要点労働安全衛生法 57 条の 3 は、SDS 交付対象の化学物質について、事業者に危険性・有害性の調査(リスクアセスメント)を義務づける規定。調査結果に基づく措置自体は努力義務にとどまる。
Q · うちみたいな小さな会社でも、使っている薬剤のリスク調査をやらないといけないんですか?
SDS 交付対象物質を扱うなら義務です
労働安全衛生法 57 条の 3 は、SDS(安全データシート)の交付対象となる化学物質を扱うすべての事業者に、危険性・有害性の調査(リスクアセスメント)を義務づけています。製造業に限らず、洗浄剤や溶剤を使う飲食店・清掃業・美容室・ネイルサロンも対象です。調査結果に基づく具体的な措置は努力義務(2 項)ですが、怠った状態で労災が起きると安全配慮義務違反として民事・刑事の責任が跳ね上がります。
工場で溶剤を使う、印刷所でインクを扱う、美容室でカラー剤を調合する。これまでは国が物質ごとに細かいルールを定め、事業者はそれに従っていればよかった。だが 2016 年以降、その構図は逆転した。労働安全衛生法 57 条の 3 は、SDS(安全データシート、化学物質の危険性をまとめた書類)の交付対象となる物質について、事業者自身に危険性・有害性の調査(リスクアセスメント)を義務づける。国が手取り足取り教えてくれる時代は終わり、あなたの会社が自分でリスクを見極めて対策を決める時代に入った。さらに 2022 年の大改正で対象物質は数百から数千へと毎年拡大している。「うちは化学工場じゃないから関係ない」と思っている飲食店、清掃業、美容室こそ、知らないうちに義務の網にかかっている。一度もやっていなければ、それは静かな法令違反である。
労働安全衛生法 57 条の 3 は化学物質のリスクアセスメント義務を定める規定であり、第 57 条第 1 項の政令で定める物および通知対象物について、事業者に危険性・有害性等の調査を義務づける。調査結果に基づく措置は努力義務とされ、国は指針の公表と指導・援助によりその適切かつ有効な実施を下支えする。
AI 輔助整理,以條文原文為準
厚生労働省「職場のあんぜんサイト」で最新の対象物質リストを検索できます。SDS の交付対象かどうかは、購入先メーカーに SDS を請求して成分欄を確認するのが確実です。
対象物を新規採用するとき、対象物または作業方法を変更するときに実施義務が発生します(労働安全衛生規則 34 条の 2 の 7)。一度実施すれば終わりではなく、変更のたびに必要です。
リスクアセスメント対象物を製造・取扱いする事業場では、2024 年 4 月から化学物質管理者の選任が義務化されました。57 条の 3 の調査を誰が回すのかという実務の要となる役割です。
SDS は通知対象物の譲渡・提供時に交付が義務づけられています(57 条の 2)。購入先のメーカーや卸に請求すれば必ず入手できます。まず頻用する薬剤から一本取り寄せるのが第一歩です。
カラー剤・パーマ液・アセトン・ジェル溶剤などに SDS 交付対象物質が含まれることがあり、含まれていれば対象です。化学物質規制から遠いと思われがちな業種こそ射程内です。
調査結果は記録し保存する必要があります(労働安全衛生規則 34 条の 2 の 8)。労災発生時に「やるべきことはやっていた」と示す最も有効な証拠になります。
危険な物質のより安全な代替物質への切替え、密閉化・局所排気・全体換気などの工学的対策、作業手順の改善、保護具の使用の順に優先して検討します(本質安全化優先の原則)。
リスクアセスメントの結果と講じる措置の内容は、労働者に周知することが求められます。掲示、書面交付、電子データの共有などの方法で行います。
業務用の塩素系洗浄剤や厨房用の強力な薬剤には、SDS 交付対象物質が含まれることがある。含まれていれば 57 条の 3 のリスクアセスメント義務がかかる。業界裏話ヒント:SDS は購入先のメーカーや卸に請求すれば必ずもらえる(57 条の 2 で交付が義務づけられている)。まず一本、よく使う洗剤の SDS を取り寄せて成分欄を見るだけで、自社が対象かどうか判別できる。多くの小規模事業者は、この最初の一歩を踏んでいないだけ
調査義務(57 条の 3 第 1 項)自体には直接の罰則規定はない。だが、これを怠った状態で労災が発生すると、安全配慮義務違反(労働契約法 5 条)で民事賠償、状況によっては業務上過失致死傷(刑法 211 条)の刑事責任に発展しうる。業界裏話ヒント:労基署は「やっていない」こと自体より、「やっていれば防げた事故」を重く見る。事故後の調査で記録がゼロだと、ほぼ確実に安全配慮義務違反を問われる。罰則の有無で動くかどうかを決めるのが、最も危険な発想
従来は国が物質ごとに細かい規制(特定化学物質障害予防規則など)を定めていたが、規制対象外の物質で労災が多発したため、事業者が自分でリスクを評価して対策を決める「自律的管理」へ移行した。リスクアセスメント対象物質は段階的に拡大し、数千物質規模になる。業界裏話ヒント:この移行で一番影響を受けるのは、これまで規制対象外だった物質を使ってきた中小企業。「今まで何も言われなかったから大丈夫」が通用しなくなった。厚労省の職場のあんぜんサイトで最新の対象物質リストを定期的に確認する習慣が要る(最新の改正状況をご確認ください)
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 義務の性質 | 57 条の 3:危険性・有害性の調査(リスクアセスメント)義務 | — |
| 誰に課されるか | 対象物を扱う事業者(使用者側) | — |
| 強制力 | 調査は義務(1 項)/措置は努力義務(2 項) | — |
| 怠った場合 | 直接罰則なし。労災時に安全配慮義務違反へ波及 | — |
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