老人福祉法 第19条
クイックジャンプ
- 都道府県知事は、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームの設置者がこの法律若しくはこれに基づく命令若しくはこれらに基づいてする処分に違反したとき、又は当該施設が第十七条第一項の基準に適合しなくなつたときは、その設置者に対して、その施設の設備若しくは運営の改善若しくはその事業の停止若しくは廃止を命じ、又は第十五条第四項の規定による認可を取り消すことができる。
- 2.都道府県知事は、前項の規定により、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームにつき、その事業の廃止を命じ、又は設置の認可を取り消す場合には、あらかじめ、社会福祉法第七条第一項に規定する地方社会福祉審議会の意見を聞かなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 老人福祉法第19条は、日本の老人福祉法に含まれる条文です。
- 老人福祉法第19条の条文原文は「都道府県知事は、養護老人ホーム又は特別養護老人ホームの設置者がこの法律若しくはこれに基づく命令若しくはこれらに基づいてする処分に違反したとき、又は当該施設が第十…」で始まります。
- 老人福祉法第19条は第三章 事業及び施設に置かれています。
- 老人福祉法の公布日は昭和38年7月11日です。
- 老人福祉法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 老人福祉法第19条の前の条は老人福祉法第18条の2です。
- 老人福祉法第19条の次の条は老人福祉法第20条です。
- 老人福祉法第19条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第19条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000133 - 本サイト収録
老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第19条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/338AC0000000133/19
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点老人福祉法19条は、都道府県知事が老人ホームの設置者に改善・事業停止・廃止を命じ、認可を取り消せると定める。廃止と取消しには地方社会福祉審議会の意見聴取が必要。
Q · 老人ホームで虐待や人手不足があったら、施設はすぐ営業停止になるの?
すぐではない。改善命令から始まり、重い処分は審議会の意見が必要
老人福祉法19条1項により、都道府県知事は法令違反や設備・運営基準(17条1項)への不適合がある養護老人ホーム・特別養護老人ホームに対し、改善命令、事業停止命令、事業廃止命令、認可取消しを行えます。ただし実務では行政指導が先行するのが通例です。また廃止命令と認可取消しには、同条2項により地方社会福祉審議会の意見を事前に聞く必要があり、知事の独断では行えません。
解説
特別養護老人ホームが「潰れる」ときの法的な引き金は、ほぼこの一条に集約されている。都道府県知事は、法令違反や設備・人員の基準割れを理由に、改善命令、事業停止命令、事業廃止命令、認可取消しという四段階の処分(役所が施設に直接下す、拘束力のある決定)を出せる。しかも、重い二つ(廃止命令と認可取消し)には、知事が独断で踏み切れないように、事前に地方社会福祉審議会の意見を聞くという手続が組み込まれている。親を預けている家族は「虐待が発覚すれば、すぐに行政が施設を止めてくれる」と考えがちである。しかし現実には、まず行政指導(法的拘束力のないお願い)が先に来て、命令までたどり着く事案はごく一部にすぎない。逆に運営者から見れば、命令が出た時点で、静かに是正する段階はすでに終わっている。家族の通報が行政を動かす燃料になり、運営者の初動が処分の段階を左右する。どちらの立場でも、四段階のどこにいるかを知っている側が主導権を握る。
法的な位置づけ
老人福祉法19条は、養護老人ホームおよび特別養護老人ホームに対する都道府県知事の監督処分を定める規定である。設置者の法令違反または第17条第1項の基準不適合を要件として、改善命令、事業停止命令、事業廃止命令、設置認可の取消しを認め、廃止命令と認可取消しについては地方社会福祉審議会への事前の意見聴取を義務付ける。
よくある質問 AI による整理
Q1老人福祉法19条とは?
養護老人ホーム・特別養護老人ホームに対し、都道府県知事が改善命令、事業停止・廃止命令、認可取消しを行えると定めた監督処分の規定です。
Q2特養の改善命令はどんな場合に出る?
設置者が老人福祉法やそれに基づく命令・処分に違反した場合、または施設が17条1項の設備・運営基準に適合しなくなった場合に出されえます。
Q3老人ホームの認可取消し 誰が決める?
都道府県知事です。ただし同条2項により、事前に地方社会福祉審議会の意見を聞く必要があり、知事の独断では行えません。
Q4老人ホームの虐待 通報先はどこ?
市町村の高齢者虐待対応窓口が中心です。施設職員には高齢者虐待防止法21条の通報義務があり、通報が行政調査や処分の端緒になります。
Q5特養の事業停止命令に不服申立てできる?
できます。処分を知った日の翌日から3か月以内に審査請求、6か月以内に取消訴訟を提起できます(行政不服審査法18条、行政事件訴訟法14条)。
Q6有料老人ホームにも老人福祉法19条は適用される?
適用されません。本条の対象は養護老人ホームと特別養護老人ホームに限られ、有料老人ホームの監督は同法の別の規定によります。
Q7夜勤職員が足りない特養は違法?
省令・条例で定める人員基準を下回れば、17条1項の基準不適合として本条の改善命令の対象となりえます。継続性が判断の鍵です。
Q8地方社会福祉審議会とは?
社会福祉法7条に基づき都道府県等に置かれる諮問機関です。本条では特養の事業廃止命令や認可取消しの前に意見を述べる役割を担います。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親の施設で虐待があったら、施設ってすぐ潰れるんですか?
すぐには潰れない。老人福祉法19条の処分は改善命令から始まるのが通例で、事業廃止や認可取消しには地方社会福祉審議会の意見聴取(同条2項)と聴聞が必要になる。実務のポイント:行政が実際に動くかどうかは、家族の怒りの強さではなく、記録の継続性で決まる。日付をそろえた記録を書面で出す家族は、口頭で苦情を言う家族より、はるかに行政を動かしやすい
Q2施設が事業停止になったら、入っている母はどうなるの?
停止命令は運営者への処分だが、入所者の生活はそのまま影響を受ける。養護老人ホームなら措置をした市町村(老人福祉法11条)が、特養なら市町村やケアマネジャーが中心となって転居先を調整するのが一般的である。実務のポイント:近隣の特養は待機者が多く、処分が報道されてから探し始めると空きはほぼ見つからない。兆候が出た段階で、別施設への申込みを先に入れておく家族が結局は守られる
Q3改善命令と、介護保険の指定取消しは何が違うんですか?
根拠となる法律が違う。改善命令は老人福祉法19条に基づく処分で、施設の認可そのものを監督する。指定取消しは介護保険法92条に基づく処分で、介護報酬を受け取る資格を奪う。実務のポイント:経営への打撃は指定取消しのほうが大きい。行政が「どちらの法律で動いているか」を確認するだけで、事態の深刻度が読める
間違えやすい点 AI による整理
- 「虐待が一件でも起きれば、施設はすぐに業務停止になる」と思われがちだが、行政実務ではまず行政指導(改善勧告などの、法的拘束力のないお願い)が出され、それでも改善されない場合に本条の命令へ進むのが通例である。家族が「すぐ処分してほしい」と求めても、行政はこの段階を飛ばしにくい。早く動かしたいなら、記録の量と継続性で「指導では足りない」ことを示す必要がある
- 改善命令は「軽い注意」程度のものだと受け止められやすいが、法的には処分であり、従わなければ事業停止、さらには認可取消しへと進む足場になる。加えて、特養は介護保険法上の指定施設でもあるため、老人福祉法の監督とは別に介護保険法の指定取消し(92条)という道もある。報酬が止まるという意味では、こちらのほうが経営に直撃する
- 「入所者の家族には、施設の処分について何の発言権もない」という前提そのものが誤っている。処分を出す権限は知事にあるが、その引き金となる情報の多くは家族や職員からの通報である。家族は傍観者ではなく、手続を始動させる人である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性質 | 老人福祉法19条:改善・停止・廃止命令、認可取消し(不利益処分) | 老人福祉法18条:報告徴収・立入検査(調査権限) 介護保険法92条:指定介護老人福祉施設の指定取消し等 |
| 処分・権限の対象 | 施設の設置認可(老人福祉法15条4項) | 施設の運営実態の把握 介護保険の指定(介護報酬の受領資格) |
| 第三者関与 | 廃止命令・認可取消しは地方社会福祉審議会の意見聴取が必要 | なし(処分の前段階の調査) 本条のような審議会意見聴取の定めはない |
| 施設経営への影響 | 施設の存続そのものに関わる | 直接の不利益はないが処分の端緒となる 報酬が止まり経営に直撃する |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も罰鍰と期限付き改善命令から始め、改善がなければ停辦、さらに設立許可の廃止へと段階的に重くする構造で、日本の段階的処分と考え方が近い。
韓国も老人福祉施設に対する事業停止や廃止を段階的に定めており、行政処分基準を施行規則で細かく定める点に特色がある。
ドイツは介護保険上の契約解約と、各州の施設監督法による監督とが二層構造になっており、日本の老人福祉法と介護保険法の二重監督に似る。
米国はメディケア・メディケイドの参加資格と結び付けた連邦の制裁体系(民事制裁金、新規入所者への支払停止、参加終了等)が中心である。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 母が入所している特養の職員が「最近、夜勤が一人しかいない日がある」と漏らした。夜勤職員の配置は省令と条例で決まった基準であり、基準割れが続けば本条の改善命令の対象になりうる。家族が日付と状況をメモして市町村や都道府県に伝えれば、立入検査(18条)のきっかけになる
- 施設長であるあなたのもとに、県から「改善命令の発出を検討している」という連絡が来た。弁明の機会(行政手続法上の手続)の期限まであと10日。この10日で改善計画の具体的な日付と担当者を書面にできるかどうかが、命令で止まるか、事業停止まで進むかの分かれ目になる
- 入所中の父の施設に事業停止命令が出たら、父は来月どこで暮らすことになるのか? 停止や廃止は運営者への処分だが、実際に一番困るのは入所者である。行政は転居先の調整に動くものの、受け入れ先が空いている保証はない
- 社会福祉法人の理事に就任した友人から、「認可取消しって、本当に突然来るの?」と聞かれた。答えは否である。認可取消しの前には、地方社会福祉審議会の意見聴取と、聴聞(行政手続法13条)という二重の手続がある。突然には来ないが、手続が始まった時点で状況はかなり深刻である
- 介護職員による入所者への暴言を、同僚のあなたが目撃した。高齢者虐待防止法21条には、養介護施設従事者の通報義務がある。通報が行政の調査を呼び、調査結果が本条の改善命令の根拠になる。通報したことを理由に、あなたを不利益に扱うことは同法で禁じられている
取るべき行動
被害を受けた側:1. 入所者の家族なら、違和感(職員の配置、けが、食事、居室の衛生など)を日付・時刻・写真つきで記録する2. 施設の苦情窓口と並行して、市町村の高齢者虐待対応窓口や都道府県の介護保険・施設指導担当へ書面で情報提供する3. 虐待が疑われる場合は高齢者虐待防止法に基づく通報として扱うよう明示する4. 処分が出て施設が停止・廃止となった場合に備え、ケアマネジャーや市町村と転居先の候補を早めに相談しておく
訴えられた側:1. 立入検査や改善勧告の段階で事実関係を正確に把握し、記録を改ざんせず保全する2. 改善計画は期限・担当者・検証方法を具体的に書面化して自主提出する3. 不利益処分が予定される場合は、行政手続法上の弁明の機会または聴聞で反論と是正状況を示す4. 処分に不服があれば審査請求または取消訴訟を検討する。並行して、介護保険法上の指定に関する手続の動きも確認する
時効(請求できる期限):処分に対する審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)。取消訴訟は、処分を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)。家族側の通報には法定の期限はないが、記録は早く集めるほど証拠価値が高い(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(行政法):本条の処分は「できる」規定であり、知事に処分の選択と発動時期の裁量がある。ただし比例原則による統制を受け、違反の程度に比して重すぎる処分は裁量権の逸脱・濫用として違法となりうる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和38年(1963年) 新設:老人福祉法の制定(昭和38年法律第133号)に伴い、老人ホームに対する都道府県知事の監督処分の規定として設けられた。
- 老人福祉法 第15条特養設置認可、取消し対象の根拠
- 老人福祉法 第17条設備運営基準、基準不適合の判断軸
- 老人福祉法 第18条報告徴収・立入検査、処分の前段
- 老人福祉法 第11条措置入所、処分時の入所者保護責任
- 介護保険法 第92条指定介護老人福祉施設の指定取消し
- 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律 第24条通報受理後の権限行使(通称 高齢者虐待防止法)
- 社会福祉法 第7条地方社会福祉審議会の設置根拠
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める