水質汚濁防止法 第14条の2(事故時の措置)
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- 特定事業場の設置者は、当該特定事業場において、特定施設の破損その他の事故が発生し、有害物質を含む水若しくはその汚染状態が第二条第二項第二号に規定する項目について排水基準に適合しないおそれがある水が当該特定事業場から公共用水域に排出され、又は有害物質を含む水が当該特定事業場から地下に浸透したことにより人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるときは、直ちに、引き続く有害物質を含む水若しくは当該排水基準に適合しないおそれがある水の排出又は有害物質を含む水の浸透の防止のための応急の措置を講ずるとともに、速やかにその事故の状況及び講じた措置の概要を都道府県知事に届け出なければならない。
- 2.指定施設を設置する工場又は事業場(以下この条において「指定事業場」という。)の設置者は、当該指定事業場において、指定施設の破損その他の事故が発生し、有害物質又は指定物質を含む水が当該指定事業場から公共用水域に排出され、又は地下に浸透したことにより人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるときは、直ちに、引き続く有害物質又は指定物質を含む水の排出又は浸透の防止のための応急の措置を講ずるとともに、速やかにその事故の状況及び講じた措置の概要を都道府県知事に届け出なければならない。
- 3.貯油施設等を設置する工場又は事業場(以下この条において「貯油事業場等」という。)の設置者は、当該貯油事業場等において、貯油施設等の破損その他の事故が発生し、油を含む水が当該貯油事業場等から公共用水域に排出され、又は地下に浸透したことにより生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるときは、直ちに、引き続く油を含む水の排出又は浸透の防止のための応急の措置を講ずるとともに、速やかにその事故の状況及び講じた措置の概要を都道府県知事に届け出なければならない。
- 4.都道府県知事は、特定事業場の設置者、指定事業場の設置者又は貯油事業場等の設置者が前三項の応急の措置を講じていないと認めるときは、これらの者に対し、これらの規定に定める応急の措置を講ずべきことを命ずることができる。
この条文の基本情報
事故時の措置とは何ですか?
定義事故時の措置とは、水質汚濁防止法第14条の2に定められた規定で、「特定事業場の設置者は、当該特定事業場において、特定施設の破損その他の事故が発生し、有害物質を含む水若しくはその汚染状態が第二条第二項第二号に規定する項目について…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 水質汚濁防止法第14条の2(事故時の措置)は、日本の水質汚濁防止法に含まれる条文です。
- 水質汚濁防止法第14条の2の条文原文は「特定事業場の設置者は、当該特定事業場において、特定施設の破損その他の事故が発生し、有害物質を含む水若しくはその汚染状態が第二条第二項第二号に規定する項目について…」で始まります。
- 水質汚濁防止法第14条の2は第二章 排出水の排出の規制等に置かれています。
- 水質汚濁防止法の公布日は昭和45年12月25日です。
- 水質汚濁防止法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 水質汚濁防止法第14条の2の前の条は水質汚濁防止法第14条です。
- 水質汚濁防止法第14条の2の次の条は水質汚濁防止法第14条の3です。
- 水質汚濁防止法第14条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第14条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000138 - 本サイト収録
水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第14条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/345AC0000000138/14_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点水質汚濁防止法14条の2は、工場等で事故により有害物質や油を含む水が流出したとき、設置者に直ちに応急措置を講じ、速やかに都道府県知事へ届け出る義務を課す規定。
Q · 工場で有害物質や油が漏れたら、先に役所へ報告すべき?それとも先に止めるべき?
先に止める。届出はその後、速やかに行う
水質汚濁防止法14条の2は、事故で有害物質・指定物質・油を含む水が公共用水域に流出し、または地下に浸透して被害を生ずるおそれがあるとき、設置者に「直ちに」応急の措置を講じ、「速やかに」事故の状況と措置の概要を都道府県知事に届け出るよう求めています。法令用語上「直ちに」の方が時間的に厳しく、止めるのが先です。応急の措置を講じていないと認められれば知事の措置命令が出され、命令違反は同法30条の刑罰の対象になります。
解説
義務が生まれるのは、川が白く濁った瞬間ではない。「被害を生ずるおそれがある」と判断できた瞬間である。水質汚濁防止法14条の2は、工場や事業場で事故が起き、有害物質・指定物質・油を含む水が川や海など(公共用水域)に流れ出たり、地下に浸み込んだりして、人の健康や生活環境に被害が出るおそれがあるとき、設置者に二つの義務を課す。一つ目は、流出が続かないように止める応急の措置を「直ちに」講じること。二つ目は、事故の状況と取った措置を都道府県知事に「速やかに」届け出ること。法令用語で「直ちに」は一切の猶予を許さない最も強い言葉で、「速やかに」はそれより少し緩い。つまり、法律が求める順番は止めるのが先、報告が後である。本社の判断を待ってバルブを閉めずにいる30分は、この順番に真正面から反する。さらに、事故の原因が地震でも、下請けの操作ミスでも、義務は同じように発生する。設置者に過失があったかどうかは問われない。応急の措置を講じていないと知事が認めれば措置命令(役所があなたに直接出す、従う義務のある具体的な命令)が出され、その命令に違反すれば刑事罰の対象になる。
法的な位置づけ
水質汚濁防止法第14条の2は、事故時の措置を定める規定である。特定事業場、指定事業場または貯油事業場等の設置者は、施設の破損その他の事故により有害物質、指定物質または油を含む水が公共用水域に排出され、または地下に浸透して被害を生ずるおそれがあるとき、直ちに応急の措置を講じ、速やかに都道府県知事へ届け出なければならない。
手順
- 1.流出を止める(直ちに) 元弁の閉止、ポンプや設備の停止など、引き続く有害物質・指定物質・油を含む水の排出や浸透を止める措置を最優先で講じる。本社や上司の判断を待たずに現場で実行する
- 2.広がりを囲い込む 土のうで側溝や雨水桝をふさぎ、オイルフェンスや吸着マットを設置して、公共用水域や地下への拡散を抑える
- 3.時系列を記録する 発見時刻、閉止した弁、実施した措置とその時刻、指示者を記録し、時刻入りの写真・動画を撮影する。直ちに措置を講じたことを示す客観証拠になる
- 4.自治体へ第一報を入れる 都道府県(政令市等では市)の環境部局へ電話で第一報を入れ、事故の概要と講じた措置を伝える。夜間は事前に確認しておいた連絡先を使う
- 5.書面で届け出る(速やかに) 事故の状況と講じた措置の概要を、自治体所定の様式などで都道府県知事に届け出る。追加の指導があれば記録を残しながら対応する
よくある質問 AI による整理
Q1水質汚濁防止法の事故時の措置とは?
工場等の事故で有害物質・指定物質・油を含む水が流出・浸透し被害のおそれがあるとき、設置者が応急措置と知事への届出を行う義務です(14条の2)。
Q2油漏れ事故 届出先はどこ?
条文上の届出先は都道府県知事です。政令市などでは事務が市長に委任されている場合があるため、所在地の環境部局に確認してください。
Q3事故時の措置 届出 いつまで?
条文は「速やかに」とだけ定め、日数の定めはありません。応急の措置は「直ちに」とされ、届出より先に講じることが求められます。
Q4地下に漏れただけでも届出は必要?
必要になりえます。本条は公共用水域への排出だけでなく、地下への浸透により被害を生ずるおそれがある場合も対象にしています。
Q5水質汚濁防止法 応急措置 具体例は?
元弁の閉止、ポンプ停止、土のうによる側溝の閉塞、オイルフェンスや吸着マットの設置など、引き続く流出・浸透を防ぐための措置です。
Q6措置命令に違反したらどうなる?
14条の2第4項の命令に違反すると、同法30条により1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象となり、法人にも両罰規定があります。
Q7貯油施設等とは何ですか?
重油・軽油・灯油や動植物油などの油を貯蔵・使用する施設等で、政令で定められます。これを設置する事業場は14条の2第3項の対象です。
Q8事故報告を怠るのは違法?
届出は14条の2の法的義務であり、怠れば義務違反です。さらに応急措置が不十分なら措置命令・刑罰へとつながり、行政の信頼も失います。
この条文についての質問 AI による整理
Q1届出って、電話一本じゃダメなんですか?書類はいつまでに出せばいいんですか?
条文上は「速やかに」とだけあり、日数の定めはない。実務では、まず電話で自治体の環境部局に第一報を入れ、事故の状況と措置の概要を書面で追って提出する流れが一般的で、様式は自治体ごとに用意されていることが多い(14条の2第1項から第3項)。実務のポイント:第一報の時刻は行政側の記録にも残る。電話が早ければ、「隠そうとしなかった」事業者として後の指導の温度が明らかに変わる
Q2応急措置をしなかったら、いきなり罰金になりますか?
応急の措置を講じなかったこと自体に直接の罰則があるわけではない。まず知事が措置を命じ(14条の2第4項)、その命令に違反した場合に1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になる(30条)。法人には両罰規定(34条)もある。実務のポイント:事故で排水基準を超える水を流した場合は、命令とは別に排水基準違反の直罰規定(12条、31条)が問題になりうる。「命令が出なければ大丈夫」という読み方は通用しない(最新の改正状況をご確認ください)
Q3うちは有害物質なんて使っていない普通の工場ですが、関係ありますか?
関係する可能性はある。第2項の「指定物質」は、ホルムアルデヒドや塩化水素など、一般的な工場で使われる物質を幅広く政令で指定している。第3項の「油」には重油、軽油、灯油のほか動植物油も含まれ、一定の貯油施設等があれば対象になる。実務のポイント:自社が特定施設・指定施設・貯油施設等のどれに当たるのかを把握していない中小工場は珍しくない。事故が起きる前に自治体の環境部局に確認しておけば、それだけで初動の迷いが一つ減る
Q4住民から「井戸水が使えなくなった、弁償しろ」と言われました。うちに過失はないんですが。
有害物質を含む水の排出や地下浸透で人の生命・身体を害した場合、本法19条により事業者は過失がなくても賠償責任を負う(無過失責任)。一方、生活上の不便や財産上の損害にとどまる場合は、原則として民法709条の過失責任の枠組みで争われる。実務のポイント:被害が「健康」に及んだのか「生活」の範囲にとどまるのかで、事業者側の防御の余地は大きく変わる。最初の交渉で被害の範囲を確かめることが重要である
間違えやすい点 AI による整理
- 「実際に魚が死んだり住民に被害が出たりしてから動けばいい」と考えるのは、前提から誤っている。条文の引き金は被害の発生ではなく「被害を生ずるおそれ」である。被害が確定するのを待っていた時点で、「直ちに」という要件はもう守れていない
- 届出義務があることは知っていても、事故報告は総務部の書類仕事だと考えて、応急の措置の重みを見落としている担当者は多い。行政が最初に確かめるのは「いつ流出に気づき、何分後に何をしたか」という時系列であり、届出書の出来ではない。現場の行動記録がなければ、事後にいくら丁寧な書面を出しても「直ちに」講じたことを証明できない
- 会社から見れば「誰も悪くない事故」でも、法律から見れば「設置者が対応すべき事故」である。地震、老朽化、下請けのミス、原因が何であっても本条の義務は設置者に発生する。「うちに落ち度はない」という感覚のまま初動が鈍ると、措置命令、命令違反の刑事罰、そして同法19条の無過失責任による賠償請求へと、段階的に追い詰められていく
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の場面 | 14条の2:事故による流出・浸透の直後の初動 | 12条:平時の排出水の排水基準遵守 14条の3:地下水汚染が生じた後の浄化 |
| 義務・命令の内容 | 直ちに応急の措置、速やかに知事へ届出、不履行なら措置命令 | 排水基準に適合しない水を排出しない義務 知事による地下水の水質浄化の措置命令 |
| 違反した場合 | 措置命令違反で30条の刑罰(両罰規定あり) | 命令を待たず直罰(31条) 命令違反で刑罰の対象 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も事業による事故時に緊急応変措置と主管機関への通知を義務付け、通知に時間制限を設けている点で日本の「速やかに」より具体的
中国は事業者に応急計画の発動、隔離等の応急措置と地方政府または環境主管部門への報告を求める
フランスは水質に影響する事故の責任者に知事(préfet)・市長への通報と、被害防止措置を義務付ける
米国は油・有害物質の排出を知った責任者に連邦当局への即時通報を義務付け、懈怠には罰則がある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 深夜2時、めっき工場の夜勤リーダーから電話が入る。「排水処理槽の配管が割れて、シアンを含む水が側溝に流れています」。工場長のあなたが最初にかけるべき電話は本社ではない。現場に「元弁を閉めろ、土のうで側溝をふさげ」と指示することである。報告書の体裁は、そのあとで整えればよい
- 震度6弱の揺れで食品工場の植物油タンクが傾き、油が雨水の排水路へ流れ出した。地震だから不可抗力で自社に責任はない、と考えるのは危険である。14条の2第3項が対象にする「油」には動植物油も含まれ、事故の原因が天災でも応急の措置と届出の義務は消えない
- もし、協力会社の作業員がタンクローリーからの荷下ろし中に操作を誤って軽油をあふれさせたら、義務を負うのは誰か? 届出義務を負うのは作業員でも運送会社でもなく、事業場の設置者であるあなたの会社である
- 県の職員が現場に入り、オイルフェンスが一本しか張られていないのを見て渋い顔をしている。あと数時間で措置命令が出るかもしれない。命令が出る前に自主的に追加の対策を打つか、命令が出てから動くか。その差は、後の刑事手続でも、周辺住民との交渉でも効いてくる
- 工場の敷地の隅で、埋設配管から有機溶剤を含む水が漏れて地面に浸み込んでいたことが、定期点検で見つかった。川には一滴も出ていない。それでも「地下に浸透した」場面として本条の対象になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 川の変色、油膜、異臭、魚の死骸を見つけたら、場所と時刻がわかる写真と動画をすぐに撮る2. 市町村または都道府県の環境部局に通報する(夜間は消防や警察でも受け付ける) 3. 井戸水や農業用水を使っている場合は使用を止め、健康被害が出たらすぐに受診して診断書を保管する4. 有害物質による生命・身体の被害には、同法19条で事業者の無過失責任を問える可能性がある。事業者名は行政の公表資料や報道で特定できることが多い
訴えられた側:1. 最優先は流出を止めること:元弁の閉止、土のう、オイルフェンス、吸着マット、ポンプ停止2. 時系列の記録を並行して残す(発見時刻、措置の内容と時刻、指示を出した者) 3. 自治体の環境部局へ第一報を入れ、そのうえで事故の状況と措置の概要を書面で届け出る4. 行政の指導には記録を残しながら協力する。措置命令を受けたら必ず従い、不服がある場合は従ったうえで審査請求または取消訴訟を検討する5. 保険会社(施設賠償責任保険、環境汚染賠償責任保険)への連絡も同じ日のうちに行う
時効(請求できる期限):応急の措置は「直ちに」、届出は「速やかに」行う必要があり、条文に日数の定めはない。措置命令に対する審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)、取消訴訟は処分を知った日から6か月以内(行政事件訴訟法14条)。命令違反の罪は法定刑の上限が1年の拘禁刑であり、公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項6号)。住民の損害賠償請求権は、損害と加害者を知った時から3年(生命・身体の侵害は5年)、不法行為の時から20年(民法724条、724条の2)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
法令用語の通例:「直ちに」は一切の遅滞を許さない最も強い時間要件、「速やかに」はそれよりやや緩やかな要件と解されるのが通例。本条は応急の措置に前者、届出に後者を用いており、止めることを報告より優先させる構造になっている
改正沿革 AI による整理
- 平成22年(2010年)改正(要確認) 事故時の措置の対象を拡大する改正で、指定施設・指定物質に関する規定(現行第2項)が整備されたとされる。改正の正確な年と条項の構成は人による確認が必要である
- 水質汚濁防止法 第2条特定施設・有害物質・指定物質・油の定義
- 水質汚濁防止法 第12条排水基準遵守義務、違反は直罰
- 水質汚濁防止法 第14条の3地下水汚染に対する浄化措置命令
- 水質汚濁防止法 第19条健康被害に対する事業者の無過失責任
- 水質汚濁防止法 第30条本条4項の措置命令違反への刑罰
- 消防法 第16条の3危険物流出事故時の応急措置義務(現行効力を要確認)
- 土壌汚染対策法 第3条有害物質使用施設廃止時の土壌調査義務
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