける権利の「譲り渡し」「担保に供すること」「差し押えること」の三つです。債権者側の差押えだけでなく、本人が自ら譲渡や担保設定をすることも禁じられ、合意しても無効です。
Q3振り込まれた給付金を差し押さえられたらどうすればいい?
支給決定通知や振込明細で給付金由来であることを特定できる資料を揃え、執行裁判所に民事執行法153条の差押禁止債権の範囲変更の申立てを検討します。他の入金と混在していると特定が困難になります。
Q4自己破産しても高額療養費は受け取れますか?
差押禁止債権は破産財団に属しません(破産法34条3項2号)。したがって67条で保護される保険給付請求権は管財人の管理下に入らず、破産手続中でも本人が受け取れるのが原則です。
Q5出産育児一時金の直接支払制度は67条に違反しませんか?
違反しません。直接支払制度は保険者が本人に代わって医療機関へ支払う法令上の仕組みであり、債権者への受給権の譲渡とは性質が異なります。禁止されるのは私人間での権利の移転や担保化です。
Q6介護保険や年金にも同じ差押禁止規定はありますか?
あります。健康保険法61条、生活保護法58条など、社会保障各法に同型の受給権保護規定が置かれています。制度ごとに保護範囲と例外(滞納処分の扱い等)が異なるため、根拠条文の確認が必要です。
Q7保険給付を受ける権利の時効は何年ですか?
2年です(国民健康保険法110条)。差押禁止の保護があっても、時効で権利自体が消滅すれば守る対象がなくなります。起算点は給付の種類ごとに異なるため、保険者の運用確認が必要です。
Q8差押禁止債権が預金になったらどうなる?
預金債権という別の債権に転化するため、原則として差押禁止の効力は及ばなくなります。振込直後で他の入金と混ざらず給付金と特定できる場合に差押えを違法とした裁判例がある一方、識別不能なら差押えは通るという整理が有力です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1借金の取り立てが厳しいんですが、高額療養費まで持っていかれますか?
支給前の請求権は67条で差押え・譲渡・担保提供すべて禁止なので、権利そのものは取られません。問題は入金後で、預金になると原則として一般の差押対象です。実務のポイント:給付金専用の口座を一つ作り、他の入金を混ぜないだけで防御力が大きく変わる。裁判で争うとき、その一本が給付金由来であると特定できるかが勝負を分ける。弁護士は相談の初回でこれを確認するが、聞かれなければ自分から言わない
Q2保険料を滞納していると、給付金と相殺されてしまうんですか?
保険料債権と保険給付請求権は別の法律関係であり、市町村が一方的に相殺することは原則できません。ただし滞納が続くと保険証が短期被保険者証や資格証明書に切り替わり、窓口で全額自己負担になる運用があります。実務のポイント:資格証明書になっても、特別の事情を申し出れば短期証に戻せる自治体の運用がある。窓口では案内されないことが多いので、分割納付の相談と同時に切替の可否を聞く
Q3亡くなった父がまだ受け取っていない療養費、家族が請求できますか?
給付の種類により扱いが異なり、葬祭費は葬祭を行った者が請求します。未支給の療養費については相続人が請求できる場合がありますが、市町村の条例と運用の確認が必要です。時効は2年(同法110条)。実務のポイント:死亡後の手続は世帯主変更や資格喪失届と同時に窓口へ行くと、担当者がまとめて未支給分を洗い出してくれる。別々に行くと療養費の存在自体を知らされないまま時効になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「給付金は差し押さえられない」と知っている人は多いが、その保護がどこで切れるかを知っている人はほとんどいない。守られるのは支給前の請求権であり、口座に入った後の預金は原則として一般債権と同じ扱いになる。保護の強さではなく、保護が終わる地点を知らないことが本当の危険である
- 「差押え禁止なら、自分から譲渡するのは自由だろう」と考えるのは前提が誤っている。67条は差押えだけでなく譲渡と担保提供も同時に禁じている。本人の同意があっても無効であり、これは本人の処分の自由より受給者本人の生存確保を優先する設計だからである
- あなたから見れば「国民健康保険料を滞納しているのだから、給付も止まって当然」に見える。だが法律から見れば、保険料債権と保険給付請求権は別の法律関係であり、市町村が滞納分と給付を勝手に相殺することは原則できない。この落差を知らないと、本来受け取れる高額療養費を「どうせ滞納分に消える」と諦めてしまう
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 67条:保険給付を受ける権利の譲渡・担保提供・差押えを禁止 | 110条:保険給付を受ける権利の時効(2年) 9条:保険料滞納時の被保険者証返還・資格証明書交付 |
| 権利に起きること | 権利は残り、第三者の手が届かない | 権利そのものが消滅する 権利は残るが給付を受ける利便が失われる |
| 発動する場面 | 債権者の差押え、譲渡・担保の要求 | 支給申請をしないまま期間が経過 保険料の滞納が継続 |
| 本人がとれる手段 | 無効の主張、差押禁止債権の範囲変更の申立て | 期限内の支給申請、時効の完成猶予事由の確認 分割納付の相談、特別の事情の申出による短期証への切替 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は労工保険の給付について、譲与・相殺・扣押・担保供与をまとめて禁止する。日本の67条が相殺に触れていないのに対し、明文で相殺禁止を含む点が異なる
韓国も保険給付を受ける権利の譲渡・差押えを禁止する。制度設計が日本の国民健康保険と近く、条文の機能もほぼ同型である
ドイツは社会給付の譲渡・質入れ・差押えを社会法典総則で横断的に規律し、一定範囲での差押えを条件付きで認めるなど、可否を段階的に設計している点が日本の一律禁止と異なる
米国は社会保障給付について譲渡・差押えを禁止する連邦法規定を置く。医療給付の枠組み(Medicaid / Medicare)は別制度であり、保護の射程は制度ごとに確認が必要
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 消費者金融からの督促が続いている中、高額療養費として30万円の還付が決まった。債権者が「その還付金を今すぐ返済に充てろ」と迫ってくる。67条により、支給される前の請求権そのものを債権者が差し押さえることはできない。だが入金後の預金は別の話になる。受け取りのタイミングを債権者に知らせない判断が現実的な防衛になる
- 生活が苦しくなり、知人から「出産育児一時金が入るなら、それを担保に今すぐ10万円貸してやる」と持ちかけられた。67条により、この担保設定は無効である。あなたは借金を返さなくてよいわけではないが、給付金そのものが自動的に相手の手に渡る仕組みは法律上成立しない
- 市町村から国民健康保険料の滞納で差押え予告が届いた。あなたに残された時間はわずか。だが押さえられるのは預金・給与・不動産であって、保険給付請求権そのものではない。それでも滞納が続くと保険証が短期証・資格証明書に切り替わり、窓口でいったん全額払う羽目になる。守られる権利と失われる利便は別物である
- もし、あなたが亡くなった家族の未支給の療養費を受け取ろうとしたら、どうなる? 相続財産として当然に承継されるのか、それとも一身専属的で消えるのか。国民健康保険法では葬祭費など給付の種類ごとに扱いが異なり、条例や実務運用の確認が要る。「相続できるはず」という思い込みで手続を放置すると、時効(同法110条、2年)で権利が消える
取るべき行動
被害を受けた側:1. 債権者に給付金の譲渡や担保提供を求められたら、書面で67条により無効である旨を通知し、やり取りの記録を残す2. 給付金の振込口座は他の入金と混在しない口座を指定し、入金後は速やかに引き出して現金または別管理にする3. すでに預金差押えを受けた場合、給付金由来であることを特定できる資料(支給決定通知、振込明細)を揃え、執行裁判所へ差押禁止債権の範囲変更の申立て(民事執行法153条)を検討する4. 保険料滞納がある場合は、放置せず市町村の窓口で分割納付を相談する。資格証明書への切替を避けられる可能性がある
訴えられた側:1. あなたが債権者側で、債務者の保険給付請求権を差し押さえようとしている場合、67条により差押命令は発令されないか取り消される。回収可能財産の調査対象から外して他の財産を検討する2. 債務者との間で給付金を返済に充てる合意を結んでいても、給付請求権自体の譲渡・担保設定部分は無効である。任意の弁済として受領する構成に切り替える3. 無効な合意を根拠に強引な取立てを続けると、貸金業法上の取立行為規制に抵触するおそれがある
時効(請求できる期限):保険給付を受ける権利は、行使できる時から2年で時効消滅する(国民健康保険法110条)。高額療養費は診療月の翌月1日から、療養費は費用を支払った日の翌日から起算するのが実務の一般的な扱いである(保険者の運用を要確認)。差押禁止の保護があっても、時効で権利自体が消えれば守る対象がなくなる
学説
通説:67条の禁止は強行規定であり、本人の同意を得た譲渡・担保設定も無効と解される。受給者本人の処分の自由を制限してでも、給付を本人の生存に到達させる制度目的を優先した設計であると位置づけられる
実務における有力な整理:保護の対象は支給前の請求権に限られ、口座に振り込まれ預金債権に転化した後は原則として差押禁止の効力は及ばない。ただし給付金であると客観的に特定できる状態が保たれている場合には、差押えの効力を争う余地があるとされる
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和33年(1958年) 新設:国民健康保険法(昭和33年法律第192号)の制定に伴い、保険給付を受ける権利の譲渡・担保供与・差押えを禁止する受給権保護規定として置かれた
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