民事執行法 第113条(執行裁判所)
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船舶執行については、強制競売の開始決定の時の船舶の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。
この条文の基本情報
執行裁判所とは何ですか?
定義執行裁判所とは、民事執行法第113条に定められた規定で、「船舶執行については、強制競売の開始決定の時の船舶の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第113条(執行裁判所)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第113条の条文原文は「船舶執行については、強制競売の開始決定の時の船舶の所在地を管轄する地方裁判所が、執行裁判所として管轄する。」で始まります。
- 民事執行法第113条は第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第113条の前の条は民事執行法第112条です。
- 民事執行法第113条の次の条は民事執行法第114条です。
- 民事執行法第113条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第113条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第113条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/113
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法113条は、船舶執行の管轄裁判所を、強制競売の開始決定の時の船舶所在地を管轄する地方裁判所と定める。決定後に船舶が移動しても管轄は動かない。
Q · 差し押さえたい船が別の港へ移ってしまったら、裁判所はどこになるんですか?
開始決定の時に船がいた場所の地方裁判所です
民事執行法113条により、船舶執行の執行裁判所は、強制競売の開始決定の時に船舶が所在した場所を管轄する地方裁判所です。基準時は申立ての時でも差押え執行の時でもなく、裁判所が開始決定を出す時点です。したがって決定前に船が別の港へ移動すれば、その裁判所では手続を進められません。逆に決定が出た後であれば、船が他港や公海へ出ても管轄は動きません。実務では114条の船舶国籍証書等の取上げを併せて求め、決定までの間に出港を封じます。
解説
取引先が代金を払わないまま、その会社の持つ貨物船だけは港に停泊している。この船を押さえれば回収できる、そう考えたあなたが最初にぶつかる壁が管轄だ。民事執行法113条は、船舶執行の管轄裁判所を「強制競売の開始決定の時に船がいた場所を管轄する地方裁判所」に固定する。ここで効いてくるのが「船は動く」という当たり前の事実。あなたが申立てをして裁判所が開始決定を出した、まさにその瞬間の停泊地が基準点になる。決定後に船が別の港へ、あるいは公海へ出ても、いったん定まった管轄は動かない。逆に言えば、決定が出る前に船が管轄外へ逃げれば、あなたはその港の裁判所では手続を進められない。だからこの条文は114条の船舶国籍証書等の取上げとセットで読む。証書を取り上げれば船は出港できず、開始決定までの時間を稼げる。管轄が取れるかどうかは、船を物理的に足止めできるかどうかと直結している。
法的な位置づけ
民事執行法113条は、船舶執行における執行裁判所の管轄を定める規定である。総トン数20トン以上の登記できる船舶に対する強制競売について、強制競売の開始決定の時の船舶の所在地を管轄する地方裁判所が執行裁判所となる。不動産執行の所在地主義を、移動する財産である船舶に対し基準時を設けて適用したものである。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.船舶を特定し登記と担保状況を確認 相手方が所有する船舶の船名・船籍港・総トン数を特定し、船舶登記事項証明書で所有関係と先順位の抵当権・船舶先取特権を確認する。総トン数20トン未満なら船舶執行ではなく動産執行のルートになる
- 2.停泊港と出港スケジュールを把握 船舶の現在の停泊港、入出港予定、荷役期間を調べ、開始決定が出るまで船が同じ港に留まるかを見積もる。管轄の基準時は開始決定の時であるため、この時間軸の読みが申立先を決める
- 3.停泊地を管轄する地方裁判所へ強制競売を申立て 船舶が所在する場所を管轄する地方裁判所に対し、強制競売の申立てを行う。債務者の住所地の裁判所ではない点に注意し、予納金や保管費用の見込みも同時に確認する
- 4.船舶国籍証書等の取上げを同時に求める 申立てと併せて、民事執行法114条の船舶国籍証書等の取上げを求める。緊急性が高い場合は開始決定前の取上げ(同法115条)も検討し、決定が出るまでの出港を封じて管轄の基礎を固定する
- 5.開始決定後の保管と手続追行 開始決定により執行裁判所が確定した後は、船舶の保管・監守保存の措置、費用負担、売却手続の進行を管理する。相手方からの移送申立て(119条)や保証提供による取消し(120条)にも備える
よくある質問 AI による整理
Q1船舶執行とは何ですか?
総トン数20トン以上の登記できる船舶に対する強制執行で、強制競売の方法により行われます(民事執行法112条)。手続の多くは不動産の強制競売の規定が準用されます(同法121条)。
Q2船の差押えはどこの裁判所に申し立てますか?
強制競売の開始決定の時に船舶が所在する場所を管轄する地方裁判所です(民事執行法113条)。債務者の住所地ではないため、申立先を誤ると管轄違いになります。
Q3差押え後に船が出港したらどうなりますか?
開始決定により管轄はすでに固定されているため、その後に船が他港や公海へ移動しても執行裁判所は変わりません。手続は当初の地方裁判所で続行されます。
Q4船舶国籍証書の取上げとはどんな処分ですか?
執行官が船舶国籍証書等を取り上げる処分で、これを失うと船は適法に航行できません。開始決定と同時(114条)または開始決定前(115条)に命じられます。
Q5船舶執行の申立てに必要な書類は何ですか?
執行力のある債務名義の正本、送達証明書、船舶登記事項証明書、船舶の所在を明らかにする資料、申立書と予納金が基本となります。詳細は申立先の地方裁判所の運用を確認してください。
Q6船舶執行の事件を他の裁判所に移すことはできますか?
民事執行法119条により、船舶執行事件を他の裁判所へ移送する制度があります。113条で管轄が固定されても、事情によっては移送で調整される余地があります。
Q7船を差し押さえられた側は手続を止められますか?
民事執行法120条により、保証を提供して強制競売の手続の取消しを求める道があります。ほかに請求異議の訴え、執行異議、執行抗告の検討も必要です。
Q8外国船籍の船も日本で差し押さえられますか?
日本の港に所在する外国籍船に対する執行は、条約や国際私法上の論点が絡み、日本船舶と同一には扱えません。船籍・登録の状況を踏まえた個別の法的検討が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1船が差押えの前に外国へ売られてしまったら、もう手が出せないんですか?
開始決定が出る前に船が日本の港を離れ、外国籍になってしまうと、113条の管轄も及ばなくなり回収は極めて困難です。逆に開始決定が出た後なら、その瞬間の所在地で管轄が固定され、船がどこへ動いても手続は続きます。実務のポイント:勝負は決定の前後で決まるため、実務では申立てと114条の証書取上げを同時に打ち、船を港に足止めしてから決定を待つ。船の出港タイミングを読めるかどうかが分水嶺になる
Q2小さな漁船一隻でも、この手続で差し押さえられますか?
船舶執行の対象は登記できる船舶、つまり総トン数20トン以上の船舶に限られます。それ未満の小型船は船舶執行ではなく動産執行(民事執行法122条以下)で扱われ、管轄も手続も別ルートになります。実務のポイント:この20トンの線引きを知らずに小型船に113条の船舶執行を申し立てると、入口で門前払いになる。相手の船のトン数を先に確認するだけで、どの手続に乗せるべきかが即座に決まる(最新の改正状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「船は動産だから、相手の住所地の裁判所に申立てればいい」と考えがちだが違う。船舶執行は不動産の強制競売の規定を準用し、管轄は債務者の住所ではなく開始決定時の船の所在地で決まる。住所地の裁判所に持ち込んでも管轄違いになる
- 管轄が船の所在地で決まること自体は知っていても、その基準時が「開始決定の時」というピンポイントである深刻さを見落としやすい。申立ての時でも差押え執行の時でもない。裁判所が決定を出す一瞬の停泊地で確定するため、審理が数日ずれて船が動けば、間に合ったはずの管轄が消える
- 「船を見つけてから、どの裁判所を使うか考えればいい」という順序そのものが危うい。実務では、船を足止めする手段(114条の証書取上げ)と管轄の確保が同時進行でなければ、法律から見れば「そこに船があった」という事実を固定できないまま、船影だけが港から消える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 管轄の決まり方 | 民執113条:開始決定の時の船舶所在地の地方裁判所 | 民執44条:不動産の所在地を管轄する地方裁判所 民執119条:事件の他の裁判所への移送 |
| 対象財産の性質 | 移動する登記財産(総トン数20トン以上の船舶) | 移動しない不動産 既に係属した船舶執行事件 |
| 基準時の有無 | 開始決定の時という明確な基準時がある | 所在地が動かないため基準時の問題が生じにくい 係属後の事情を踏まえて判断される |
| 実務上の勝負どころ | 決定までの停泊期間、114・115条の証書取上げとの併用 | 物件の特定と評価、先順位担保の把握 保管費用や関係者の便宜を理由とする調整 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も執行標的物の所在地を基準に執行法院を定め、船舶の強制執行には不動産執行の規定を準用する構造をとる。基準時の明文化の度合いが日本と異なる
韓国も登記できる船舶について船舶所在地の地方法院を執行裁判所とし、日本と同一の所在地主義を採用している
ドイツは登記船舶の強制競売を強制競売法(ZVG)の特則として規律し、不動産競売の規定を土台に船舶の特殊性を調整する点で日本と発想を共有する
米国は海事法上の in rem 手続として、船舶が所在する地区の連邦地方裁判所が船舶を差し押さえる。船舶所在地を基礎とする点は共通だが、根拠は大陸法の執行法ではなく海事管轄である
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先の漁船が地元の漁港に戻るのは週明け。もしその前に別の県の港へ水揚げに向かったら、あなたはどこの裁判所に申立てるべきか。基準は開始決定の瞬間の所在地。船の動きを読んで申立てのタイミングを合わせなければ、管轄そのものを取り逃す
- あなたの会社の運搬船に突然執行官が乗り込み、船舶国籍証書を持って行った。これで出港はできない。開始決定が出て、停泊地の地方裁判所が管轄を握った合図だ。証書のない船は動かせず、以後の競売手続はその裁判所で進んでいく
- あと数時間で船は次の寄港地へ出る。開始決定が間に合わなければ、この港の管轄は取れない。申立書は今夜のうちに完成させるしかない
- 海運会社への融資が焦げ付き、担保に取った船を換価したい。だが船は今どこの港にいるのか。船の現在地を突き止めた瞬間から、どの地方裁判所が土俵になるかが逆算で決まる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手の船の船籍・停泊予定港・出港スケジュールを把握し、船舶登記で所有関係と先順位の抵当権も確認2. 船が停泊する港を管轄する地方裁判所へ強制競売を申し立て、同時に114条の船舶国籍証書等の取上げを求めて出港を封じる3. 開始決定が出た瞬間の所在地で管轄が固定される、決定前に船を逃がさないことが最優先4. 保管費用や競売手続費用は高額になりやすいので、回収見込みと事前に天秤にかける
訴えられた側:1. 船舶国籍証書を取り上げられたら出港は不可能、まず開始決定の内容と管轄裁判所を確認する2. 請求債権の存否や額を争うなら請求異議の訴え、手続の違法があれば執行異議(民事執行法11条)を検討、管轄違いがあれば移送を申し立てる3. 船を事業に使い続ける必要があれば、保証を立てて手続の取消しを求める道(民事執行法120条)がある4. 競売価格が過度に低廉になるのを避けるため、弁済による取下げや任意売却の交渉を早期に動かす
時効(請求できる期限):船舶執行の管轄自体に特定の時効はないが、請求債権には消滅時効(民法166条、債権は権利を行使できると知った時から5年または権利を行使できる時から10年)が働く。手続内では、執行異議は執行処分後すみやかに、執行抗告は裁判の告知から1週間の不変期間(民事執行法10条)が起算点となる
学説
通説:113条の基準時は開始決定の時であり、決定後に船舶が移動しても執行裁判所の管轄は失われないと解されている。移動する財産に不動産執行の所在地主義を及ぼすために、基準時を一点に固定して手続の安定を図った規定と位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定により、旧民事訴訟法の強制執行編に置かれていた船舶執行の規律が独立の章として整理され、執行裁判所の管轄が本条に明文化された
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