要点労働安全衛生法 60 条の 2 は、事業者が危険有害業務に現に就いている者へ安全衛生教育を行う努力義務を定める。罰則はないが、怠れば労災時の安全配慮義務違反の証拠となる。
Q · 危険な作業をしている社員への安全研修って、努力義務なら本当にやらなくていいの?
罰則はないが、怠れば労災賠償で不利になる
労働安全衛生法 60 条の 2 は、危険有害業務に現に就いている者への継続的な安全衛生教育を事業者の努力義務として定めます。罰則はありませんが、努力義務であっても法的な責務です。教育を怠っていた事実は、労災が起きた際の安全配慮義務違反(労働契約法 5 条)を裏付ける証拠となり、損害賠償の場面で会社に不利に働きます。さらに厚生労働大臣の指針(2 項)に従わなければ行政指導(3 項)の対象にもなります。罰則がないことと、守らなくてよいことは別問題です。
危険な機械の操作、有害な化学物質の取扱い、高所での作業。あなたが今その業務に就いているなら、会社にはあなたへ継続的に安全衛生教育を施す責務がある。ただし労働安全衛生法 60 条の 2 は「行うように努めなければならない」と書く、いわゆる努力義務だ。「努力義務なら守らなくても罰せられない」と多くの事業者は高を括る。ここに落とし穴がある。労働災害が起きてあなたが裁判で会社を訴えるとき、この教育を怠っていた事実は、会社の安全配慮義務違反(労働契約法 5 条、プロとして当然払うべき安全への配慮を欠いたこと)を立証する強力な証拠になる。つまり罰則のない努力義務が、損害賠償の場面では牙を剥く。さらに厚生労働大臣は教育の指針を公表し(2 項)、それに従わない事業者へ指導できる(3 項)。罰金は来ないが、行政指導と民事賠償という二つの圧力が、この一見ゆるい条文の裏に控えている。
労働安全衛生法 60 条の 2 は、危険又は有害な業務に現に就いている者に対する継続的な安全衛生教育を事業者の努力義務として定める規定である。雇入れ時等の教育(59 条)や職長等の教育(60 条)と異なり罰則を伴わないが、厚生労働大臣が公表する指針と指導を通じて実施へ誘導される構造を持つ。
AI 輔助整理,以條文原文為準
罰則を伴わないが、危険有害業務の従事者へ継続的な安全衛生教育を行うよう求める事業者の法的責務です。労働安全衛生法 60 条の 2 が根拠で、厚労省の指針とセットで運用されます。
60 条の 2 の努力義務自体に罰則はありません。ただし雇入れ時教育(59 条)や危険有害業務の特別教育は義務で、これを欠くと違法となり是正勧告の対象になります。
プレス機など危険な機械操作、有害化学物質の取扱い、高所作業などです。労働安全衛生規則 36 条が特別教育を要する業務を列挙しています。
厚生労働大臣が公表する「危険有害業務従事者に対する安全衛生教育に関する指針」で確認できます。60 条の 2 第 2 項に基づき公表されています。
60 条の 2 自体に法定頻度はありませんが、指針は業務内容の変化や経年に応じた再教育を求めます。実務では概ね 5 年程度が目安とされます。
法定の保存義務がない努力義務分でも、実施日・内容・受講者を記録すべきです。記録がないと労災時に教育不実施と推認され不利になります。
危険有害業務の教育は実際に作業をさせる派遣先が担うのが原則です。派遣だから自社の責任ではないという主張は通りにくいです。
教育の不実施は安全配慮義務違反(労働契約法 5 条)の証拠となり、損害賠償請求(民法 415 条・709 条)の根拠を補強します。
60 条の 2 は努力義務なので、再教育がないこと自体に直ちに罰則は科されません。ただし入社時教育(59 条 1 項)や特別教育(59 条 3 項)は別で、危険有害業務には義務的な特別教育があり、これを欠けば違法です。業界裏話ヒント:自分の業務が「特別教育が必要な危険有害業務」に該当するかは、労働安全衛生規則 36 条の列挙で確認できる。該当するのに受けていなければ、努力義務どころか明確な法令違反であり、監督署への申告で会社は是正勧告を受ける。
大いに関係します。安全衛生教育の不実施は、会社の安全配慮義務違反(労働契約法 5 条)を裏付ける重要な事実です。教育があれば防げた事故なら、因果関係も主張しやすくなります。業界裏話ヒント:会社側は裁判で「本人の不注意」を持ち出してきますが、そもそも危険性を教えていなければ「不注意を問う前提が欠ける」と反論できる。教育記録の開示請求は、訴訟の早い段階で必ず行うべき一手。
なります。60 条の 2 は「その業務に現に就いている者」を対象とし、雇用形態を問いません。業界裏話ヒント:派遣労働者の場合、安全衛生教育の責任は派遣元と派遣先で分担され、危険有害業務の教育は実際に作業をさせる派遣先が担うのが原則。事故時に「派遣だから自社の責任ではない」という派遣先の言い分は通らないことが多い。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 義務の性質 | 60 条の 2:努力義務(罰則なし、現に就く者への継続教育) | — |
| 対象者 | 危険有害業務に現に就いている者 | — |
| 違反時の効果 | 罰則なし、ただし行政指導 + 安全配慮義務違反の証拠 | — |
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