要点実用新案法 61 条は両罰規定を定め、従業者が業務に関し侵害の罪等を犯したとき、行為者のほか法人にも最大三億円の罰金を科す。ただし選任・監督に相当の注意を尽くせば法人は免責される。
Q · 従業員が他社の実用新案権を侵害したら、会社も罰金を払うの?
払う可能性があり、法人は最大三億円の罰金です
実用新案法 61 条の両罰規定により、従業者が会社の業務に関して侵害の罪等を犯したときは、行為者本人を罰するほか、法人にも罰金刑が科されます。侵害の罪(56 条)では法人に最大三億円、個人の最大五百万円の約六十倍です。ただし無過失責任ではなく、法人が従業者の選任・監督に相当の注意を尽くしたと立証できれば免責されます(最大判昭和 32.11.27)。
従業員が他社の実用新案権を侵害する製品を勝手に作って売った。あなたの会社は知らなかった。それでも会社は最大三億円の罰金を科されうる。これが両罰規定だ。実行した本人(行為者)が罰せられるのは当然として、その背後にいる法人にも別枠で重い罰金が科される。しかも個人の罰金が最大五百万円なのに対し、法人は三億円、実に六十倍。なぜここまで重いのか。会社という器を使えば違反の利益は組織に流れ込むのに、個人だけ罰しても抑止にならないからだ。ただし会社が完全に無力なわけではない。判例上、法人は従業員の選任・監督に相当の注意(プロの組織として当然払うべき監督のレベル)を尽くしたと証明できれば免責される(最大判昭和 32.11.27)。両罰規定は無過失責任ではない。問われているのは、あなたの会社が知財コンプライアンス体制を本当に作っていたか、その一点だ。
実用新案法 61 条は両罰規定であり、法人の代表者・代理人・従業者がその法人の業務に関して侵害の罪等の違反行為をした場合に、行為者の処罰に加えて法人にも罰金刑を科す制度を定める。違反の利益が組織に帰属することを踏まえ、組織への抑止を目的として法人に高額の罰金を科す点に特徴がある。
行為者本人を罰するほか、その事業主である法人にも罰金刑を科す規定です。違反の利益が組織に帰属するため、組織への抑止を目的としています。実用新案法では 61 条が定めます。
違います。判例は法人に過失を推定する規定と解し、選任・監督に相当の注意を尽くしたと立証できれば免責されます(最大判昭和 32.11.27)。
侵害の罪(56 条)は法人に最大三億円、詐欺の行為・虚偽表示(57・58 条)は法人に最大三千万円。行為者個人は別に各本条の罰金刑が科されます。
法人が従業者の選任・監督その他違反防止に必要な相当の注意を尽くしたことを立証すれば免責されます。立証の鍵は平時の研修記録やチェック体制です。
罰金刑は原則三年ですが、56 条・60 条 1 項違反については本条 3 項により行為者本人の罪の時効期間(侵害罪は五年)に合わせられます。
及びます。本条 2 項により、行為者への告訴は法人にも効力を生じ、法人への告訴も行為者に効力を生じます(双方向)。
平成 10 年(1998 年)の改正で導入されました。それ以前は法人も行為者個人と同額でしたが、法人への罰金が大幅に引き上げられました。
同趣旨です。特許法 201 条が同様の両罰規定を置き、いずれも侵害の罪等で法人に高額の罰金を科します。罰金額や対象条文に差があります。
払う可能性があります。両罰規定は「業務に関し」なされた違反なら、行為者本人とは別に法人にも罰金を科します(実用新案法 61 条 1 項)。ただし会社が選任・監督に相当の注意を尽くしたと立証できれば免責されます。業界裏話ヒント:この「相当の注意」による免責は判例で認められたもの(最大判昭和 32.11.27)で、条文には書いていない。だから条文だけ読んで「無過失責任だ」と諦める会社が多い。実際は平時の研修記録やチェック体制が残っていれば、戦える余地がある
個人が最大五百万円なのに法人は三億円、六十倍の差です(実用新案法 61 条 1 項)。違反による利益は会社組織に流れ込むため、個人罰だけでは抑止にならないという考え方です。業界裏話ヒント:この「法人重課」は平成 10 年(1998 年)の改正で導入された。それ以前は法人も個人と同額だった。つまり古い解説書や改正前の感覚で「罰金くらい」と高をくくる経営者は、桁を二つ読み違えている
利害が対立する場面では別々の弁護人が望ましいです。会社は「従業員の暴走で監督はしていた」と主張したい一方、従業員は「会社の指示でやった」と言いたい。両者の防御方針は正面衝突しえます。業界裏話ヒント:会社が顧問弁護士に両方任せると、無意識に会社防御が優先され、従業員個人が不利な供述に誘導されることがある。従業員側は早い段階で自分専属の弁護人を確保すべき、というのが実務の鉄則
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 侵害の罪(56 条)に対する処罰 | 法人:三億円以下の罰金(61 条 1 項 1 号) | — |
| 詐欺の行為・虚偽表示(57・58 条)に対する処罰 | 法人:三千万円以下の罰金(61 条 1 項 2 号) | — |
| 免責の可否 | 選任・監督に相当の注意を尽くせば法人は免責(過失推定) | — |
| 告訴の効力 | 行為者への告訴は法人にも効力(61 条 2 項) | — |
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