水質汚濁防止法 第12条(排出水の排出の制限)
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- 排出水を排出する者は、その汚染状態が当該特定事業場の排水口において排水基準に適合しない排出水を排出してはならない。
- 2.前項の規定は、一の施設が特定施設(指定地域特定施設を除く。以下この項において同じ。)となつた際現にその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。)の当該施設を設置している工場又は事業場から排出される水については、当該施設が特定施設となつた日から六月間(当該施設が政令で定める施設である場合にあつては、一年間)は、適用しない。ただし、当該施設が特定施設となつた際既に当該工場又は事業場が特定事業場であるとき、及びその者に適用されている地方公共団体の条例の規定で前項の規定に相当するものがあるとき(当該規定の違反行為に対する処罰規定がないときを除く。)は、この限りでない。
- 3.第一項の規定は、一の施設が指定地域特定施設となつた際現に指定地域においてその施設を設置している者(設置の工事をしている者を含む。以下この項において同じ。)又は一の地域が指定地域となつた際現にその地域において指定地域特定施設を設置している者の当該施設を設置している工場又は事業場から排出される水については、当該施設が指定地域特定施設となつた日又は当該地域が指定地域となつた日から一年間(当該施設が政令で定める施設である場合にあつては、三年間)は、適用しない。ただし、当該施設が指定地域特定施設となつた際既に当該工場又は事業場が特定事業場であるとき、及びその者に適用されている地方公共団体の条例の規定で第一項の規定に相当するものがあるとき(当該規定の違反行為に対する処罰規定がないときを除く。)は、この限りでない。
この条文の基本情報
排出水の排出の制限とは何ですか?
定義排出水の排出の制限とは、水質汚濁防止法第12条に定められた規定で、「排出水を排出する者は、その汚染状態が当該特定事業場の排水口において排水基準に適合しない排出水を排出してはならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 水質汚濁防止法第12条(排出水の排出の制限)は、日本の水質汚濁防止法に含まれる条文です。
- 水質汚濁防止法第12条の条文原文は「排出水を排出する者は、その汚染状態が当該特定事業場の排水口において排水基準に適合しない排出水を排出してはならない。」で始まります。
- 水質汚濁防止法第12条は第二章 排出水の排出の規制等に置かれています。
- 水質汚濁防止法の公布日は昭和45年12月25日です。
- 水質汚濁防止法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 水質汚濁防止法第12条の前の条は水質汚濁防止法第11条です。
- 水質汚濁防止法第12条の次の条は水質汚濁防止法第12条の2です。
- 水質汚濁防止法第12条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第12条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000138 - 本サイト収録
水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第12条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/345AC0000000138/12
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点水質汚濁防止法12条は、特定事業場の排水口で排水基準に適合しない排出水の排出を禁止する。違反は改善命令を待たずに31条で処罰され、過失も処罰対象となる。
Q · 工場の排水が基準を超えたら、役所から命令される前でも罰せられるの?
はい。命令がなくても基準超過の排出だけで処罰対象です
水質汚濁防止法12条1項は、特定事業場の排水口で排水基準に適合しない排出水を排出することを禁止しています。違反は13条の改善命令を経ることなく、31条により6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象となる直罰方式です。過失による違反も3月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象となり、34条の両罰規定により法人も罰金を科されえます。なお、新たに特定施設となった施設には2項・3項の適用猶予があります。
解説
排水基準違反は、役所から「改善しなさい」と命じられて初めて罪になるわけではない。水質汚濁防止法12条1項は、基準を超える排出水を排水口から一滴でも出した時点で違反になる「直罰」の規定であり、31条で6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される。しかも過失でも処罰される(3月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)。「知らなかった」「機械の故障だった」は、責任を消す理由にならない。基準の物差しになるのは工場の敷地境界でも川の水質でもなく、「排水口」での数値である。薄めて流しても川がきれいでも、排水口の数字が基準を超えていればアウトだ。2項と3項は猶予期間を定める。政令改正で自社の設備が新たに「特定施設」(規制対象の設備)に加わった場合、原則6か月(政令で定める施設は1年)の猶予がある。湖沼などの指定地域の特定施設であれば1年(同3年)である。ただし、すでに特定事業場として届出済みの工場であれば、この猶予は一日もない。この違いを知っているかどうかで、設備更新の段取りが変わる。
法的な位置づけ
水質汚濁防止法第12条は排水基準の遵守義務を定める規定であり、特定事業場から公共用水域に排出水を排出する者に対し、排水口における汚染状態が排水基準に適合しない排出水の排出を禁止する。違反には同法31条の罰則が直接適用される。新たに特定施設または指定地域特定施設となった施設には、一定の適用猶予期間が設けられている。
手順
- 1.適用される排水基準を確定する 国の排水基準を定める省令の数値に加え、所在地の都道府県条例の上乗せ排水基準(3条3項)を確認し、自社の特定事業場に適用される最も厳しい基準値を一覧化する
- 2.新たに特定施設となった設備の猶予期間を計算する 政令改正や地域指定で設備が特定施設・指定地域特定施設となった日を確認し、既存の特定事業場か否か、処罰付きの同等条例があるかを確認したうえで、猶予の有無と終了日を特定する
- 3.排水口での測定と記録の体制を整える 14条に基づき排水口での汚染状態を定期的に測定し、処理設備の点検記録・薬品投入記録と合わせて保存する。測定頻度は基準ぎりぎりの項目ほど高める
- 4.基準超過時の初動手順を定めておく 警報や測定で超過を把握したら、排出の停止・削減、原因の特定、行政への連絡の順で動く手順書を作成し、担当者に周知する。記録の改ざんと疑われる修正はしない
よくある質問 AI による整理
Q1水質汚濁防止法の直罰とは何ですか?
行政の改善命令などを経ずに、排水基準違反の排出そのものに罰則が直接適用される仕組みです。12条1項違反は31条で直ちに処罰対象となります。
Q2排水基準違反の罰則はどれくらいですか?
故意の場合は6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、過失の場合は3月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です(31条)。
Q3排水基準はどこで測った数値で判断されますか?
特定事業場の「排水口」での汚染状態で判断されます。敷地境界や放流先の河川の水質ではない点が重要です。
Q4排水を薄めて流せば排水基準違反になりませんか?
雨水や冷却水で希釈して排水口の数値を下げる手法は、行政から測定方法の問題として厳しく見られます。処理による削減が前提です。
Q5排水基準違反で会社も罰金を受けますか?
受けえます。34条の両罰規定により、違反行為をした担当者個人に加え、法人にも罰金刑が科される可能性があります。
Q6下水道に排水している工場にも12条は適用されますか?
12条は公共用水域への排出が対象のため直接は適用されません。ただし下水道法12条の2の水質規制があり、こちらも直罰です。
Q7排水基準違反の公訴時効は何年ですか?
故意犯(6月以下の拘禁刑)の公訴時効は3年で、排出行為の終了時から起算されます(刑事訴訟法250条2項6号)。
Q8排水の測定記録は残さないといけませんか?
14条により排出水の汚染状態を測定し、結果を記録・保存する義務があります。記録は過失の有無の判断でも重要な証拠になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちは排水量が少ない小さな工場なんですが、それでも排水基準は全部かかるんですか?
項目による。排水基準を定める省令では、BOD や SS などの生活環境項目は1日の平均排水量が50立方メートル以上の特定事業場に適用されるのが原則だが、カドミウムやシアンなどの有害物質は排水量に関係なく適用される(12条1項、3条)。実務のポイント:都道府県の上乗せ条例では、この50立方メートルの裾切りを引き下げている例が多い。国の省令だけ見て「うちは対象外」と判断するのが、最も多い落とし穴である
Q2設備が急に故障して基準を超えちゃった場合も、罰せられるんですか?
可能性はある。12条1項違反は過失でも31条2項で処罰対象となり、点検不足や警報の見落としが過失と評価されうる。一方で、予見も回避もできない突発的な故障であれば、過失が否定される余地がある。実務のポイント:過失の有無を分けるのは、故障そのものより「点検記録が残っているか」である。定期点検の記録が揃っている会社と揃っていない会社では、同じ故障でも行政と捜査機関の見る目がまったく違う
Q3新しく規制対象になった設備って、いつから基準を守らなきゃいけないんですか?
12条2項により、施設が特定施設となった日から原則6か月(政令で定める施設は1年)は適用されない。ただし、その工場がもともと特定事業場であった場合や、同等の処罰付き条例がある場合は、猶予なしで即日適用される。実務のポイント:猶予期間は「届出」の猶予ではない。特定施設となった後の届出義務(6条)は別に動いているため、排水基準の猶予があるからといって届出まで放置すると、そちらで違反になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「行政から改善命令を受けるまでは処罰されない」と考える事業者は多い。実際には12条1項違反はそれ自体で31条の罰則に直結する直罰方式であり、13条の改善命令は処罰の前提条件ではない。命令を待っているあいだの排水も、すべて違反の証拠になりうる
- 基準超過の危険性は「故意の垂れ流し」の問題だと思われがちだが、深刻なのは過失処罰の存在である。処理装置の点検を怠った、薬品の投入量を読み間違えた、そういう日常的なミスでも31条2項で刑事責任を問われる。さらに34条の両罰規定により、担当者個人と会社の両方に罰金が科されうる
- 「川の水質がきれいなら問題ない」という問いの立て方そのものがずれている。法律が見ているのは公共用水域の水質ではなく、特定事業場の「排水口」での汚染状態である。雨水や冷却水で薄めて排水口の数値を下げる手法は、測定方法の問題として行政から厳しく見られる
- 経営者から見れば「国の基準を守っていれば十分」だが、法律から見れば都道府県は条例でより厳しい上乗せ排水基準を定めることができる(3条3項)。国の省令の数値だけで設計した処理設備が、所在地の条例基準では違反になる。この落差が、他県から工場を移転した会社を潰す
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の内容 | 12条:排水口で排水基準に適合しない排出の禁止 | 13条:基準不適合のおそれがある場合の改善命令等 3条:排水基準の設定と条例による上乗せ |
| 行政処分の要否 | 不要。違反排出だけで31条の罰則が適用(直罰) | 都道府県知事の命令が前提。命令違反で別途処罰 基準そのものの定めであり処分規定ではない |
| 事業者の実務対応 | 排水口数値の常時管理と測定記録 | 命令を受けた場合の改善計画・一時停止対応 所在地条例の上乗せ基準の確認 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も事業から地面水体への排放に放流水標準の遵守を義務付ける。違反時は主に行政罰(罰鍰)と改善期限の設定で対応し、日本の直罰方式とは構造が異なる
韓国は排出許容基準を定め、超過時は改善命令や超過排出負担金など行政上の措置を中心に対応する
ドイツは排水の放流を許可制とし、技術水準に基づく排水基準を許可条件に組み込む。無許可・違法放流は刑法典の水域汚染罪でも処罰されうる
米国は NPDES 許可による排出規制を採り、過失による違反にも刑事罰を定める点で日本の過失犯処罰と共通する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- めっき工場の排水処理担当として、夜勤明けに pH 計の警報に気付いた。前夜の数時間、基準外の排水が川に流れていた可能性がある。上司が「黙っていればバレない」と言ったら、あなたはどう動く? 過失犯も処罰対象であり、隠蔽は14条の2の事故時措置義務違反を上乗せするだけだ
- 経営する旅館が増築で厨房・洗濯・入浴設備を拡張し、政令で定める規模を超えて特定施設の要件を満たした。すでに特定事業場なら12条2項ただし書により猶予はなく、稼働初日から排水基準が適用される。「半年は大丈夫」と思って処理設備の発注を後回しにしていたら、その間の排水はすべて違反になりうる
- 湖畔の工場で環境課の立入検査が入り、採水された。結果は後日届く。
- 地元の漁協から「工場の排水が出てから魚が浮いた」と抗議が来た。自社の測定記録は基準内だが、測定頻度は月1回。残りの29日の数値を示す証拠が手元にない。立証の穴は、そのまま交渉力の穴になる
- 政令改正で自社のし尿浄化槽が指定地域特定施設に該当することになった。猶予は1年、残りはあと90日。浄化槽の高度処理化の工事業者の手配は、もう遅すぎるくらいである
取るべき行動
被害を受けた側:1. 異変(着色、異臭、魚の死骸)を発見したら、日時・場所がわかる写真と動画を撮影し、可能なら清潔な容器で採水しておく2. 都道府県または政令市の環境部局に通報し、立入検査(22条)と採水を求める3. 有害物質によって健康被害が出た場合は、19条の無過失責任に基づき、事業者の過失を立証せずに賠償を請求できる4. 漁業被害など財産上の損害は、民法709条の枠組みで因果関係の立証を準備する
訴えられた側:1. 基準超過が判明したら、ただちに排出を止めるか減らし、応急措置と行政への届出(14条の2)を行う。隠蔽は罪を重くするだけである2. 測定記録、処理設備の点検記録、薬品投入記録を保全し、改ざんと疑われる修正は一切しない3. 超過の原因(故障、原料の変更、人的ミス)を特定し、再発防止策を文書化する。これが過失の程度と情状の評価に効く4. 刑事手続に進む可能性がある場合は、環境刑事の経験がある弁護士に早期に相談する
時効(請求できる期限):12条違反の罪(31条1項、6月以下の拘禁刑)の公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項6号)、排出行為の終了時から起算する。2項の猶予は特定施設となった日から6か月(政令指定施設は1年)、3項は1年(同3年)(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 昭和45年(1970年) いわゆる公害国会で水質汚濁防止法が制定され、排水基準違反に対する直罰方式が導入された
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法改正に伴い、31条の罰則中の懲役・禁錮が拘禁刑に置き換えられた(12条本文の文言自体の変更ではない)
改正の年表
- 1.昭和45年(1970年) 新設:いわゆる公害国会において水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)が制定され、排水基準違反に対する直罰方式が導入された
- 水質汚濁防止法 第3条排水基準の設定と条例による上乗せ基準
- 水質汚濁防止法 第13条基準不適合のおそれがある場合の改善命令
- 水質汚濁防止法 第14条排出水の汚染状態の測定・記録義務
- 水質汚濁防止法 第31条12条1項違反の直罰と過失犯処罰
- 水質汚濁防止法 第34条法人と行為者の両罰規定
- 下水道法 第12条の2下水道へ排除する特定事業場の水質制限
- 環境基本法 第16条排水基準の目標となる水質環境基準
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