河川法 第70条の2(特別水利使用者負担金)
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- 河川管理者は、河川の流水の状況を改善するため二以上の河川を連絡する河川工事で、流水によつて生ずる公害を除却し、又は軽減することのほか、専用の施設を新設し、又は拡張して流水を占用する者(以下この条において「特別水利使用者」という。)に対する水の供給を確保することをその目的に含むもの(河川の流水を貯留するための河川管理施設の設置を伴うものを除く。)に要する費用及び当該河川工事により設置する河川管理施設の管理に要する費用については、当該特別水利使用者が受けることとなると認められる利益の限度において、その者に、その一部を負担させることができる。
- 2.河川管理者は、前項の河川工事を施行しようとするときは、あらかじめ、政令で定めるところにより、関係行政機関の長に協議し、及び一級河川に係るものにあつては関係都道府県知事、二級河川に係るものにあつては関係市町村長の意見をきくとともに、当該工事に要する費用及び当該工事により設置する河川管理施設の管理に要する費用の負担について特別水利使用者の同意を得なければならない。
- 3.第一項の場合において、負担金の額の算出方法及び負担金の還付に関する事項については、政令で、負担金の徴収方法については、国土交通大臣が負担させるものにあつては政令で、都道府県知事が負担させるものにあつては当該都道府県知事が統轄する都道府県の条例で定める。
- 4.第一項の河川工事は、関係河川における流水の正常な機能の維持に支障のない範囲内において施行するものとする。
この条文の基本情報
特別水利使用者負担金とは何ですか?
定義特別水利使用者負担金とは、河川法第70条の2に定められた規定で、「河川管理者は、河川の流水の状況を改善するため二以上の河川を連絡する河川工事で、流水によつて生ずる公害を除却し、又は軽減することのほか、専用の施設を新設し、又は拡…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 河川法第70条の2(特別水利使用者負担金)は、日本の河川法に含まれる条文です。
- 河川法第70条の2の条文原文は「河川管理者は、河川の流水の状況を改善するため二以上の河川を連絡する河川工事で、流水によつて生ずる公害を除却し、又は軽減することのほか、専用の施設を新設し、又は拡…」で始まります。
- 河川法第70条の2は第三章 河川に関する費用に置かれています。
- 河川法の公布日は昭和39年7月10日です。
- 河川法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 河川法第70条の2の前の条は河川法第70条です。
- 河川法第70条の2の次の条は河川法第71条です。
- 河川法第70条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第70条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/339AC0000000167 - 本サイト収録
河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第70条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/339AC0000000167/70_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点河川法70条の2は、河川を連絡する導水工事の工事費と管理費の一部を、受ける利益の限度で特別水利使用者に負担させる規定。工事前の本人同意が必要。
Q · 川と川をつなぐ導水路の工事費を、水道局や工場が払わされることはあるの?
利益の限度で負担し得るが、工事前の同意が必須
河川法70条の2により、二以上の河川を連絡して流水の状況を改善する河川工事が、特別水利使用者(専用施設を新設・拡張して流水を占用する者)への水供給の確保も目的に含む場合、河川管理者は工事費と完成後の管理費の一部を負担させることができます。ただし負担額は受ける利益の限度に限られ、工事前に本人の同意を得る必要があります。ダムなど貯留施設を伴う工事は対象外です。
解説
二つの川を水路でつなぐ工事は、汚れた川を薄めて浄化するだけの公共事業に見える。だが同じ水路が、水道局や工場への水の供給も目的に含んでいるなら話は変わる。河川法70条の2は、自前の施設を新設・拡張して流水を占用する者を「特別水利使用者」と呼ぶ。河川管理者は、工事費と完成後の管理費の一部をこの特別水利使用者に負担させることができる。ただし歯止めが三つある。第一に、負担額は「その者が受けると認められる利益の限度」までである。第二に、工事前に負担について本人の同意を得なければならない。第三に、ダムのように水を貯める施設を伴う工事は本条の対象外であり、別の制度で処理される。つまりこの負担金は、役所が一方的に課すものではない。工事前の同意の場面が最大の交渉の場になる。あなたが水道事業体や企業の水担当者なら、同意書に判を押す前に、利益の算定根拠を数字で出させることになる。
法的な位置づけ
河川法第70条の2は、特別水利使用者負担金を定める規定である。特別水利使用者とは、専用の施設を新設または拡張して流水を占用する者をいう。河川管理者は、流水改善のために二以上の河川を連絡する工事が当該者への水供給確保を目的に含む場合、受ける利益の限度で工事費および管理費の一部を負担させることができ、工事前の同意を要件とする。
手順
- 1.負担の対象と根拠条文を確認する 説明資料や同意依頼書で、根拠が河川法70条の2か70条かを確認し、負担対象が工事費か管理費か、その両方かを特定する
- 2.利益算定の根拠資料を書面で求める 供給水量、代替水源を確保した場合のコスト、管理費の按分方法など、利益の限度を判断できる算定根拠の開示を河川管理者に書面で求める
- 3.独自試算で交渉材料を作る 自前の代替案(別水源の確保、既存施設の拡張など)のコストを試算し、提示された負担額が受ける利益を超えていないかを比較する
- 4.条件付き同意の文言を確定する 同意書に負担の範囲・上限・管理費の見直し条件を明記し、組織内決裁の記録とあわせて保存する。納付通知後に不服があれば審査請求・取消訴訟の期限を直ちに確認する
よくある質問 AI による整理
Q1特別水利使用者とは?
専用の施設を新設または拡張して河川の流水を占用する者を指す、河川法70条の2の用語です。水道事業体や工業用水事業者などが典型です。
Q2特別水利使用者負担金の対象になる工事は?
流水の状況を改善するため二以上の河川を連絡する河川工事で、公害の除去・軽減に加え特別水利使用者への水供給確保も目的に含むものです。
Q3導水路の管理費も負担の対象になる?
なります。1項は工事費だけでなく、その工事で設置した河川管理施設の管理に要する費用も負担の対象に含めています。
Q4河川工事の負担金 ダムは対象?
対象外です。本条は河川の流水を貯留する河川管理施設の設置を伴う工事を明文で除外しています。ダムの費用負担は別制度で扱われます。
Q5負担金の算出方法はどこで決まる?
3項により、負担金の額の算出方法と還付に関する事項は政令で定められます。具体的な算定は河川法施行令を確認する必要があります。
Q6負担金の徴収方法は国と県で違う?
違います。国土交通大臣が負担させる場合は政令、都道府県知事が負担させる場合はその都道府県の条例で徴収方法が定められます。
Q7導水工事で下流の水が減ったら違法?
4項は、関係河川の流水の正常な機能の維持に支障のない範囲で施行すると定めます。正常流量を損なう工事は本条の要件に反する疑いがあります。
Q8工事前の意見聴取は誰に行う?
関係行政機関の長と協議し、一級河川なら関係都道府県知事、二級河川なら関係市町村長の意見を聴く必要があります(2項)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1同意しなかったら、工事はどうなるんですか?
2項は、特別水利使用者の同意を工事施行前の要件にしている。したがって同意がなければ、利水目的を含む本条の工事として費用を負担させる形では進められない。計画の見直しや目的の再設定になる可能性がある。実務のポイント:同意は「全面同意か拒否か」の二択ではない。負担割合の上限や将来の管理費見直し条項を付けた条件付き同意が、交渉の現実的な着地点になりやすい
Q2負担金っていくらでも請求されるんですか?
上限がある。1項は、特別水利使用者が受けると認められる利益の限度で一部を負担させると定めており、算出方法と還付は3項で政令に委ねられている。実務のポイント:「利益」の算定では、その水を別の方法で確保した場合のコストとの比較が論点になりやすい。自前の代替案を試算して示せるかどうかで、交渉の重みが変わる
Q3川の浄化工事なら、70条の受益者負担金と何が違うの?
70条は、河川工事で著しく利益を受ける者に、利益の限度で負担金を課す一般的な仕組みである。70条の2は、二つ以上の河川をつなぐ流水改善工事で、特別水利使用者への水供給を目的に含むものに絞った特則で、事前同意を要件にしている点が大きく違う。実務のポイント:どちらの条文に基づく負担かで、争い方の起点が変わる。通知書の根拠条文欄を最初に確認する
間違えやすい点 AI による整理
- 「国の河川工事の費用はすべて国と都道府県が持つ」と思われがちだが、本条は特定の水利使用者に一部を負担させる道を明文で開いている。利水目的が混ざった瞬間、公共事業の費用は受益者の財布にも及ぶ
- 同意が必要なことは知っていても、その同意の重さを軽く見る担当者は多い。負担の対象は建設費だけではない。完成後の河川管理施設の「管理に要する費用」も含まれる。一度の同意が、施設が存在する限り続く維持管理コストの入口になる
- 「ダム建設の費用負担もこの条文で決まる」という問いの立て方自体が誤りである。本条は、河川の流水を貯留する河川管理施設の設置を伴う工事を明文で除外している。ダムの費用負担を調べるなら、特定多目的ダム法などの別制度を見るべきである
- 住民から見れば川をきれいにする工事にすぎない。だが法律から見れば、利水者に利益を配分し、その対価を回収する仕組みでもある。この落差を理解していないと、水道料金の値上げ説明会で「なぜ浄化事業の費用を私たちが払うのか」という問いに誰も答えられない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる工事 | 河川法70条の2:二以上の河川を連絡する流水改善工事で、特別水利使用者への水供給確保を目的に含むもの(貯留施設を伴うものを除く) | 河川法70条:河川工事一般で、著しく利益を受ける者がある場合 特定多目的ダム法:多目的ダムの建設(貯留施設) |
| 負担する者 | 特別水利使用者(専用施設を新設・拡張して流水を占用する者) | 河川工事により著しく利益を受ける者 ダム使用権の設定を受けようとする者など |
| 本人同意 | 工事前の同意が必須(2項) | 条文上、事前同意の要件なし 同法の手続に従う |
| 負担の上限 | 受けることとなると認められる利益の限度 | 利益を受ける限度 同法と政令の算定方法による |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾でも水利事業の費用負担は水利法を中心に規律される。日本の本条のように、導水工事に限定して事前同意を要件とする特則が置かれているかは要確認
ドイツでは水利組合の組合員が受ける利益に応じて負担金を分担する仕組みがあり、受益に比例した負担という発想は本条と共通する
米国では連邦の水資源施設に水供給目的を加える場合に、非連邦主体が費用を負担する仕組みがある。ただし貯水施設が中心であり、貯留施設を除外する本条とは対象が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 県の企業局で工業用水を担当するあなたの机に、国土交通省の地方整備局から導水路事業の説明資料が届いた。最終ページに「費用負担について御同意を」とある。この同意書一枚で、今後数十年分の管理費負担まで決まる
- 同意したはずの負担金なのに、届いた納付額が説明会で聞いた試算より大きかったら、どうなる? 本条の上限は「受ける利益の限度」である。算定方法は政令に従う。根拠資料の開示を求め、利益を超える部分がないか検証する余地がある
- あなたは河川管理者側の担当者である。工期に追われ、関係市町村長への意見聴取を形式的に済ませた。その後、特別水利使用者の同意書にも条件付きの留保が付いていたことが判明した。手続の瑕疵は、負担金の賦課そのものを争う材料を相手に渡す
- 負担金の納付通知が届いてから、不服申立てに使える時間は長くない。審査請求なら原則3か月、取消訴訟なら原則6か月である。決裁ルートが長い組織ほど、気付いたときには期限が迫っている
- 導水路が完成した。下流で取水している農業用水の土地改良区は、渇水期に水が足りないと感じ始めた。4項は、関係河川の流水の正常な機能を損なわない範囲でしか工事を施行できないと定めている。下流の水利権者にとって、ここが反論の足場になる
取るべき行動
被害を受けた側:負担を求められた特別水利使用者の場合:1. 同意前に、負担対象(工事費か管理費か、その両方か)と算定方法の根拠資料を書面で求める2. 自分が受ける利益の試算を独自に作り、代替水源のコストと比べる3. 同意書には範囲・上限・見直し条件を明記させる4. 納付通知に不服があれば、審査請求または取消訴訟の期限を直ちに確認する
訴えられた側:負担を課す河川管理者側の場合:1. 関係行政機関の長との協議、関係知事または市町村長の意見聴取、特別水利使用者の同意という2項の手続を、日付付きの記録で残す2. 算定が政令の方法に沿っていることを説明できる資料を整える3. 4項の正常流量への影響評価を事前に行い、下流水利権者からの反論に備える4. 国の事業なら政令、都道府県の事業なら条例に基づく徴収方法を確認する
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。負担金の納付を命じる決定に不服がある場合、処分があったことを知った日の翌日から原則3か月以内に審査請求(行政不服審査法18条)、知った日から原則6か月以内に取消訴訟(行政事件訴訟法14条)を提起する必要がある。負担金債権の消滅時効は、国の債権なら会計法30条、都道府県の債権なら地方自治法236条の5年が問題となる(最新の改正状況をご確認ください)
- 河川法 第23条流水の占用許可、特別水利使用者の前提
- 河川法 第70条受益者負担金の一般規定
- 河川法 第74条負担金等の強制徴収(現行効力を要確認)
- 特定多目的ダム法 第7条貯留施設を伴う場合の負担金(現行効力を要確認)
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