特許法 第186条(証明等の請求)
クイックジャンプ
- 何人も、特許庁長官に対し、特許に関し、証明、書類の謄本若しくは抄本の交付、書類の閲覧若しくは謄写又は特許原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている事項を記載した書類の交付を請求することができる。ただし、次に掲げる書類については、特許庁長官が秘密を保持する必要があると認めるときは、この限りでない。
- 一願書、願書に添付した明細書、特許請求の範囲、図面若しくは要約書若しくは外国語書面若しくは外国語要約書面若しくは特許出願の審査に係る書類(特許権の設定の登録又は出願公開がされたものを除く。)又は第六十七条の五第二項の資料
- 二判定に係る書類であつて、当事者から当該当事者の保有する営業秘密が記載された旨の申出があつたもの
- 三裁定に係る書類であつて、当事者、当事者以外の者であつてその特許に関し登録した権利を有するもの又は第八十四条の二の規定により意見を述べた通常実施権者からこれらの者の保有する営業秘密が記載された旨の申出があつたもの
- 四拒絶査定不服審判に係る書類(当該事件に係る特許出願について特許権の設定の登録又は出願公開がされたものを除く。)
- 五特許無効審判若しくは延長登録無効審判又はこれらの審判の確定審決に対する再審に係る書類であつて、当事者又は参加人から当該当事者又は参加人の保有する営業秘密が記載された旨の申出があつたもの
- 六個人の名誉又は生活の平穏を害するおそれがあるもの
- 七公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるもの
- 2.特許庁長官は、前項第一号から第六号までに掲げる書類について、同項本文の請求を認めるときは、当該書類を提出した者に対し、その旨及びその理由を通知しなければならない。
- 3.特許に関する書類及び特許原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)の規定は、適用しない。
- 4.特許に関する書類及び特許原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている保有個人情報(個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第六十条第一項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第五章第四節の規定は、適用しない。
この条文の基本情報
証明等の請求とは何ですか?
定義証明等の請求とは、特許法第186条に定められた規定で、「何人も、特許庁長官に対し、特許に関し、証明、書類の謄本若しくは抄本の交付、書類の閲覧若しくは謄写又は特許原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第186条(証明等の請求)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第186条の条文原文は「何人も、特許庁長官に対し、特許に関し、証明、書類の謄本若しくは抄本の交付、書類の閲覧若しくは謄写又は特許原簿のうち磁気テープをもつて調製した部分に記録されている…」で始まります。
- 特許法第186条は第十章に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第186条の前の条は特許法第185条です。
- 特許法第186条の次の条は特許法第187条です。
- 特許法第186条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第186条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第186条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/186
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法186条は、何人も特許庁長官に対し特許書類の閲覧・謄写や証明・謄本交付を請求できると定める。設定登録・出願公開された特許は審査経過書類(包袋)を第三者も閲覧できる。
Q · ライバル会社の特許の審査記録って、当事者じゃなくても見られるの?
見られます。設定登録・公開済みなら誰でも閲覧できます
特許法186条は「何人も」特許庁長官に対し、証明・謄本交付・書類の閲覧謄写を請求できると定めます。設定登録または出願公開がされた特許なら、審査経過書類(包袋)を利害関係も理由もなく閲覧できます。ただし判定・裁定・無効審判の書類のうち当事者が営業秘密の申出をした部分や、個人の名誉・生活の平穏、公序良俗を害するおそれのある書類は、長官が秘密保持の必要を認めれば閲覧できません(1項但書)。特許書類には情報公開法は適用されません(3項)。
解説
ライバル企業の特許番号を一つ手に入れたとする。多くの人は、その権利の中身は登録公報で読めても、その特許がどうやって審査を通ったかは当事者しか知り得ないと思い込む。違う。特許法186条は「何人も」特許庁長官に対し、書類の閲覧・謄写、謄本の交付を請求できると定める。あなたが競合でも、ただの第三者でも構わない。設定登録または出願公開がされた特許なら、その出願経過書類(包袋、つまり審査のやり取りの全記録)を丸ごと読める。出願人が審査官に何を主張し、どこで権利範囲を狭めたか、その全記録が手に入る。これは侵害紛争で決定的な意味を持つ。相手が審査中に「うちの発明はAに限る、Bは含まない」と述べて特許を取っていたら、後からBまで権利を主張しても通らない(包袋禁反言)。ただし判定・裁定・無効審判の書類のうち、当事者が営業秘密だと申し出た部分は閲覧できない。攻める武器にも、守る盾にもなる条文だ。
法的な位置づけ
特許法186条は特許書類の閲覧等に関する規定であり、何人も特許庁長官に対し、証明、書類の謄本・抄本の交付、書類の閲覧・謄写、特許原簿の記録事項を記載した書類の交付を請求できる旨を定める。ただし審査・審判・判定・裁定に係る一定の書類や、営業秘密・個人情報を含む書類は、秘密保持の必要が認められる場合に閲覧が制限される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.J-PlatPat で対象特許の状態を確認 調べたい特許番号・出願番号を J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)で検索し、設定登録済みか出願公開済みかを確認する。未公開・未登録なら包袋は原則閲覧できない
- 2.書類閲覧・謄写請求書を作成 特許庁所定の書類閲覧・謄写請求書に、対象の事件番号と請求する書類の範囲(包袋全体か特定書面か)を記載する。利害関係や理由の記載は不要
- 3.手数料を納付して請求 所定の手数料を納付し、特許庁に閲覧・謄写を請求する。謄本・抄本の交付を求める場合は交付手数料も併せて納付する
- 4.意見書・補正書を精読し禁反言の根拠を抽出 入手した包袋から審査官の拒絶理由通知と出願人の意見書・補正書を読み、出願人が権利範囲を限定した箇所を特定する。侵害警告への反論材料や無効論の材料として整理する
よくある質問 AI による整理
Q1特許の包袋とは?
出願から登録までの審査のやり取りを綴じた書類一式です。意見書・補正書・拒絶理由通知などが含まれ、特許法186条により第三者も閲覧・謄写を請求できます。
Q2特許 包袋 閲覧 方法
J-PlatPat で出願番号を特定し、特許庁に書類の閲覧・謄写を請求します。設定登録または出願公開の後なら、審査経過書類を原則閲覧できます。
Q3包袋禁反言とは?
出願人が審査中に述べた権利範囲の限定に、後の侵害訴訟で反する主張を許さない考え方です。包袋の記録が相手を縛る証拠になります。
Q4特許の審査経過 無料で見られる?
J-PlatPat の経過情報で概要は無料で確認できます。ただし書類の謄本交付や謄写には所定の手数料がかかります。
Q5他人の特許出願書類 いつから見られる?
原則として出願公開(出願から1年6月)または設定登録の後です。それ以前の未公開出願書類は186条1項1号で閲覧が制限されます。
Q6特許 営業秘密 閲覧 除外 申出
判定・裁定・無効審判等の書類は、当事者が営業秘密が記載された旨を申し出れば、その部分を閲覧対象から外せます(186条1項2〜5号)。
Q7特許庁 書類閲覧 手数料
証明や書類の謄本・抄本の交付、閲覧・謄写にはそれぞれ関係手数料令に基づく手数料が必要で、金額は書類の種類により異なります。
Q8拒絶査定不服審判 書類 閲覧 できる?
その出願が設定登録または出願公開されていれば閲覧できますが、いずれもされていない審判係属中の書類は186条1項4号で制限されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1ライバル会社の特許の中身って、本当に誰でも見られるんですか? 当事者じゃないのに?
見られます。186条は「何人も」と定めており、利害関係も理由も不要です。設定登録または出願公開がされた特許なら、出願書類や審査経過書類(包袋)の閲覧・謄写を請求できます。実務のポイント:多くの企業は公報の請求項しか見ずに「広い権利だ」と萎縮しますが、包袋を読むと審査で権利範囲が大幅に削られている特許が珍しくない。出願経過を読まずに新製品を諦めるのは、相手の城壁の高さだけ見て設計図を読まないのと同じです
Q2自分の出願書類に取引先の秘密情報が入っているんですが、第三者に勝手に見られませんか?
通常の出願書類は登録・公開後に閲覧可能になりますが、判定・裁定・特許無効審判などの書類については、当事者が「営業秘密が記載された旨の申出」をすれば、その部分は閲覧対象から外せます(186条1項2号から5号)。実務のポイント:この申出は自動ではなく、当事者が能動的に出さないと保護されません。審判手続の早い段階で申し出ておかないと、後から「あれは秘密だった」と言っても手遅れになる。代理人任せにせず、どの書面のどこが営業秘密かを自分で把握しておくべきです
Q3特許の書類が見られないとき、情報公開法を使えば開示請求できますか?
できません。186条3項が、特許に関する書類への情報公開法の適用を明確に除外しています。特許書類の閲覧は、あくまで186条の独自ルールで判断され、長官が秘密保持の必要を認めれば非開示になります(1項但書)。実務のポイント:一般の行政文書なら情報公開法で粘れますが、特許は別枠。代わりに、いったん非公開とされた書類でも、後に出願公開や設定登録がされれば閲覧できるようになるケースがあるので、権利化の進捗を追い続けるのが現実的な手です
間違えやすい点 AI による整理
- 「特許の中身は秘密で、当事者しか見られない」という前提そのものが誤っている。登録済み・公開済みの特許なら、その審査記録は誰でも閲覧できる。問うべきは「見られるか」ではなく「相手の包袋から何を引き出せるか」だ
- 包袋が閲覧できることは知っていても、その威力を過小評価している人が多い。出願人が審査中に書いた一文が、十年後の侵害訴訟で権利範囲を決定づける。「あの時こう書かなければ」では取り返しがつかない、それが包袋禁反言の重さだ
- 「情報公開法を使えば特許の非公開書類も開示請求できる」と思うかもしれないが、186条3項は特許書類への情報公開法の適用を明確に除外している。特許の世界には独自の閲覧ルールがあり、一般の行政文書とは別枠で動く
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 誰が使えるか | 186条:何人も(利害関係・理由不要) | 105条:侵害訴訟の当事者のみ 64条:制度上の自動公開(請求不要) |
| 対象・目的 | 登録・公開済み特許の包袋等の閲覧・謄写 | 侵害立証・損害計算に必要な書類の提出 出願内容の公開(出願から1年6月) |
| 秘密保護 | 営業秘密の申出・秘密保持の必要で制限(1項但書) | インカメラ手続・秘密保持命令で保護 公開により原則すべて開示 |
| 典型場面 | 調査・侵害前検証・M&A デューデリ | 係属中の侵害訴訟の証拠収集 権利化前の第三者への情報提供 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も公告後は任何人が審定書・明細書・全档案資料の閲覧・抄録・複写を請求でき、日本の包袋公開と同趣旨。
韓国特許法216条は日本186条とほぼ同一構造で、証明・書類の閲覧謄写等の請求権を定める。
ドイツは公開後の特許書類につき何人も閲覧できるが、営業秘密部分は申立てにより除外されうる点も類似する。
米国は公開または登録後、包袋(file wrapper)が Public PAIR で公衆閲覧に供され、prosecution history estoppel の資料となる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが新製品を出す前、競合の特許に引っかからないか不安だ。その特許の包袋を閲覧請求し、審査で出願人がどこまで権利範囲を限定したかを読む。公報の請求項だけ見て「広い権利だ」と諦めるのは早い。審査の過程で骨抜きになっている特許は山ほどある
- もし競合があなたの会社を特許侵害で訴えてきたら、まずやるべきは何か。その特許の包袋を取り寄せ、出願人が審査官にどう説明したかを確認することだ。相手の過去の発言が、相手の権利範囲を縛る最強の証拠になる
- 自社の特許出願に、取引先の営業秘密が混じっている。無効審判で相手がそれを閲覧請求してきた。「営業秘密が記載された旨」の申出をしておけば、その部分は守られる
- M&Aで相手企業の特許ポートフォリオを評価する。デューデリの締切まであと10日。主要特許の包袋を一括で閲覧請求し、権利の強さと禁反言リスクを洗い出す必要がある。公報だけのデューデリは、買った後で「この特許、実は穴だらけ」と気付く
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手の特許番号を特定し、J-PlatPatで登録・公開状況を確認2. 特許庁に書類の閲覧・謄写を請求(設定登録済みなら包袋全体が原則閲覧可) 3. 審査過程の意見書・補正書を精読し、出願人が権利範囲を限定した箇所(禁反言の根拠)を抽出4. 侵害警告への回答書に、相手自身の審査時の主張を引用して反論。必要なら無効審判の資料や非侵害論の材料に使う
訴えられた側:1. 自社の出願・審判書類に営業秘密が含まれる場合、判定・裁定・無効審判では当事者として「営業秘密が記載された旨の申出」を必ず行う(これがないと閲覧されうる) 2. 個人の名誉・生活の平穏に関わる情報は1項6号該当を主張3. 第三者の閲覧請求があり書類提出者に通知が来たら(2項)、秘密保持の必要性を特許庁長官に具体的に説明する
時効(請求できる期限):閲覧・謄写請求自体に時効はない。ただし実務上の時間軸が決定的:出願書類は原則として出願公開(出願から1年6月)または設定登録まで閲覧できず、それ以降に包袋全体が開示される。営業秘密保護の申出は、判定・裁定・審判の手続中に当事者として行う必要があり、後出しは効かない
学説
通説:特許制度は技術の公開を独占権の代償とする公開代償説に立ち、186条は原則公開を貫く。設定登録・出願公開後は包袋を第三者も閲覧でき、審査経過は権利範囲解釈の資料となる。営業秘密・個人情報・公序良俗違反情報等は例外的に閲覧が制限される。
改正沿革 AI による整理
- 情報公開法整備に伴う改正(要検証) 行政機関の保有する情報の公開に関する法律の制定・施行に合わせ、特許書類への同法の適用除外規定(現3項)が追加されたと解されるが、改正年・新設か改正かの確定は人的検証が必要
- 個人情報保護法制整備に伴う改正(要検証) 個人情報の保護に関する法律の整備に対応し、保有個人情報に関する適用除外規定(現4項)が追加・改正されたと解されるが、正確な改正年と条項の沿革は人的検証が必要
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める