要点特定商取引法9条の2は、訪問販売で不実告知や故意の不告知により誤認して契約した場合、その意思表示を取り消せると定める。行使期間は追認できる時から1年、契約締結時から5年。
Q · クーリングオフの8日を過ぎたら、訪問販売の契約はもう取り消せないの?
不実告知があれば、気づいてから1年間は取り消せる
特定商取引法9条の2により、訪問販売の勧誘で事業者が事実と違うことを告げたり、不利な事実を故意に隠したりし、それを信じて契約した場合は、クーリングオフの8日を過ぎていても意思表示を取り消せます。期限は追認をすることができる時(誤認に気づいた時)から1年、契約締結時から5年です。取り消した場合でも、取消しできる契約と知らずに給付を受けていたなら、返還義務は現に利益を受けている限度にとどまります(同条5項)。
玄関先で「今日中に契約すれば特別価格」「この工事をしないと家が危ない」と畳みかけられ、気づけばサインしていた。数日後、言われたことが事実と違うと気づく。だがクーリングオフの8日はもう過ぎている。ここで多くの人が諦める。それが最大の誤りだ。特定商取引法9条の2は、事業者が勧誘の際に事実と違うことを告げ(不実告知)、あるいは不利な事実をわざと隠し(故意の不告知)、それを信じてあなたが契約したなら、その契約を取り消せると定める。しかも期限は、誤認に気づいた時から1年、契約から5年。クーリングオフとは別の、はるかに長い時計だ。さらに知っておくべきは、取り消しても受け取った商品を全部返す必要がない場合があること(第5項、現存利益)。使ってしまった分まで弁償させられるわけではない。玄関先の一言が事実と違ったなら、あなたにはまだ武器が残っている。
特定商取引法9条の2は、訪問販売に係る売買契約または役務提供契約について、事業者が同法6条1項に違反して不実のことを告げる行為、または同条2項に違反して故意に事実を告げない行為をし、申込者等がこれにより誤認して意思表示をした場合に、その申込みまたは承諾の意思表示を取り消す権利を認める規定である。民法96条の詐欺取消しと併存する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
契約の重要事項について事実と違う内容を告げる行為です(特商法6条1項)。事業者に騙す意図があったかどうかは問われず、客観的に事実と異なる説明をした事実で足ります。
追認をすることができる時から1年、かつ契約締結時から5年です(同条4項)。二つの期限は別々に進行し、早く到来した方で権利が消滅します。
「今工事しないと家が倒れる」など客観的事実と違う説明で契約させた場合は、不実告知として9条の2の取消対象になり得ます。点検記録や見積書が証拠になります。
法律上の形式要件はなく口頭でも可能ですが、到達と内容を証明できません。実務では内容証明郵便で「特商法9条の2による取消し」と明示して送るのが原則です。
解約時の違約金、ローンの総支払額、既存設備で足りる事実など、消費者に不利な重要事項をわざと伏せる行為です(特商法6条2項)。沈黙も取消原因になります。
取消しにより契約は初めから無効となるため、事業者は受領した代金を返還する義務を負います。消費者側の返還義務は現存利益に軽減される場合があります(同条5項)。
消費者ホットライン188で相談でき、事実関係の整理、事業者へのあっせん、通知文の助言を無料で受けられます。センターは代理人ではないため、交渉決裂時は弁護士へ移行します。
取消しの意思表示自体は可能ですが、代金の回収は破産手続の中の一般債権となり困難です。信販会社を利用した契約なら、割賦販売法の抗弁の接続を併せて検討します。
クーリングオフ(9条)は理由を問わず、書面を受け取ってから8日以内なら無条件で解約できる制度です。9条の2の取消しは、事業者に不実告知や故意の不告知があった場合に限られますが、期限が誤認に気づいてから1年、契約から5年とはるかに長い。業界裏話ヒント:消費生活センターの相談員でも、8日を過ぎた相談者にまず9条の2を検討する人と、そのまま諦めさせる人がいる。9条の2という言葉を自分から出せるかどうかで、対応の本気度が変わる
使っていても取り消せます。しかも第5項により、取り消せる契約だと知らずに使っていた場合、返還は『現に利益を受けている限度』(現存利益)で足ります。民法の原則(121条の2)なら全部返還ですが、特商法はそれを緩めている。業界裏話ヒント:食べ切った健康食品や使い切った化粧品は現存利益がほぼゼロになりうる。事業者は『使ったなら全額払え』と迫るが、法的には返還額を大きく削れる余地がある
立証責任は消費者側なので証拠は重要です。契約時のパンフ、チラシ、名刺、契約書、その場のメモ、通話録音、家族の証言が武器になります。ただし不実告知は事業者の『騙す意図』までは不要で、客観的に事実と違うことを告げた事実で足ります(6条1項)。業界裏話ヒント:民法96条の詐欺取消しは事業者の故意の立証が必要で極めて難しいが、9条の2の不実告知取消しは故意不要。同じ被害でも、どちらを主張するかで勝率がまるで違う
取消権を持つのは契約者本人(親)です。子が代わりに行使するには委任や成年後見人などの立場が要ります。ただし実務では、家族が消費生活センター(188)に同行し、本人の意思として取消しを通知するのが一般的。業界裏話ヒント:訪問販売被害は高齢者に集中し、本人が『もう払ったから』と諦めがち。第5項の現存利益ルールを家族が知っていれば、返還額を抑えつつ取り消せると本人を後押しできる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 発動の要件 | 特商法9条の2:不実告知または故意の不告知があり、それによる誤認があること | — |
| 行使できる期間 | 追認をすることができる時から1年、契約締結時から5年 | — |
| 事業者の故意の要否 | 不実告知は故意不要(不告知型のみ故意が要件) | — |
| 消費者側の返還範囲 | 善意なら現に利益を受けている限度(9条の2第5項) | — |
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