要点特許法184条の16は、国際特許出願で国内優先権を主張する際の読み替え特例を定める。41条4項等の適用を除外し、外国語出願では優先権の基準を国際出願日の明細書とする。
Q · PCTで国際出願したら、日本の国内優先権のルールはそのまま使えるの?
そのままは使えず、条文が読み替えられます
特許法184条の16により、国際特許出願で国内優先権(41条)を主張する場合、条文の文言が読み替えられます。41条1項ただし書・4項および42条2項の適用は除外され、日本語出願では「出願公開」が特許協力条約21条の「国際公開」に読み替わります。外国語特許出願ではさらに、優先権判断の基準書面が「願書に最初に添付した明細書」ではなく「国際出願日における国際出願の明細書」(184条の4第1項)に読み替わります。先の出願自体がPCT出願だった場合は、みなし取下げの起算点も国内処理基準時等へずれます。
自社の発明を日本で出願し、その一年以内に国際出願(PCT)ルートで世界に広げる。よくある流れだ。だが、ここで国内優先権(特許法41条)を主張するとき、あなたが教科書で覚えた41条・42条のルールはそのままでは適用されない。184条の16が、PCTという国際制度の歯車を日本国内の優先権制度に噛み合わせるため、条文の文言を静かに読み替えている。たとえば「出願公開」は「国際公開」に置き換わり、外国語特許出願なら基準となる書面は国際出願日の明細書になる。さらに先の出願自体がPCT出願だった場合、みなし取下げの起算点は国内処理基準時へとずれる。この読み替えを知らずに優先日を計算すると、本来確保できたはずの優先日が一日ずれ、その隙間に入り込んだ先行技術で、あなた自身の特許が潰される。
特許法第184条の16は、国際特許出願における国内優先権主張の特例を定める規定である。国内優先権を定める41条の一部規定の適用を除外し、あわせて「出願公開」を特許協力条約21条の「国際公開」に、外国語特許出願では基準書面を国際出願日の明細書へ読み替える。PCT制度と国内優先権制度を接続する技術的規定として機能する。
先の出願から一年以内に、その内容を包含する後の出願をして先の出願日の利益を受ける制度です(特許法41条)。改良発明をまとめて出願し直すときに使います。
特許協力条約に基づく一つの出願で、複数国に同時出願したのと同じ効果を得られる手続です。各国での審査を受ける前に国際段階で優先権を確保できます。
PCTルートで国内優先権を主張するとき、41条・42条の文言を国際手続に合わせて読み替えるための転轍機のような規定です。国内出願とはルールが微妙に変わります。
国内優先権は日本の先の出願を基礎に一年以内に日本で主張する制度、パリ条約優先権は外国の第一国出願を基礎に他国で主張する制度です。両者は別制度で重ねて設計することも可能です。
翻訳文ではなく、国際出願日における国際出願の原文明細書・請求の範囲・図面です(184条の4第1項)。原文段階の記載が優先権の範囲を決めます。
原則として優先日から30か月以内に国内書面・翻訳文を提出して国内移行します。この国内処理基準時が184条の16の読み替えの起点にもなります。
本来確保できたはずの優先日がずれ、その隙間に入った先行技術(自らの発表を含む)で新規性・進歩性が否定され、特許が無効になる恐れがあります。
違います。184条の16はわざわざ「出願公開」を特許協力条約21条の「国際公開」へ読み替えています。両者を同一視すると起算点や対象を取り違えます。
関係あります。国際特許出願も日本を指定して国内移行すれば日本の特許出願として扱われ、184条の16を通じて41条の国内優先権を主張できます。ただし条文の文言が読み替えられるため、国内出願と同じ感覚では計算できません。業界裏話ヒント:国内優先権とパリ条約優先権・PCT優先権は別の制度で、重ねて主張する設計も可能です。どの優先権をどう積むかで先行技術の射程が変わり、ここを使い分けられる実務家は少ない
184条の16第3項により、外国語特許出願の優先権判断の基準は「国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面」、つまり原文の外国語書面です(184条の4第1項参照)。後から出す翻訳文ではありません。業界裏話ヒント:だからこそ翻訳前の原文段階での記載が決定的です。翻訳でうまく書き直そうとしても、優先権の土台は原文で固まっている。出願時の原文の作り込みが後で効いてくる
184条の16第4項では、42条1項のみなし取下げの起算点が「国内処理基準時又は国際出願日から経済産業省令で定める期間を経過した時のいずれか遅い時」へ読み替わります。国内ルートより猶予がずれるので、起算点を国内処理基準時から逆算して管理します。業界裏話ヒント:二重の国際出願は、期限管理ソフトのデフォルト設定が国内基準のままだと起算日を誤算しやすい。事故が最も起きるのがこのパターンです
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 優先権判断の基準書面 | 184条の16:外国語出願は国際出願日の国際出願明細書(184条の4第1項) | — |
| 公開の読み替え | 184条の16:「出願公開」を特許協力条約21条の「国際公開」に読み替え | — |
| 先の出願のみなし取下げ | 184条の16第1項:41条4項・42条2項の適用を除外 | — |
| 先の出願がPCTの場合の起算点 | 184条の16第4項:国内処理基準時または国際出願日から省令期間経過のいずれか遅い時へ読み替え | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。