要点特許法 70 条は、特許発明の技術的範囲を特許請求の範囲(クレーム)の記載に基づき定めると規定する。用語が不明確なときのみ明細書・図面を参酌し、要約書は考慮しない。
Q · 相手の特許公報に書いてあることをやったら、全部特許侵害になるの?
いいえ、侵害はクレームの文言で決まります
特許法 70 条 1 項により、特許発明の技術的範囲は特許請求の範囲(クレーム)の記載に基づいて定まります。明細書に詳しく書かれた技術でも、クレームに記載がなければ原則として権利は及びません。クレームの構成要件が一つでも欠ければ、原則として文言侵害は成立しません(オールエレメントルール)。用語が不明確なときに限り明細書・図面を参酌して解釈し(2 項)、要約書は解釈材料から排除されます(3 項)。ただし文言を外れても均等論で侵害とされる余地は残ります。
あなたの会社が新製品を世に出した三か月後、競合から内容証明が届く。「弊社の特許を侵害している、製造販売を即刻中止せよ」。さあ、あなたは本当に侵害しているのか。その答えを決める唯一の物差しが、この70条だ。侵害かどうかは、製品が「特許の技術的範囲」に入るかで決まる。そしてその範囲は、特許公報の本文(明細書)でも図面でもなく、まず『特許請求の範囲』(クレーム)という一区画の文言だけで定まる(1項)。クレームに書いていない要素は、いくら明細書で詳しく説明されていても原則として権利範囲の外。逆に、クレームの用語が曖昧なときに限り、明細書と図面を手がかりにその意味を解釈する(2項)。そして、出願人が便宜的に書いた要約書は、解釈材料から完全に締め出される(3項)。つまり勝負は、相手の特許のクレーム一文をどう読むかに、ほぼすべて懸かっている。
特許法 70 条にいう技術的範囲とは、特許発明の効力が及ぶ客観的な範囲を指し、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて確定される。クレームの用語が不明確な場合に限り、明細書および図面を参酌してその意義を解釈し、要約書の記載は解釈上一切考慮されない。侵害判断の基礎となる権利の外縁を画する規定である。
AI 輔助整理,以條文原文為準
特許発明の効力が及ぶ範囲のことです。特許法 70 条により、特許請求の範囲(クレーム)の記載に基づいて客観的に確定され、侵害判断の物差しになります。
クレーム(特許請求の範囲)が優先です。明細書は、クレームの用語が不明確なときに限り、その意義を解釈するために参酌されます(70 条 2 項)。
クレームの構成要件を一つでも欠けば、原則として文言侵害は成立しないという原則です。全要件を充足して初めて技術的範囲に属すると判断されます。
本質的部分でないこと、置換可能性、置換容易性、公知技術でないこと、意識的除外がないこと。ボールスプライン事件でこの枠組みが確立しました。
影響しません。特許法 70 条 3 項は、技術的範囲の解釈にあたり要約書の記載を考慮してはならないと明文で定めています。
出願人が審査段階で権利範囲から意識的に除外した部分について、後から均等侵害を主張できないという原則です。相手の出願経過が防御材料になります。
相手のクレームを構成要件ごとに分解し、自社製品が各要件を満たすかを一対一で照合する表です。侵害の成否を見極める実務上の第一手です。
対象製品が特許の技術的範囲に属するかで判断します。まずクレームの各構成要件の充足を確認し、文言を外れる場合は均等論の 5 要件を検討します。
いいえ。アウトかどうかは『特許請求の範囲』(クレーム)の構成要件をすべて満たすかで決まります(70条1項)。明細書に詳しく書かれた技術でも、クレームに記載がなければ原則として権利は及びません。業界裏話ヒント:弁理士は他社特許を評価するとき、まず明細書を飛ばしてクレームだけを読み、構成要件に番号を振って分解します。素人が公報を頭から読んで怯えている間に、プロはクレーム一文の充足判断で侵害の成否をほぼ見切っている。
文言上クレームから外れれば文言侵害は免れますが、均等論という第二関門があります。最高裁(最判平成10.2.24、ボールスプライン事件)は、本質的部分が同一であるなどの5要件を満たせば、文言が違っても侵害になるとしました。業界裏話ヒント:均等論を封じる最強の盾は相手の『出願経過』です。出願人が審査段階で『この部分は権利範囲に含めない』と限定していれば、後から均等を主張できない(包袋禁反言)。回避設計の前に、まず相手の包袋を取り寄せる。
ソフトウェア特許はクレームが抽象的で、技術的範囲の確定が難しいのが実情です。だからこそ70条2項の出番で、明細書の実施例や図面を使ってクレーム用語の意味を限定的に解釈できる余地があります(70条2項)。業界裏話ヒント:抽象的なクレームほど、明細書の具体例を盾に『この用語はこの実施例の範囲に限られる』と限定解釈へ追い込めます。広く見えるクレームは、実は明細書の薄さが弱点になっていることが多い。
| dimension | thisArticle | alternatives |
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| 規定の役割 | 70 条:技術的範囲(権利の外縁)を確定する物差し | — |
| 判断の基準 | 特許請求の範囲の記載、不明確なら明細書・図面を参酌 | — |
| 実務での使いどころ | 侵害訴訟・警告対応でクレーム解釈を争う中核 | — |
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