要点所得税法 70 条の 2 は、特定非常災害の被災者の事業純損失を通常 3 年でなく翌年以後 5 年繰り越せる特例を定める。適用要件は事業用固定資産の損失が資産全体の 10 分の 1 以上であること。
Q · 地震や豪雨で出た事業の赤字は、何年くり越して税金を減らせるの?
特定非常災害なら通常 3 年でなく 5 年繰り越せる
所得税法 70 条の 2 により、特定非常災害の被災者は事業の純損失を、損失の生じた年の翌年以後 5 年内の各年にわたり繰り越して控除できます。通常の純損失繰越(同法 70 条)は 3 年ですが、この特例で 2 年延びます。青色申告なら災害と無関係の赤字も含めた純損失全額、白色申告なら被災した事業用資産の損失部分(被災純損失金額)が対象です。適用の前提として、被災した事業用固定資産の損失が資産全体の価額の 10 分の 1 以上であることが必要です。
能登の地震で店舗の設備が全壊した。豪雨で工場の在庫が流された。その年、あなたの事業は大きな赤字になる。通常、その赤字(純損失)は翌年から3年間しか繰り越せない(所得税法70条)。3年で使い切れなければ、残りは消える。だが、あなたが被災した災害が国から「特定非常災害」に指定されていれば、この70条の2が繰越期間を5年に延ばす。しかも青色申告をしていれば、災害に直接関係しない赤字も含めて、その年の純損失まるごとが5年繰越の対象になる。白色申告なら、繰り越せるのは被災した事業用資産の損失部分だけ。同じ被災でも、申告方法一つで取り戻せる税金が変わる。入口の条件は、被災した事業用固定資産の損失が資産全体の10分の1以上であること。この一行を知っているかどうかで、復興資金として手元に残る現金が数十万から数百万円違ってくる。
所得税法 70 条の 2 は、特定非常災害の被災者の純損失について、純損失の繰越控除(同法 70 条)の特例を定める規定である。青色申告者は純損失全額を、白色申告者は被災事業用資産に係る被災純損失金額を、損失が生じた年の翌年以後 5 年内の各年にわたり繰り越して控除できる。適用の前提として、事業用固定資産の特定非常災害による損失が資産全体の価額の 10 分の 1 以上であることを要する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
その年に引ききれなかった事業の赤字(純損失)を、翌年以後の黒字と相殺できる制度です。通常は 3 年、特定非常災害の被災者は 70 条の 2 で 5 年繰り越せます。
その年の純損失のうち、棚卸資産・固定資産・山林の特定災害損失に係るものとして政令で定める金額です。白色申告者はこの部分が 5 年繰越の対象になります(70 条の 2 第 4 項)。
棚卸資産の災害損失と、事業所得を生む事業用固定資産の特定非常災害による損失の合計額です。保険金等で補塡される部分は除きます。この額が資産全体の 10 分の 1 以上で特例が適用されます。
災害減免法はその年の所得税自体を軽減・免除する制度、70 条の 2 は赤字を翌年以後 5 年に繰り越す制度です。軸が異なり、要件を満たせば併用や選択を検討できます。
繰り越せません。損失額の計算では保険金・損害賠償金その他これに類するもので補塡される部分を除きます(70 条の 2 第 4 項)。手取りの純損失分のみが対象です。
原則その年の 3 月 15 日まで、新規開業なら開業から 2 か月以内です。被災してから遡って青色にはできないため、平時からの承認が 5 年繰越を全額使う前提になります。
繰り越せます。不動産所得や山林所得を生む事業用固定資産の特定非常災害による損失(不動産等特定災害損失額)が資産全体の 10 分の 1 以上なら、同じ入口に立てます。
損失の生じた年に確定申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を提出することが要件です。最初の申告で繰越損失を正確に記載しないと後の年で使えなくなります。
繰り越せますが、範囲が違います。白色でも被災した事業用資産の損失部分(被災純損失金額)は5年繰越の対象です(所得税法70条の2第3項)。ただし青色のように、災害と無関係の赤字まで丸ごと5年繰り越すことはできません。業界裏話ヒント:被災を機に翌年から青色に切り替える事業者は多いが、被災した年自体を遡って青色にはできない。だから次の災害に備える保険として、平時から青色にしておく人と、被災してから後悔する人に分かれる
国が個別に指定します。阪神・淡路大震災を機にできた制度で、東日本大震災、熊本地震、令和6年能登半島地震などが指定されています(特定非常災害特別措置法2条)。指定されない中小規模の災害は、この5年特例の対象外で、通常の3年繰越になります。業界裏話ヒント:自分の被災が指定対象かは、内閣府の告示と国税庁の災害関連ページで必ず確認する。同じ規模の災害でも指定される年とされない年があり、災害だから当然5年という思い込みで申告すると否認されかねない
被災した事業用固定資産の損失額を、あなたが持つ事業用固定資産全体の価額(政令で定める金額)と比べます。損失がその10分の1以上なら要件を満たします(所得税法70条の2第1項各号)。業界裏話ヒント:分母である資産全体の価額の評価方法で結果が変わる。10分の1ぎりぎりのケースでは、政令の定める評価に沿って有利に計算できないか税理士と詰める価値がある
原則として古い損失から順に、黒字が出た年に自動的に相殺されます(所得税法70条、70条の2)。自分でこの年に使うと選べるわけではありません。業界裏話ヒント:だからこそ繰越期間中の各年の黒字をどう作るかが勝負。復興で売上が一気に戻る年に大きな黒字が出ると、そこに繰越損失が集中して税率の高い部分を削れる。設備投資や修繕の計上年をコントロールできる事業者ほど、この5年を活かせる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 繰越期間 | 70 条の 2:翌年以後 5 年内 | — |
| 対象となる損失 | 事業の純損失(青色は全額、白色は被災純損失金額) | — |
| 適用の入口 | 特定非常災害指定 + 事業用固定資産損失が資産全体の 10 分の 1 以上 | — |
| 前提となる制度 | 143 条の青色申告承認(全額繰越の前提) | — |
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