災害対策基本法 第84条(応急措置の業務に従事した者に対する損害補償)
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- 市町村長又は警察官、海上保安官若しくは災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官が、第六十五条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定又は同条第二項において準用する第六十三条第二項の規定により、当該市町村の区域内の住民又は応急措置を実施すべき現場にある者を応急措置の業務に従事させた場合において、当該業務に従事した者がそのため死亡し、負傷し、若しくは疾病にかかり、又は障害の状態となつたときは、当該市町村は、政令で定める基準に従い、条例で定めるところにより、その者又はその者の遺族若しくは被扶養者がこれらの原因によつて受ける損害を補償しなければならない。
- 2.都道府県は、第七十一条の規定による従事命令により応急措置の業務に従事した者がそのため死亡し、負傷し、若しくは疾病にかかり、又は障害の状態となつたときは、政令で定める基準に従い、条例で定めるところにより、その者又はその者の遺族若しくは被扶養者がこれらの原因によつて受ける損害を補償しなければならない。
この条文の基本情報
応急措置の業務に従事した者に対する損害補償とは何ですか?
定義応急措置の業務に従事した者に対する損害補償とは、災害対策基本法第84条に定められた規定で、「市町村長又は警察官、海上保安官若しくは災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官が、第六十五条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 災害対策基本法第84条(応急措置の業務に従事した者に対する損害補償)は、日本の災害対策基本法に含まれる条文です。
- 災害対策基本法第84条の条文原文は「市町村長又は警察官、海上保安官若しくは災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官が、第六十五条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。」で始まります。
- 災害対策基本法第84条は第四節に置かれています。
- 災害対策基本法の公布日は昭和36年11月15日です。
- 災害対策基本法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月22日時点では廃止情報はありません。
- 災害対策基本法第84条の前の条は災害対策基本法第83条です。
- 災害対策基本法第84条の次の条は災害対策基本法第85条です。
- 災害対策基本法第84条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第84条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000223 - 本サイト収録
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第84条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月22日)https://lawplayer.com/jp/article/336AC0000000223/84
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点災害対策基本法84条は、市町村長や警察官等の従事命令で応急措置に従事し死傷病・障害を負った者に対し、市町村が政令基準と条例に従い損害を補償する義務を定める。
Q · 災害現場で警察官に手伝えと言われてケガをしたら、補償はもらえるの?
命令を受けた作業なら補償対象、自発的な手伝いは原則対象外
災害対策基本法84条1項により、市町村長、または市町村長が現場にいないときの警察官・海上保安官・災害派遣中の自衛官の従事命令で応急措置に従事し、死亡・負傷・疾病・障害に至った場合、市町村が政令の基準に従い条例で損害を補償します。知事の71条命令なら同条2項で都道府県が補償します。自発的なボランティア活動は原則対象外で、ボランティア活動保険などで備える必要があります。
解説
土砂崩れの現場で、駆けつけた警察官に「そこのあなた、土のう運びを手伝ってくれ」と言われる。この一言が単なるお願いか、法律上の「従事命令」かで、その後に負ったケガの扱いが変わる。災害対策基本法84条は、市町村長、または市町村長がその場にいないときの警察官・海上保安官・災害派遣中の自衛官が、65条に基づいて住民や現場にいる人を応急措置(救出、がれき撤去、避難誘導など、被害の拡大を止める緊急作業)に従事させた場合を対象とする。そのせいで死亡、負傷、病気、障害を負ったとき、市町村は条例に従って本人や遺族、被扶養者に補償しなければならない。知事の従事命令(71条)なら補償するのは都道府県である。補償の出発点は「命令されたこと」で、善意の自発的な手伝いはこの条文の対象外になりうる。ボランティアとして現場に入った人は、原則としてこの公的補償の外側にいる。ここを知っているかどうかで、被災地での自分の守り方が変わる。
法的な位置づけ
災害対策基本法84条は、応急措置従事者に対する損害補償を定める規定である。市町村長等の従事命令(65条)または都道府県知事の従事命令(71条)により応急措置の業務に従事した者が、その業務により死亡・負傷・疾病・障害の状態となった場合、命令主体側の市町村または都道府県が、政令で定める基準に従い条例により本人・遺族・被扶養者の損害を補償する義務を負う。
手順
- 1.作業前に命令者と指示内容を記録する 作業に加わる直前に、指示した人の所属・氏名・時刻・場所・作業内容をスマホのメモや音声で残す。65条の命令は口頭が普通なので、この記録が補償の前提事実の証明になる
- 2.一緒に作業した人の連絡先を控える 命令の有無が争点になったときに備え、同じ現場で作業した人や立ち会った職員の連絡先を控えておく
- 3.受傷後すぐ受診し診断書を取得する ケガや体調不良が出たら早めに受診し、災害現場での作業中の受傷・発症であることを診断書に記載してもらう
- 4.自治体窓口へ補償を申請する 65条命令なら市町村、71条命令なら都道府県の防災担当へ相談し、損害補償条例に基づいて申請する。治るのを待たず、従事の事実を職員が覚えているうちに記録へ残してもらう
よくある質問 AI による整理
Q1災害時の従事命令とは何ですか?
災害の応急措置に人手が足りないとき、市町村長や知事などが住民や現場にいる人を救出・がれき撤去などの作業に従事させる命令です(災害対策基本法65条・71条)。
Q2従事命令を拒否できますか?
従事命令は法的な命令ですが、憲法18条の苦役禁止との関係から、作業内容は応急措置に限られます。本人の健康状態など正当な事情がある場合の扱いは個別判断になります。
Q3災害ボランティアでケガをしたら誰が補償しますか?
自発的なボランティアは84条の公的補償の対象外となるのが原則です。社会福祉協議会で加入するボランティア活動保険が主な備えになります。
Q4従事命令による補償は誰が支払いますか?
市町村長や警察官等の65条命令なら市町村、知事の71条命令なら都道府県が支払います。命令を出した側の自治体が補償する仕組みです。
Q5従事命令の補償申請はどこにしますか?
命令を出した主体に対応する市町村または都道府県の防災担当窓口に相談します。根拠となる自治体の損害補償条例を確認して申請します。
Q6災害作業で病気になった場合も補償されますか?
されます。84条は死亡・負傷に加え「疾病にかかり」と障害の状態も対象としています。ただし作業との因果関係を示す記録や受診歴が重要になります。
Q7従事命令は口頭でも有効ですか?
市町村長や警察官による65条の命令は、現場で口頭により出されるのが一般的です。知事の71条命令は公用令書の交付によります(81条)。
Q8遺族も補償を受けられますか?
受けられます。84条は本人だけでなく、その遺族や被扶養者が受ける損害も補償の対象としています。具体的な内容は自治体の条例で定められます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1地震のとき近所のおじいさんを自分から助け出してケガしました。補償って出ないんですか?
84条の補償は、65条や71条の従事命令を受けて作業した人が対象なので、純粋に自発的な救助は原則として対象外です。ただ、警察官が現場で「手伝って」と求めていたなら、65条2項の従事命令に当たる余地があります。実務のポイント:本人が「自発的だった」と思い込んでいても、その場にいた警察官や消防の指示を受けていたケースは少なくありません。当時の状況を細かく思い出し、指示した人を特定すると扉が開くことがあります
Q2補償っていくらくらいもらえるんですか?
84条は金額を定めておらず、政令で定める基準に従い、各自治体の条例で決まります。多くの自治体は、非常勤消防団員の公務災害補償に近い枠組みで療養補償、休業補償、障害補償、遺族補償などを置いています。実務のポイント:条例名は「災害に際し応急措置の業務に従事した者に係る損害補償に関する条例」のように長く、例規集の中で見落とされがちです。自治体の例規集を「応急措置 従事 損害補償」で検索するのが近道です
Q3自衛隊員や消防団員がこの作業でケガしたら、84条の補償になるんですか?
なりません。84条が守るのは、命令で動員された住民や現場にいた一般の人です。自衛官は国家公務員災害補償の仕組み、消防団員は非常勤消防団員の公務災害補償の仕組みで別に守られています。実務のポイント:地元の建設業者の社員が会社の業務として作業した場合は、労災保険(労働者災害補償保険法)と84条のどちらで処理するかが実務上の論点になります。会社と自治体、双方の窓口に早めに確認するのが安全です
間違えやすい点 AI による整理
- 「人助けでケガをしたのだから、国か自治体が何とかしてくれるはず」と思われがちだが、84条が守るのは従事命令を受けた人である。自発的な手伝いやボランティアは原則として対象外で、別の制度(ボランティア活動保険、場合によっては警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律など)を探すことになる
- 従事命令は役所から書面で届くもの、と考える人が多い。知事の71条命令は公用令書の交付による(81条)が、65条の命令は市町村長や警察官が現場で口頭で出すのが普通である。紙が残らないぶん、あとで「命令はなかった」と言われる危険は、想像以上に大きい
- 補償の中身は法律に書いてあると思って84条を読んでも、金額は一円も出てこない。基準は政令、具体的な支給は各市町村・都道府県の条例に委ねられている。問うべきは「84条で何がもらえるか」ではなく、「自分の自治体の条例が何を定めているか」である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる損失 | 84条:従事者の死亡・負傷・疾病・障害(人的損害) | 82条:公用負担による物的な損失 65条:補償規定ではなく従事命令の権限規定 |
| 補償・権限の主体 | 市町村(1項)または都道府県(2項) | 処分を行った国・地方公共団体 市町村長、不在時は警察官・海上保安官・自衛官 |
| 前提となる行為 | 65条または71条の従事命令による応急措置業務 | 土地・建物・物資の使用や収用等の処分 応急措置に人手が必要な緊急状況 |
| 具体的内容の定め方 | 政令の基準に従い条例で定める | 通常生ずべき損失を補償 命令の内容は現場判断(口頭が通常) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も災害応変措置のための人員徴調と、従事者の死傷に対する補償・救助を法律で定める。日本と同じく命令による従事を前提とする構造
韓国も応急措置への従事命令と従事者の治療・補償を規定し、日本の災害対策基本法と類似した構造を持つ
ドイツは命令の有無を問わず、緊急時の救助者を法定労災保険で保護する。自発的な救助も対象となる点で日本より範囲が広い
フランスは判例法理により、公役務に臨時に協力した私人の損害を行政が無過失で賠償する。要請された協力に加え、緊急時の自発的協力も対象となりうる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 豪雨の夜、川沿いの集落で消防も手が足りず、市役所の職員を通じて町長から「動ける住民は土のう積みに出てほしい」と指示が出た。あなたは腰を痛め、二か月働けなかった。これは65条の従事命令にあたるか。あたるなら、市町村が条例で療養費や休業分を補償する
- 地震直後、倒壊家屋の前を通りかかったあなたに、警察官が「下に人がいる、梁を持ち上げるのを手伝え」と叫んだ。市町村長がその場にいない以上、警察官の命令も65条2項で従事命令になりうる。手を挟まれて指を失っても、補償の扉は閉ざされていない
- SNSで呼びかけを見て、自分の判断で被災地の泥かきに行き、ガラス片で深く切った。誰からも命令は受けていない。84条の補償はおそらく使えない。頼りになるのは、出発前に入ったかどうかのボランティア活動保険だけである
- 市役所の防災担当として、あなたは避難所設営に地元の建設業者を口頭で動員した。作業中の転落事故の後、業者から「命令されたのだから市が補償すべきだ」と言われた。命令した記録が残っていないことに、そのとき気付く
- もし被災から三年後、作業中に吸い込んだ粉じんが原因と疑われる肺の病気が見つかったら? 「疾病にかかり」も補償対象に入っている。ただ、時効や因果関係の立証で争いになる前に、従事の記録と受診歴が残っているかが勝負になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 命令者(市町村長、警察官、海上保安官、自衛官、知事)、日時、場所、作業内容をメモし、一緒に作業した人の連絡先を控える2. 早めに受診し、診断書に作業中の受傷であることを書いてもらう3. 市町村(71条命令なら都道府県)の防災担当へ、84条と条例に基づく補償の申請方法を問い合わせる4. 命令の有無で争いになれば、同じ現場にいた人の証言や当時の防災無線・広報記録を集める
訴えられた側:補償する側(市町村・都道府県の担当者)の場合:1. 災害時に出した従事命令を、口頭のものも含めて時刻・相手・内容の記録に残す運用を平時に決めておく2. 補償条例と、政令で定める基準との整合を確認する3. 申請があれば、従事命令に基づく作業か、自発的な活動かを事実に即して判断する。記録がないことを理由に一律に却下すると、後で行政不服審査や訴訟のリスクになる
時効(請求できる期限):84条自体に請求期限はない。補償を受ける権利の時効は、条例や準拠する基準の定めによる(類似の公務災害補償では療養・休業は2年、障害・遺族は5年とする例が多い。お住まいの自治体の条例と最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:84条は、65条・71条による強制的な労務動員に伴う身体的リスクを命令主体が引き受ける補償規定であり、特別の犠牲に対する公的補償の考え方を具体化したものと理解される。補償の対象は従事命令を受けた者に限られる
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和36年(1961年) 新設:災害対策基本法の制定に伴い、応急措置の業務に従事した者に対する損害補償の規定が設けられた
- 災害対策基本法 第65条市町村長等の従事命令、補償の前提
- 災害対策基本法 第63条警察官等の代行権限の準用元
- 災害対策基本法 第71条知事の従事命令、2項補償の前提
- 災害対策基本法 第82条物的な公用負担の損失補償
- 災害対策基本法 第81条71条処分の公用令書交付
- 災害救助法 第12条救助従事者への扶助金支給(現行効力を要確認)
- 消防法 第36条の3消防作業協力者の損害補償
- 水防法 第45条水防従事者の損害補償
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