災害対策基本法 第71条(都道府県知事の従事命令等)
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- 都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、第五十条第一項第四号から第九号までに掲げる事項について応急措置を実施するため特に必要があると認めるときは、災害救助法第七条から第十条までの規定の例により、従事命令、協力命令若しくは保管命令を発し、施設、土地、家屋若しくは物資を管理し、使用し、若しくは収用し、又はその職員に施設、土地、家屋若しくは物資の所在する場所若しくは物資を保管させる場所に立ち入り検査をさせ、若しくは物資を保管させた者から必要な報告を取ることができる。
- 2.前項の規定による都道府県知事の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、その一部を市町村長が行うこととすることができる。
この条文の基本情報
都道府県知事の従事命令等とは何ですか?
定義都道府県知事の従事命令等とは、災害対策基本法第71条に定められた規定で、「都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、第五十条第一項第四号から第九号までに掲げる事項について応急措置を実施するため特に必要があると…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 災害対策基本法第71条(都道府県知事の従事命令等)は、日本の災害対策基本法に含まれる条文です。
- 災害対策基本法第71条の条文原文は「都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、第五十条第一項第四号から第九号までに掲げる事項について応急措置を実施するため特に必要があると…」で始まります。
- 災害対策基本法第71条は第四節に置かれています。
- 災害対策基本法の公布日は昭和36年11月15日です。
- 災害対策基本法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月22日時点では廃止情報はありません。
- 災害対策基本法第71条の前の条は災害対策基本法第70条です。
- 災害対策基本法第71条の次の条は災害対策基本法第72条です。
- 災害対策基本法第71条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第71条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000223 - 本サイト収録
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第71条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月22日)https://lawplayer.com/jp/article/336AC0000000223/71
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点災害対策基本法71条は、災害時に都道府県知事が応急措置のため特に必要と認めるとき、従事命令・保管命令や物資の収用等を行えると定める。対象は50条1項4号から9号の措置に限られる。
Q · 大災害のとき、県から「現場で働け」「在庫を動かすな」と命令されたら従うしかないの?
原則従う義務があるが、損失補償と死傷補償を請求できる
災害対策基本法71条により、都道府県知事は応急措置のため特に必要と認めるとき、医療・土木建築・輸送関係者などへの従事命令や、物資の保管命令・収用を行えます。従事命令は行政処分であり、正当な理由なく従わなければ罰則の対象になりえます。その代わり、処分により通常生ずべき損失は補償され(82条)、従事中の死傷にも損害補償があります(84条)。補償の査定は初日の記録に左右されるため、公用令書の受領時点で数量・状態・日時を記録しておくことが重要です。
解説
地震や豪雨の直後、県知事は民間のあなたに「現場で働け」「倉庫の物資を動かすな」「その土地を使わせろ」と命じることができる。その根拠が本条だ。対象は、被災した児童生徒の応急教育、施設の応急復旧、防疫と廃棄物処理、交通規制、緊急輸送など、災害対策基本法50条1項4号から9号の応急措置である。手続は災害救助法7条から10条の「例による」。医師、看護師、土木建築業者、運送事業者などは従事命令(強制的に業務へ就かせる命令)の対象になりうるし、物資を持つ事業者は保管命令(売るな、動かすなという命令)を受けうる。従わなければ罰則がある(同法113条、最新の改正状況をご確認ください)。一方で、あなたの側にも打てる手がある。収用や使用は公用令書(役所が交付する正式な命令書)で行われ、通常生ずべき損失は補償される(82条)。従事中に死傷すれば損害補償もある(84条)。命令書を受け取った瞬間に何を記録に残すかで、後で受け取る補償額が変わる。
法的な位置づけ
災害対策基本法71条は、都道府県知事の応急公用負担を定める規定であり、災害発生時に同法50条1項4号から9号の応急措置を実施するため特に必要があると認めるとき、災害救助法7条から10条の例により従事命令・協力命令・保管命令の発出、施設・土地・家屋・物資の管理・使用・収用、立入検査および報告徴収を行う権限を付与する。権限の一部は政令により市町村長に委ねることができる。
手順
- 1.公用令書の交付と内容を確認する 口頭の指示だけで動かず、公用令書(81条)の交付を求める。根拠条文、処分の種類(従事・保管・使用・収用)、対象物、期間、発令者を確認し、担当職員の氏名と所属を控える
- 2.初日の状態を記録する 物資の数量・状態・保管場所、土地や施設の現況を写真と動画で撮影し、日時を残す。従事命令の場合は開始時刻と作業内容を記録する。後日の損失補償査定の基準になる
- 3.勤務先・取引先へ令書の写しを送付する 休業や納期遅延が行政処分による不可抗力であることを示すため、公用令書の写しを勤務先・取引先に送付し、送付記録を残す
- 4.損失補償・損害補償を書面で請求する 処分終了後、時価・使用料相当額・付随費用を項目別に整理し、根拠資料を添えて都道府県へ書面で請求する(82条)。従事中に負傷した場合は受診記録を添えて84条の損害補償を請求する。査定に不服があれば弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1従事命令とは何ですか?
災害時に知事が医療・土木建築・輸送関係者などを応急措置の業務に強制的に就かせる行政処分です。災害対策基本法71条が災害救助法7条の例によって定めています。
Q2保管命令とは何ですか?
災害時に知事が物資を扱う事業者に対し、その物資を保管し勝手に販売・移動しないよう命じる処分です。災害対策基本法71条1項が根拠です。
Q3従事命令と協力命令の違いは?
従事命令は医療・土木・輸送などの関係者を業務に就かせるもので罰則があります。協力命令は被災者や近隣住民に協力を求めるもので罰則はありません。
Q4災害で土地を収用されたら補償はある?
あります。災害対策基本法82条により、71条の処分で通常生ずべき損失は補償されます。対象物の時価や使用料相当額が中心で、内訳の立証が重要です。
Q5従事命令は市町村長も出せますか?
71条2項により、知事の権限の一部は政令で市町村長が行うことができます。また市町村長には65条に基づく住民等への従事命令の権限もあります。
Q6従事命令に従わないとどうなる?
正当な理由なく従事命令や保管命令に従わない場合、罰則の対象になりえます(同法113条等、最新の改正状況を要確認)。協力命令には罰則がありません。
Q7災害時の従事命令は憲法違反ではない?
憲法18条の苦役禁止や29条の財産権との緊張はありますが、対象措置の限定、「特に必要」の要件、公用令書手続、補償制度により正当化される設計とされています。
Q8公用令書とは何ですか?
知事が従事命令や収用などの処分を行う際に名宛人へ交付する正式な命令書です(81条)。処分内容と対象物が記載され、補償請求の出発点となります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1医者だけど、災害のとき県から命令されたら本当に断れないの?
本条の従事命令は災害救助法7条の例により、医療関係者などを対象に発せられる行政処分で、正当な理由なく従わなければ罰則の対象になりうる(災害対策基本法113条、最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:発動例は極めて少なく、実務では医師会と自治体の協定による派遣要請で回ることが多い。協定経由の出動か命令による従事かで、補償の根拠条文が変わるので、出動時にどちらなのか必ず書面で確認しておく
Q2店の在庫を勝手に売るなって言われた。その間の売上損失って補償されるの?
保管命令や収用による損失は、通常生ずべき損失として補償される(82条)。ただし逸失利益(売れたはずの利益)がどこまで含まれるかは、実務上解釈が分かれている。実務のポイント:補償の査定担当は「仕入原価」を基準に置きたがる。保管命令が出た日の販売価格表、前年同期の売上データ、キャンセルされた注文書をセットで提出すると、議論の出発点を引き上げられる
Q3命令で手伝ってる最中にケガしたら、労災になるの?
命令による従事中の死傷は、労災保険とは別枠で、本法84条に基づく損害補償の対象となる。基準は政令で定められている。実務のポイント:勤務先の業務命令ではないため、会社の労災担当は「うちの案件ではない」と言いがち。負傷したら、まず公用令書の写しと受診記録を揃えて都道府県の担当課に直接連絡する。窓口を間違えると数か月単位で時間を失う
間違えやすい点 AI による整理
- 「災害のときに働けと言われても、ボランティアだから断れる」と考える人は多い。だが本条の従事命令は行政処分であり、協力のお願いとは別物である。医療・土木建築・輸送の関係者として名宛人になった場合、従わなければ罰則の対象になりうる。一方、被災者や近隣住民に向けた協力命令には罰則がない。同じ「命令」でも重さはまったく違う
- 収用されたら泣き寝入りだと思っている人は、損失補償が「通常生ずべき損失」に限られる点の重さを知らない。物資の時価は補償対象になりやすいが、得られたはずの販売利益や取引先との違約金がどこまで含まれるかは、実務上解釈が分かれている。請求する側が損失の内訳と因果関係を書面で示さない限り、査定は最小限に寄る
- 「知事の命令に法的根拠があるか」を問う人は多いが、問いの立て方がずれている。根拠そのものは本条で明確だ。実際に争点になるのは、50条1項4号から9号のどの応急措置のためか、「特に必要がある」と言える状況か、手続が公用令書で行われたか、の三点である。ここを外して命令の存在自体を争っても勝ち目は薄い
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 命令の主体 | 災害対策基本法71条:都道府県知事(一部は市町村長に委任可) | 災害対策基本法65条:市町村長 災害救助法7条:都道府県知事 |
| 目的 | 50条1項4号から9号の応急措置(応急教育、施設復旧、防疫、交通規制、緊急輸送等) | 市町村の区域における応急措置全般 災害救助法に基づく救助(避難所、食料、医療等) |
| 対象者・対象物 | 医療・土木建築・輸送関係者等、施設・土地・家屋・物資 | 区域内の住民または応急措置の現場にある者 医療、土木建築工事または輸送関係者 |
| 要件の強さ | 「特に必要があると認めるとき」 | 「緊急の必要があると認めるとき」 「特に必要があると認めるとき」 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では地方政府の災害応変措置として専門職・技術人員の徴調や救災機具・車両の徴用が認められ、日本と同様に強制と補償をセットで構成する
韓国は市長・郡守・区庁長に応急負担として土地・建物・物資の一時使用や応急措置への従事を求める権限を与える
ドイツでは災害対策が州の権限で、各州法が住民の役務提供義務や物の徴用と補償を定める
フランスでは緊急時に県知事(préfet)が人員・財産の徴用(réquisition)を行え、補償が伴う
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 県内で震度6強。地元の土木会社を経営するあなたのもとに、県から重機とオペレーターを出して道路啓開(がれきを除けて通行路を確保する作業)に当たれという命令書が届いた。自社の受注工事は止まる。断れるのか、断ったら何が起きるのか、補償はどこまで出るのか。この三つを今夜中に整理しなければならない
- ホームセンターの店長として、被災地向けのブルーシートと発電機を在庫している。そこへ県職員が来て、在庫を保管し勝手に販売しないよう命じた。翌朝、本社からは「通常どおり売れ」と指示が来る。どちらに従うのか?
- あなたの所有する空き地が仮設の物資集積所として使用されることになった。期間も地代も知らされていない。補償の請求期限は思ったほど長くない
- もし、あなたが看護師で、夜勤明けに県知事名の従事命令を受け取ったら、どうなる? 拒否すれば罰則の対象になりうる。ただし、従事中に余震で負傷した場合の補償は84条で用意されている。勤務先との調整は命令書を見せることから始まる
- 運送会社の配車担当であるあなたは、緊急輸送のために保有トラックの使用命令を受けた。翌週、荷主から契約不履行だとして違約金を請求された。あと30日で荷主との決済日が来る。公用令書の写しを荷主に示し、不可抗力と損失補償の線を同時に動かす必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 土地や物資を使用・収用された場合、公用令書(81条)の交付を求め、内容と対象物を確認する2. その場で数量、状態、写真、日時、担当職員を記録する3. 返還時の損耗も撮影し、原状との差を残す4. 損失補償(82条)の請求は、時価、使用料相当額、付随費用を項目別に分け、根拠資料を添えて都道府県へ書面で行う5. 査定額に不満があれば、行政不服審査や訴訟の可否を弁護士に相談する
訴えられた側:1. 従事命令・保管命令を受けたら、まず書面の有無、根拠条文、従事内容、期間を確認する2. 自分が対象者の範囲(医療・土木建築・輸送関係者など)に入るか、健康上や家族の介護など正当な事情がないかを担当者に伝える3. 拒否は罰則のリスクがあるため、不満があっても従いつつ不服を記録として残す4. 従事中の負傷は84条の損害補償の対象となるため、受診記録を必ず残す5. 勤務先・取引先へ令書の写しを送付する
時効(請求できる期限):処分に不服がある場合、審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)、取消訴訟は処分を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)。損失補償請求について本条に特定の時効はないが、地方公共団体に対する金銭債権として5年の時効(地方自治法236条)が適用されると考えられる。適用関係は実務上解釈が分かれうるため、早期に請求すること(最新の改正状況をご確認ください)
学説
応急公用負担論(行政法の一般的理解):71条の処分は公共の必要による人的・物的負担の強制であり、対象措置の限定、「特に必要」要件、公用令書手続、損失補償と死傷補償の組合せにより、憲法18条・29条との緊張を調整していると理解される
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和36年(1961年) 新設:災害対策基本法の制定に伴い新設。災害救助法の従事命令等の手続を、救助以外の応急措置にも及ぼす仕組みとして設けられた
- 災害対策基本法 第50条本条が対象とする応急措置の範囲
- 災害対策基本法 第65条市町村長による住民等の従事命令
- 災害対策基本法 第81条公用令書の交付による処分手続(現行効力を要確認)
- 災害対策基本法 第82条処分により生ずる損失の補償
- 災害対策基本法 第84条従事者の死傷に対する損害補償
- 災害救助法 第7条従事命令の手続を本条が準用
- 災害救助法 第9条施設・物資の管理使用収用と保管命令の原型
- 新型インフルエンザ等対策特別措置法 第55条感染症時の特定物資の売渡し要請・収用
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