特許法 第153条
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- 審判においては、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。
- 2.審判長は、前項の規定により当事者又は参加人が申し立てない理由について審理したときは、その審理の結果を当事者及び参加人に通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えなければならない。
- 3.審判においては、請求人が申し立てない請求の趣旨については、審理することができない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第153条は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第153条の条文原文は「審判においては、当事者又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。」で始まります。
- 特許法第153条は第六章に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第153条の前の条は特許法第152条です。
- 特許法第153条の次の条は特許法第154条です。
- 特許法第153条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第153条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第153条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/153
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法153条は、審判で審判官が当事者の申し立てない無効理由も職権で審理できると定める。ただし新理由には通知と意見申立ての機会が必要で、請求の趣旨は超えられない。
Q · 無効審判では、相手が主張していない理由でも特許を潰されることがあるの?
審判官は相手が挙げていない無効理由でも職権で審理できます
特許法153条1項により、審判では当事者又は参加人が申し立てない理由についても審判官が職権で審理できます。相手の無効理由に完全に反論しても、審判官が別の弱点を職権で見つければ特許は無効になりえます。ただし2項は、職権で新たな理由を審理したときは当事者に通知し、相当の期間を指定して意見申立ての機会を与えることを義務づけます(不意打ち禁止)。さらに3項は、請求人が申し立てない請求の趣旨を超える審理を禁じ、処分権主義の枠を残しています。
解説
無効審判は、民事訴訟とは別のルールで動く。通常の裁判なら、裁判官は当事者が持ち出した争点しか判断しない。だが特許の審判では違う。153条1項は、審判官が当事者の挙げていない無効理由でも、自分で見つけて審理してよいと定める。つまり、相手の無効理由リストに完璧に反論しきっても、審判官自身があなたの特許の別の弱点を掘り当てて潰しにかかることがある。ただし歯止めもある。2項は、職権で新たな理由を持ち出すなら必ず当事者に通知し、意見を述べる機会を与えよと命じる。不意打ちは許されない。そして3項は、請求人が求めていない請求項まで無効にすることを禁じる。請求の趣旨という枠だけは、審判官も超えられない。この三項のせめぎ合いが、あなたの特許がどこまで攻められるかを決める。
法的な位置づけ
特許法153条は審判における職権審理を定める規定である。第1項は審判官が当事者又は参加人の申し立てない理由についても審理できるとして職権探知主義を採り、第2項は職権で新たな理由を審理した場合に当事者及び参加人へその結果を通知し意見申立ての機会を与える義務を課す。第3項は請求人が申し立てない請求の趣旨については審理できないとし、処分権主義の限界を画する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.請求書の無効理由に反論しつつ自主的に先行技術を再調査 相手が請求書で挙げた無効理由に反論するだけで安心しない。先行技術調査を自分でやり直し、審判官が職権で持ち出しうる別の理由(別文献による進歩性否定など)まで洗い出す
- 2.職権審理の通知(153条2項)を受けたら即座に選択肢を検討 職権審理の通知が届いたら、指定された相当の期間内に意見書を提出すると同時に、訂正請求(134条の2)で請求項を補正できないか即検討する。通知の読み流しは致命的
- 3.訂正請求で無効理由を回避できるか判断 訂正で無効理由を回避できる見込みがあれば、この意見申立期間こそが最後の防衛線。請求項を絞り込んで特許を生き残らせる訂正請求書を作成し期間内に提出する
- 4.審決取消訴訟を見据えて主張・証拠を出し尽くす 審判段階で主張と証拠を出し尽くす。審判で審理されなかった無効理由は審決取消訴訟で原則主張できない(メリヤス編機事件)ため、後出しを前提にしない
よくある質問 AI による整理
Q1職権審理とは何ですか?
審判官が当事者の主張に縛られず、申し立てられていない理由についても自ら審理できる仕組みです。特許法153条1項が根拠で、特許の有効性が公益に関わるため認められています。
Q2特許無効審判の職権審理はいつ通知されますか?
審判官が職権で新たな理由を審理したときに通知されます(153条2項)。通知後、相当の期間を指定して意見申立ての機会が与えられます。
Q3職権審理の通知が来たら何をすべきですか?
指定期間内に意見書を提出すると同時に、訂正請求(134条の2)で請求項を補正できないか即検討します。この通知は訂正で特許を生き残らせる最後の号砲です。
Q4特許法153条2項の意見申立ての期間はどれくらいですか?
審判長が指定する「相当の期間」内です。固定日数ではなく事案ごとに指定されるため、通知が来たら期間を確認し、遅れず対応する必要があります。
Q5職権探知主義と弁論主義の違いは何ですか?
弁論主義は当事者が出した主張・証拠のみで判断しますが、職権探知主義は裁判所や審判官が自ら理由・証拠を探れます。特許審判は公益性から後者を採用します。
Q6商標や意匠の審判でも職権審理はありますか?
あります。実用新案法・意匠法・商標法は特許法の審判規定を準用するため、153条と同じ職権審理の構造が商標・意匠・実用新案の審判にも及びます。
Q7訂正請求は職権審理の通知後でも間に合いますか?
153条2項の意見申立て機会は訂正請求のトリガーとして使えます。通知後の指定期間内であれば、請求項を補正して無効理由を回避できる可能性があります。
Q8審決取消訴訟で新しい無効理由を主張できますか?
原則できません。審判で審理されなかった無効理由は訴訟で持ち出せないとされます(メリヤス編機事件)。153条での審理範囲がその後の訴訟の土俵を確定させます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相手が主張していない理由で特許を潰されるって、不公平じゃないんですか?
民事訴訟の感覚では奇妙ですが、特許の有効性は公益に関わるため職権審理が認められています(153条1項)。ただし完全な不意打ちは禁止で、審判官が新理由を持ち出すなら必ず通知し意見の機会を与えます(2項)。実務のポイント:この2項の通知が来た瞬間こそ、訂正請求(134条の2)で請求項を補正し特許を生き残らせる最後のチャンス。多くの権利者は反論にばかり気を取られ、この訂正のタイミングを逃す
Q2無効審判で相手の特許を、請求した範囲より広く潰してもらえませんか?
できません。3項により、審判官は請求人が申し立てた請求の趣旨を超えて審理できません(処分権主義)。請求項1だけを対象にすれば、請求項2は審理対象外です。実務のポイント:だからこそ請求書を出す前に、潰したい請求項をすべて請求の趣旨に入れておく。後から追加しようとしても、請求の趣旨の変更は要旨変更として却下されうる(131条の2)。最初の一通の書き方が勝敗を分ける
間違えやすい点 AI による整理
- 「相手の無効理由さえ潰せば特許は守れる」と考えがちだが、153条1項により審判官は当事者が挙げていない理由でも自分で審理できる。相手のリストに完勝しても、審判官が別の弱点を見つければ特許は無効になる
- 職権審理があること自体は知っていても、2項の通知が持つ重さを知らない人が多い。あの通知は単なる手続案内ではなく、訂正請求で特許を生き残らせる最後のチャンスの号砲だ。気づかず反論だけして期間を浪費すると、防衛の好機を自ら捨てることになる
- 「どうせ審判官が職権で全部調べてくれる」という期待そのものが誤り。1項は職権審理を「できる」とするだけで義務ではない。請求人が無効理由を主張し尽くさなければ、審判官が拾ってくれる保証はなく、あなたの請求は通らないまま終わる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 特許法153条:審判における職権審理の可否と限界 | 特許法123条:特許無効審判の請求要件・無効理由 特許法134条の2:訂正の請求(職権審理への防御手段) |
| 主導権を握る者 | 審判官(当事者の主張に縛られず職権で審理) | 請求人(無効理由を主張して審判を起こす) 特許権者(訂正内容を提示して防御) |
| 当事者の主張との関係 | 1項は主張に縛られない/3項は請求の趣旨に縛られる | 請求人が無効理由を主張し尽くす必要 権利者が請求項の減縮等を能動的に提示 |
| 手続保障 | 職権の新理由は通知+意見申立て機会が必須(2項) | 請求書の方式・記載(131条)に従う 訂正請求は指定期間内に提出 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は舉發審査において、舉發聲明の範囲内で職権により舉發人が提出しない理由・証拠を審酌できる。請求の趣旨(聲明)の枠内という点で日本の153条1項+3項の構造に近い
韓国は日本特許法を継受しており、審判での職権심리を認めつつ、当事者に意見陳述の機会を与える点で153条とほぼ同一の構造を持つ
ドイツは特許無効訴訟が連邦特許裁判所(BPatG)の管轄で、裁判所が職権で事実を探知する Amtsermittlung を採る。日本の職権審理の淵源にあたる
米国の当事者系レビュー(IPR)は申立ての範囲に拘束され職権探知は限定的。ex parte 再審査では審査官が新たな争点を扱いうるが、制度の建付けは日本の職権審理と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 自社の主力製品を支える特許に無効審判をかけられた。請求書に書かれた無効理由は先行文献2件だけ、これなら戦えると踏んでいた。ところが審理の途中、審判官から「請求人が挙げていない別の文献でも進歩性が否定されうる」と通知が届く。指定された意見申立期間はわずか。この数週間で、反論するか訂正請求に踏み切るかまで判断しなければならない
- あなたは競合の特許を無効にしたい請求人側。請求の趣旨では請求項1だけを対象にしたが、本当は請求項2も潰したかった。3項により、審判官は請求項2に無効理由があると気づいても手を出せない。請求の趣旨を絞り込んだその瞬間、あなた自身が審判官の手を縛っていたことになる
- 審決が届いた。負けた理由は、自分が一度も議論していない無効理由だった。2項の通知を、ただの手続案内だと思って読み流していたのだ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 請求書の無効理由に反論するだけで安心しない。先行技術調査を自分でやり直し、審判官が職権で持ち出しうる別の理由まで洗い出す2. 153条2項の職権審理通知が来たら、指定期間内に意見書を出すと同時に、訂正請求(134条の2)で請求項を補正できないか即検討3. 訂正で無効理由を回避できる見込みがあれば、この意見申立期間こそが最後の防衛線4. 審決取消訴訟を見据え、審判段階で主張と証拠を出し尽くす(後出しは原則できない)
訴えられた側:1. 請求書を出す前に、潰したい請求項をすべて請求の趣旨に入れる。3項により後から枠は広げられない2. 無効理由は最初から網羅的に主張する。職権審理(1項)に期待しすぎない、審判官が必ず拾うとは限らない3. 請求の趣旨や理由の変更は要旨変更として却下されうる(131条の2)、最初の一通で勝負を決める4. 相手の訂正請求に備え、訂正されても無効を維持できる予備的主張を用意しておく
時効(請求できる期限):153条2項の職権審理通知への意見申立ては、審判長が指定する「相当の期間」内に行う。これを逃すと意見陳述の機会を失う。特定の消滅時効はないが、確定前の審決に不服なら審決謄本送達の日から30日以内に審決取消訴訟(特許法178条3項、在外者には職権で附加期間)
学説
通説:特許の有効性は公益に関わるため、審判では弁論主義を修正して職権探知主義(153条1項)が採られる。ただし完全な職権主義ではなく、2項の手続保障(通知・意見申立て機会)と3項の処分権主義(請求の趣旨の枠)による二重の制約が働くと解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 制定:現行特許法(昭和34年法律第121号)の制定に伴い、審判における職権審理と手続保障・処分権主義の枠が現行153条の形に整理された
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