要点労働安全衛生法 93 条は、産業安全専門官と労働衛生専門官を厚生労働省等に置くと定める。両者は労災の原因調査や許可審査を担い、事業者に技術的な指導及び援助を行う。
Q · 工場に来る「専門官」って、労働基準監督官とは何が違うの?
専門官は技術調査と指導を担う技術専門家で、捜査権は原則ない
労働安全衛生法 93 条により、厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署に産業安全専門官と労働衛生専門官が置かれます。産業安全専門官は機械・設備の安全、労働衛生専門官は化学物質や作業環境による健康障害を担当し、製造等の許可審査や労働災害の原因調査をつかさどります。彼らが行う「指導及び援助」は行政指導であり罰則はありませんが、その記録は後日労災が起きたとき予見可能性を裏づける証拠になり得ます。捜査権を持つ労働基準監督官(91 条)とは役割が分かれます。
工場で死亡事故が起きた翌朝、現場に入ってくるのは制服姿の労働基準監督官だけではない。事故原因を技術的に解剖する専門家、産業安全専門官と労働衛生専門官がいる。労働安全衛生法 93 条は、この二種類の専門官を厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署に置くと定める。産業安全専門官は機械や設備の安全、労働衛生専門官は化学物質や作業環境による健康障害を担当し、製造等の許可(37 条)や有害物の審査、そして労災の原因調査をつかさどる。重要なのは、彼らがあなたに対して行う「指導及び援助」は命令ではなく行政指導だという点だ。罰則で縛られはしないが、無視した記録は、次に事故が起きたとき、あなたが危険を予見できたという証拠に変わる。彼らは助言者の顔と、調査官の顔を同時に持っている。
労働安全衛生法 93 条は、産業安全専門官および労働衛生専門官の設置を定める組織規定である。両専門官は厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署に置かれ、製造等の許可審査、労働災害の原因調査等の専門技術的事務をつかさどるとともに、事業者・労働者等に対する指導及び援助を行う。
機械や設備の安全に係る専門技術的事務をつかさどる技術専門家です。製造等の許可審査や労働災害の原因調査を行うほか、事業者等に危険防止の指導及び援助を行います(93 条 2 項)。
化学物質や作業環境による健康障害の防止に係る専門技術的事務をつかさどる技術専門家です。作業環境測定の専門技術的事項や原因調査を担います(93 条 3 項)。
産業安全専門官は機械・設備の「安全」を、労働衛生専門官は化学物質・作業環境による「健康障害」を担当します。両者とも労災の原因調査と指導援助を行いますが守備範囲が分かれます。
厚生労働省、都道府県労働局、労働基準監督署の三層に置かれます(93 条 1 項)。実務では労働基準監督署を拠点に現場の立入調査や指導を行います。
37 条の製造等の許可は産業安全専門官が技術審査を担当します。審査の論点を知らずに申請すると差し戻しで数か月を失うことがあります。
労働基準監督官と並んで産業安全専門官・労働衛生専門官が立入り、設備の構造・点検記録・作業環境を技術的に検証します。その報告書が送検判断の材料になります。
94 条に基づく立入検査・質問は拒否すると罰則の対象になり得ます。一方で 93 条の指導及び援助は行政指導で従う義務はありません。両者を区別する必要があります。
事故原因の技術報告は、行政処分・書類送検・民事賠償のすべての判断の土台になります。監督官の捜査資料に流れる前提で対応することが重要です。
直接の罰則はない。93 条 2 項・3 項の指導及び援助は行政指導であり、行政処分(許可の取消しのような直接の不利益決定)ではないので、従わなくても即座に処罰されはしない。業界裏話ヒント:但し、指導を受けた記録は労基署に残る。後日同じ箇所で労災が起きると、その記録が「危険を予見できたのに対策しなかった」証拠として業務上過失致死傷(刑法 211 条)や労働安全衛生法違反の立件に使われる。従わない自由はあるが、無視した事実は消えない
労働基準監督官(91 条)は司法警察員の権限を持ち、逮捕・送検まで踏み込める捜査官。産業安全専門官・労働衛生専門官(93 条)は技術的な原因調査と指導を担う技術専門家で、原則として捜査権はない。業界裏話ヒント:実務では両者が一緒に現場に入ることが多く、専門官の技術的な事故原因報告が監督官の送検判断の土台になる。専門官の聞き取りも「ただの指導」と油断せず、供述が後で監督官の捜査資料に流れる前提で対応すべきだ
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 役割 | 技術的な原因調査・許可審査・指導及び援助(93 条 専門官) | — |
| 捜査権 | 原則なし(技術専門家) | — |
| 指導・処分の性質 | 指導及び援助は行政指導(強制力なし) | — |
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