要点意匠法 60 条の 20 は、国際登録を基礎とした意匠権の移転と満了以外の消滅について、日本の意匠原簿ではなく WIPO の国際登録簿への登録で効力が生じると定める特例規定である。
Q · ハーグ経由で国際登録した意匠権を譲渡したいのですが、特許庁の意匠原簿に移転登録すれば効力は生じますか?
いいえ、移転の効力は国際登録簿への登録で決まります
意匠法 60 条の 20 第 2 項により、国際登録を基礎とした意匠権の移転と、存続期間満了以外の消滅は、日本の意匠原簿ではなく WIPO の国際登録簿(ジュネーブ)に登録されたところによって効力を生じます。したがって特許庁の意匠原簿だけを書き換えても、移転は効力未発生となり得ます。一方、設定・信託による変更・満了による消滅・処分の制限は、従来どおり日本の意匠原簿への登録によります(同条 1 項)。出来事の種類ごとに支配する登記簿が分かれる点に注意が必要です。
海外展開を見据えてハーグ協定経由で意匠を国際登録し、その権利を別会社へ譲渡することになった。いつも通り特許庁の意匠原簿に移転登録を申請する。ここに落とし穴がある。国内だけの意匠権なら、61条により設定も移転も消滅もすべて意匠原簿への登録で効力が生じる。だが国際登録を基礎とした意匠権では、60条の20が61条の適用を読み替える。移転と、存続期間満了以外の消滅は、日本の意匠原簿ではなく、WIPO(世界知的所有権機関)が管理する国際登録簿(ジュネーブ)に登録されたところによって効力が決まる。つまり譲渡を本当に有効にしたいなら、手続きする相手は特許庁ではなく国際事務局だ。意匠原簿だけを見て「この意匠は誰のものか」を判断すると、本当の権利者を取り違える。設定や信託は日本の原簿、移転は国際登録簿。同じ一個の権利が、出来事の種類によって別々の登記簿に支配されている。
意匠法 60 条の 20 は、意匠の国際登録に関するハーグ協定ジュネーブ改正協定に基づく国際登録を基礎とした意匠権について、第 61 条の登録の効力規定を読み替える特例である。移転および存続期間満了以外の消滅の効力を WIPO の国際登録簿に、設定・信託・満了消滅・処分制限を日本の意匠原簿に振り分ける。
ハーグ協定ジュネーブ改正協定に基づき、一つの出願で複数国に意匠を登録できる制度です。WIPO の国際事務局が国際登録簿で権利を一元管理します。
一括出願で複数国の意匠を保護でき、更新や名義変更も国際事務局で一元的に手続きできます。国別に個別出願する手間とコストを削減できます。
国内意匠権は特許庁の意匠原簿、国際登録を基礎とした意匠権は移転について WIPO の国際登録簿で手続きします(意匠法 60 条の 20 第 2 項)。
特許庁が管理する意匠権の登録簿で、設定・信託・消滅・処分の制限などを記録します。ただし国際登録ベースの移転は国際登録簿が支配します。
存続期間満了による消滅は、国際登録ベースでも日本の意匠原簿への登録によります(意匠法 60 条の 20 第 1 項)。満了と中途消滅で登記簿が分かれます。
WIPO 国際事務局に対し、変更記録の請求(名義変更)を行います。この登録により移転の効力が生じます(意匠法 60 条の 20 第 2 項)。
国際登録ベースの意匠権は、契約だけでなく国際登録簿への変更記録の登録がなければ移転の効力が生じません。決済後速やかに手続きが必要です。
固有の期限はありませんが、効力は国際登録簿への登録時に生じ、第三者対抗の優劣は登録の先後で決まるため、決済後できる限り早く行うべきです。
国際登録を基礎とした意匠権は、WIPO が管理する国際登録簿で一元的に権利の異動を記録する仕組みだからです。60条の20第2項は、移転と存続期間満了以外の消滅について、国際登録簿の登録によると定めています。業界裏話ヒント:これは二重登録による帳簿の食い違いを防ぐための割り切りで、弁理士は国際登録ベースの案件では真っ先に「効力発生地はどちらか」を確認します。国内意匠権の感覚のまま特許庁で手続きを完結させようとすると、移転が効力未発生のまま放置される事故が起きる
確かに分かりにくいですが、60条の20第1項が61条1項1号を読み替えて、日本の原簿に残すのは設定・信託による変更・存続期間満了による消滅・処分の制限に限定しています。移転と中途消滅はその枠から外され、国際登録簿側に委ねられます。業界裏話ヒント:この線引きは「権利の発生・終期は各国管理、所有者の移転は国際一元管理」という設計思想から来ています。満了による消滅は日本の原簿、放棄や譲渡に伴う消滅は国際登録簿、という出来事ごとの仕分けを台帳に落とし込んでおくと事故が消える
国際登録ベースの権利は、最新の権利者が日本の意匠原簿に反映されていないことがあるため、WIPO の国際登録簿を必ず確認します。原簿の名義が古いまま放置されているケースは珍しくありません。業界裏話ヒント:デューデリで国内原簿だけ調べて権利者を確定したつもりになると、買収後に「真の権利者は別」と判明するリスクがあります。国際登録番号の有無でハーグ系かを切り分け、ハーグ系は国際登録簿ベースで権利者と異動履歴を取り直すのが実務の鉄則です
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| 移転の効力発生地 | 60 条の 20:国際登録を基礎とした意匠権の移転は国際登録簿による | — |
| 支配する登記簿 | 移転・中途消滅は WIPO 国際登録簿、設定・信託・満了消滅・処分制限は日本の意匠原簿 | — |
| 満了消滅の扱い | 存続期間満了による消滅は日本の意匠原簿による(60 条の 20 第 1 項) | — |
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