特許法 第120条の2(職権による審理)
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- 特許異議の申立てについての審理においては、特許権者、特許異議申立人又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。
- 2.特許異議の申立てについての審理においては、特許異議の申立てがされていない請求項については、審理することができない。
この条文の基本情報
職権による審理とは何ですか?
定義職権による審理とは、特許法第120条の2に定められた規定で、「特許異議の申立てについての審理においては、特許権者、特許異議申立人又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第120条の2(職権による審理)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第120条の2の条文原文は「特許異議の申立てについての審理においては、特許権者、特許異議申立人又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。」で始まります。
- 特許法第120条の2は第五章に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第120条の2の前の条は特許法第120条です。
- 特許法第120条の2の次の条は特許法第120条の3です。
- 特許法第120条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第120条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第120条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/120_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法120条の2は、特許異議の審理で審判官が当事者の主張しない理由も職権で審理できる一方、異議申立てのない請求項は審理できないと定める。
Q · 相手の取消理由が弱ければ、特許異議は反論だけで守れますか?
守れません。審判官が職権で別の理由を掘り出せます
特許法120条の2第1項により、審判官は特許権者・申立人・参加人の誰も主張していない理由についても職権で審理できます。そのため相手の取消理由をすべて論破しても、審判官が独自に見つけた先行技術などで特許が取り消されることがあります。ただし第2項により、職権審理が及ぶのは異議申立てがされた請求項に限られ、申立てのない請求項には一切手が届きません。攻める側は取り消したい請求項を漏れなく指定する必要があります。
解説
苦労して取った特許に、ある日見知らぬ第三者から異議申立がされる。申立書を開くと、相手が挙げた取消理由はどれも筋が悪い。これなら反論で楽に守れる、そう胸をなでおろしたあなたが見落としているのが特許法120条の2だ。第1項は、審判官が特許権者も申立人も参加人も誰一人主張していない理由についても、自分で審理してよいと定める。役所が独自に先行技術を掘り起こし、当事者が気づかなかった無効理由で特許を取り消せるということだ。つまり相手の主張に勝つだけでは安全圏に入れない。一方で第2項が歯止めになる。異議が出ていない請求項には、審判官も手を出せない。攻める側は取り消したい請求項を申立書で名指ししなければ土俵にすら上がれず、守る側にとっては異議の出た請求項だけが戦場になる。この職権審理という第二のエンジンの射程を読み違えると、勝ったつもりで特許を失う。
法的な位置づけ
特許法120条の2は、特許異議申立ての審理における職権審理の範囲を定める規定である。第1項は、審判官が特許権者・申立人・参加人の誰も申し立てない理由についても職権で審理できることを認める。第2項は、異議申立てがされていない請求項については審理できないとして、職権審理の対象を当事者の申立ての枠内に限定する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.異議申立書の取消理由と対象請求項を分析 特許権者として異議を受けたら、まず申立書の取消理由と、どの請求項が名指しされているかを整理する。第2項により異議のない請求項は職権でも審理されないため、戦場となる請求項を確定させる
- 2.職権審理を想定して自社特許の他の弱点を先回りで洗い出す 相手の主張だけを潰す準備では不十分。第1項により審判官は誰も挙げていない理由でも職権審理できるため、他の先行技術・明細書の記載不備など自社特許に潜む別の無効理由を自前で洗い出しておく
- 3.訂正請求案を心証通知の前に準備しておく 弱点が見つかれば、審判官の心証通知を待たず、請求項を減縮する訂正請求案を先に温めておく。通知が来てから一から作ると期間が足りなくなりやすい(特許法120条の5)
- 4.意見書・訂正請求を指定期間内に提出 職権で新理由の心証が通知されたら、審判長が指定する相当の期間内に意見書または訂正請求を提出する。期限管理を最優先し、訂正で逃げるか正面反論かの方針を早期に決める
よくある質問 AI による整理
Q1特許異議申立とは何ですか?
特許掲載公報の発行から6か月以内に、誰でも特許庁に対して特許の取消しを求められる制度です(特許法113条)。請求項単位で申し立て、審判官が取消しの可否を判断します。
Q2特許の職権審理とはどういう意味ですか?
審判官が当事者の主張しない取消理由でも自ら審理できることです(特許法120条の2第1項)。役所が独自に先行技術を掘り起こし、誰も挙げなかった理由で特許を取り消せます。
Q3特許異議申立はいつまでにできますか?
特許掲載公報の発行の日から6か月以内に限られます(特許法113条)。この期間を過ぎると異議の道は閉じ、無効審判(123条)に切り替えるしかありません。
Q4特許異議申立と無効審判の違いは何ですか?
異議は誰でも6か月内に申し立てられる公益的手続で職権審理が広く働きます。無効審判(123条)は利害関係人が期間の制限なく当事者対立構造で争う手続です。
Q5特許異議申立は誰でもできますか?
はい。特許無効審判と異なり利害関係は不要で、何人も申し立てられます(特許法113条)。匿名の代理申立ても実務上行われます。
Q6特許異議申立の取消理由にはどんなものがありますか?
新規性・進歩性の欠如、記載不備、補正要件違反などです。異議で主張できる理由は法定されており、無効審判より範囲が限定される点に注意が必要です。
Q7特許異議申立が認められると特許はどうなりますか?
取消決定が確定すると、その特許権は初めから存在しなかったものとみなされます(特許法114条参照)。維持決定なら特許は存続します。
Q8職権審理は異議のない請求項にも及びますか?
及びません。特許法120条の2第2項により、異議申立てがされていない請求項は職権でも審理できません。申立書での請求項の指定漏れは取り返しがつきにくいミスです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相手が弱い理由しか挙げていないのに、どうして油断できないんですか?
特許法120条の2第1項により、審判官は特許権者・申立人・参加人の誰も主張していない理由についても自分で審理できるからです。相手の主張を全部論破しても、審判官が独自に見つけた先行技術などで取り消されることがあります。実務のポイント:実務では、申立書が呼び水になって審判官が周辺技術まで調べ、当初の申立てより広い無効理由が浮上することがある。弱い異議でも油断せず、自社特許の他の弱点を先に潰しておくのが守る側の定石
Q2異議を出すとき、相手の特許の請求項を全部まとめて狙えるんですか?
狙えますが、申立書で取り消したい請求項を明示する必要があります。第2項により、異議申立てがされていない請求項は審判官も審理できません。書き漏らした請求項は、どれほど無効理由が明白でも生き残ります(113条も参照)。実務のポイント:請求項の指定漏れは取り返しがつきにくい典型ミス。提出前に独立項・従属項の対応を一覧化し、潰し残しがないか二重チェックするのが申し立てる側の鉄則
Q3審判官に職権で新しい理由を持ち出されたら、何も言えずに取り消されるんですか?
いいえ。職権で当事者が申し立てない理由を審理した場合でも、特許権者には意見を述べ訂正を請求する機会が保障されています(特許法120条の5)。突然取り消されるわけではなく、必ず反論や請求項の訂正のチャンスがあります。実務のポイント:この通知が来た時点で訂正案を一から作り始めると期間が足りなくなりがち。心証通知を受ける前から減縮案を温めておけば、通知と同時に訂正で射程を外せる。準備の有無が生死を分ける
間違えやすい点 AI による整理
- 「相手の取消理由さえ論破すれば特許は守れる」と信じている特許権者は多い。だが第1項により、審判官は当事者が主張していない理由でも独自に審理できる。相手の主張を全部潰しても、審判官が別ルートで見つけた無効理由で取り消されることがある。守るべき相手は申立人だけではなく、職権で動く審判官でもある
- 職権審理を「審判官が何でも勝手にやってくれる万能装置」と捉えるのは前提錯誤だ。第2項が示すとおり、職権が及ぶのは異議申立てがされた請求項に限られる。申立人が請求項の指定を誤れば、どれだけ無効理由が明白でも、その請求項には職権の手が届かない。職権審理は申立ての枠の中でしか動かない
- 「職権で新理由を出されたら一方的に取り消されて終わり」と思い込んでいる人がいるが、深刻さの向きが逆だ。新理由が出ても、特許権者には意見書提出と訂正請求の機会が法律上保障される(120条の5)。本当に怖いのは取り消されることそのものではなく、この通知が来たときに訂正で逃げる準備ができていないことだ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の性質 | 120条の2:特許異議の審理における職権審理の範囲 | 113条:特許異議の申立ての要件・6か月の申立期間 123条:特許無効審判(当事者対立構造) |
| 申立適格・期間 | 審理の内部規律のため申立適格の定めなし | 何人も、公報発行から6か月以内 利害関係人、期間の定めなし |
| 職権審理の及ぶ範囲 | 異議のある請求項に限る(2項)、理由は職権で拡張可(1項) | 請求項単位で申立て、その枠を画定 審判の職権審理は153条が規律 |
| 権利者の防御機会 | 職権で新理由が出ても意見書・訂正請求を保障(120条の5参照) | 答弁・訂正の機会あり 答弁書提出・訂正請求の機会あり |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は特許異議を廃止し舉發(無効化)に一本化。舉發審査で舉發聲明の範囲内に限り職権審酌を認める点が本条の請求項単位の限定と近似する
韓国も特許異議申立を無効審判に統合。직권심리として当事者の主張しない理由の職権審理を認めるが、請求範囲外は審理しない構造は日本と類似
ドイツは異議申立(Einspruch)と職権探知主義(Untersuchungsgrundsatz)を採用。DPMA・連邦特許裁判所が職権で事実を探知する点で本条1項の系譜に位置づけられる
米国はPGR/IPRで付与後の再審理を行うが、基本的に当事者主導(party-driven)で職権探知の色彩は薄い。日本の職権審理とは設計思想が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 自社の主力製品を支える特許に異議申立がされた。申立書の取消理由は引用文献が一件だけで、構成も明らかに違う。社内は楽勝ムードだったが、審判官は職権で別の刊行物を持ち出し、進歩性なしの心証を示してきた。相手の主張だけ潰す準備をしていた防御は、根元から崩れる
- あなたが競合の特許を潰す側にまわり、異議申立書を作成した。狙いは請求項1から5の全滅。しかし提出時に請求項4と5を書き漏らした。第2項により、審判官は申立てのない請求項4と5を審理できない。書き損じた瞬間、相手の特許の半分は無傷で生き残る
- もし審理の途中で、審判官から誰も主張していなかった理由による取消しの心証を通知されたら、あなたに何ができるのか。意見書と訂正請求の提出期限まで残りわずか。ここで請求項を訂正して逃げ切るか、反論で正面から争うか、判断を誤れば特許そのものが消える
- 他社特許の異議を検討中の知財担当が相談に来た。「とりあえず一番弱そうな理由で申し立てて、あとは審判官が勝手に他の理由も探してくれますよね?」その期待は半分正しく半分危険だ。職権審理は保証ではなく、申立人が請求項の指定を誤れば射程外の請求項は救えない
取るべき行動
被害を受けた側:特許権者として異議を受けた場合。1. 申立書の取消理由を分析しつつ、自社特許に潜む別の無効理由(他の先行技術、明細書の記載不備)も職権審理を想定して自前で洗い出す2. 弱点が見つかれば、審判官の心証通知を待たず訂正請求案(請求項の減縮等)を先に準備3. 意見書・訂正請求の指定期間(120条の5)は厳守、期限管理を最優先4. 訂正で逃げるか正面反論かを早期に方針決定し、弁理士と射程を詰める
訴えられた側:異議を申し立てる側として。1. 取り消したい請求項を申立書で漏れなく指定する、第2項により指定外の請求項は職権でも審理されない2. 取消理由は証拠と論理を揃えて主張、職権審理を当てにして弱い理由だけで出さない3. 申立期間は特許掲載公報の発行から6か月以内(113条)、過ぎれば異議の道は閉じ無効審判(123条)に切り替えるしかない4. 複数請求項を狙うなら証拠と請求項の対応関係を整理して提出
時効(請求できる期限):特許異議の申立ては、特許掲載公報の発行の日から6か月以内に限られる(特許法113条)。この期間は職権審理の有無に関係なく動かせない。審理中に職権で新たな理由が示された場合の意見書提出・訂正請求は、審判長が指定する相当の期間内(120条の5)。いずれも最新の改正状況をご確認ください
学説
通説:本条1項の職権審理は、誤って付与された特許を排除する公益的要請に基づき、当事者が主張しない取消理由の探知を許す。ただし2項により審理対象は異議のある請求項に限定され、職権探知主義と処分権主義を二段構えで調整するものと解される
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年)改正 いったん平成15年改正で無効審判に統合され廃止された特許異議申立制度の復活に伴い新設。平成27年(2015年)4月1日施行。職権審理の範囲を第1項で認めつつ、第2項で申立てのない請求項への審理を明文で禁じた
改正の年表
- 1.平成26年(2014年) 新設:平成15年改正で無効審判に統合され廃止された特許異議申立制度の復活に伴い新設。平成27年(2015年)4月1日施行。1項で職権審理を認めつつ、2項で申立てのない請求項への審理を明文で禁じた
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