国民健康保険法 第68条(租税その他の公課の禁止)
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租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない。
この条文の基本情報
租税その他の公課の禁止とは何ですか?
定義租税その他の公課の禁止とは、国民健康保険法第68条に定められた規定で、「租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民健康保険法第68条(租税その他の公課の禁止)は、日本の国民健康保険法に含まれる条文です。
- 国民健康保険法第68条の条文原文は「租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない。」で始まります。
- 国民健康保険法第68条は第四節に置かれています。
- 国民健康保険法の公布日は昭和33年12月27日です。
- 国民健康保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 国民健康保険法第68条の前の条は国民健康保険法第67条です。
- 国民健康保険法第68条の次の条は国民健康保険法第69条です。
- 国民健康保険法第68条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第68条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192 - 本サイト収録
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第68条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/333AC0000000192/68
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民健康保険法68条は、租税その他の公課を保険給付として支給を受けた金品を標準として課することを禁じる。高額療養費や出産育児一時金は金額の上限なく非課税となる。
Q · 高額療養費で80万円戻ってきたら、税金はかかるんですか?
かかりません。金額の上限なく全額非課税です
国民健康保険法68条により、租税その他の公課は保険給付として支給を受けた金品を標準として課すことができません。高額療養費、出産育児一時金、葬祭費のいずれも金額の上限なく非課税で、所得税・住民税はもちろん、翌年度の国民健康保険料の算定基礎、扶養の判定、住民税非課税世帯の判定にも算入されません。ただし医療費控除を使う場合は、高額療養費と出産育児一時金を「保険金などで補填される金額」として支払った医療費から差し引く必要があります。
解説
たった一行の条文だが、効き目が出るのは金額が大きくなったときだ。国民健康保険から支給される金品、つまり高額療養費、出産育児一時金、葬祭費、市町村が条例で行う傷病手当金。これらは何円受け取っても、それ自体を課税標準にして税金や公課を課すことができない。所得税も住民税も、翌年の国民健康保険料の算定基礎も同じである。ここが肝心で、非課税とは単に税がかからないという話ではない。あなたの「所得」として数えられないということだ。扶養の判定、住民税非課税世帯の判定、保育料の区分、高等教育の修学支援の区分、そのすべてに影響しない。ただし落とし穴が一つある。確定申告で医療費控除を使うとき、高額療養費と出産育児一時金は「保険金などで補填される金額」として、支払った医療費から差し引かなければならない。非課税であることと、控除の計算式から除外できることは、まったく別の話である。
法的な位置づけ
国民健康保険法68条は保険給付の公課禁止を定める規定であり、租税その他の公課を、保険給付として支給を受けた金品を標準として課することを禁じる。金額の上限は置かれておらず、禁止の射程は給付そのものを課税標準とする場合に限られ、当該給付を元手に生じた運用益等には及ばない。
よくある質問 AI による整理
Q1国民健康保険法68条とは何ですか?
保険給付の公課禁止を定める規定です。租税その他の公課を、保険給付として支給を受けた金品を標準として課すことができないと定め、金額の上限は置かれていません。
Q2高額療養費は確定申告が必要ですか?
所得として申告する必要はありません。68条により非課税だからです。ただし医療費控除を使うなら、補填された医療費から高額療養費の額を差し引いて計算します。
Q3葬祭費に相続税はかかりますか?
国保の葬祭費は葬祭を行った者に支給される固有の給付で、亡くなった方の相続財産ではありません。相続財産に加算する必要はありません。
Q4出産育児一時金は扶養の判定に影響しますか?
影響しません。68条により所得として算入されないため、配偶者控除・扶養控除の判定、住民税非課税世帯の判定にもカウントされません。
Q5高額療養費は翌年の国民健康保険料に影響しますか?
影響しません。保険料の算定基礎となる所得に算入されないため、何円受け取っても翌年度の保険料は上がりません。
Q6保険給付を国保料の滞納分に充てられますか?
保険者が一方的に充当することはできません。受給権は国民健康保険法67条で差押えが禁じられ、差押禁止債権を受働債権とする相殺は民法510条で禁じられています。
Q7傷病手当金と高額療養費で医療費控除の扱いは違いますか?
違います。高額療養費と出産育児一時金は特定の医療費を補填するため差し引きますが、傷病手当金や出産手当金は補填金にあたらず差し引きません。
Q8年金にも同じ非課税は適用されますか?
適用されません。国民年金法25条はただし書で老齢基礎年金を非課税から外しており、公的年金等の雑所得として課税されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1高額療養費で戻ってきたお金、確定申告しなくていいんですか?
申告不要である。本条により所得として課税されないので、収入欄に書く必要もない。ただし医療費控除を使うなら、その入院や手術にかかった医療費から高額療養費の額を差し引いて計算する。実務のポイント:差し引くのは高額療養費と出産育児一時金。傷病手当金や出産手当金は特定の医療費を補填するものではないので差し引かない。この二つを混同して申告する人が非常に多い
Q2国保料を滞納しています。戻ってくる高額療養費を勝手に保険料に充てられませんか?
一方的にはできない。保険給付を受ける権利は国民健康保険法67条で差押えが禁じられ、差押禁止債権を受働債権とする相殺も民法510条で禁じられている。実務のポイント:だから自治体は「充当に同意します」という書面を取りに来る。同意は任意であり、断っても給付は出る。同意を求められた時点が、分割納付の条件を交渉できる数少ないタイミングである(運用は自治体により異なる)
Q3非課税なら、そのお金で株を買って儲けても税金はかからないんですか?
かかる。本条が禁じているのは「保険給付として支給を受けた金品を標準として」課税することであり、その金を元手に生じた運用益は別の所得として課税される。実務のポイント:同じ社会保険でも国民年金法25条はただし書で老齢基礎年金を非課税から外しており、公的年金等の雑所得として課税される。医療の給付は全面非課税、老齢年金は課税。この線引きを知る人は少ない
Q4出産育児一時金の50万円、所得になるって聞いたんですけど本当ですか?
ならない。本条により課税されず、配偶者控除や扶養の判定にも影響しない。国保では条例の定めにより支給される(国民健康保険法58条1項)。実務のポイント:直接支払制度を使うと手元に現金が来ないため存在を忘れがちだが、医療費控除の計算では出産費用から必ず差し引く必要がある。差額を後から受け取った場合も同じ扱いになる(金額は最新の改正状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 非課税であることは知っていても、その射程を所得税だけだと思い込んでいる人が多い。実際は住民税、翌年の国民健康保険料の算定、扶養の判定、保育料の区分、住民税非課税世帯の判定まで全部に効く。効き目を過小評価している分だけ、受けられるはずの支援を自分で諦めることになる
- 「いくらまでなら非課税ですか」という問いそのものが成り立たない。68条に金額の上限は一行も書かれていない。問うべきは金額ではなく、それが保険給付として支給された金品にあたるかどうかである。問いの立て方を間違えると、正しい答えには一生たどり着かない
- あなたから見れば「非課税なのだから医療費控除も満額申告できる」。税務署から見れば「高額療養費は補填金であり、差し引かずに申告したのは過大控除」。この落差が更正処分と加算税を呼び込む。非課税と控除対象は、まったく別の座標軸の上にある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 国保法68条:保険給付を課税標準とする公課の禁止 | 国保法67条:受給権の譲渡・担保・差押えの禁止 国民年金法25条:年金給付の公課禁止(老齢基礎年金は除外) |
| 守る場面 | 税務署・市町村が給付額に課税しようとする場面 | 債権者・保険者が給付を差し押さえようとする場面 年金給付への課税場面(老齢年金は課税される) |
| 金額の上限 | 上限なし。何円受け取っても課税標準にできない | 上限なし。受給権全体が差押禁止 上限なし。ただし老齢基礎年金は全額が課税対象 |
| 限界 | 給付を元手に生じた運用益、給付で買った物への課税には及ばない | 口座に入金後は預金債権に転化し、差押えの保護が弱まる場合がある 補填ではなく生活原資の性格を持つ給付は課税へ |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も健保給付への課税を明文で排除する。保険給付一般の免税を所得税法側でも重ねて定める点で、日本より条文の重複が多い
韓国は受給権の保護規定(讓渡・押留の禁止)を健康保険法に置き、非課税は所得税法の非課税所得規定で処理する分担構造をとる
ドイツは所得税法側の非課税カタログで疾病保険給付を列挙する方式。社会法典側に公課禁止の一般規定を置く日本とは条文配置が逆
米国は健康保険給付の非課税を内国歳入法典で規定するが、雇用主負担分に由来する給付など例外の切り分けが細かく、日本の一行規定より適用判断が複雑
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 確定申告の期限まであと5日、高額療養費の支給決定通知がまだ届いていなかったらどうするか。答えは、見込額を差し引いて申告し、後で確定額と違えば訂正する。通知を待って期限を過ぎると、単なる申告漏れではなく期限後申告として扱われ、無申告加算税の話に変わる
- 出産費用60万円、出産育児一時金50万円。手出しは10万円。医療費控除で申告できるのは、その10万円分だけである
- 市役所の滞納整理担当としてあなたが立つ側になったとする。滞納世帯に高額療養費が出る。保険料に充てたいが、一方的な相殺は民法510条で塞がれている。だから実務は同意書を取りに行く。この構造を被保険者側が知っていると、窓口の力関係は一気に対等になる
- 子が大学の修学支援を申請する年、親が心臓の手術で高額療養費を90万円受け取った。世帯の所得は1円も増えない。支援の区分は動かない
- 葬祭費5万円を受け取った喪主が、相続税の申告書を前に手を止める。国保の葬祭費は葬祭を行った者に支給される固有の給付であり、亡くなった人の相続財産ではない。相続財産に足す必要も、非課税枠を使う必要もない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 支給決定通知は捨てずに保管し、金額と支給日を確定申告まで持ち越す2. 所得としては申告しない、市町村の所得証明の訂正も不要3. 医療費控除を使うなら、その給付が補填した医療費からだけ差し引く、無関係な医療費から引かない4. 保険料滞納中に充当の同意を求められたら即答しない、差押禁止債権は民法510条で相殺できないと確認したうえで分割納付の交渉に切り替える
訴えられた側:税務署から医療費控除の過大計上を指摘された場合、争点は非課税かどうかではなく補填金の差し引きである。1. 高額療養費と出産育児一時金は差し引く対象、傷病手当金や出産手当金は差し引かない、この区別を通知書の計算と突き合わせる2. 補填の対象となった医療費を超えて差し引く必要はない、他の医療費から引かれていないか検算する3. こちらの誤りなら修正申告、税務署側の誤りなら再調査の請求または審査請求(国税通則法75条)で争う
時効(請求できる期限):本条自体に期限はない。ただし保険給付を受ける権利は2年で時効消滅する(国民健康保険法110条)。誤って所得として申告してしまった場合の更正の請求は、法定申告期限から5年以内(国税通則法23条1項)。医療費控除の申告漏れも同じ5年枠で遡れる
学説
通説:本条の公課禁止は、保険給付が病気・出産・死亡という支出の発生に対する補填として支給されるものであり、そこに担税力が認められないことを根拠とする。したがって禁止の射程は給付そのものを課税標準とする場合に限られ、給付を原資として新たに生じた所得には及ばない
通説(他法との対照):国民年金法25条がただし書で老齢基礎年金を非課税の対象外としているのは、老齢年金が特定の支出の補填ではなく生活の原資としての性格を持つためと理解されている。同じ社会保険給付でも、補填性の有無によって課税の線引きが変わる
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