要点特許法 175 条は、再審で回復した特許権の効力が、無効審決の確定後・再審請求の登録前に善意で生産・取得した物には及ばないと定める。空白期間と善意が保護の要件となる。
Q · 無効になった特許が再審で復活したら、その間に作った在庫は全部アウトになるの?
空白期間に善意で作った在庫は復活後も守られます
特許法 175 条により、無効と確定した特許が再審で回復しても、その効力は『取消決定又は審決の確定後、再審請求の登録前』の空白期間に善意で輸入・国内生産・取得した物には及びません。2 項では善意の実施や、譲渡・輸出のための所持まで保護されます。鍵は二つ、空白期間内であることと善意(再審で権利が回復するとは知らなかったこと)であること。この二つが揃えば、復活した特許はあなたの過去の行為を遡って侵害とはできません。
競合の特許が無効審決で消えた。あなたはこれで自由に作れると判断し、同じ技術で製品を量産して倉庫に在庫を積み上げた。ところが数年後、相手が再審で争い、その特許が生き返る。普通に考えれば、復活した特許権はあなたの在庫すべてに襲いかかるはずだ。だが175条は別の答えを出す。特許が無効と確定してから、再審の請求が登録されるまでの『空白期間』に、あなたが善意で(つまり再審で復活するとは知らずに)輸入・国内生産・取得した物には、復活した特許権の効力は及ばない。2項では、善意の実施そのものや、その物を売るために所持した行為まで保護する。鍵は二つ。『空白期間内であること』と『善意であること』。この二つが揃えば、復活した特許はあなたの過去の行為を遡って罰せない。逆に、空白期間が始まる前から作っていた物や、再審の動きを察知した後に作った物は、この盾の外に出る。
特許法 175 条は、再審により回復した特許権の効力の時間的制限を定める規定である。取消決定又は審決が確定した後、再審請求の登録前の期間(空白期間)に、善意で輸入・国内生産・取得された物、および善意の実施・所持等の行為には、回復した特許権の効力が及ばない。無効審決の確定を信頼した善意の第三者を保護する、いわゆる中用権の一種である。
中用権とは、無効等で消滅した特許権が再審で回復した場合に、空白期間中に善意で実施等をした第三者を保護し、回復した特許権の効力を及ばせない地位をいいます。特許法 175 条・176 条が根拠です。
無効と確定した特許が再審で復活しても、確定後・再審請求の登録前に善意で生産・取得した物には効力が及ばないという制限です。取引安全を守る趣旨で、175 条が定めます。
空白期間は、取消決定又は審決が確定した日から、再審請求が登録される日までです。この期間内の善意の行為だけが 175 条で保護され、始点と終点が保護の境界線になります。
空白期間に善意で作った製品は、後で特許が復活しても侵害になりません。ただし空白期間の前から作っていた物や、再審の動きを察知した後に作った物は保護されず、侵害となり得ます。
175 条は空白期間中の過去の行為を遡って侵害としない規定、176 条は回復後も実施を続けられる法定通常実施権を与える規定です。175 条で過去を守り、176 条で未来を確保します。
特許の再審請求は登録され、特許庁の包袋(出願経過)で確認できます。競合特許の包袋を定期的にウォッチすれば、再審の動きを早期に掴み、生産判断を切り替えられます。
先使用権(79 条)は出願前から実施していた者を守る制度、中用権(175・176 条)は無効特許の空白期間に善意で実施した者を守る制度です。保護の起点となる時点が異なります。
先発品の特許が無効になった隙に製造・出荷したジェネリックは、先発側が再審で特許を復活させても、空白期間内の善意の分は 175 条で保護されます。出荷時期の記録が巨額賠償を分けます。
終わりではありません。再審(特許法171条以下)という制度があり、確定した無効審決でも、判断の基礎になった証拠が偽造だった等の重大な瑕疵があれば特許権を回復できます。確定後でも復活しうるからこそ、その間に善意で行動した人を守る175条が必要になるのです。業界裏話ヒント:再審で特許が復活する事例は実務上きわめて稀ですが、ゼロではない。だからこそ無効になった特許技術に大規模投資する前に、無効審決が『確定』しているか(上訴期間が過ぎたか)を必ず確認する。確定前と確定後では立場がまったく違う
違います。ここでの善意は道徳的な『悪気のなさ』ではなく、『再審によって特許権が回復することを知らなかった』という特定事実の不知を指す法律用語です。あなたが誠実でも、再審の動きを知り得る立場にいたなら善意と認められないことがあります。業界裏話ヒント:実務では、善意の立証責任を誰が負うかが争われます。一般に保護を主張する実施者側が善意を立証する負担を負うため、生産開始時に『特許は無効で確定済み、再審の兆候なし』と確認した記録を残しておくと、後の立証で決定的に有利になる
いいえ。175条が守るのは『空白期間内』(再審請求の登録前)に善意で行った行為だけです。再審請求が登録された後の新たな生産・販売は保護されず、復活した特許権の侵害になります。業界裏話ヒント:ただし空白期間中に実施または準備をしていた場合、176条により法定の通常実施権が発生し、対価を払えば継続できる余地があります。175条で過去を守り、176条で未来を確保する、この二段構えを知っているかどうかで事業継続の可否が変わる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 保護される時期の起点 | 175 条:取消決定・審決の確定後、再審請求の登録前(空白期間) | — |
| 保護の内容 | 175 条:過去の輸入・生産・取得・実施・所持を遡って侵害としない | — |
| 対価の要否 | 175 条:不要(そもそも効力が及ばない) | — |
| 将来の実施の可否 | 175 条:将来の新たな生産は保護外(過去のみ) | — |
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