特許法 第137条(審判官の指定)
クイックジャンプ
- 特許庁長官は、各審判事件(第百六十二条の規定により審査官がその請求を審査する審判事件にあつては、第百六十四条第三項の規定による報告があつたものに限る。)について前条第一項の合議体を構成すべき審判官を指定しなければならない。
- 2.特許庁長官は、前項の規定により指定した審判官のうち審判に関与することに故障がある者があるときは、その指定を解いて他の審判官をもつてこれを補充しなければならない。
この条文の基本情報
審判官の指定とは何ですか?
定義審判官の指定とは、特許法第137条に定められた規定で、「特許庁長官は、各審判事件(第百六十二条の規定により審査官がその請求を審査する審判事件にあつては、第百六十四条第三項の規定による報告があつたものに限る。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第137条(審判官の指定)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第137条の条文原文は「特許庁長官は、各審判事件(第百六十二条の規定により審査官がその請求を審査する審判事件にあつては、第百六十四条第三項の規定による報告があつたものに限る。」で始まります。
- 特許法第137条は第六章に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第137条の前の条は特許法第136条です。
- 特許法第137条の次の条は特許法第138条です。
- 特許法第137条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第137条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第137条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/137
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法137条は、特許庁長官が各審判事件の合議体を構成する審判官を指定し、故障ある審判官は指定を解いて他の審判官で補充すべきことを定める。この構成は審決の正当性の基盤となる。
Q · 特許の審判で、自分の事件を裁く審判官って誰が、どうやって決めるの?
特許庁長官が事件ごとに指名し、故障あれば差し替える
特許法137条により、特許庁長官は各審判事件について合議体を構成すべき審判官を指定します(1項)。拒絶査定不服審判では、前置審査(162条)で審査官の報告があったものが対象になります。指定した審判官に病気・利害関係その他の故障があるときは、長官はその指定を解いて他の審判官を補充する義務を負います(2項)。この構成の正当性を当事者側から点検する回路が除斥・忌避(139条以下)であり、偏りある審判官は排除を申し立てられます。誰が裁くかは審決の適法性に直結する変数です。
解説
競合他社の特許を無効審判で潰そうとしている、あるいは自分の出願が拒絶され拒絶査定不服審判を申し立てた。そのとき、あなたの特許の生死を実際に判断するのは特許庁長官その人ではない。長官が事件ごとに指名した3名(事案により5名)の審判官による合議体だ。特許法137条は、この指名権限が長官にあること、そして指名した審判官に「故障」(病気、利害関係、その他の支障)があれば長官が指定を解いて差し替える義務があることを定める。多くの出願人や企業は、審判官の顔ぶれを特許庁が一方的に決めるものと思い込み、誰が自分の事件を裁くのかに無関心だ。だが裏側には、偏った審判官を当事者の側から排除できる除斥・忌避の仕組み(139条以下)が直結している。誰が裁くかは天与の与件ではなく、あなたが動かせる変数の一つだ。
法的な位置づけ
特許法137条は審判官の指定を定める規定であり、特許庁長官が各審判事件について合議体を構成すべき審判官を指定し、指定した審判官に審判関与の故障があるときは指定を解いて他の審判官を補充すべきことを規定する。準司法手続たる特許審判の合議体構成の正当性を担保する基盤規定として機能する。
よくある質問 AI による整理
Q1審判官の指定とは何ですか?
特許庁長官が各審判事件について、合議体を構成する審判官を事件ごとに割り当てる行為です(特許法137条1項)。誰が裁くかを決める最上流の手続で、指定内容は当事者に通知されます。
Q2特許審判の合議体は何人ですか?
原則3名、事案により5名の審判官による合議体です(136条)。137条により特許庁長官がその構成員を指名し、うち1名が審判長を務めます(138条)。
Q3審判官の故障とはどういう意味ですか?
病気、当事者との利害関係、その他審判に関与できない支障を指します。故障があるとき、特許庁長官は指定を解いて他の審判官で補充する義務を負います(137条2項)。
Q4前置審査とは何ですか?
拒絶査定不服審判で、審判官を指名する前に元の審査官が再度審査する手続です(162条)。維持されて初めて137条の審判官指定が動き出します。
Q5審判官の除斥と忌避の違いは何ですか?
除斥は法定事由があれば当然に排除される仕組み(139条)、忌避は公正を疑わせる事情を当事者が申し立てて排除を求める仕組み(141条)です。除斥は自動、忌避は申立てが必要です。
Q6審決取消訴訟はどこに提起しますか?
審決に不服がある場合、知的財産高等裁判所に取消訴訟を提起します(178条)。合議体の構成に瑕疵があれば取消事由になり得ます。
Q7特許無効審判の流れはどうなりますか?
請求書提出 → 特許庁長官が審判官を指定(137条)→ 答弁・口頭審理 → 合議体の評議 → 審決、という流れです。不服なら知財高裁へ。
Q8審判長は誰が務めますか?
137条で指定された審判官のうちの1名が審判長となり、審理を指揮します(138条)。審判長は口頭審理の進行や証拠調べの主宰などの職務を担います。
この条文についての質問 AI による整理
Q1自分の事件を担当する審判官って、誰なのか事前に分かるんですか?
分かります。特許庁長官が事件ごとに審判官を指名し(137条1項)、合議体の構成は当事者に通知されます。誰が審判長で誰が陪席かを確認できます。実務のポイント:実務家はこの段階で各審判官の過去の審決傾向や技術分野の専門性を調べます。同じ技術でも、化学に強い審判官と機械に強い審判官では、明細書の読み込みの厳しさが変わる。顔ぶれが分かった時点で、どの論点を厚く主張するかの戦術を組み替える人と、通知を読み飛ばす人とでは、準備の精度が違ってくる
Q2担当の審判官が相手方と関係があったら、外してもらえるんですか?
外せます。法定の除斥事由(139条、当事者との特別な関係など)があれば当然に排除され、それ以外の公正を疑わせる事情があれば忌避を申し立てられます(141条)。長官は故障ある審判官の指定を解き、別の審判官で補充する義務を負います(137条2項)。実務のポイント:忌避には時期の壁があり、その審判官の面前で事件について陳述した後は原則として申し立てられません。指名通知を受けたら、本案の話を始める前に利害関係を点検する。この順番を逆にすると、正当な忌避理由があっても権利ごと失う
間違えやすい点 AI による整理
- 「審判官は特許庁が決めるもので、当事者には口出しできない」と思われている。確かに指名権限は長官にある(137条1項)が、当事者の側にも対抗手段がある。除斥事由のある審判官は自動的に排除され、それ以外の偏りも忌避で排除を申し立てられる(139条以下)。指名は一方通行ではなく、当事者が逆流させられる回路がある
- 「故障による差し替えは特許庁の内部事情で、自分には関係ない」と片付けられがちだが、深刻さを見誤っている。137条2項の差し替え義務は、合議体の構成の正当性が審決全体の有効性を支える土台だということを意味する。構成に瑕疵があれば、出された審決そのものが取消訴訟(178条)で覆る火種になる。審判官が誰かは、最終結果の適法性に直結している
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 137条:特許庁長官が審判官を指定・補充(構成の入口) | 139条:除斥(法定事由で当然排除) 141条:忌避(当事者の申立てで排除) |
| 誰が動かすか | 特許庁長官(職権) | 法律上当然(申立て不要) 当事者(申立てが必要) |
| 対象となる支障 | 病気・利害関係・その他の故障全般 | 139条各号の法定除斥事由 除斥事由以外で公正を疑わせる事情 |
| 時期的制約 | 審判事件ごとに指定時・故障発生時 | 常時(審理のいつでも顕在化) 本案について陳述する前まで(原則) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は舉發(無効)案件を智慧財産局の審査官が担当し、不服は訴願を経て智慧財産及商業法院へ。日本のような独立した審判合議体の指定構造とは組織が異なる
韓国は特許審判院に審判官を置き、審判事件ごとに合議体を構成する点で日本と近似。審判官の除斥・忌避制度も併存する
ドイツは無効・審判事項を独立の連邦特許裁判所(Bundespatentgericht)が裁判所として審理し、審判部の合議体を構成。準司法性が日本より裁判所寄りに徹底されている
米国は特許審判部(PTAB)の行政審判官(APJ)から成る合議体を長官が指定。IPR 等の当事者系手続で3名パネルが基本という点で日本と類似する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 競合の中核特許に無効審判を仕掛けた。合議体3名のうち1名が、過去にその競合の関連出願の審査に関与していたとしたら、あなたはそのまま審理を受け入れるべきか。除斥・忌避を申し立てれば、長官は指定を解いて別の審判官に差し替えなければならない(137条2項、139条)。動かないという選択が、すでに一手損になっている
- 拒絶査定不服審判を申し立てたが、まず元の審査官による前置審査(162条)にかけられ、それでも拒絶維持。ここでようやく長官が審判官を指名する。あなたに残された時間は、最初の意見を述べる前まで。これを過ぎると忌避の主張権を失う。誰が指名されたかを通知で確認したその日が、動くか黙るかの分水嶺だ
学説
通説:審判官の指定は特許庁長官の職権に属するが、合議体の構成の適法性は審決の適法性を支える基盤であり、除斥事由のある審判官が関与したまま出された審決は取消訴訟(178条)で取り消され得るとするのが一般的理解である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:現行特許法(法律第121号)制定に伴い、特許庁長官による審判官の指定と、故障ある審判官の補充義務を定める規定として整備された。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める