特許法 第36条の2
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- 特許を受けようとする者は、前条第二項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書に代えて、同条第三項から第六項までの規定により明細書又は特許請求の範囲に記載すべきものとされる事項を経済産業省令で定める外国語で記載した書面及び必要な図面でこれに含まれる説明をその外国語で記載したもの(以下「外国語書面」という。)並びに同条第七項の規定により要約書に記載すべきものとされる事項をその外国語で記載した書面(以下「外国語要約書面」という。)を願書に添付することができる。
- 2.前項の規定により外国語書面及び外国語要約書面を願書に添付した特許出願(以下「外国語書面出願」という。)の出願人は、その特許出願の日(第四十一条第一項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあつては、同項に規定する先の出願の日、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による優先権の主張を伴う特許出願にあつては、最初の出願若しくはパリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)第四条C(4)の規定により最初の出願とみなされた出願又は同条A(2)の規定により最初の出願と認められた出願の日、第四十一条第一項、第四十三条第一項、第四十三条の二第一項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)又は第四十三条の三第一項若しくは第二項の規定による二以上の優先権の主張を伴う特許出願にあつては、当該優先権の主張の基礎とした出願の日のうち最先の日。第六十四条第一項において同じ。)から一年四月以内に外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない。ただし、当該外国語書面出願が第四十四条第一項の規定による特許出願の分割に係る新たな特許出願、第四十六条第一項若しくは第二項の規定による出願の変更に係る特許出願又は第四十六条の二第一項の規定による実用新案登録に基づく特許出願である場合にあつては、本文の期間の経過後であつても、その特許出願の分割、出願の変更又は実用新案登録に基づく特許出願の日から二月以内に限り、外国語書面及び外国語要約書面の日本語による翻訳文を提出することができる。
- 3.特許庁長官は、前項本文に規定する期間(同項ただし書の規定により外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を提出することができるときは、同項ただし書に規定する期間。以下この条において同じ。)内に同項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文の提出がなかつたときは、外国語書面出願の出願人に対し、その旨を通知しなければならない。
- 4.前項の規定による通知を受けた者は、経済産業省令で定める期間内に限り、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。
- 5.前項に規定する期間内に外国語書面(図面を除く。)の第二項に規定する翻訳文の提出がなかつたときは、その特許出願は、同項本文に規定する期間の経過の時に取り下げられたものとみなす。
- 6.前項の規定により取り下げられたものとみなされた特許出願の出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、経済産業省令で定めるところにより、第二項に規定する外国語書面及び外国語要約書面の翻訳文を特許庁長官に提出することができる。ただし、故意に、第四項に規定する期間内に前項に規定する翻訳文を提出しなかつたと認められる場合は、この限りでない。
- 7.第四項又は前項の規定により提出された翻訳文は、第二項本文に規定する期間が満了する時に特許庁長官に提出されたものとみなす。
- 8.第二項に規定する外国語書面の翻訳文は前条第二項の規定により願書に添付して提出した明細書、特許請求の範囲及び図面と、第二項に規定する外国語要約書面の翻訳文は同条第二項の規定により願書に添付して提出した要約書とみなす。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第36条の2は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第36条の2の条文原文は「特許を受けようとする者は、前条第二項の明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書に代えて、同条第三項から第六項までの規定により明細書又は特許請求の範囲に記載す…」で始まります。
- 特許法第36条の2は第二章 特許及び特許出願に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第36条の2の前の条は特許法第36条です。
- 特許法第36条の2の次の条は特許法第37条です。
- 特許法第36条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第36条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第36条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/36_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法36条の2は外国語書面出願を定める。英語などで出願日を確保でき、出願日または優先日から1年4月以内に日本語翻訳文を提出しないと、出願は取り下げ擬制となる。
Q · 英語で特許を出願したら、翻訳はいつまでに出せばいいの?
出願日・優先日から1年4月以内。過ぎると出願は消える
特許法36条の2により、英語などの外国語書面で出願日を確保できますが、その特許出願の日(優先権主張がある場合は最先の優先日)から1年4月以内に日本語翻訳文を特許庁長官へ提出しなければなりません(2項)。期間内に提出がないと長官から通知され(3項)、それでも省令の期間内に提出しなければ、出願は期間満了時に取り下げたものとみなされます(5項)。平成の改正で、故意でない場合の救済(6項)が加わりましたが、救済にも省令の期間制限があります。
解説
海外で生まれた発明を、英語の仕様書のまま日本の特許庁に出す。これが外国語書面出願だ。本条は二つの顔を持つ。一つは救済、もう一つは時限爆弾。救済とは、和訳が間に合わなくても、とりあえず外国語のまま出願日を確保できること。特許は早い者勝ちの世界で、出願日が一日違うだけで権利の生死が分かれる。時限爆弾とは、出願日(優先権があれば最先の優先日)から1年4月以内に日本語訳を出さなければ、その出願が取り下げたものとみなされる点だ(2項、5項)。さらに見落とされがちなのが第8項。提出した翻訳文が、原文ではなく「明細書そのもの」とみなされる。つまり翻訳のミスが、そのまま権利範囲の欠陥になる。原文に書いてあったのに訳し忘れた一文が、後で競合に攻め込まれる穴になる。期限管理と翻訳精度、この二つを握れているかどうかで、あなたの発明が守られるか丸裸になるかが決まる。
法的な位置づけ
外国語書面出願とは、特許を受けようとする者が、日本語の明細書等に代えて、経済産業省令で定める外国語(英語)で記載した外国語書面を願書に添付して行う特許出願をいう。出願日を先に確保しつつ、後日に日本語翻訳文を提出できる点に特徴があり、提出された翻訳文は明細書等とみなされる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.外国語書面出願の期限台帳を作る 自社の外国語書面出願を一覧化し、各案件の出願日・最先の優先日から「1年4月」を機械的に算出して赤期限として台帳に登録する。分割・変更案件は出願日から2月の特則を別枠で管理する
- 2.技術と英語が分かる翻訳者へ最優先で発注 翻訳文が明細書とみなされる(8項)ため、価格ではなく技術的正確性で翻訳者を選ぶ。原文と逐条照合し、原文にある技術的範囲が訳し漏れなく反映されているかを確認する
- 3.期限内に特許庁長官へ翻訳文を提出 算出した1年4月の期限内に、外国語書面および外国語要約書面の日本語翻訳文を特許庁長官へ提出する。提出前に原文とのズレ(記載不備・新規事項)が無いか最終確認する
- 4.期限徒過時は通知後の救済期間を使う 期限内に提出できず長官の通知(3項)を受けたら、省令で定める期間内に翻訳文を提出する(4項)。取下げ擬制後でも、故意でないと認められれば省令の期間内に救済の余地がある(6項)
よくある質問 AI による整理
Q1外国語書面出願とは何ですか?
日本語の明細書に代えて外国語(英語)で記載した書面を願書に添付して行う特許出願です。出願日を先に確保し、後から日本語翻訳文を提出できます(特許法36条の2)。
Q2外国語書面出願で使える言語は英語だけですか?
はい。経済産業省令(特許法施行規則25条の4)により、認められる外国語は英語に限られます。フランス語やドイツ語では外国語書面出願できません。
Q3翻訳文の提出期限はいつまでですか?
出願日、優先権主張があれば最先の優先日から1年4月以内です。分割・変更・実用新案に基づく出願は、その出願日から2月以内の特則があります(特許法36条の2第2項)。
Q4翻訳文を出し忘れたらどうなりますか?
長官から通知され、省令の期間内に提出しなければ、出願は期間満了時に取り下げたものとみなされます(5項)。故意でなければ更に救済の余地があります(6項)。
Q5提出した翻訳文の位置づけは何ですか?
翻訳文が明細書・特許請求の範囲・図面そのものとみなされます(8項)。つまり翻訳の内容が権利範囲を決めるため、誤訳は権利の欠陥に直結します。
Q6翻訳のミスは後から直せますか?
原文(外国語書面)に根拠のある誤訳は誤訳訂正書で訂正できます。原文にない内容を足す補正は新規事項追加として認められません。
Q7日本企業でも外国語書面出願を使えますか?
使えます。外国企業専用の制度ではありません。海外同時出願を見据え最初から英語明細書で統一する戦略は、国内の研究機関やスタートアップにも有効です。
Q8PCT出願の翻訳文提出とは何が違いますか?
外国語書面出願(36条の2)は日本への直接出願の制度で期限は1年4月。PCT国際特許出願の国内移行は184条の4が規律し、優先日から2年6月(30月)が原則です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1英語の明細書をそのまま出して、本当に出願日は確保できるんですか?
確保できます。本条1項により外国語書面を願書に添付すれば、その日が出願日になり、後から1年4月以内に日本語訳を出せばよく(2項)、出願日は遡りません。実務のポイント:海外と同日に各国出願したいとき、和訳の完成を待つと優先日を逃すことがある。先に英語原文で日本へ出し、翻訳は後から、が実務の常套手段です。和訳完成を待つ素人と、原文で先に押さえる玄人とで、スピード勝負の局面で差が出る
Q2翻訳でちょっとミスがあっても、後で直せますよね?
直せる範囲が限られます。提出した翻訳文が明細書とみなされ(8項)、原文(外国語書面)にない内容を足す補正は新規事項追加として認められません。原文に根拠のある誤訳なら誤訳訂正書で直せます。実務のポイント:だからこそ勝負は出願時の原文の作り込みで決まる。原文に広く書いておけば、訳文の不備を後から原文基準で訂正できる。原文が薄いと、訳文のミスがそのまま埋められない穴になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「翻訳は出願後にゆっくり直せばいい」という前提が、そもそも間違っている。日本語訳は提出した瞬間に明細書そのものとみなされ(8項)、原文にない内容を足す補正は新規事項追加として拒絶される。あなたが直せる範囲は、最初から原文の枠内に縛られている
- 1年4月という期限があることは知っていても、その重さを知らない人が多い。期限を1日でも過ぎれば出願は取り下げ擬制(5項)。平成27年改正で「故意でない」場合の救済(6項)は加わったが、救済には経済産業省令で定める期間制限があり、「うっかりだった」と認められる負担はあなた側にある(最新の改正状況をご確認ください)
- 「外国語書面出願は外国企業だけの制度」と思われがちだが、日本人・日本企業でも外国語で出願できる。海外同時出願を見据えて最初から英語明細書で統一する戦略は、むしろ国内の研究機関やスタートアップこそ使うべき武器だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 出願時の言語 | 36条の2:外国語(英語)の外国語書面で出願可 | 36条:日本語の明細書等を願書に添付 184条の4:PCT国際出願を外国語で行い国内移行 |
| 翻訳文提出期限 | 出願日・最先の優先日から1年4月以内(2項) | 翻訳不要(初めから日本語) 原則として優先日から2年6月(30月)以内 |
| 期限徒過の効果 | 取下げ擬制(5項)、故意でなければ救済余地(6項) | 該当なし 取下げ擬制(184条の4関連) |
| 翻訳文の法的地位 | 翻訳文が明細書等とみなされる(8項)。誤訳は誤訳訂正書で訂正 | 提出した日本語明細書がそのまま基準 国内書面・翻訳文が基準 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も外文本での申請日確保を認め、指定期間内に中国語翻訳本を補正させる。翻訳本が審査の基礎となる構造は日本と類似する。
韓国も外国語特許出願を認め、所定期間内の国語(韓国語)翻訳文提出を義務付ける点で日本と並行する。
ドイツも外国語での特許出願を認め、所定期間内のドイツ語翻訳文提出を要求する。EPC(欧州特許条約)の言語制度とも連動する。
米国は非英語での出願を認めつつ、後日の英訳提出を要求する。translation + statement of accuracy を要する点が特徴。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 海外本社が英語の明細書をそのまま日本に出した。グローバル出願の優先日は無事に確保できた。だが翻訳の手配を社内で押し付け合っているうちに、気づけば優先日から1年3月。残り1月で数十ページの技術文書を正確に日本語化しないと、出願ごと消える。あと30日、社内に技術と英語の両方が分かる人間が一人もいない
- もし翻訳会社が技術用語を一語誤訳し、それに気づかないまま特許が登録されたら? その特許で競合を訴えた瞬間、相手の弁理士は原文と訳文を突き合わせ、訳文の記載不備や原文にない記載(新規事項)を理由に無効審判を仕掛けてくる
- 競合の特許が外国語書面出願だと気づいた。原文と日本語訳を並べて一行ずつ読む。訳し漏れや過剰な訳が一つでもあれば、そこが攻めどころだ。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自社の外国語書面出願を一覧化し、各案件の優先日と「優先日+1年4月」の翻訳提出期限を一元管理する2. 期限が迫る案件は、技術内容を理解した翻訳者に最優先で発注し、誤訳ゼロを目指す3. 万一期限を過ぎても、特許庁長官の通知(3項)を受ければ省令の期間内に提出できる(4項)。さらに「故意でない」と認められれば取下げ擬制後も救済の道がある(6項、最新の改正状況をご確認ください) 4. 翻訳は提出前に必ず原文と逐条照合する
訴えられた側:1. 自社特許の訳文に齟齬を指摘されたら、まず原文(外国語書面)を確認、原文に根拠があれば誤訳訂正書で訂正できる(特許法17条の2第2項関連) 2. 原文にすら根拠がない記載は新規事項追加で訂正不能、権利範囲を縮小する覚悟で対応3. 無効審判を仕掛けられたら、原文を最終的な拠り所として防御範囲を確定する4. 訳文の瑕疵が致命的なら、訂正審判で先回りして権利を整える
時効(請求できる期限):翻訳文提出の原則期限は、出願日(優先権主張があれば最先の優先日)から1年4月以内(2項)。分割・変更等の出願はその出願日から2月以内の特則あり(2項ただし書)。期限徒過の通知後は経済産業省令で定める期間内(4項)、取下げ擬制後も故意でなければ省令の期間内に救済の余地あり(6項、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:外国語書面出願における翻訳文は明細書等とみなされ(8項)、権利範囲の基準となる。補正の許容範囲は原文(外国語書面)の記載に画され、原文に根拠のない事項の追加は新規事項として認められないと解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成6年(1994年)改正 外国語書面出願制度の新設。和訳の完成を待たず外国語のまま出願日を確保し、後から日本語訳を提出できる制度を導入した(新設)
- 平成27年(2015年)改正、平成28年(2016年)施行 特許法条約(PLT)対応として、翻訳文の不提出による取下げ擬制後の救済規定(故意でない場合の救済)を整備した(改正、最新の改正状況をご確認ください)
改正の年表
- 1.平成6年(1994年) 新設:外国語書面出願制度を新設。和訳の完成を待たず外国語のまま出願日を確保し、後日に日本語翻訳文を提出できる仕組みを導入した。
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